【連載】『第66回早慶戦直前特集』【第6回】QB柴崎哲平

米式蹴球

 オフェンスの司令塔であるQBとしてフィールドに立ち、大きな重圧を背負いながら戦い続ける選手がいる。QB柴崎哲平(政経3=東京・早大学院)。チームを勝利へと導くため進化を止めない左腕は、大学屈指の精度を誇る放物線を描くまでに成長。アメフト一筋で『日本一』を追い続ける男の胸中に迫った。

※この取材は3月25日に行われたものです。

「恩返し」

オフェンスの司令塔としてチームを率いる

――昨季はどのようなシーズンでしたか

 僕はユニットとしても、後から気づいて後悔する1年だったと思っていて、僕自身きょねん1年間坂梨主将(陽木、平29政経卒=東京・早大学院)というスターターのQBを抜かして日本一に導くことに対して死ぬ気で努力したつもりで、ユニットとしてもそういった努力をしてきたつもりだったんですけど、結果的に日大戦で負けた後にチームとしても個人としても、もっと出来ることがあったという反省の中で、法大戦と慶大戦は勝つことができたんですけど、やっぱり甲子園という舞台に行けなかったのは、自分たちのやるべきことに気づけなかったからだと思います。

――日大との差を埋めるために求められることは

 1人1人のスキルアップというのを少しおざなりにしてしまった部分があって、練習で追い込み切れなかった部分が試合で出たのかなと思います。

――オフシーズンで特に強化された点はありますか

 QBは練習前にFacebookで練習メニューやポイントを確認して、ユニットとして同じ共通認識の下で全員のレベルアップを図っています。個人としては寮に入ったので沢山アメフトに時間をかけられるというのと、フィジカルアップの部分でチームトレーナーさんや、サポートしてくださる方の下で自分の体の使い方という部分からもう一度見直していて、それがスローにつながるのでもう一皮二皮むけるように一から見直しているところです。

――ご自身の中でフットボーラーとしての心得はありますか

 自分はあくまで心得として誰にも頼らないというのがあって、どんなレシーバーでも取れる球を投げる。どんなOLがしんどい状況でDLがもれて来たとしても、それをかわしてQBが投げきってパスを決めれば試合に絶対に勝てる。QBが良ければ絶対にチームの勝利につながると僕は思っているので、チームにはWRブレナン(翼、国教3=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)だったり4年生のレシーバーもすごく頼りにしていて、OLも本当にQBを守ってくれるんですけど、そこに頼らずとにかく自分が日本一のQBになるというところだけを見ています。

――ご自身の強みはいかがですか

 自分は相手のディフェンスを見抜く力というか、フットボールしかやっていなかった人生だったので、自分はあまり走れる訳でもなく、その中で自分の出来ることは相手のディフェンスを見抜いて相手の弱いところ弱いところを攻めて、チームのみんなが楽に展開できるようなプレーをするのが自分の持ち味なので、そこは去年の法大戦から上手くできてきていると思うのでそこは負けたくないなと思います。

――ご自身の理想の選手像はいかがですか

 きょねん主将を務めた坂梨さんです。QBとして圧倒的なリーダーシップがありましたし、この人ならついていきたいと選手みんな思っていたので、そういった部分ではQBは実力以上に他の選手からどう見られているのか、どう信頼を得るのかがすごい大事なので、きょねんの坂梨さんは目標となる選手で、自分の持ち味をしっかりと理解してその部分で結果を出してチームを勝利に導いていた選手なので、自分の持ち味をしっかりと活かしてチーム全員の信頼を得られるQBになりたいと思います。

――チーム内で一推しの選手はいますか

 僕はWR小原(嶺、法4=東京・早大学院)さんという4年生のレシーバーです。ブレナンであったりビックプレーを起して目立ってチームを勝利に導いているなと誰もが思うWRがいる中で、すごい確実にキャッチもしてブロックもして時にはロングパスも取ってくれて、本当にこの人に投げていれば通るなという安定感と信頼感があります。あと去年1年間FGでもスナッパ―で僕と、K長谷川絢也(社3=東京・早実)の3人でやってきて、その部分でもすごく信頼していて本当に人としても後輩からすごく好かれている選手で、早慶戦では絶対に取ってくれると思うのでTDパスを決めたいなと思います。一推しです。

――斉川主将の印象はいかがですか

 斉川さんはやっぱり実力もすごい選手でリーダーシップもあってチームを引っ張っていて、何よりきょねんまでのチームを変えようとしている選手です。ワセダにあった少し緩い雰囲気や厳しくなりきれなかった部分が日本一に近づかなかった要因で、そこを1番変えているのが斉川主将だと思います。今は本当に変わる時期で、チーム内も少しまとまりきれていない部分もあるんですけど、これがまとまりきれば絶対に日本一になれるチームだなと、そういうチームを作っているなと思うので、斉川さんの厳しさのあるこのチームでまとまりたいと思います。

――春には多くの試合が控えていますが、どのようにこの春を戦いたいですか

 チームとして春は小手先だけじゃなくて、フィジカルであったりスキルであったりの部分で勝利に結び付けたいと思っています。個人としてはきょねんも秋の終盤から出ていて結果を出さないといけない立場なので、そこは責任を持って常に安定感を持ってQBとしてチームを勝利に導きたいのと、新体制になった1月から色々な人に新しくサポートして頂いたり、トレーナーの方や外部の方にも力を借りたりしていて色々な人への感謝の気持ちがあり、そういった人の思いにも応えたいので、春にしっかりと結果を出して少しでも恩返しができたらなと思います。

「勝利に導きたい」

早慶戦での活躍を誓う

――この早慶戦でキーマンだと思う選手は

 僕はDB高岡拓稔(商3=東京・早大学院)というディフェンスの選手なんですけど、寮が同部屋でいつもアメフトのことしか話していなくて、本当にアメフトが好きなんだなという選手で、今年からディフェンスの脳というか、きょねんの4年生がセンスでやっていたところを上手くまとめてくれる選手なので、そういう部分でオフェンスが僕をやってやるんで、彼がディフェンスをまとめて止めて同部屋で頑張りたいと思います。

――慶大の脅威になりそうなポイントはありますか

 やっぱり勢いですね。ワセダは結構スロースタートな部分があるので、最初に相手を調子に乗らせてしまうとそこからズルズルとやられてしまうので、まず最初にカチッと勢いを止めて自分たちのプレーを出すというのが大事かなと思います。あとはQB三輪くん(忠暉)は高校の頃から知っていて1つ年下なんですけど、すごくいいQBでトモダチボウルでも活躍していて1人1人のスキルも確実に高くて、そういった部分で勢いに乗らせないように頑張ります。

――その中で注意が必要な選手はいますか

 1つ年上のLB中野航平選手で、すごくアグレッシブにブリッツをしてくるので、例年ワセダはプレッシャーをかけられてOLとQBが苦しむ場面が多いので、その部分で今年はOLも止めてくれますし、しっかり僕もその中でパスを投げきって攻略したいと思います。

――早慶戦でどのようにチームに貢献していきたいですか

 きょねんの春の早慶戦はホルダーだけでしか出られなくて、今年どうなるか分からないですけど高校の頃から早慶戦をやってきて、やっぱり慶大には負けたくないですし、この春の早慶戦は特別なもので特に4年生は学生最後の早慶戦になるので、絶対に4年生と一緒にチームを勝たせてMVPを取りたいと思います。

――早慶戦への意気込みをお願いします

 春の初戦なので、今年のチームが始まって今まで自分たちがやってきたことを試合で出せる舞台で、本当に多くの方が応援に来てくださる特別な試合なので、観客の方をオッと驚かせられるような変わったBIG BEARSを見せられるように、その中心に自分がいれるように、QBとしてプレーもそれ以外の面も中心となってチームを引っ張って勝利に導きたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 成瀬允)

早慶戦への意気込みを書いていただきました!

◆柴崎哲平(しばさき・てっぺい)

1997(平9)年7月18日生まれ。176センチ、70キロ。東京・早大学院高出身。政治経済学部3年。QB。最近、同じく早大学院高出身の高岡選手と一緒に寮生活を始めた柴崎選手。実は小学校3年から同じフラッグフットボールチームに所属し、レシーバーとQBの間柄だったお2人。青春時代を共に過ごした3年生コンビの活躍に注目です!