これが王者の『BEST』!リーグ優勝に望みつなぐ

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 13 32
法大 TOMAHAWKS 14

 前節、慶大にまさかの敗北を喫したBIG BEARS。今回の法大戦は、力を100パーセント出す、自分たちの『BEST』を出し切るというテーマで臨んだ。ここで負ければ、2年連続甲子園ボウル出場の夢が途絶えてしまう重要な一戦。キックオフ直後にいきなりリターンTDを許すも、その後の守備で流れを作り、逆転に成功する。その後も試合終了までモメンタムを渡すことなくリードを広げ、32-14で快勝。リーグ優勝へ望みをつないだ。

 出だしは悪かった。ワセダのキックオフボールを法大のWR尾崎(4年)がキャッチ。そのまま走り切られ、難なくTDを許してしまう。直後の攻撃でもダウンを更新できず、相手に攻撃権を渡した。警戒していたパスを通され、連続失点かと思われた場面。ここで気を吐いたのはワセダの代名詞ともいえるディフェンス陣だった。相手の攻撃に素早く対応、FGミスを誘い、ここを無失点に抑えた。こうなると流れはワセダのもの。次のシリーズで、先発に抜てきされたQB笹木雄太(法4=東京・早大学院)がWR西川大地(商4=東京・早大学院)へのTDパスを決め、試合をふりだしに戻した。第2クオーター(Q)も法大の猛攻を自陣1ヤードの地点で防ぐと、ラン、パスを効果的に絡めた攻撃を展開し、最後は再び西川がTD。13-7で前半を折り返した。

ゴール寸前の大ピンチを何度も免れる

 迎えた後半1回目のシリーズ、WRブレナン翼(国教1=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)が41ヤードのロングパスをキャッチ。ビッグプレーで相手陣に攻め込み、このシリーズで再びリードを広げた。直後にTDを許したものの、勢いは衰えず。絶好調のパスにランを混ぜた多彩な攻撃を展開し、着実に得点を重ねる。一方の守備も抜かりなかった。DB安部修平(国教4=東京・早大学院)は「投げさせて捕ることを意識した」との宣言通り、ロングパスを見事にインターセプト。早いプレッシャーと確実なパスカバーで法大の強力なレシーバー陣を完全に抑え込んだ。試合終了間際にもRB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)のTDやFGで得点を追加、リーグ戦全勝の法大を寄せ付けず、32-14で勝利を飾った。

WR西川は2TDの大活躍を見せた

 試合後、選手たちは「準備してきたことが試合でできた」と口をそろえて話した。法大パスユニットへの完璧な対応、オフェンスの要所で見られたトリックプレーの精度の高さはそれを裏付ける。オフェンス、ディフェンス双方においてワセダの持ち味が存分に発揮される試合となった。だが、リーグ優勝への道は甘くない。最終節、全勝をキープする慶大の試合結果によっては、試合前にその道が閉ざされる可能性もある。それでも前を向くしかない。「自分たちは日大戦だけに集中して臨みたい。そして、最後までワセダらしいフットボールを皆さんに楽しんでもらいたい」(濱部昇監督、昭62教卒=東京・早大学院)。苦境を乗り越え、結果を出す力を開花させ始めたBIG BEARS。彼らの努力に勝利の女神はほほ笑むのか。

(記事 井上陽介、写真 大槻竜平、新津利征)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
法大 KOR #1尾崎 #37木村 0-7
早大 PASS #12笹木→#4西川 #20長谷川 7-7
早大 PASS #12笹木→#4西川 #20長谷川 NG 13-7
早大 PASS #12笹木→#36山崎 #12笹木→ NG 19-7
法大 PASS #4鈴木→#1尾崎 #37木村 19-14
早大 FG #20長谷川 22-14
早大 RUN #28須貝 #20長谷川 29-14
早大 FG #20長谷川 32-14
個人記録(※一部のみ掲載)
ラン 回数 ヤード TD 最長
#28 須貝和弘 17 93 18
#6  北條淳士 15 57 12
#1  坂梨陽木
レシーブ 回数 ヤード TD 最長
#4  西川大地 69 20
#21 ブレナン翼 51 41
#3 遠藤健史 40 22
#85 鈴木隆貴 38 21
#41 小原嶺 34 24
#81 松岡直希 17 17
パス 回数(試投) ヤード TD 最長
#12 笹木雄太 27(16) 224 41
#1  坂梨陽木 2(2) 34 17
キックオフリターン 回数 ヤード TD 最長
#21 ブレナン翼 41 21
インターセプト 回数 ヤード TD 最長
#3  安部修平 17 17
#24 久保颯
星取表(11月16日現在)
早大 日大 法大 慶大 明大 中大 日体大 立大
早大 11/27 32○14 14●21 52○7 13○12 24○24 38○0
日大 横浜 24●27 6●27 35○14 21●27 45○7 48○14
法大 14●32 27○24 11/27 21○7 41○7 20○14 59○21
慶大 21〇14 27〇6 横浜 21○17 30○21 41○3 42○20
明大 7●52 14●35 7●21 17●21 11/27 21○14 10●41
中大 12●13 27○21 7●41 21●30 横浜 3〇0 7●14
日体大 24●24 7●45 14●20 3●41 14●21 0●3 11/26
立大 0●38 14●48 21●59 20●42 41〇10 14〇7 アミノ
コメント

濱部昇(昭62教卒=東京・早大学院)

――本日のスローガン、『BEST』にはどのような意味が込められているのでしょうか

前節慶大に敗れましたが、内容はワセダらしくないもので、自分達がここまで取り組んで来た成果を発揮できませんでした。そこで、この試合は今まで取り組んで来た成果を全て発揮し、今シーズンで最高の試合をしよう。その為に最高の準備をして臨もう! とベストを掲げました。

――オフェンスでは、QBを一方に絞るのでなく、効果的に使い分けているように見えましたが

前節まで、QBの起用に関しては基本的に調子の良い方を使うという形で臨んで来ましたが、得意、不得意な部分もあるので、それぞれの長所を最大限引き出せるようQBの起用に関しても事前にゲームプランに盛り込んで準備して来ました。その結果、それぞれの持ち味を十分に発揮してくれたと思います。

――OLのブロックが機能しているように見えましたが、その要因は何でしょうか

特に変わったことはしていませんが、もう一度細かいステップやコンビネーション、プレイのタイミングなどを確認し、しっかり頭の整理をして臨みました。細かいところでのミスがありましたが、思いっきりよくプレイしてくれた事が良かったのではと感じています。

――相手の強力なレシーバー陣にはどのように対応をしていきましたか

この試合では要所でいつもより多くマンツーマンを使用したので、身長や能力でミスマッチが起こらないよう選手の起用にも配慮しました。QBに余裕を持って投げられると厳しい状況になるので、パスが予想される状況で守りに入らず積極的にプレッシャーをかけコントロールミスを誘いインターセプトを狙うよう対応しました。終盤のインターセプトはその点がうまく機能したのではないかと思います。

――次の試合に向けての意気込みをお願いします

日大戦の前に法大対慶大があるので、その結果うんぬんもあるのですが、自分たちとしては日大戦だけに集中し、次の試合も今シーズンで最高の試合ができるよう、最高の準備をして臨みたいと思います。そして、最後まで集中してワセダらしいフットボールを皆さんに楽しんでもらいたいと思います。最後まで応援よろしくお願いします。

QB笹木雄太(法4=東京・早大学院)

――試合を終えての率直な感想はいかがですか

とにかく勝ててうれしいです。チーム全体でもこの日のために入念な準備をしてきたので、それをそのままフィールドで出せた事が嬉しかったです。

――試合の狙いはどのようなものでしたか

スカウティングをしっかり行い、それに基づいて完璧なアタッキングポイントやタイミングのすり合わせをしてきました。なので練習でやってきた事をフィールドで出し、得点に繋げる事を意識していました。

――今シーズン初先発でしたが、どんな意気込みで臨みましたか

気負いするよりかは、監督がチーム全体にも声掛けしていた様に、まずは試合を楽しもうという心意気を持って挑みました。

――開始早々リターンTDから始まる展開でしたが、焦りはありませんでしたか

ここまで全勝で勝ち進んでいたチームであり、勢いがある事は分かっていました。なので、焦るのではなく、やるべき事をやれば勝てると自分に言い聞かせていました。

――西川選手へのTDパスが2本ありました。コミュニケーションがしっかりと取れていたのでしょうか

WRとは練習で何度もコースを確認し、絶対に決め切れる自信がありました。そういった意味で完璧なコミュニケーションが取れていたと思います。

――まだ優勝の可能性もある、残りの時間をどのように過ごされますか

他校がどうのこうのと考えるのではなく、自分たちがコントロール出来る部分を必死にやるだけだと考えています。これからは日大を倒すために出来る最大限の準備をします。

――次戦への意気込みをお願いします

昨年自分が先発した日大戦はオフェンスが機能せず、苦戦しました。今年こそオフェンスで勝ったと言える試合が出来るよう、全力で準備をし、今シーズンで最高の試合をしてみせます。

RB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合にはどのような意気込みで臨まれましたか

前回の敗戦を受けて、何が何でも勝ち切ってやろうという思いで臨みました。

――前回の敗戦を受けてチーム内で何か話し合ったことはありましたか

チーム、オフェンス、ディフェンス、キックそれぞれ一体感を持って法大、日大に勝っていこうという話し合いをしましたね。

――やはり4年生が中心となってまとまったのでしょうか

そうですね。もちろん中心は4年生になるのですが、4年生だけではなく自分たちが呼びかけて、下級生やコーチも巻き込んで全体で盛り上がろうという話し合いをしました。

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

とりあえずがむしゃらに突っ込むだけだったのですが、ハドルの中でもベンチでもコミュニケーション量がいままでで一番多かったし、みんな常に笑顔で戦えていたのでそれが結果につながったのかなと思います。

――きょうのRB全体の出来はいかがでしたか

僕も北條(淳士、社4=東京・佼成学園)も一発がなかったというのはまだまだなのですが、とりあえず前へ前へという強い姿勢は見せられたのかなと思います。

――最近の試合では須貝選手、北條選手の活躍が目立ちますが、他のRBのみなさんの調子はいかがですか

彼らも調子はすごく良くてうずうずしているのですが(笑)、とりあえずまずは4年生が出し切るまでは我慢してくれということで。後輩たちもすごく悔しいとは思いますが、そこはわかってくれて本当に感謝しないといけないなと思っています。

――きょうはワイルドキャットも見られましたが、この試合のために準備されていたのですか

そうですね。できることは何でもやろうという風に話し合っていて、その一つがワイルドキャットでした。それをたまたま僕が担当させていただくことになって、1プレー目は駄目でしたがその後巻き返したのでそれはそれで良かったのかなと思っています。

――ご自身の良かった点を具体的にあげるとしたらどこでしょうか

プレーとしてはそこまで良かった点はなかったと思いますが、気持ちの面で前へ前へという強い姿勢を見せられたことが唯一良かったのかなと思います。それが勝利にもつながったと思います。

――きょうの勝因はやはり一体感だったということでしょうか

そうですね。まとまりだったと思います。

――最後に次戦に向けての意気込みをお願いします

とりあえずもう勝つしかないので、この2週間で得た一体感というのをもっともっと強固なものにしていって、チーム全員で笑って甲子園に行きたいと思います。

LB栗田嵩大(教4=神奈川・鎌倉)

――きょうの試合を振り返って

結構ランも止まりましたしディフェンスはよかったと思います。オフェンスも想像以上に点を取ってくれてありがたかったですね。個人としてはFGでオフサイドしてしまってあの時はだいぶ焦りました(笑)。

――この試合に向けてディフェンスでなにか目標などは

慶大戦で負けてしまって7点以上つけて勝たないとダメだったので、7点以下に点数を抑えようと。ディフェンスでしっかり7失点以下というのを達成できたのでそれがよかったと思いますね。

――LB加藤樹選手(商4=東京・早大学院)が本調子でない中、栗田選手は試合に出られていますがチームの中でどういう働きをしたいと考えていますか

LBとしてうまい方ではないので、僕は他のLBがしっかりと頑張れるようにまとめたり、チームを盛り上げてと、とにかく僕ができることは死ぬ気で頑張ることくらいです。

――立ち上がりにリターンTDを決められてしまいましたが

スカウティングにはないことをやってきたのでモメンタムを持っていかれかけたのですが、その後はしっかりとディフェンスが頑張ってくれました。

――2Qには自陣1ヤード地点に迫られながらも失点を防ぎましたね

あれは本当にインサイドの下級生のLB中村匠(人2=大阪・豊中)が頑張ってくれて止めたという感じですね。DB洲戸(健吾、スポ4=東京・東農大一)もスペシャル止めてくれましたし。

――流れが悪い中、前半を7失点で切り抜けることができました

ディフェンスとしてはよく頑張ったと思います。全員が頑張った結果ですね。

――次の日大戦に向けて意気込みを

今シーズン、やっぱり関東で一番強いチームは日大だと思うのでそれに向けて今シーズンずっとやってきました。日大のパスオフェンスを止められるかどうかがカギになってくると思うので、これから2週間悔いのないように死ぬ気で取り組んでいきたいと思います。

DB安部修平(国教4=東京・早大学院)

――今日の試合を振り返っていただいて、いかがですか

要所要所での細かい部分に反省が残る試合でした。僕はキックにも関わっていますが、キックでも大きな反省があったなというところですね。

――パスが得意な相手ですが、試合前にチームで意識したことはどういうことですか

とりあえず1対1で負けないことと、パスを投げさせて捕るということは随時意識していました。それができて今日は良かったなと思います。

――いいかたちでの勝利だったと思いますが、課題を挙げるとしたらどこになりますか

DBとしては、相手にしっかり付き切れていないことです。キッキングの課題が多かったので、日大戦に向けて頑張って行きたいです。

――最後に、次の日大戦に向けて抱負をお願いします

甲子園ボウルに進むには勝つことしかないので、日大戦には絶対に勝つという気持ちで臨みたいです。主将や副将などは関係なしに、上級生、下級生も関係なしに、チーム全体で一丸となって頑張って行きたいです。