課題残るも、関東の強豪に勝利

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 22
法大 TOMAHAWKS 13

 夏のような暑さの下、関東の強豪・法大との対戦。立ち上がりはオフェンスに細かいミスが見られ、なかなか主導権を握ることができない。しかし後半に入ると攻守ともに歯車がかみ合い始める。WR西川大地(商4=東京・早大学院)へのロングパスでTDを奪うと、流れは完全にワセダのものに。第4クオーター(Q)にはRB北條淳士(社4=東京・佼成学園)がロングランでTDを決め、22-13で見事勝利を収めた。

 立ち上がりは法大ペースで試合が進んだ。ファーストシリーズの攻撃ではQB坂梨陽木(政経3=東京・早大学院)からWR鈴木隆貴副将(法4=東京・早大学院)へのパスなどで敵陣10ヤードまで攻め込むもののTDを奪えず、FGにとどまる。一方の法大は得意のピッチプレーを用いてTD。リードを許してしまう。続く第2Q。再び順調にゲインは重ねるが、相手ディフェンスに抑え込まれ、フィニッシュまで持ち込むことができない。FG止まりのもどかしい時間が続いた前半も、残り3分を切ったときだった。DB安部修平(国教4=東京・早大学院)、DB池上昌(国教3=米・Dublin High)のタックルで法大の攻撃をFG圏外で止めるなど、ディフェンスが機能し始める。ディフェンス陣の奮闘で獲得した攻撃権を生かし、なんとか良い流れを作って前半を終えたい早大。QB坂梨からWR遠藤健史(法2=東京・早大学院)、WR鈴木隆へのロングパスで立て続けにフレッシュを得る。エンドゾーンまであと19ヤード、選択したのは再びロングパスだった。しかしここで痛恨のインターセプトを喫する。前半終了のホイッスル。6-7で試合を折り返した。

WR鈴木隆がロングパスをキャッチし流れを作る

 後半開始。「相手のディフェンスの攻め方に顕著な傾向が出ていたので、それに対応してコールした」と濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)も述べたように、相手の動きを読み始めたBIG BEARSの反撃が始まる。このシリーズで活躍を見せたのはWR西川だ。47ヤードのロングパスキャッチを成功させ、一気に敵陣34ヤードまで攻め入る。エンドゾーンまで残り12ヤードでQBの手から放たれた、山なりのボールをエンドラインぎりぎりでスーパーキャッチ。この試合初めてのTDを奪取する。2ポイントコンバージョンは失敗したものの、スコアは12-7に。法大が立て続けに反則を犯すなど、このプレーを契機にワセダに追い風が吹き始める。試合は最終Qに突入。RB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)のランでボールをFG圏内に進めると、ゴールを確実に決め3点を追加。その後一瞬の隙を突かれ、相手RBのロングランからTDを奪われたものの、DL斉川尚之(スポ2=東京・獨協)のタックルで2ポイントコンバージョンは阻止。失点を最小に収める。15-13と迫られるが、勝利を決定的にしたのは次のプレーだった。やられたらやり返す、とでもいうように自陣21ヤードでボールを持ったRB北條がフィールドを疾走、エンドゾーンまで駆け抜ける。トライフォーポイントもしっかり決め、7点を獲得した。残り少ない試合時間に法大は焦りを見せるが、早大ディフェンス陣は基礎を徹底し、時間を使わせながら落ち着いて対応する。最後はDB安部のインターセプトで攻撃権を得ると、時間をたっぷり使って試合終了。最終スコア22-13で勝利を収めた。

RB北條は80ヤードを走り切りTD

 「勝てたことは本当に良かったが、その過程にまだまだ反省点が残る試合だった」(須貝)、「課題が多かった試合だった」(鈴木隆)と選手たちが口々に述べたように、勝利こそしたものの改善すべき点が多く残る試合だったようだ。しかし、下級生の活躍が随所で見られるなど収穫も確かにある。この試合で見つかった課題も、得た収穫も、言い換えれば早大の伸び代だ。強豪・法大に勝利した自信を胸に、BIG BEARSはますます強くなる。

(記事 太田萌枝、写真 辻本紗支子)

コメント

濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

若手の活躍など良い部分はあったのですが、オフェンスが攻めきれなかったり、インターセプトされたりと締まらなかった部分もありました。

――オフェンスは後半に調子が上がってきたように感じました

前半も最初のシリーズでドライブできていましたし、悪くはなかったのですが、細かいミスでシリーズが途絶えてしまうところはありました。後半は相手のディフェンスの攻め方に顕著な傾向が出ていたので、それに対応してコールをしたことと、ランプレーでロングゲインが出たこととで助かったのだと思います。ただ、反則をするとシリーズが途絶えてしまうし、どんなにドライブしてもインターセプトされたらスコアできないので、そういった意味でQBの課題は残ったと思います。

――きょうはQBとして坂梨陽木(政経3=東京・早大学院)選手が試合を通して出ていました

笹木(雄太、法4=東京・早大学院)がケガをしているので、最初は坂梨で二番手が柴崎(哲平、政経1=東京・早大学院)でいくつもりでした。育てる意味で柴崎を使うこともあると思うので、坂梨には緊張感を持ってやるよう言って送り出したのですが、ところどころ集中力を欠いていたというか、雑なプレーがありました。トップエイトの中堅や上位を争うならこのレベルでも良いのですが、日本一を争うチームのQBとしてはプレーにむらがあります。

――QB全体が課題なのでしょうか

QBは先シーズンからも課題で、QBがやるべきことをきちっとやってくれれば、うちのオフェンスはコンスタントに進めると思います。きょねんは政本(悠紀、平28創理卒=東京都市大付)が最後に覚醒してくれたので良かったのですが、一方で笹木と坂梨はそうならなかったので。笹木も坂梨も高校時代のキャリアや持っている能力から言えば、もっとやってほしい、やらなければならないと思うのですが、そこができていないのが僕としては歯がゆいですね。

――立命大戦から少し時間が空きました。その間はどういったところに重点を置いて練習していたのでしょうか

慶大戦で出た立ち上がりの悪さをどうにかしようと取り組んでいたのですが、立命大戦でもそこが駄目だったので、練習の入りやファーストステップを改善しようと心がけてきました。また、きょねん日本一に手がかかりかけて、今年も良いところにいるというので、練習でも試合でも形にこだわる点があったので、もう少しがむしゃらに、ひたむきにレベルアップを目指そうということをこの試合に向けては言ってきました。

――最後に次の試合に向けての意気込みをお願いします

学芸大と関大とのオープン戦が残っていて、ユニバーシアードで何人か抜けるので戦力的には厳しい部分があるのですが、若手にとってはチャンスだと思います。また、こちらの選手が抜けたからといって相手が遠慮してくれるわけではないですし、そういう状況でも自分たちのフットボールができるようでないと日本一にはなれません。質を落とさないで自分たちのフットボールができるように、また練習で課題をつぶして臨みたいです。

OL松原寛志主将(法4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って、チームとしてはいかがでしたか

これはチーム全体にも言ったのですが、きょう負けると「関東と関西の強豪に負けた」という印象を持ってしまうと思っていたので、きょうは勝てて率直に良かったです。

――個人としてはいかがでしたか

法大は走り込みなどでかなり仕上げてくる、いわゆる走れるチームで、そこ対しても走り負けなかったというイメージがあるので良かったと思います。

――相手の得意な攻撃パターンを後半はうまく防いでいるように見えました

前半最初に一対一でやられていたところもあったのですが、後半なんとかしたいということを監督に提案させていただいて、それが結構機能していたのだと思います。

――前の試合に比べてオフェンスが良かったように思いましたが

法大は強いのですが、きょねんの法大戦でもワセダは攻めることができていましたし、日本一を目指す上できょうのようなプレーが立命大戦でできるかということを考えると、まだ反省する部分もあると思います。

――立命大戦から少し時間が空きました。その間はどういったところに重点を置いて練習していたのでしょうか

立命館と比べると、ワセダの選手は1プレーに込める気持ちだったり泥臭さが足りないということを監督にも言われて、自分もそういうチームでは絶対に勝てないと思ったので、しつこさや泥臭さという部分をこの二週間チームで言い続けてきました。

――きょうはそれが成果として出てきたということでしょうか

そうですね。終盤まで足も動いていて良かったと思います。

――次の試合ではチームにどんなプレーを期待しますか

学芸大戦は下級生主体、関大戦は上級生主体のチームになるとは思うのですが、どちらも下級生にはしっかりアピールをする場としてぜひ生かしてもらいたいです。

RB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っての感想をお願いします

まず結果として法大に勝てたことは本当によかったと思います。ただその過程にまだまだ反省点が残る試合だったのかなと思っています。

――レシーバー3人をブロックに使ってのロングゲインが何度か見られましたが、狙いはありましたか

レシーバーの使い方としては間違いではなかったのかなと思いますが、それを使って最後の一発TDに持っていくのがランニングバックの仕事だと思っているので、持っていきたかったなという悔しい思いが大きいです。

――そのプレーは法大には効果的だったと思いますか

そうですね。そのプレーが出たのも一列目のラインズだったり、レシーバーがしつこく、激しくブロックしてくれた結果だと思うので効果的だったと思います。

――立命大戦から改善した点はありましたか

1プレー1プレーしつこく、激しくというのを意識していました。

――最後のランプレー、50ヤード地点で止まったのには何か意図がありましたか

試合残り数十秒で、ファーストダウンフレッシュすれば時間流して試合終了だったので、無駄にロングゲインしてボールをはじかれてというよりは(いい)と思い、ある程度ゲインしたところでニーダウンしました。

――きょうの試合で新しく見つかった課題があれば教えてください

まだまだ1プレー1プレーに激しくいけるというのが一つと、あとは最後の一発TDに持っていくというところです。今回オフェンスのドライブが結構出たと思いますが、TDという形で終われなかったシーズンが非常に多かったのでTDスコアっていうところが今後の課題になってくると思います。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

相手がどこであろうと自分たちのやることは変わらなくて、何度も繰り返しになりますが、1プレー1プレー激しくしつこく最後まで、ということを1人1人がやり抜きたいと思います。

WR鈴木隆貴副将(法4=東京・早大学院)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

勝てて良かったのですが、課題も多かった試合でした。

――きょうのオフェンスについてはいかがですか

前半ドライブできたシーズンもあってそういう意味で良かったことはあったのですが、最後詰めきれない、TDを取れなかった部分が多かったのでそこは課題だと思っています。

――立命戦から変えたところは

特に変えたところはなくて、普段の練習から細かいところにこだわろうと敗戦から振り返りました。それがいい形で出た部分もありましたし、まだまだだった部分もあったので、そういうところを含めて次に繋げられれば良いかなと思います。

――レシーバーのブロックについては

今日はやっぱりダウンフィールドでのブロックだったり最後にひと詰めできるところがあったと思うので、そこをもっともっと良くして、ランプレーを全員で出すということにこだわりたいと思います。

――次の試合、どのようなものにしてほしいですか

下級生メンバーが出場したときにうちのオフェンスは変わらないと思うので、そこの部分でみんながみんな1本目で、試合に出た人間が自分のやることをやってスコアに繋げていく、ドライブができるというチームを目指しています。そこを期待しています。

LB田口凌(社3=東京・早大学院)

――きょうのディフェンスの出来はいかがでしたか

出来自体は悪くて、正直オフェンスに助けられたところが大きかったので、そこはオフェンスに感謝しています。

――相手のオプションプレーへの反応はいかがでしたか

最初それにフォーカスして対策をしていて、いい感じで止められていたのにまたそれを出されはじめて、いままでやってきたことを出しきれなかったのが悔しいです。

――LBの中でも二つの違うポジションをやられていましたが、どういう意図がありましたか

けがで人数がいない分、下級生をしっかり出すというのが今回の試合のテーマで、僕が柔軟に対応しました。

――下級生ではLB関本岳(社2=東京・早大学院)が出場しましたが、一緒にプレーしてみていかがでしたか

関本の出来はわからないですけど、全体として、出されているランプレーへの修正が出来ていませんでした。関本なりに考えてプレーはしていたみたいで、自分もやりやすいところはありましたが、キーになるランプレーが出され続けていたのでときどき交代していました。関本の出来が悪かったというわけではないです。

――DLもよく交代していましたが

まだ春なのでしっかり今のうちに経験を積ませるという意味で、メンツを回していました。

――次の学芸大戦も下級生が中心になると思いますが、意気込みをお願いします

きょうもそうでしたが、ディフェンスを引っ張るというのが自分のテーマで、ディフェンスリーダーがいなかった分しっかりまとめるという部分で、次の試合もディフェンスの士気を上げるというのをやっていきたいです。ボトムアップが強さの秘訣になると思うので、学芸大戦も関大戦もチーム全員で一丸となってやっていきたいです。