ビッグプレーの連発で関西の雄を一蹴

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 10 24
立命大 PANTHERS

 慶大、中大に連勝し幸先のよいスタートを切った早大。3戦目は敵地に乗り込み、立命大と対戦した。強豪の集う関西で名の知れた相手に、序盤からロングパスを決めるなどオフェンス陣が躍動。自らのミスでピンチを招いた後半にはディフェンスが場面で粘りを見せ、結果的に立命大を零封。24―0で完勝し、自信を深める関西遠征となった。

 早大はキックオフリターン、パス攻撃で最初のドライブを優位に進めるも、QB政本悠紀(創理4=東京都市大付)が負傷で一時交代したこともあり得点には至らなかった。だがディフェンス陣が相手の第1シリーズを難なく抑え込んだところから快進撃が始まる。その口火を切ったのはフィールドに復帰したQB政本の一投だった。WR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)のコース取りを辛抱強く待ち続けると、50ヤードを超えるロングパス。WR鈴木隆もそれに応え、大幅なゲインに成功した。このチャンスをRB北條淳士(社3=東京・佼成学園)がしっかりとモノにする。「ずっと練習していた」(政本)というプレーで立命館大を相手に鮮やかな先制を決めた。この一連のプレーでモメンタムをつかんだ早大。好プレーの連鎖は止まらない。続く立命館大の攻撃ではDB寺中健悟副将(教4=東京・早大学院)がインターセプト。そしてQB政本からWR鈴木隆へのロングパスがまたしても生まれた。最初のプレーを再現するかのような50ヤードを超えるロングパス。あとが続かなかったもののDB/K藤原健太郎(政経4=東京・早大学院)がFGを決め、リードを10点に広げた。パスオフェンスが好調ならランオフェンスも負けてはいない。RB北條が前半終了間際に30ヤード以上を走りきるTDを決め、17-0と上々の形で前半は終わった。

ビッグゲインでチームに勢いをつけたWR鈴木隆

 後半最初の立命大のシリーズ。ディフェンス陣が安定したプレー運びで相手の攻撃を寸断。一方オフェンス陣もRB北條が大幅ゲインを見せた。しかし勝負どころでRB北條が痛恨のファンブル。相手にリカバーされしまい一転ピンチとなる。だがこの試合のディフェンスは揺るがなかった。TD寸前まで迫られても、粘りを見せてゴールラインを割らせない。すると再びモメンタムは早大へ。確実にヤードを獲得し、後半RB北條に負けじとゲインを重ねていたRB藤井光成(政経4=東京・早大学院)がとどめのTDを決めた。昨季、そして今季の2戦でも課題となっていた、第4クオーター(Q)においての集中力という点でも改善を見せた早大は最終的に24―0で勝利。真価が問われる関西での試合を見事完封勝利で飾り、DL村橋洋祐主将(スポ4=大阪・豊中)も「完封して勝てたのは素直に嬉しい」と手ごたえを口にした。

第4Qに勝利を決定づけるTDを奪ったRB藤井

 好プレイの連発、関西の強豪・立命大を零封しての勝利はチーム力の高まりを印象づけるものとなった。第4Qにおいてのパフォーマンスの向上もそのことを如実に裏付けている。ここまでの歩みは順調といえるだろう。だが「1対1で課題が残った」(LB加藤樹、商3=東京・早大学院)と言うように、一つ一つの局面を切り取れば課題があることもまた事実。そこの部分での向上は、全体のさらなる向上をも意味する。濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)が「過信はしないように」と語るなど、チームに油断はない。春にはまだ、今季立命大を破った関大との対戦も控える。強豪との対戦を通じていまよりも、もう一段階も二段階も進化を遂げることに期待したい。

(記事 鈴木泰介、写真 近藤廉一郎、寒竹咲月)

得点経過
TEAM PLAY PLAYER(S) PAT PLAYER G/NG スコア
早大 RUN #6北條 #31藤原 7-0
早大 FG #31藤原 10-0
早大 RUN #6北條 #31藤原 17-0
早大 RUN #34藤井 #31藤原 24-0
コメント

濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)

――2年連続で立命館大に勝利となりましたが試合全体としては

全体としては良い面が非常に多くあったと思うんですけど、逆にミスも多く出たのでやはりまだまだ課題はあるのかなと思います。

――この試合のゲームプランは

この遠征は今回初めて日帰りという日程で組んで、例年だと前泊をして試合に臨むのですが、あえて朝早くに移動をして、その中でどれだけ集中をして試合をできるかというのがこの試合の課題だったんですけど、試合を通していいプレーを見受けられましたが、集中力を欠いた雑なプレーがあったので、そこがまだまだ精神的な面での弱さかなと感じますし、チームの課題が見えてきたというところです。この試合に向けては、慶大も中大も試合前に主力選手が欠けていたので、そういう意味では本当のこの冬から取り組んできたフィジカルトレーニングの成果や、ファンダメンタルの成果というのが、フィジカル、ファンダメンタル共に強い立命大に通用するのかというのを一番のテーマにして臨んで、細かいプレーの出し入れということではなくて、1対1にこだわったオフェンス、ディフェンス、キッキングができたらというところでしたが、WRと相手のDBのように勝負できていたところは良かったと思うんですけれども、DL、OLの勝負とかはではまだまだかなというところでした。そういうフィジカルの面の課題もまた明確になったので、目標を達成するためには、一生懸命取り組んでいかなければいけないなと思います。

――立命大相手に完封勝利を収めたことはチームにとっても大きいことではないでしょうか

チームにとって大きいことですね。ただ、相手のエンドゾーン手前でのミスもあったので、これはこれで選手は一つの成果として自信をもっていいと思うんですけど過信はしないように、もっとレベルアップを目指してやっていかなければならないと思いますね。

――この試合での一番の収穫は

ことしのチームづくりの根幹としていたフィジカルアップということの成果は少しずつ見えてきたということですかね。立命大のレベルの選手でも通用する部分があったのは大きな収穫かなと思います。ただ、チーム全体を見るとまだ負けている部分もあるし、まだ春なのでもっとこのチームも伸ばせるし他のチームも伸びてくると思うので、ひたむき差を忘れないようにしていかなければいけないと思います。

――残り春シーズンは2試合となりましたが

次は学芸大で選手層の底上げを図るための試合なので、結果も大事なんですけど、普段試合に出られない選手たちに試合の経験を積ませてあげたいなと思っています。最後の関大は立命大にも先日大勝していますし、非常に仕上がりもいいチームですがその前の試合で法大に大敗をしているので、関大に苦戦するようでは関東でも勝ち上がれないので、関大戦に向けてもしっかりとした準備をして春シーズンを勝って終われるようにしたいです。

DL村橋洋祐主将(スポ4=大阪・豊中)

――まずは立命大に勝利できたことについて率直な気持ちは

うれしいですね。本当に。立命大は伝統があって強いチームなので、完封して勝てたのは素直にうれしいです。

――日帰りという過密のスケジュールでの試合でしたが

朝早く集合して、ビジターのグラウンドでやるというのは過酷で、自分たちである程度厳しい状況に追い込んでどれだけのパフォーマンスを発揮できるかということでしたが、秋にも同じ状況もあるかもしれませんし、甲子園ボウルを見据えた試合だったんですけど、その中でも結果を出せたのでその点は良かったです。

――完封勝利をしたというのが今季初で、立命大を無失点に抑えたというのはチームにとってプラスではないでしょうか

前2試合も完封できそうでできなかったので、本当に完封しようとディフェンスで言っていてきょうも勝負どころで攻め込まれるときもありましたけど、4ダウンで止められたりできたので、前回よりも良くなっているのかなと思います。

――第3クオーター(Q)でミスが多くなっていた印象ですが

自分たちで少しミスをしてしまって、その点は気の緩みであったり、相手も力のあるチームなのでずっと抑え込むことはできないんですけど、勝負どころでどれだけ抑え込むことができるかという集中力大事なのかなと思います.第3Q攻め込まれる場面もありましたが結果的に得点は与えてないのでそれは良かったと思います。

――村橋主将自身のプレーはいかがでしたか

自分はこの試合ちょっと、前半は特に相手のOLにうまいことやられて思うようなプレーができなかったので、後半は少し自分のプレーができたのは良かったですけど、最初からもっとやっていかなければいけないなし、自分も課題はまだまだあると思いました。

――DL武上雅将史(社2=神奈川・法大二)が復帰しましたが

武上が戻ってきてくれたことはうれしいんですけど、武上自身まだ下級生ですので、僕ら4年生がもっと引っ張っていこうという気持ちでやっています。

――フロントのチーム状態はいかがでしょうか

ケガ人が出たりしているんですけど、そこで下級生がどれだけ育ってくれるかが大事だと思うので、ケガ人が出たからチーム力が落ちるのではなく、そこをチャンスだと思って下級生には頑張ってもらいたいです。

――好調を維持できている要因は

好調なのかは分からないですけど、現状に満足することなく、上を目指してやろうと、目標の『日本一』を目指してやろうと常に言い続けているからなのかなと思います。

――春シーズンは残り2試合となりましたが

きょうの勝ちに満足するのではなく、きょうの内容の中で課題はたくさんあると思うので、それをつぶしていくことと、いままで以上に上を目指してやっていこうと思います。

――今後の意気込みをお願いします

本当に春シーズンは全部勝つと決めたのでそれを達成して、その中でも課題をどんどんつぶしていって、春シーズンを通して成長できるように頑張ります。

DB寺中健俉副将(教4=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

ランが止まるというのはスカウティングの段階でなんとなくわかっていたので、いかにパスをDBでとめられるかというのがカギでした。一本キャッチミスはしましたが、結果的に一本は持ってこれてよかったです。

――どのようなゲームプランで臨まれましたか

とにかくランストップをベースでしっかりしようということで、そうするとパスが飛んでくるのでそこでパスを狙うという感じですね。

――第3Qでの悪い流れからどのように立て直しましたか

流れを持っていかれたのは完全に自分のキャッチミスで、あれでインターセプトできていれば流れはかなりこっちが持ってこれたので反省しています。ですが、結局GL深いところまで持ってかれたんですけど相手のミスで助かったと思います。

――ご自身の出来は

悪くはなかったですけど、やっぱり第3Qでのロングドライブのキャッチミス、またロングドライブ中にタックルミスも2本くらいしてしまったので、満足はできていないです。

――完封勝利となりましたが

そうですね、完封はやっぱり喜び合えますね。どんな形であれ、嬉しかったです。

――チームとしての出来は

第3Qはダメだったんですけど、それ以外はプラン通りという感じでした。

――立命大のオフェンスの印象は

おととしここでやったときに、日本代表になった東松さん(瑛介、立命大=現ノジマ相模原ライズ)という方が圧倒的でボコボコにされたので、その時の印象に比べたら力は落ちていたのかなとは思います。

――シーズン残り2試合、意気込みをお願いします

ボトムアップ、トップアップもして、しっかり残り2試合、JVも含めて全勝でいきたいと思います。

QB政本悠紀(創理4=東京都市大付)

――この試合の結果をどのように捉えていますか

勝てたことは良いことなので、それは素直に喜びたいと思います。個人として最初はWR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)らの個人技に助けてもらった部分が大きくて、すごくいい流れで引っ張れたとは思うのですがそれは自分の実力ではなくて割とまぐれではありました。ただ練習はしていたので練習通りにはできたかなと思います。インターセプトされた部分とかは無理をしてしまったので、もう少し冷静な判断を心がけていきたいです。QBとしては3人とも出て、自分も少しはミスがありましたが割と全体として落ち着いてプレーできたのかなと思います。

――試合のテーマは

大まかなイメージだとランよりもパスという感じでした。

――ロングパスを通した場面を振り返っていかがでしたか

割と信頼関係というか、無理をしたという意識は自分の中では無かったのですが、結果通らなければ無謀なパスになってしまう一方、ロングパス一本でモメンタムとかも持っていけると思うので、そこはもっと練習していきたいなと思います。

――これまでもロングパスの練習はされていましたか

そうですね。ロングパスを投げるということで、レシーバーとパスコースを合わせたりアジャストしたりという練習はしていたので、QBとしてというより全体で長いパスを練習していました。

――最後に今後の意気込みをお願いします

あとは関大戦があって、関大も立命大相手にいい試合をしていてかなり強いチームなので、気を緩めずに、春も残るところあと2試合なのでより完成度の高いオフェンスをオフェンス陣全員でブラッシュアップして秋に臨みたいと思います。

LB加藤樹(商3=東京・早大学院)

――この試合の結果をどのようにとらえていますか

完封できたのが久しぶりで、最近第4クオーター(Q)で取られていて悔しかったので、そこの課題ができたのはよかったと思います。

――ディフェンスのテーマは

春やってきたことを、いままでで一番強い相手に全部出すということがテーマでした。

――立命大への対策はしていましたか

相手のオフェンスが基本的なことをやってきたので、こっちも基本的なことをやってきたのですが、1対1では結構負けているシーンが多かったのでそこは課題かなと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

1対1で負けていたのでフィジカルアップをしなければならないなということがあると思います。前回の試合で課題となっていた、コミュニケーションでアジャストして後半に前半にやられたことをやられないといことは意識してできたので、成功したと思います。

――LBコグラン・ケビン副将(商4=東京・早大学院)との連携という点ではいかがでしたか

相手がスカウティングとは少し違うことをしてきて、最初は少し戸惑ったのですが、ケビンさんと連携が取れていて、アジャストしやすかったのかなと思います。ケビンさんには感謝という感じですね。

――第4Qでの集中力についてはいかがでしたか

今までの試合でできなかったということが意識するきっかけとなっていて、みんなが意識していたのでそれができたかなと思います。

――最後に今後の意気込みをお願いします

きょうは個人的にはグッドプレーが少なくて悔しいので、もっと練習で突き詰めてやって、思い切りできるようにしたいと思います。

WR鈴木隆貴(法3=東京・早大学院)

――この試合の結果をどのように捉えていますか

朝早くに新幹線で移動してということもあったのですが、とりあえず勝ててよかったなというのは率直な感想です。

――試合のテーマは

環境が違う中でも、いつも自分たちが東伏見で練習していることをしっかりと出すということと、前回までの試合で課題となっていた、しっかりとフィニッシュをするということを今回こだわってやっていきました。

――立命大への対策はしていましたか

オフェンスとしては、関西の中でも強豪で、ラインが強いということは分かっていたので、パスユニットをしっかりつなげていって組み立てていけたらなということは考えてやっていました。

――ロングパスを複数回取っていましたが、振り返っていかがですか

結果的に取れてよかったなという部分もあります。タイミングがずれていたし、相手がカバーミスをしたことに助けられた面もあったので、そういう意味でタイミングとか成功率というのも課題として残っているので、そういうのをつぶしていって秋に日本一になれるようにしたいです。

――その他ご自身のプレーを振り返っていかがですか

比較的自分の中ではよかったとは思うのですが、上を見たら強い相手がたくさんいて、まだまだ勝負できるところもありますし、圧倒しないといけない部分もあると思うので、1対1で勝ち続けられるようにしたいと思います。

――オフェンス全体の手ごたえはいかがですか

オフェンスとしては、自分たちのミスで自分たちを苦しめている場面が多くて、いいところまでドライブしてもファンブルでボールを相手に奪われてしまったり、無理に投げてインターセプトをされてしまったりという部分がありました。きょうはディフェンスが相手を0点に抑えてくれたことが全てだと思うのですが、オフェンスがもっとしっかり点を取るべきだと思うのでしっかりと改善していきたいと思います。日本一になるためには、まだまだです

――最後に今後の意気込みをお願いします

次の東京学芸大戦のあと関大とやって春シーズンは終わりなのですが、関大も立命大に勝っているので、僕らが勝ちきって終わることが大事かなと思います。そこで春をしっかり締めて、夏に課題をつぶして秋に日本一になりたいです。

RB北條淳士(社3=東京・佼成学園)

――24-0の快勝でした。チーム全体の雰囲気はいかがでしたか

オフェンスでいうと、1プレー目のパスミスにはじまり、途中の僕のファンブルで流れを悪くしてしまったので、申し訳ないとしか言いようがないですね。

――個人としては2つのTDを奪いましたが、何かいい要因があったのですか

誰が持ってもTDできるような走路をOLがあけてくれたので。僕は本当に何もしてないです。OLのおかげです。

――今後に向けて一言お願いします

次節は立命大にも圧勝している関大なので、僕が出るかはわからないんですけど、出たら今日のミスをしっかりリカバリーしていきたいです。