伝統の一戦で攻守共に圧倒!

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 17 37
慶大 UNICORNS

 ついにこの日を迎えた。第66回早慶対校戦。それぞれが特別な思いを胸に抱き、フィールドに立つ。チームスローガンである『気魄』を体現し、史上最強のBIG BEARSへと生まれ変われるか。その第一歩となる今試合。晴天にも恵まれた駒沢競技場で、両者の意地とプライドをかけた熱戦の火ぶたが切られた。

 伝統の一戦は慶大のキックオフで幕を開けた。オープニングドライブこそ3アンドアウトに押さえ込まれたが、続く相手の攻撃でLB池田直人(法3=東京・早大学院)がインターセプト。このビックプレーが流れを大きく引き寄せる。ミドルレンジのパスをつなぎ敵陣へ襲いかかる早大は、K長谷川絢也(社3=東京・早実)のFGで幸先よく先制に成功。第2クオーター(Q)に入ってもその勢いは止まらない。背番号『1』を背負ったQB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)の冴え渡るパスオフェンスでレッドゾーンへ侵入。RB元山伊織(商4=大阪・豊中)が立て続けにボールをキャリーし、エンドゾーンへ飛び込んだ。直後のディフェンスではDL上田雄大(人4=東京・明治学院)、LB中村匠副将(人4=大阪・豊中)が連続でQBサックを決め、攻守共にアグレッシブなプレーを連発。しかし、前半終了を前に慶大のノーハドルオフェンスで崩され、TDを献上。1ポゼッションのリードで前半を折り返す。

力強いランでTDを奪うRB元山

 後半に入っても早大は攻撃の手を緩めない。WR小貫哲(教2=東京・戸山)らの活躍で得点のチャンスを演出。そして、特別な思いを胸に戦うWRブレナン翼(国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)がDBとの競り合いを制しTDを奪った。しかし、慶大を突き放した矢先、力強いドライブで攻め込まれ暗雲が漂う。そして迎えた勝負の第4Q。最初のプレーでパスを選択した慶大。この選択が明暗を大きく分けることに。慶大WRへ鋭く放たれたボール。これを抜群の反射神経でDB高橋弘汰(法2=東京・早大学院)が奪い去り、そのまま緑に輝くエンドゾーンを駆け抜けた。今季活躍が期待される成長株がやってのけた大仕事。これに触発されるかのごとくDB高岡拓稔(商3=東京・早大学院)、LB杉田直人(法3=東京・早大学院)にビックプレーが生まれ慶大オフェンスを破壊する。さらにはTE鎌田遼介(法4=埼玉・早大本庄)にもTDパスが決まり、この日重ねた得点は37。攻守共に慶大を圧倒し、初陣を白星で飾った。

ベストプレーヤー賞に輝いたDB高橋

 伝統の一戦で快勝を収めたBIG BEARS。「特に下級生が活躍してくれた」(中村匠)と、安定したクオーターバッキングを見せた柴崎、ベストプレーヤー賞にも輝いた高橋ら2年生の活躍も目立ち、これからも若い力に期待がかかる。それでも「勝ったことに絶対満足してはならない」(DL斉川尚之主将、スポ4=東京・獨協)と、決して気を緩めることはない。いまだ見ぬ頂へ。駒沢の地で確かな足跡を残し、これから激闘の春を戦い抜く。

(記事 成瀬允、写真 元田蒼、藤田さくら、涌井統矢)

★過去10年間の対戦成績
過去の戦績
第56回 早大 ○24-17● 慶大
第57回 早大 ○47-3● 慶大
第58回 早大 ●24-28○ 慶大
第59回 早大 ○27-12● 慶大
第60回 早大 ●21-24○ 慶大
第61回 早大 ○38-7● 慶大
第62回 早大 ●28-35○ 慶大
第63回 早大 〇31-17● 慶大
第64回 早大 〇19-14● 慶大
第65回 早大 ○31-14● 慶大
コメント

DL斉川尚之主将(スポ4=東京・獨協)

――最後の春の早慶戦どのような意気込みで臨まれましたか

3年連続で勝っていたので、負ける訳にはいかないと思っていました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

点差としては開いて勝ててよかったですが、課題がとても残る試合でした。勝ったことに絶対に満足せず課題を潰し次の試合に臨みたいです。

――DF陣がビックプレーを連発できた要因は

相手のミスが多かったので、ビックプレーを起こしたというよりは起こさせてもらったという感覚です。ただビックプレーのチャンスを下級生がものに出来た点としては嬉しかったです。

――きょうの試合で見つかった課題と収穫は

下級生が早慶戦というビックゲームで活躍できたことは収穫でしたが、課題は山ほどありました。とにかく勝ったことに絶対満足してはならない試合でした。

――今後の春季オープン戦への意気込みをお願いします

とにかく勝つことを目的とするのではなく、どう勝つかを徹底した春のシーズンを送りたいと思います。

LB中村匠副将(人4=大阪・豊中)

――最後の春の早慶戦どのような心境で臨まれましたか

圧倒することだけを考えていました。自分の代の春の早慶戦は何が何でも勝たなくてはならないのですが、結果だけでなく内容にもこだわろうと意識しました。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

結果はともかく、内容に関してまだまだ足りていない部分が多すぎました。ディフェンスの目標であった完封が成し遂げられなかった原因を突き詰め改善します。

――QBサックのシーンを振り返っていかがですか

最高でした。四年の早慶戦でのビッグプレーはいつまでたっても忘れることがないと思います。

――DF陣でビックプレーを連発できた要因は

インターセプトに関しては、普段からボールにこだわった練習に取り組んだ結果だと思います。特に下級生が活躍してくれたのが嬉しかったです。

――今後の春季オープン戦への意気込みをお願いします

春シーズンの強豪校との試合を経て、秋に必ず日本一になれるよう成長します。応援よろしくお願いします。

RB元山伊織(商4=大阪・豊中)

――最後の春の早慶戦どのような意気込みで臨まれましたか

個人としては最後の春の早慶戦ということで、とにかくMVPが欲しかったので、自分がボールを持ったら絶対TDしてやると考えていました。オフェンスとしては、ビッグゲームだったのでとにかく全力で目の前の相手を圧倒することに集中させました。練習量も増やし、ハードに取り組んできたと思います。

――きょうの試合を振り返っていかがですか

個人としては与えられたチャンスを活かしきれず、MVPを取れなかったのが純粋に悔しいですね。自分の実力の低さを改めて実感したので、次の試合に向けて更に自分を追い込んで練習していきたいと思います。オフェンスは、QB柴崎とOL陣が奮闘していたと思います。自分はRBですが、あんなにパスがリズムよく通ると気持ちいいものですね。まだ荒削りな部分はありますが、WRでは2年の河波(正樹、スポ2=米国・シアクァムセカンダリースクール)、小貫は光るプレーを見せてくれています。

――TDシーンを振り返っていかがですか

慶大のディフェンダーが中央に意識が向いていたので、思い切ってカットバックしてみたら、うまいこといけた感じですね。気持ちよかったですね。それまでインサイドでゴリゴリランを出していた片岡とOLのおかげです。

――得点を重ねていけた要因やカギとなった点は

一番はQBの柴崎が落ち着いて鋭いパスで、オフェンスのテンポをつくっていたからだと思います。3年ながらリーダーシップも発揮している頼れるパサーです。彼は今年ラストイヤーくらいの覚悟で頑張ってくれると思います。あとは作戦を減らし、ディフェンスを個の力で打破しようと挑んだのですが、そういった場面が随所で見られたので良かったと思います。

――今後の春季オープン戦への意気込みをお願いします

個人としては、きょうの反省を活かしてよりハードな練習に取り組み、次の試合で更に躍動したいです。オフェンスとしては、慶大戦圧勝はしたものの、オフェンスの質としてはまだまだ甘く、日大や関西の大学には通用しないレベルなので気を引き締めてより質の濃い練習をしていきたいと思います。

QB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)

――早慶戦に対して、特別な思いはありましたか

特別な相手ではあるのですが、春のこの時期での試合なので、基本的には自分たちの持っているスキルと、オフシーズンに鍛え上げたフィジカルをぶつけようという思いでした。あまり考えすぎず、できたかなと思います。

――オフェンスの目標はどのようなところに置いていましたか

オフェンスの目標としては、5本のタッチダウン、パス成功率70パーセント、ラン平均5ヤードというのを掲げていました。たぶん、計算してみるとタッチダウンも目標には達成していないですし、パス成功率もまだまだなので、そこはもっとこれからレビューして、しっかり修正していきたいと思います。

――パスの成功率は高いようにも見えましたが、課題はどのような点でしょうか

パス自体は通ってはいたのですが、秋に戦う関西のチームや社会人チームに通用するかといえば、まだまだだと思います。IBMでプレーされている鈴木隆貴選手(平29法卒=東京・早大学院)がコーチとしていてくれたのですが、「これが社会人だったらまだまだだな」というお話もありました。そういう部分も詰めてやっていきたいです。

――背番号が『1』になりましたが、経緯は

これは、1番の澤田選手(哲志、商4=東京・早実)がケガをしていて、今回はつけていなかったので。僕自身1番をつけたかったので、つけさせていただきました。4番に戻るか、1番をつけさせていただけるかはわからないのですが、そこはあまり気にせずやりたいです。

――思い入れはありますか

1番は高校の時からつけている番号で、坂梨選手からも受け継いでいる番号だったので、思い入れはある番号ですね。

――ことしの目標、抱負をお願いします

ことしは自分が日本一のQBになって、チームを日本一に導くという部分に、本当にフォーカスしているので、きょうのレベルに満足することなくいきたいです。日本代表もあるので、成長できるチャンスはたくさんあります。チームを日本一に導けるQBに成長したいと思います。

WRブレナン翼(国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

春の早慶戦ということで、たくさんのお客さんが来ている中で勝てたのは良かったです。でもオフェンスとして、まだまだ課題があるなと感じました。

――その課題とは

アサイメントの場面でうまくやりこなせていない部分があります。また、個人的な課題としては、ディフェンスのカバレージを100パーセント読めていなかったので、もっとビデオを見るなりして、集中を切らさずにカバーを読むということを改善していかなければいけないなと思っています。

――序盤からパスがよく通っている印象を受けましたが、QBとの連携はどうでしたか

今年はQBとのタイミングを意識して練習していて、パスがもっと通りやすくなるようにしているので、気づいてもらえて嬉しいです。

――3Qで今季初のTDを決められましたが、振り返っていかがですか

やっぱりTDを決められた瞬間は最高ですね。コールが出た時にもうこれは自分に来るなと思っていました。柴崎との練習の成果もあって、お互いをわかり合っている部分があるので自分に投げてくれた時は嬉しかったですし、絶対に取らなければいけないと思いました。

――TDを決めた後、祈るようなポーズをされていましたが

実は先週祖父が亡くなって悲しかったです。この早慶戦は彼に捧げたいと思っていたので、最初のTDを決めた後に「あの人へ」という思いを込めてセレブレーションをしました。

――他のWRの選手も活躍されていましたが、今年のWR陣はどのような印象ですか

今年のパスユニットはみんなうまくて、ライバル意識も高いですし、一人一人自分が取るぞと言ったハングリー精神を持っているので、今年のWR陣には自信をもっています。その中でも、自分は相手チームから注目されるような選手になりたいです。そうすることで、他のレシーバーのところが空くチャンス多くなるので、おとり役ではないですけど、そういう役割も担っていきたいです。その上で、自分もたくさん活躍したいです。

――これからの春シーズンに向けて、意気込みをお願いします

きょう1TD決めることができたので、毎試合、ばんばんTDを取っていきます!

DB高橋弘汰(法2=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていかがですか

僕にとって部に入って初めての公式戦だったので、試合の入りはすごく緊張してガチガチでした。試合の中で、プレーを重ねていってインターセプトのチャンスをものにできたので、とても嬉しかったです。

――実際にピッチに立ってみて、春の早慶戦の雰囲気はいかがでしたか

観客がすごく多くて、アップの時から緊張していました(笑)。

――インターセプトリターンTDを決められていましたが、いかがでしたか

最高でした。本当に嬉しかったです。みんなからすごく褒めていただいて、自分でもTDまでもっていけるとは思っていなかったので、一生懸命走ってよかったです。

――ビッグプレーは狙っていましたか

ちょっとやりたいなとは思っていました(笑)。あのインターセプトの場面は4Q最初のプレーで、流れをよく掴めていたなとコーチの方にも褒めていただきました。

――ベストプレーヤー賞にも選ばれていましたが、選ばれた時のお気持ちはいかがでしたか

正直、自分が選ばれるとは全く思っていなかったので驚きました。今はめちゃくちゃ嬉しいです。

――DB陣の雰囲気はいかがですか

きょねん以上にみんな真面目にプレーしていて、試合に出たいという気持ちが練習でもすごく出ているかなと思います。アフターとかでもきょねんよりも練習していますね。

――早慶戦への特別な意気込みはありましたか

高校の時の引退試合になった相手が慶応高だったので、きょうは借りを返してやろうと思って臨みました。

――春シーズンに向けての意気込みをお願いします

これからも、試合に出続けて、この試合みたいに活躍ができるように頑張りたいです。ビッグプレーだけじゃなくて、毎プレー毎プレー自分の役割をしっかりと果たして、堅実なプレーを心がけたいと思います。