前編ではフットボール練習についてお届けした。後編では選手の総合的な身体機能向上を図ったコンディショニング練習に迫る。
準備体操を終えた後、練習はサーキットスタイルのトレーニングからスタート。ラダーやステップオーバーダミーといった障害物をダッシュしながら飛び越えるアジリティーの練習やダミーを押したり、タックルしたりする練習を時間ごとに各ポジションを移動しながら行っていく。各ステーション数分で回っていくものだが、休憩は一切なし。30分以上サーキット練習は続いた。その後はキックなどスペシャルプレーの練習やヘルメットだけをつけ、動きの確認を行うなどして練習は終了。しかし、この日はフットボールをメインにした練習ではない。
ダミータックルに励む選手たち
各自休憩を取った後、選手たちは再びフィールドへと戻った。異なるは選手の中心にはSC大野龍仁(スポ4=兵庫・西宮北)の姿が。選手達は円が描くように座り、ストレッチを始める。その中心で大野が各ストレッチの説明、および伸ばしている筋肉を細かく説明。「呼吸を意識させたり、きちんとしたかたちで(筋肉を)伸ばせているかをチェックして回っていました」。(大野)BIGBEARSではシーズン中は週に1回、このように最低限のフットボール練習に留め、筋肉及び体を休める日を設けている。リラックスしている選手も多く、和やかなムードでストレッチは進行。選手たちの一部はそのままウェイトトレーニングへと向かった。
大野を始めとしたSC陣を中心としてストレッチは行われた
練習終了後のハドル、OL中村洸介主将(スポ4=東京・日大三)は「このチームで練習ができるのも残り少ない」とチームに訴えかけた。それが故にチームのモチベーションも高い。前の日の強度の高いフットボール練習とこの日の体を休めることを念頭に置いたコンディショニング練習。オンとオフがしっかりと切り替えられた練習を繰り返すことで常に心身共に良い状態で試合に臨んできた。残す試合は慶大戦のみ。チームの総力を結集し、宿敵慶大へと万全の態勢で立ち向かう。
(記事、写真 井上義之)
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コメント
SC大野龍仁(スポ4=兵庫・西宮北)
――まずはSCの役割から教えてください
SCはストレングスアンドコンディショニングという部門になっています。主にトレーニングの方を見させてもらっています。簡単に言えば体作りをサポートしているポジションです。コンディショニング練習の日は、最後にストレッチなどを含めたダウンなどをやります。その後、ウェイトトレーニングを行う日はウェイトレーニングを僕らで見て指導するといった感じです。
――きょうのトレーニングはどういった部分を意識されたものだったのでしょうか
どちらかというとコンディショニングということでクールダウンを意識したもので、筋肉を休めてリラックスさせることを集中させるために、呼吸を意識させたり、きちんとしたかたちで(筋肉を)伸ばせているかをチェックして回っていました。
――そういったトレーニングは季節ごとに変化してくるのでしょうか
シーズン中なので、練習強度が高く、どうしても疲労度がたまりやすいので、1週間に1回ファンダメンタルの練習はしっかりやるけど、コンディショニングを整える日をシーズン中は設けています。
――シーズン終盤になって選手の疲労度なども含めて気をつけていることは何でしょうか
一応、実際にやっていることと言えば、フィールドでトレーニングする日には、ランメニューがあるのですが、走る本数を調節したりはしています。でも基本的には、個人的にはあまり甘やかしたくないので(笑)、ここで下げてあげればうまくいくかなというときには下げたりすることもあります。フィールドトレーニングやウェイトトレーニングなどでは僕らの管轄で、メニューを決めています。
――そういったメニューの決定は幹部の選手たちと相談して行うものなのでしょうか
強度自体は僕ら学生とストレングストレーニングコーチの方と一緒に決めています。濱部昇監督(昭62教卒=東京・早大学院)とも相談しています。幹部の選手とは運営的な部分では関わっていますが、強度的な部分ではあまり相談はしないですね。
――SCをやっていて難しい部分はどこでしょうか
結構難しいところだらけですね。一番思うのは、自分たちは知識を蓄えて、彼らに指導しているのですが、上手く伝わらなかったり、選手がやろうとしてくれていても良いフォームでできていなかったり、きちんとした効果が生まれていなかったりすることがあります。人間の体は答えがなく、不確定要素が多すぎるので、「なんで上手くいかへんのやろ」と思うことが多いですね。
――そういった情報は授業で学ぶことが多いのでしょうか
5人のSCのうち、4人はスポーツ科学部生なので、授業で学ぶことが多いです。自分たちで話し合って意見交換したりすることもあります。
――このチームに参加しようとしたきっかけは
アメフト自体は以前からアイシールド21という漫画を読んでいて知っていて、興味もありました。ですが自分から来たわけではなくて、入学ガイダンスの日に勧誘されて、アメフトの試合を見てみたときに、「アメフトすげえ」ってなって(笑)。最初はSCとAT(アスレチックトレーナー)と迷ったのですが、結局SCのほうに進みました。
――4年生ということでこのチームに携わるのも残り少なくなってきていますが、これからどのようなかたちでチームに貢献していきたいですか
言ってしまえばあとはやり切るだけなので、僕個人としては選手が最終戦に良いコンディショニングで臨めるようにコンディショニング管理だったり、体作り、生活習慣などをしっかり目を向けていきたいです。