BIG BEARSは選手だけで成り立っているわけではない。スタッフたちにもそれぞれの役割があり、どれも日本一になるためには不可欠なものだ。MGR鈴木紫野(文構4=東京・早実)、AS濱部莉彩子(政経4=東京・東学大付)、SC竹内大輔(スポ4=東京・立川国際中等高)、AT小田彩子(スポ3=埼玉・早大本庄)の4人に各ユニットの働きを聞いた。
※この取材は3月22日に行われたものです。
「試合をうまく運べるように」(鈴木紫)
仕事内容について話す鈴木紫
――きょうはシーズン前、早慶戦前対談ということで、それに向けてどう過ごしていたのか、早慶戦に向けて、オフの過ごし方などうかがっていきたいと思います。よろしくお願いします。まず、数少ないオフ期間がありましたが、皆さんどう過ごされていましたか
小田 オフ期間は、長い期間オフを挟んでケガをしている選手はいっぱいいるので、あまりまとまったオフ期間というよりはリハビリでグラウンドに来ていました。年末年始は去年の4年生と遊んだりと結構遊びました(笑)。富士急ハイランドやアウトレットなど行きましたね。
竹内 大昔のように感じますが(笑)。オフ期間は最上級生になったので、4年生でミーティングをしたり、準備、引き継ぎなど意外に仕事していました。でも僕はあまりオフ必要ないので、何もないとダラダラしてしまうので、適度に高校の友達と遊びながら仕事していました。
濱部 オフ期間は、アナライジングとしては去年のシーズンのスカウティングをしていました。それが終わったばかりですが、もう始まるなという感じです(笑)。
鈴木紫 納会の準備をしたり、監督とのミーティングであったりしてましたが、合間を縫ってご飯を食べたりしていました。
――皆さんの主な仕事内容を簡単にお願いします
小田 お主な仕事は、ケガした選手のリハビリを組んだり、うちはメディカルスタッフといって、ドクターがしっかりしているのでコミュニケーションを取りながらリハビリの方向性を決めることが一つと、練習や試合で選手にテーピングを巻いたり、その場で選手のケガに対応しています。
竹内 基本的には、ストレングス&コンディショニングなのでウェイトトレーニングでフォーム指導ですね。間違っていたら指摘したり、やる気を促したり。体つくりも大事なので食事調査をしたりと食事面の指導もしています。他には身体のデータ管理です。現場で指導することが多いと思われがちなのですが、体重、体脂肪などをデータを管理して、練習時の負荷を調節しています。去年までは筋力の数値もとっていましたが、新体制になったのでまだ手探りの状態ですね デカく、強くなってほしいです(笑)。
濱部 アナライジングスタッフはまず相手の分析です。相手の強みは何なのか、弱みは何なのかを分析して自分たちがどんな手札を使えばいいのか、どうやったら勝てるのかを分析します。フットボールの知識がないと戦力にはなれないので、経験者はすごい重宝されますね。未経験の人はルールからポジションの名前から教わりますね。私はルールはわかりましたが詳しくフットボールを知らなかったので、2年3年の過程で勉強していきました。フットボールはすごく奥が深いスポーツなので勉強しても満足することはありませんが、日々勉強です。
鈴木紫 マネージャーはあまり表立って仕事することはなく主に渉外活動や広報活動など裏の活動をしています。試合をうまく運べるように管理したり、練習であればビデオ撮ったりしています。
「スカウティングはやればやるほど力になる」(濱部)
グラウンド外からチームの勝利に貢献する濱部
――各ユニットに1つずつ質問していきます。まず小田さんから。激しいスポーツだけにケガ人はすごく多いと思いますが、対応、対策としてどこを意識していますか
小田 私たち学生はプロのトレーナーではないので知識も経験も全然ないです。命にかかわるケガも起こりうるスポーツなのでその緊張感をトレーナー内でなくさないように意識していますし、そういう場面でも冷静に対応できるように緊急対応の練習も定期的にしています。後はメディカルスタッフが心強いので来てくださったときは分からないことはどんどん質問しています。下級生にも言っていますが、昨年自分が聞けなくて自分の成長を止めてしまったので下級生には、せっかく来てくださっているからどんどん頼ってわからないことはどんどん聞くようにしています。
――竹内さんには、身体づくりとして、体を大きくする、筋力をつけることが大事だと思います。指導するときに何を意識していますか
竹内 トレーニングはすごく苦しいし、ボールを使ったほうが楽しいのです。苦しい思いをしてトレーニングをしてもすぐに大きくならないので、1週間、2週間で変わるわけではないですし、3カ月、半年経ってからいい体になっていきます。苦しい思いをしてせっかくボールを使わずにトレーニングをするのだから最大限成長させたい、0から1、1から2というふうにクオリティーを上げてもらえるように、無駄な時間を過ごさせないように意識しています。ダラダラしている姿があれば指摘するようにしています。
――濱部さんにはアナライジングスタッフから見て去年のチームはどうでしたか
濱部 去年は4年生がタレント揃いだったのでどちらかというとスカウティングしやすいチームでしたがそれでも勝つという横綱相撲のような感じでした。ことしは4年生が抜けたところをどう埋めるか、下級生は非常に能力が高いので、去年できたことがことし全くできなくなるわけではないですが、どう埋めるかがカギになるかなと思います。
――鈴木紫さんには大人数のチームをまとめる、管理立場にあるので大変なことも多いと思うのですがどうですか
鈴木紫 選手の数に対してマネージャーの数はかなり少ないとは思うのですが、それでもバックオフィスというコーチ陣がマネージャーをバックアップできる体制がしっかり整っているので全員が持つべき仕事ができていれば大丈夫かなと。また去年から始まった早スポさんを始めとするマーケティングスタッフのおかげで広報面でもサポートしてもらっているので、確かに人数も少ないので大変ですがサポートしてくれる方が多いのでは苦ではないですね。
――昨年を振り返って、各ユニットの働きはどうでしたか。昨年も甲子園ボウルに出場されて、最終的には負けてしまいましたが非常に強かったので、この強さは裏方の皆さんの力があってこそだと思います
小田 トレーナーは新4年生がいないので来年は最上級生に自分たちがなるといことが分かっていたので、自分たちが成長しなければいけないという意識が持てたことが去年は良かったと思います。他の3人の勉強意欲がすごかったですし、去年の4年生の宮良さん(彩美、平29スポ卒=沖縄・昭和薬科大付属)を支えることができたかは分かりませんがまとまりはあったと思います。できなかったこともありますがいいまとまりでした。
竹内 宮良さんの存在は大きかったよね 。
小田 はい。本当につらいです 。
竹内 3年生が4人で2年生が4人で上が1人しかいなかったですが、宮良さんは宮良さんで抱え込まずに明るくやっていたので。去年の4年生はタレント揃いって言ってましたが仲が良くて、スタッフはスタッフで助け合っていました。
小田 去年は選手が自分で最短でケガを治すために勉強して、何が復帰のためには必要なのかを自分で考えていたので、それはすごいなと思っていました。
濱部 スカウティングについても、実際にプレーするのは選手なので選手がどれだけ理解しているのかが重要なので、去年のオフェンスリーダーの鈴木隆貴さん(平29法卒=東京・早大学院)は自分で手を動かして絵にしていましたし、スカウティングはやればやるほど力になるので、できれば全部自分でやったほうがいいですが作業も多いのでそれを選手がやってくれていたのは大きかったです。
竹内 勝ちたい意欲が強かったです。
「現状をどんどん変えていく」(竹内)
ことしのSCユニットについて語る竹内
――ことしから監督が高岡勝氏(平4人卒=静岡聖光学院)に代わり新体制になりましたが、どんな影響がありますか
小田 たくさんありますよ(笑)。
鈴木紫 元々高岡監督はマネージャーユニットと関わりがある人だったのですごく話しやすいです。
小田 高岡監督は会社で働いていた経験があるので資料の作成の指導といったそういう面がすごくうまいです。社会に出ても恥じないというか、いい経験を積めています。
鈴木紫 それはあります。バックオフィスコーチの時から、社会に出ても通用するマネージャーになろうというのがありました。高岡監督筆頭に厳しく指導されたのでそれはいい経験になっています。社会に出ても大丈夫だなと思っています。
濱部 高岡監督はずっとアナライジングスタッフの担当だったので色々都合とかも知ってくださっているので、また私たちがスカウティングに集中できるように気を配ってくれているのですごく助かっています 。
竹内 色んなところを気にかけてくれているのでそれは本当に助かっています。システム作り、組織作りがすごくうまいと思います。特にSCはそういう部分がなかったのでそこはしっくりきていますね 。もう一つにコミュニケーションが取りやすくなりました。高岡監督以外にも山田ヘッドコーチも意見を4年生に求めてくださったり、監督とLINEするなんて思いませんでしたから(笑)。そういうフラットに話せる部分はすごくいいのかなと思います。
――新体制になって今のチームの現状はどうですか
小田 3年だから言いずらい(笑)。4年生だったらズバッと言えるけど。
竹内 2年上下の風通しのよさはいいと思います。いかにコントロールできるかが。チームの話は難しいな(笑)。
濱部 アナライジングスタッフは毎年求められることが違うので、1年時より2年時、2年時よりも3年時と違うのでフットボールに対してどんどん貪欲になっていくので、そこがいいところだと思います。歴史も浅いし求められることも変わってくるので 、またカリキュラムがあるわけじゃないですし、正解がないので、自分の向上心がないと成長できないので、そういう意味ではことしのチームは向上心があって尊敬できる部分です。
竹内 スペシャリストにならないといけないですからね。SCは誰でもできるって言われるので、何とかしなくてはいけないです。ストレングス&コンディショニングはチームの勝ち負けに直結する部分があるので、ことしは価値あるユニットになりたいですね。フィジカルコーディネーターの方にアドバイスをもらいながら、ことしはイノベーションを掲げているので、常に変化し続けて、異色の存在になりたいですね。新しいことにどんどん取り組む、現状をどんどん変えていくことを意識したいです。
小田 新しい代になった時、どういう存在になりたいかを聞いたときに、「4年生がいないことを感じさせたくない」と言っていたのでそこは意識しています。4年生が優しいのでコミュニケーションが取りやすいところはありますが、でも同期に頼れない部分があると思います。学年の違いを感じさせない存在になりたいなと思います。選手の『?』にはちゃんと答えてあげたいです。また経験も必要になってくるとところがあるので、分からないことはどんどん聞いて、クリアになるまで聞いて自分の引き出しを増やしていくこと、これはトレーナーだからということではないですけど。あと、どのユニットでも信頼されることが大事だと思うので、だとしたら信頼されるユニットとは何なのかと考えたときに、もっとコミュニケーションを取ったり、いろんな人に目配り気配りしたりを同期、下級生に呼び掛けてます。本当にまだまだなんで、最上級生がいないことはラッキーだと思うので、感じることが違います。
鈴木紫 マネージャーは2年前くらいから組織化されて、毎年問題点が上がったら改善していく、どんどん成長していい組織になっています。自分の代で築いてきた水準を落としたくないので、下級生が頼もしいので、3年生には4年生だと思って仕事をしてもらっていますし、彼女たちもちゃんと自覚して仕事してくれているのですごい頼りになる存在です。恵まれているなと最近思います。
――QB坂梨陽木主将(政経4=東京・早大学院)の印象はどうですか
鈴木紫 人間的にちゃんとしている人だなと思います。
小田 自分は陽木さんの駄目な部分をもっと見たいです(笑)。何でもこなしてしまうイメージがあるので(笑)。みんなの前でのあいさつもうまいですし。
濱部 器用だよね。
竹内 今までの主将は不器用なタイプの人が多かったので(笑)。
濱部 それこそずっと3年間やってきた監督が代わったのは大きな出来事かもしれないですね。圧倒的な存在であったので、今度は自分がという風にある意味ラッキーかなと思います。
竹内 彼が言っていればそうだよねとなるので、みんなを引っ張れています。
「トレーナーが緊張していてはいけない」(小田)
3年生ながらATユニットをまとめる小田
――ここからは早慶戦についてもうかがっていきます。
竹内 あ、そうだ。忘れていた(笑)。
一同 (笑)。
――早慶戦に向けて何か取り組んでいることはありますか
鈴木紫 マネージャーは早慶戦の4ヵ月前から、12月下旬から動き始めて、唯一自分たちで1から作り始めるものなので、思い入れがすごく強いです。早慶で実行委員会がありますが、当日はライバルです。やっているときは、仲間として一緒に作りあげて支えあって、つらいこともありますし、忙しいなと思うこともありますけど、一番楽しいと思える瞬間でもあります。最後の春の早慶戦なので、そういった意味でも私にとって思い入れの強い試合になると思います。早慶戦に来るお客さんには楽しんでほしいし、来てもらうからには楽しませたいと思います。
竹内 2年間勝ってるので自分の代は勝ちたいですね。早慶戦はちょっと特殊なので。
濱部 早慶戦は本当に負けたくないです(笑)。でも負けたくないと口で言うのは簡単で、実際に自分の身体を使って、ビデオ見て、頭で考えて、手を動かしていないと自信を持って試合に臨めないので。いろいろなことがありみんな忙しいのですが、それでも早慶戦は懸けてるものが違うので、スカウティングを任されているポジションとして、私たちが仕事として気合を入れてやらなければいけないと思います。
――難しい質問かもしれませんが、スタッフにとって早慶戦とはどんなものですか
竹内 SCとしてはとにかく、甲子園で勝って東京ドームで勝つという長期的な視点で見てるので、今はシーズンスタートまでにいいコンディションにすることが一番大事なことです。ケガしないように一つ一つの試合というよりは、広く見て管理しなければなりませんし、短期的には良くても長期的にフィジカルアップしていなければ意味がないのです。スタッフとしては、学生でもあるのでSC以外の仕事もしますし、試合中の運営もやりますし、チームを回すということを考えてやっています。準備をしっかりやって、滞りなくできるようにやりたいですね。
小田 試合という意味では春一発目ですし、スタッフはよく言われるのですが、100点からどんどん減点方式と言われているので、全部できて当たり前で、引かれて評価されていくので、運営でもできて当たり前ですし、いつも通りやること、試合になっていつもと違うテーピングの巻き方するわけではないですし、トレーナーが緊張していてはいけないので。
濱部 ATはいつもどんな大きな試合でもそうですね 。
小田 甲子園とかでも選手が乱れることが目の前でありますが、そこでトレーナーも混乱してはいけないので。
竹内 淡々としているよね。
小田 まあ、ケガが出るものは出るので、出るのが当たり前ですし(笑)。
竹内 選手は相手がいるから難しいですが、僕たちはやることが決まっているので。
濱部 私たちは慶大がどういうチームなのか、相手の心理や、パーソナル、次出てくる選手、チーム状況、どういう戦いを経てワセダに臨むのか、ちょうどこの間QBコーチのフットボールセミナーで勉強してきたのですが、相手のディフェンスコーディネーターなど色んな所から考えてアジャストできるように手札増やしておくこと、練習でできなかったことを試合で求められることは難しいので、いかに練習を試合に近づけるか、頭を整理して冷静なオペレーションの準備をしっかりできればなと思います。
――最後に早慶戦の意気込みをバシッとお願いします!
小田 楽しむです!
竹内 誇りを持って勝つです!プライドですよ、ずっと勝ってて4年で負けたくないから 。
濱部 徹底的に準備します 。
鈴木紫 (観客の)皆さん楽しんでください!
――ありがとうございました!
(取材・編集 高橋弘樹)
早慶戦に向けて、見えないところで奮闘しています!
◆鈴木紫野(すずき・しの)(※写真左)
1996(平8)年1月12日生まれ。MGR。東京・早実高出身。文化構想学部4年。マネージャーをまとめるMGRリーダーの鈴木紫さん。早慶戦前は仕事量が激増するのですごく大変そうです!
◆濱部莉彩子(はまべ・りさこ)(※写真中央左)
1996(平8)年1月14日生まれ。AS。東京・東学大付高出身。政治経済学部4年。分析でチームに貢献するASユニットのリーダーを務める濱部さん。プレーについて選手と話す表情は真剣そのものでした!
◆竹内大輔(たけうち・だいすけ)(※写真中央右)
1995(平7)年10月16日生まれ。SC。東京・立川国際中等高出身。スポーツ科学部4年。SCリーダーの竹内さん!選手がつらい練習をしているところを見るのが好きなそうです(笑)!
◆小田彩子(おだ・さやこ)(※写真右)
1996(平8)年4月27日生まれ。AT。埼玉・早大本庄高出身。スポーツ科学部3年。選手ととても仲が良い小田さん。素敵な笑顔が印象的でした!