【連載】日大戦直前特集 『超越』 第1回 OL松原寛志主将

米式蹴球

 今シーズン、日本一を目標に掲げるBIG BEARS。決して楽ではない秋のリーグ戦を乗り越え、チームを引っ張ってきたOL松原寛志主将(法4=東京・早大学院)に、これまでのチーム状況とカレッジ日本代表での経験、今後の意気込みなどについて伺った。

※この取材は11月15日に行われたものです。

「勝つことに対して真正面から取り組めるようになった」

最前線で味方を守り続けてきた

――先日の法大戦、ゲームコンセプトが『BEST』で実際にベストを出し切れていたように見えたのですが、いかがですか

 試合の内容もそうなんですが、良い試合をするために良い練習、準備をして臨むということを掲げてきたので、それがああいう試合の結果につながったのだと思います。

――攻撃のパターンがかなり多様になったように見えたのですが

 相手が強くて一筋縄ではいかないので、いつも通りでなく、少し違うプレーも混ぜていこうという感じです。

――パスでのTDが多かった要因の一つにパスプロテクションの良さというのがあると思いますが、ご自身のプレーを振り返っていかがですか

 前節の慶大戦と比べれば、QBにプレッシャーをかけさせずにできたのかなとは思うんですが、純粋にラッシュしてくる人数が少なかったというのもあります。そういう意味ではまだまだ完璧ではなく、改善すべきところもいくつかあるので、しっかり潰していかないといけないです。

――続いてリーグ戦全体の質問に移りたいと思います。ここまでを振り返って、点数をつけるとしたら何点くらいになるでしょうか

 そうですね…。40点くらいです。純粋に慶大に負けてしまったというところと、それ以前もどこかで「勝てるだろう」みたいな気持ちがあったために日体大戦、中大戦も厳しい試合になってしまったのだと思うので。監督も法大戦の前に「秋シーズンになってからワセダがやりたいフットボールができていない」とおっしゃっていて、それが結果的にまだ試合でもできていないので、このくらいですね。

――リーグ戦を通してチームとして成長した部分はどこでしょうか

 春を振り返っても、ことしのチームは接戦に勝ったり負けたりということが多かったです。その繰り返しの中で、苦しい展開でもチーム全員で勝つことに対して真正面から取り組めるようになったというのが春と比較しての一番の成長だと思います。

――逆に課題を挙げるとしたらどんなところになりますか

 僕がオフェンスなのでその部分が目立ってしまうと思います。ただ、秋シーズンはディフェンスが相手を止めて試合を作ってくれるというのが多くて、チームとして助けられる部分が多かったのですが、ディフェンスが良かった反面、オフェンスが不甲斐なかったというのが反省点だと思います。

――秋シーズンの中で良い意味で印象に残っているような試合はありますか

 法政との試合です。今までの中では一番力を出し切れた試合だと思うので。

――逆に悪い意味で印象に残っている試合は

 いくつかあるんですが、やはり慶大戦です。試合を通じて相手に主導権を握られていて、そこをビッグプレーでワセダに持ってくるというのが全員できなかったので。

――慶大に敗れ、チームが苦しい状況の中、どうやって立て直していったのですか

 とにかく一つ負けたからといってシーズンが終わるわけではないです。そこで自分たちにできることは負けを引きずることでなく目の前の法政に勝つということで、先に行くにはそれしかないので、良い意味で切り替えて準備をしていきました。

――松原主将から見て、このシーズンで伸びたと感じる選手はいますか

 何人もいるのですが、僕が一番感じているのは1年生のOL香取大勇(スポ1=東京・佼成学園)という選手です。ポジションが隣というのもあり、普段からアドバイスしたりコミュニケーションを取ることが多いのですが、すごく吸収が良くて、試合でも良いパフォーマンスをしてチームを助けてくれるようになったと思います。ただ香取に限らず、ことしは1・2年生がプレーでチームをひっぱってくれることが結構あるので、本当に頼もしいですね。

――個人として今シーズンのプレーはいかがですか

 きょねんのほうがプレイヤーとしては良かったと思います。その原因というのはいまいち分からないのですが、きょねんは一人のプレイヤーとしてのびのびとやらせてもらっていたのに比べて、ことしはまだまだできていないなと感じています。

――続いてカレッジ日本代表のお話をお伺いしたいと思います。ご自身もメンバーとして選出されていましたが、その経験を振り返っていかがですか

 チーム内の話から言うと、日本のトップチームから選手が集まっていて、試合でなく練習から非常にレベルが高かったです。向こうで一緒に生活する中でも、お互いのトレーニングの話をしたりして、「同じ日本の同年代でこんなにも厳しい取り組みをしている人がいるのか」と刺激を受けることができました。

――きょねん一緒にプレーをされた早大の先輩方もいらっしゃったと思いますが

 プレーでというよりは、一緒に過ごしているときに周りの方々と打ち解けやすくしてくださったりして、一緒にいられたのが純粋に楽しかったですね。

――何か大変なことはありましたか

 食事ですね。僕はタイ米を筆頭に海外の食事がそれほど好きではないので…(笑)。食事面が一番つらかったかもしれないです。

――最後のテーマとして日大戦についてお伺いしたいと思います。ことしの日大の印象というのはいかがですか

 ことしの成績だけ見れば3勝3敗で苦しい状況になっているんですが、それが日大の実力かと言われると違うと思っています。ケガ人がいてただでさえ苦しい中で、どのチームも日大が強いからということで必死にやってくるというのがあると思うので、そういう意味では関東トップのアスリート集団ということには変わりないと思います。

――警戒するプレイヤーはいますか

 一番はブロンソン選手(3年)です。1年生の頃から試合に出ていて、身体能力の高い日大の選手の中でもトップだと思うので、警戒しなければいけないと思っています。

――最後に日大戦を含め、今後の意気込みをお願いします

 僕らが日本一になるためには、一つ前の試合結果どうこうもあるのですが、そこは自分たちが頑張ってどうにかできるところではないです。自分たちができることといえば、日大に必ず勝つということだけです。日大はきょねんうちに負けて、今回強い気持ちで臨んでくると思いますが、それをこちらが上回って、絶対に勝ちたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 井上陽介)

大舞台を知る主将がチームを日本一に導く

◆松原寛志(まつばら・ひろし)

1995年(平7)1月1日生まれ。180センチ、113キロ。東京・早大高等学院出身。法学部4年。OL。試合前のルーティンは「パインアメを食べること」で、昨年劇的な勝利を収めた日大戦前に先輩からもらったことがきっかけだそうです。負けられない日大戦、私たちも試合前に食べて臨みたいと思います!