初陣を勝利で飾れるか/早慶戦展望

米式蹴球

 2018年4月29日。今年も駒沢の地で第66回早慶対校戦が開催される。互いの意地がぶつかる伝統の一戦ではここ3年で負けなし。近年は好成績を残しているが、もちろん油断は出来ない。そして、エンジのユニフォームをまとう選手たちの今後を示す試金石ともなる。大観衆を前に、新制BIG BEARSはどのような戦いを繰り広げるのだろうか。

 粘り強い早大ディフェンスは今年も健在だ。DL斉川尚之主将(スポ4=東京・獨協)らフロント陣は強烈なラッシュを仕掛ける選手が揃う。試合経験豊富のLB中村匠副将(人4=大阪・豊中)もタックラーとしてその目を光らす。昨季の主力が多く抜けたセカンダリーだが、その核となるDB小野寺郁朗副将(社4=東京・早大学院)、DB高岡拓稔(商3=東京・早大学院)、らが虎視眈々(たんたん)とビックプレーを狙う。一方のオフェンス陣にも活躍を期待される選手がいる。WRブレナン翼(国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)の昨年の獲得ヤードはチームトップとなる435。オフェンスの司令塔を務めるQB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)とのホットラインにも注目だ。ランユニットの活躍が目立った昨年の早慶戦。今年はRB片岡遼也副将(法4=東京・早大学院)とRB元山伊織(商4=大阪・豊中)に加え、成長著しい永木元大(社3=東京・早大学院)と高瀬滉平(政経3=東京・早大学院)がFBとして勝利への走路を切り開く。

アグレッシブなプレーで流れを引き寄せる

 対する慶大は昨年と大きくメンバーが入れ替わる。その中で昨秋、パス獲得ヤードでリーグ最多を誇ったパスユニットは今年も注意が必要だ。ルーキーながら落ち着いたクオーターバッキングを見せたQB三輪忠暉。高校時代にはチームを関東大会優勝へと導き、最優秀バックス賞にも選ばれた逸材だ。主将を務めるSB松岡拓希と共に、決して勢いに乗らせてはならない。警戒すべきはオフェンスだけではない。副将としてチームを率い、強烈なブリッツを仕掛けるLB中野航平。安定したパスカバーが光るDB松浦直希を擁する慶大ディフェンスを突破できるか。50ヤード超えのFGを決めるK/P廣田祐の存在も試合の行方を左右しそうだ。

オフェンス陣を率いるRB元山

 「負けられない」。選手たちが口々にその言葉を放つ伝統の一戦。冬に積み上げた鍛錬全てをぶつけ、悲願の日本一へと突き進む。その初陣を勝利で飾りたい。澄み渡る空へ拳を突き上げるのは、ワセダか。ケイオーか。そのキックオフが刻々と迫ってきている。

(記事 成瀬允、写真 新津利征氏、加藤耀氏)