いよいよこの季節がやってきた。第64回早慶定期戦がことしも駒沢陸上競技場で行われる。甲子園ボウルの衝撃から代が替わり、およそ4か月。黙々とトレーニングを積んできた新生BIG BEARSが、ついに早慶戦でその姿を披露する。ここ3年の成績は2勝1敗、昨季関東王者に輝いたワセダが一歩優勢といったところだが、今回は例外も起こりうる意地と意地のぶつかり合いであり、決して油断はできない。
ケイオーを今年率いるは、大学アメフト界でも指折りのスターRB李卓。きょねん秋の関東大学リーグでも、圧倒的な突破力でワセダを苦しめた彼を中心に攻撃を展開してくることが予想される。さらにワセダを研究しつくしたディフェンスにも要注意だ。複雑だが戦略に裏打ちされた守備体系で相手を混乱させ、抑え込む。事実、ここ数年ワセダのオフェンスは、慶大に対してランプレーが出づらいという状況に陥っている。
LB加藤樹のケイオーRB李卓との対決にも注目
しかし、一方のワセダも戦力は十分だ。昨季、堅固な守備の中心だった4年生が卒業しはしたものの、大学日本代表に選出されたLBの加藤樹副将(商4=東京・早大学院)をはじめ、大学までアメフト未経験ながら高い運動能力で今や欠かせない存在となったDB洲戸健吾(スポ4=東京・農大一)など、ケイオーの猛攻に対応するだけの経験を持つ選手がそろっている。オフェンスでは、OL松原寛志(法4=東京・早大学院)、樋口央次朗副将(創理4=東京・早大学院)、島崎貴弘(スポ4=神奈川・横浜立野)らOLユニットや、北條淳士(社4=東京・佼成学園)、須貝和弘(創理4=東京・早大学院)らRBユニットに経験豊かな選手を擁しており、攻撃力の高さがことしの強みになってくる。特にQBはパスを得意とする笹木雄太(法4=東京・早大学院)と自らボールを運ぶ力のある坂梨陽木(政経3=東京・早大学院)というタイプの異なる二枚看板がおり、この二人の活躍がチームの勝敗を大きく分けてくるだろう。
OL松原は主将として仲間を鼓舞していく
4年生にとっては最後の春の早慶戦であり、両チームとも最上級生を勝たせて新チームの初陣を飾りたいという思いは強い。さらに春の早慶戦は新シーズンの行方を占う一戦としても位置づけられる。昨年の高い基準を超え、日本一をつかみ取るためにも、ここで負けるわけにはいかない。プライドをかけた伝統の一戦がいま、キックオフを迎えようとしている。
(記事 井上陽介、写真 近藤廉一郎氏)
※掲載が遅くなり、申し訳ありません