春季最終戦 明大に逆転勝ち

米式蹴球
TEAM 1Q 2Q 3Q 4Q TOTAL
早大 BIG BEARS 17 17
明大 GRIFFINS 15

 前節の関大戦で勝利し、地力の強さを見せた早大。この日は明大との今季最終戦に臨んだ。試合は前半抑え込まれていた早大が第4クオーター(4Q)に2つのTDで逆転に成功。その後再び明大にリードを許すが、試合終了間際にK/P佐藤敏基(社2=東京・早大学院)がFGを決め再逆転。土壇場での底力を発揮した早大が逆転勝利を収めた。

パントリターンTDを決める井上広

 春の集大成となる一戦。序盤、両者の力は拮抗(きっこう)する。この日早大オフェンス陣はパス攻撃に苦戦。ランプレーも阻まれ、前半までにファーストダウンを更新したのは1度のみ。中々攻撃の糸口をつかめず苦しい展開が続いたが、一方でディフェンス陣が奮闘し相手にも得点を許さない。両者譲らぬまま1Qを終え、迎えた2Q。ついに均衡が破られる。パントリターンした相手RBにそのままエンドゾーンまで持ち込まれTD。一瞬のすきを突かれ先制を許した。後半に入ってもディフェンス合戦の試合模様は変わらず。両者無得点のまま3Qを終えた。

 迎えた最終4Q。試合は一気に動く。まずはここまで明大を1TDに封じ込めてきたディフェンス陣が流れを作る。相手QBのパスをインターセプトしたDB島川秀人(創理4=東京・早大学院)がそのままリターンしTD。起死回生のランで勝負を振り出しに戻す。続くプレーでも、主導権は渡さない。明大のフォースダウン。パントを捕球したRB井上広大(教3=東京・早大学院)に迷いはなかった。相手ディフェンスのタックルを巧みにかわし、青々とした芝の上を全速力で駆け抜ける。85ヤードを独走するパントリターンTDで、勝ち越しを決めた。その後明大に再びTDを奪われリードを許した早大は終了直前。残り6秒で敵陣27ヤードからFGを選択する。K/P佐藤の右足から放たれた球は弧を描き、ゴールポストの遥か上空を通過。2試合続けての逆転勝利に、スタンドは湧き上がった。

流れを変える島川のインターセプトTD

 見事な逆転勝利で春のシーズンを終えた早大。チームの勢いの良さがうかがえるが、選手たちは至って冷静だ。「スピードを意識して練習してきたが、まだ相手に脅威を与えられていない。今後さらに強化していく必要がある。」(OL小笠原知也主将、スポ4=東京・戸山)。現時点での成果には決して甘んじることなく、その目は常に先を見据えている。勝負は秋。アツイ夏を越え、遥かな頂を目指す。

(記事 鈴木皓、写真 井上義之、田中竣)

コメント

濱部昇監督代行(昭62教卒=東京・早大学院)

――きょうの試合を振り返って

残念だったね。ことしオフェンスコ―ディネーターとして攻撃を積み上げてきて、相手も明大ということで秋が見える試合をやりたかったです。いままでの練習が出るような試合にしたかったが、オフェンスはイージーな自滅でのミスが多かった。練習での成果が全く出ませんでした。ディフェンスは良かったと思います。攻撃が1回しか更新できないなかでパントリターンTD一本に抑えたわけですから奇跡的に近い試合運びですね。勝つチャンスが残ったのはディフェンスのおかげです。

――最終攻撃シリーズの前に攻撃陣全員でハドルを組んでいましたが

あれはシチュエーションの確認でした。K/P佐藤敏基(社2=東京・早大学院)は30ヤード地点からでもFGを決められるから無理はしなくていいと。あと5ヤード、10ヤード取れれば楽になるからと伝えました。

――最終シリーズはパスが決まりましたが

あれもあっぷあっぷでした。

――春に見えた課題は

今日は同じパターンでやられ続けないようにアジャストしていこうと。ディフェンスはしっかりアジャストしてくれたと思います。問題は積み残した課題が見えてくれば良かったんだけど、ここまでやってきたことができなかった部分があるので先が見えないなあと。

――秋に向けてどのようなチーム作りをしていきたいと考えていますか

秋に向けてトップに通用するフィジカルもファンダメンタルも付いていないので見直して。いい1年生も入っているので、合流してポジション間で競争が起きればいいと思います。

OL小笠原知也主将(スポ4=東京・戸山)

――きょうの試合を振り返って

勝ちを意識していたということがあったので、まず勝てたことはよかったと思います。

――前明大戦に向けて、どのようなゲームプランをたてていましたか

来週も合同練習があるのですが、こうした試合というのは最後なので、春の集大成として、練習してきたことを出そうという目標を立てて臨みました。その上で勝ちを意識していました。

――対戦を終えて明大の印象はいかがですか

そんなに特殊なことはやってこなかったと思います。きょうの試合は特にオフェンス陣が、気持ちの面、あるいは頭の整理も含め自分たちのミスで流れを悪くしてしまい、それを中々断ち切れなかったかなと思います。

――前半苦しい展開が続きましたが、ハーフタイム中にはどんな話をされましたか

きょう出たミスというのは何試合か通して指摘されてきたミスで、それを改善していくには今までやってきたことと違ったことをしていくというのも大切だと言われていたのですが中々できていませんでした。やはり一人一人が役割を全うすれば結果は出てくると思うので、そうしたことを話したのですが、全体的に見て変化が出るのが遅かったですね。

――きょうは春季最終戦でしたが、春を通しての総括を一言よろしいですか

今季は新しいコンセプトの下、チームとしてスピードを意識して練習してきて、きょねんよりは改善された部分があったと思うのですが、やはりまだ相手に脅威を与えられるような武器にはなっていないので、その辺りをさらに意識してステップアップしていきたいと思います。

――秋に向けて特に強化すべき点はありますか

やはりただ体を大きくするだけでは意味がないので、スピードと威力を強化してパワーをより生かせるようにしていきたいです。そういった面を夏のウエイト期間では意識していきたいです。