TEAM | 1Q | 2Q | 3Q | 4Q | TOTAL |
早大 BIG BEARS | 0 | 3 | 6 | 0 | 9 |
立命大 PANTHERS | 7 | 0 | 7 | 3 | 17 |
昨年の雪辱は果たせなかった。パナソニック杯毎日甲子園ボウル(甲子園ボウル)で1点差で敗れた相手は依然としてBIG BEARSの前に立ちはだかる。立命大は特別なことはしてこなかったが、個々の能力の高い選手たちに押し込まれた。RB西村七斗(立命大)のランやWR陣も昨年からスターターの選手が多くいる。ディフェンスにもアスリートが多くそろっていた。一方、早大も徹底的に基礎で攻めた。特に主力が多く抜けた守備は運動量と気迫で経験の少なさをカバーし、前半を1TDで抑えた。しかし、オフェンスが攻めあぐねる。決め手に欠けるまま時間は過ぎ9-17で試合終了。春季シーズン2戦目で悔しい敗北を喫した。
早大のリターンで試合開始。WRブレナン翼(国教1=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)が好リターンを見せ、1年生の活躍にチームが勢いづくと第1シリーズにいきなりパントスペシャルで相手の意表を突いた。しかし、立命大のさすがの反応でフレッシュ獲得はならず。自陣36ヤードでボールを渡しピンチを招く。ディフェンスは得意の2DLで応戦するが、RB西村七斗(立命大)のロングゲインからTDを許すと、続く早大の攻撃もQBサックを受けてしまう。モメンタムを奪われかけた。しかし、そこで絶対に諦めないのがBIG BEARSだ。DB松本誠也(商4=兵庫・六甲)のファンブルリカバーで好ポジションからの攻撃権を得ると、QB笹木雄太(法4=東京・早大学院)がスクランブルでゴール前までボールを進める。惜しくもFGに終わったが得点を3-7とし差を縮めた。その後、DB安部修平(国教4=東京・早大学院)の圧巻のパントで陣地を確保し続け、追加点を許すことなく前半を折り返した。
DB安部はパントで貢献
後半で追い上げたい早大であったが最初に仕掛けたのは立命大。ゴール前で痛恨のインターセプトリターンTDを許し3-14と引き離されてしまう。しかし、早大もやられてばかりではない。笹木のスクランブルで敵陣に侵攻すると、RB須貝和弘(創理4=東京・早大学院)のランやTE田島広大(法3=東京・早大学院)へのパスなどで次々とフレッシュを獲得する。ゴールまで残り3ヤード。相手ディフェンスのマークが厳しくなるのを逆手にとり、中央に寄ってセットしていたWRが外に走りディフェンスを引き付け、空いたスペースにRB山崎龍哉(文構3=東京・佼成学園)が走り込む。狙い通りに山崎へのパスがヒットし待望のTDを挙げた。2ポイントコンバージョンは失敗に終わったが9-14と逆転を射程圏内に収める。4Qに入り勢いに乗りたい早大だったが、立命大にFGを決められ9-17。1TDでは逆転できない点差にされ、勝つには少なくとも2シリーズの攻撃が必要になった。その焦りからかスタートの反則やQBサックで貴重な攻撃シリーズを失ってしまう。そして、最後の攻撃で早大はパスで猛攻をかけるが一歩及ばず。相手ディフェンスに阻まれ9-17で敗北した。
QB笹木のスクランブルも効果的だった
春ということもあり両校基礎を固めてのぶつかり合いとなった。つまり、純粋な個々の実力が勝敗を分けたのだ。特に課題となるのはオフェンスだろう。1TDに加え1TDを奪われた結果に、オフェンスリーダーのWR鈴木隆貴副将(法4=東京・早大学院)は「まだまだ力不足だった」と話す。次の相手は強敵・法大。チームの基礎を作るこの期間でどれだけ強固な基盤を作れるかが勝負だ。BIG BEARSは日本一への道を少しずつだが、確実に進んでいく。
(記事 高橋団、写真 新津利征、井上陽介)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません
コメント
濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
今までやってきたフットボールが立命大に通用しなかったということがちょっとショックですね。
――この試合にはどういったことを意識して臨まれたのでしょうか
相手には良い選手が大勢いるので厳しい試合になるとは思ってはいたのですが、それでもランプレーやパスを出したりタックルに行くというのをテーマにしていました。ディフェンスは頑張ってくれたと思うのですが、パスやランがなかなか決まらないところがあったので、やはりショックです。
――攻撃面の課題を感じるような部分があったのでしょうか
きょうもフリーなレシーバーは作れていたのですが、そこにパスがいかなかったりと、QBの出来しだいというところがありました。他にもプロテクションが持たない、取れるパスをレシーバーが落としてしまうとか当たり前のことが出来ないとやはり試合にならないということですね。
――守備面についてはいかがでしたか
もう少しフィジカルなフットボールが出来ないと厳しいと思います。象徴的なのが(立命大RBの)西村君が手で押しただけでタックラーがのけぞってミスタックルになってしまうとかの場面で。あとパスディフェンスがもう少し駆け引き出来るようになるといいですね。
――1年生の選手を使っている場面もありました
1年生だからというわけではなくて、純粋に試合に出せるレベルだから試合に使っていました。それだけ台所事情が厳しいということなのかもしれないですが、期待しています。
――最後に今後に向けての意気込みをお願いします
これは選手にも言ったのですが、立命大は昨年うちに完封負けをしてからチームとしてすごく成長して学生日本一になったので、ワセダも残りの試合でしっかり成長していって春を乗り切りたいです。
OL松原寛志主将(法4=東京・早大学院)
――試合を振り返っていかがですか
去年1点差で負けて、今回は絶対に勝つという気持ちでやってきたのですが、こういう風に8点差で負けてしまったのでまだまだ自分たちは甘いなというのを痛感しています。
――後半は何度かQBサックをされる場面もありましたが、相手が何かを変えてきたのでしょうか
去年や一昨年とされたことは同じだったのですが、OLのレベルが去年や一昨年よりも落ちていてやられてしまったという感じなので、相手が特別なことをしてきたわけというではないです。
――きょうの収穫はどういったところでしょうか
収穫になるかは自分たち次第なのですが、ここで勝って秋に負けるよりは、一回負けて全員が気持ちを絞めなおして秋に勝てるという結果になるように、春の負けが収穫だったと言えるようにしたいです。
――課題はどういったところでしょうか
僕もオフェンスの人間なのですが、オフェンスが本当にドライブできなくて。早慶戦からディフェンスに負担をかけてしまっているので、ここを改善していかなければと思っています。
――最後に今後に向けての意気込みをお願いします
ここからチームが劇的に変わったというのを見せられるのが法大戦だと思うので、とにかく勝てるようにまたチーム全体で練習していきたいと思います。
WR鈴木隆貴副将(法4=東京・早大学院)
――きょうの相手のCBのつき方はマンツー気味に見えましたが、なんでしたか
あれは結構複雑で、ゾーンとマンツーをうまく組み合わせてます。
――こちらの体系に合わせて変えてくるのですか
基本的に相手のやりたいようにやって来てると思います。これがベースのカバーだというのはスカウティングの段階で分かっていましたが、あんまり勝負できませんでした。
――ロングパスが通りませんでしたが、その複雑なディフェンスが原因でしたか
というより、完全に自分たちのやりたいことができなかっただけです。力不足だったので、そういう部分でまだまだ力不足だったなと痛感してます。
――オフェンスは1TDしか取ることができませんでしたが、反省はありますか
1TDしか取れなかっただけでなく、1TD取られたっていうのが、ディフェンスがすごく頑張ってくれていたんですがオフェンスが足を引っ張りました。これが僕たちの現状なのかなと感じています。
――WRは全学年出場していましたが、メンバーは固定されてきていますか
色々試してはいるところです、けが人も多くて試したい選手もまだ試せていない状況なので、しっかり秋に向けてメンツは固定していきたいとは思っています。まだまだ層は薄いかなと思っています。
――ブレナン翼選手(国教1=米国・ユニバーシティラボラトリースクール)は1年生ながら出場していましたが、どのような期待をしますか
彼が入ったことで、競争意識であったり化学反応の僕らがもっと切磋琢磨できたらいいかなと思っています。そういう点で、僕らもうかうかしていられないですし、もっと高いところを目指していかないと感じています。
――春のオフェンスの目標はなんですか
きょうの試合を受け止めてこれからもっとひとつずつ積み上げて行くしかないと思っています。まずは法大戦までの2週間で今回の課題を全部乗り越えてしっかり勝ち切れるオフェンスを作りたいと思います。
――個人の目標はありますか
きょうも最後の最後で取れなかったので、そこも踏まえて僕自身がもっと引っ張っていかなければならないので、プレーも普段の生活もみんながついてきてくれるように頑張りたいと思います。
DB安部修平(国教4=東京・早大学院)
――ショートパスは通されていましたが、ロングパスは防げていた印象でしたが
それに関しては立命大ロングパスを投げてこなかったというだけで、パスディフェンスは少し見てしまったところが今回の課題かな、という印象です。
――ディフェンスの反応はよかったと思いますが、それでもパスを通されたのは相手のWRの技術の高さからですか
それももちろんあるとは思いますが、ただただ自分達が弱かったというだけです。
――きょうのパスカバーのコンセプトは何でしたか
コンセプトは、ロングパスは絶対に通さないということとショートヤーデージだったら前の人間に信頼をおいて後ろの人間はしっかり後ろを守る、ということです。
――相手の昨年から出場している強力なWR陣にはどのような対策をしていましたか
毎日やってきているファンダメンタルだったり練習でやっていること、東伏見でやってることをこの試合で出すということが、立命大戦に対しての一番大きな対策です。基本のことを忠実にやるということです。
――逆のCBでは未経験ながら小野寺郁朗選手(社2=東京・早大学院)が出場していましたが
小野寺は2学年下で体も小さくて未経験でパッと見あんなやつが、という感じのやつですが、実はDBの中での信頼度は小野寺が一番です。反対側にいてくれるだけで安心して任せられます。
――その信頼はどこからくるのですか
日頃の練習でのパフォーマンス、人間性も含めてです。
――最初のパントでスペシャルプレーをやっていましたが、あれの狙いは何でしたか
特にはないんですけど、とりあえず1回ビックリやってみようかなという感じです。
――その後のパントでは連続で飛距離のあるいいパントを蹴っていましたが、振り返っていかがでしたか
きょうのパントに関しては、前の人間がしっかりプロテクションしてくれてゆっくり蹴れたってだけなので、自分は何もしてないです。周りの人がしっかりやってくれました。
――春の試合に向けて意気込みをお願いします
春の試合に関しては、立命大には負けましたがこれからの試合は全部絶対に勝つこと、なおかつ、ディフェンスが勝ったと言える試合にすることです。ことしはパンターもやらせてもらってるので絶対に相手にリターンTDをさせないし、相手にはパントを取るのも嫌だと思わせるパントを蹴り込む気持ちでやっていきます。