【連載】『第63回早慶戦直前特集』 第5回 MGR相澤恵×AS山﨑敬太

米式蹴球

 裏方としてグラウンド上だけでなく、チームの運営に関わるMGR(マネジャー)。戦術分析を担うAS(アナライジングスタッフ)。第5回目となる今回はMGR相澤恵(法4=神奈川・日女大付)AS山﨑敬太(商4=福岡・筑紫丘)にそれぞれの仕事について伺った。

※この取材は3月26日に行われたものです。

「日本一に貢献したい」(山﨑)

AS主任としてチームに貢献する山﨑

――アメフトというスポーツを知ったきっかけは

山﨑 『アイシールド21』というアニメを見たことと、浪人生時代に通っていた予備校の先生が京大のアメフト部のファンで、いつもアメフトのことを話していてどんなスポーツ何だろうと大学入る前から思っていました。

相澤 私は兄が他の大学でアメフトをしていて、何回か応援に行くうちに熱いスポーツだなと思い、少し憧れがありました。

――高校時代はスポーツなどをやられていましたか

山﨑 生徒会活動をしていました。

相澤 私は陸上部でやり投げをやっていました。

――早大を目指された経緯は

山﨑 僕は福岡出身なんですけど東京の大学に行きたいと思っていて、いくつか受けたんですけど結果的に受かったのが早大だったからですね

相澤 私は早慶のどちらかに行きたくて、ご縁があったのが、早大だったので

――入部した当初のBIG BEARSの印象は

山﨑 いい意味で体育会っぽくなくて、僕の想像していた体育会のアメフト部とは違っていたので、先輩もフレンドリーでそういうところがいいなと思いました。

相澤 本当に先輩方が気さくで入部当初でも気にかけていてくれていました。そのときの先輩、かっこ良かったよね。

山﨑 熱くて、ストイックなところとか。

相澤 先輩の姿を見せられた感じでした。

――アメフト部に入部しようと思った一番の理由は

山﨑 この部活は『日本一』というのを目指していて、ホームページを見たときに『日本一』とはっきりと書いてあってかっこいいなと思って、自分もこの組織で成長して日本一に貢献したいなと思いました。

相澤 早大に入ったら早大にしかできないことをやりたいと思っていたので、そうなったら体育会かなと思って。もともと、アメフトを知っていたこともあって、他の部活は見ていなかったので自分の中では早い段階からアメフト部に入ろうと思っていました。

――入部して大変だなと思ったことはありますか

山﨑 下級生と上級生になってからで違うところはあるんですけど、下級生のときは選手とどう関係していくかというところが難しくて、選手は選手、スタッフはスタッフという面が多少あったので、自分がそこから選手にコミュニケーションや関係性をどう築いていくかが大変でした。

相澤 結構マネージャーの守備範囲が広くて、そんなことまでやるんだってこともあって。マネージャーのイメージってグラウンドでボトル渡したりユニフォームの洗濯をしたりするのがほとんどだと思っていたんですが、OBさんと頻繁に連絡を取っていたりすることも多くて。裏方の仕事が多いんですけど、どの仕事も大事だなと思っています。

――やりがいを感じていることはありますか

山﨑 僕はオフェンスを担当していて練習のメニューの内容決めに関わっていて、自分なりにオフェンスの強みと弱みを分析して、こういう強みを伸ばそうと思ったことをメニューに多く入れて、どんどん選手が伸びていったりしているのを陰から見ていて面白いなと思います。

相澤 4年生になってマネージャーの後輩が新しいことも増えたりしている中で頑張っている姿を見るといい後輩に恵まれたなあと思います。選手も練習とかでいいプレーをしているのを見るとちょっとぐっときます。

――普段はどういったことをやられていますか

山﨑 シーズンの時期によっても違うんですけど、オフシーズンですとシーズンに向けてしっかりビデオを見て知識を蓄えていっている状況です。直前でビデオみ始めても遅いので、いまから、例えば日大だったり法政だったりのビデをしっかり見てシーズンに生かせるようにということを考えています。練習中は意図したようにプレーができているかを見ている感じですね。

相澤 マネージャーの仕事としては練習の運営だけでなく、広報活動とかOBの方々や、大学や関東学生連盟との連絡、グランドのスケジュールを出したりしています。

「どんな形であっても活躍できる場がある」(相澤)

早慶戦に対する熱い思いを語る相澤

――学生主体の運営だと感じているのですが学生が主体でやることについてどう考えていますか

山﨑 僕だと関係あるのはオフェンスコーディネーターも務めている濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)なんですけど、監督も学生はどういうプレーをしたいんだということをよく聞いてくださっていて、そういう意味では学生もチームが勝つためにはどうしたらいいんだということを考えさせてくれるところが面白さであり、責任があるのでもちろん大変ではあるんですけど、自分たちで考えてすることができるのが学生主体の面白さかなと思います。

――山崎さんはASということですが昨シーズンを分析してみていかがでしたか

山﨑 昨シーズンは対戦校別に用意した新しい試みもあったんですけどうまくいった点、いかなかった点があって、うまくいった部分は新しい自分の強みにしていけると思うんですけど、うまくいかなかった部分は濱部監督も仰っていたんですけど「そういうのは時間だ」と、時間が経てばできるようになると思うのでことしはそういったことをできればなと思っています。分析という視点でいうと第4ウオーターで追いつけなかったりとか3rd downコンバージョンが他校に比べて低いであったり、そういう傾向が出ているので、練習中はただ流すだけになってしまいがちなのでことしはそういうのをやめて統計を取って、パスが何ヤード通ったなどをつけて、試合を意識したことをやったりしています。

――一そういった成果は出てきていますか

山﨑 下級生は伸びてきているなと感じています。

――新チームになって村橋洋祐主将(スポ4=大阪・豊中)の印象とかはどうですか

山﨑 チームの皆から信頼を得ながら一体となってチームを動かす原動力の中心にいてすごいなと感じています。

相澤 2年生の時に大きいケガをして本当に大変だったと思うんですけど、そういう状況の中でも自分にできることを最大限にやっていて、ストイックにやっていてすごいなと思っていました。幹部になってからは、熱い人なんですけど冷静な面もあって一つ一つのことをきちんと見ていると思います。それに、自分が誰よりもやらなければいけないということを常に考えているので、皆が信頼しているし、色々なところで部員それぞれに影響を与えてくれるタイプの人なのでこの人が主将で良かったなと思っています。

――早慶戦の雰囲気というのはどのように感じていますか

山﨑 初めてグランドに立った時にこれが早大なんだと、早慶戦って独特の雰囲気があるじゃないですか、早大は慶大に絶対に負けてはいけないという。そのときに初めてBIG BEARSの一員になったんだなと思って、初めて慶大に負けたくないと思った瞬間だったので印象深いです。

相澤 半年前からその日のために準備しているので、だからこそ自分たちでつくりあげていると感じるのでそういう意味での思い入れもあります。観客数としても、1万人くらいの動員があって、早慶戦としてこんなに多くの人に見てもらえることがうれしく思いますし、やっぱり慶大には負けられないし負けたくないです。

――ASということで山崎さんにことしの早慶戦はこうなるんじゃないかと分析をしていただきたいのですが

山﨑 早大はオフェンス、ディフェンス共にコーディネーターの方が変わって3年目ということで考え方であったりプレーの完成度が高くなってきていて、そういう面では手探りだった頃と比べると自分たちのオフェンス、ディフェンスが確立されてきている部分で戦っていけると思っています。慶大に関しては能力の高い選手も多いですし、オフェンスだったらRBの李卓選手(慶大)のような一人で試合の流れを持ってこれるような選手がいるのは脅威だと思いますし、そこをどう対策をするかが 勝負のカギとなってくると思います。

――新入生に向けて一言ありますか

山﨑 ASに限らずですが、BIG BEARSは色んなところで長所が生きる場だと思いますし、もちろん運動が大好きで選手として活躍したい人は選手として頑張ってもらいたいですし、逆にそういうところが自信がないから体育会は…というんじゃなくて、絶対に生かせる部分がこのチームにあると思うので『日本一』になりたいと熱い思いがある人や大学でしかやれないことをやりたいと思っている人にはBIG BEARSはいい場所だと思います。

相澤 体育会というと厳しそう、とか忙しそうとか色んなイメージがあると思いますが、大学生活の四年間を、150人近くの仲間と一つの目標に向かって取り組むことができるというのは、私からするとすごく素敵なことだと思います。選手だけじゃなくて、スタッフとしても、どんな形であっても活躍できる場があるので、一度グラウンドに足を運んでください。

――最後に早慶戦についての意気込みのほうを

山﨑 昨年は慶大に全敗して悔しい思いをして、それに対して選手だけが頑張ればいいかというとそうではなくて、スタッフもどうやったら勝ちにつながるかということを考えなければいけなくて、ことしは慶大のビデオも多く見ていますしアナライズで慶大に勝つということをやっていきたいです。

相澤 絶対に勝ちたいという気持ちもありますし、それと並行して準備しているものがうまくいけばと思っています。観客動員とかも1万2000人という目標を掲げているので、その点に関してまだまだ自分たちができるところがあるなと思っているので、早大として勝ちたいっていうことと最後の早慶戦をうまく成功で終わらせられればと思っています。

――ありがとうございました!

(取材・編集 近藤廉一郎)

◆相澤恵(あいざわ・めぐみ)(※写真左)

1993年(平5)9月8日生まれ。神奈川・日女大付高出身。法学部4年。主務。普段は主務としてチームのために奮闘する相澤さん。この対談でもその熱い思いが伝わってきました。最近のお気に入りだというタイ料理のカオマンガイをエネルギーに替え、早慶戦も頑張ってもらいたいです

◆山﨑敬太(やまざき・けいた)(※写真右)

1993年(平5)9月23日生まれ。福岡・筑紫丘高出身。商学部4年。AS。オフの日は銭湯に行ったり、ギターを弾いてリフレッシュをしているという山崎さん。普段スカウティングで疲れた体を癒し、早慶戦に向けエンジン全開で頑張ってもらいたいですね