【連載】インカレ直前対談『be champion be challenger』第2回 飯田澪×高田澪×前田楓香

ヨット

 第2回に登場するのは、飯田澪(スポ2=山口・光)、高田澪(社2=カナダ・エルジンパークセカンダリースクール)、前田楓香(スポ2=山口・徳山)の3人。スキッパー、クルー、マネジャーと三者三様のヨット部生活を送っている女子部員たちだ。男女混合で行われるヨット競技の中で、彼女たちはどのような思いを抱いているのだろうかー-。

「もう入っちゃおうって思って、勢いで入っちゃいました」(前田)

手前から、飯田、前田、高田

――自己紹介をお願いします

飯田 スポーツ科学部、2年の飯田澪です。

前田 スポーツ科学部、2年の前田楓香です。

高田 社会科学部2年の高田澪です。

――次に、左隣の方の他己紹介をお願いします

飯田 (前田は)マネジャーです。陸でも海でも積極的に動いてくれています。大学からヨット部に入って、マネジャーという立場ですけど、ヨットのことをたくさん学ぶ姿勢、知ろうとしてる姿勢とか(があります)。いつも笑ってて、ポジティブな影響を与えてくれる存在かなと思います。

前田 高田澪は、47(470級)クルーなんですけど、まだ本格的にヨットに乗り始めて1年とは思えないです。直暉さん(倉橋、スポ4=福岡・中村学園三陽)のクルーをやっている姿を見ると、しんどそうなんですけど、でも、頑張ってるっていうのが伝わってきて。「強いな」っていうふうに。そういうところが尊敬できます。普段は明るいというか、ちょっとうるさい、そんな感じの子です。

高田 (今田)澪とは47(470級)も同じで、同期で、実際に大会とかでも組むことがあって。1年生の頃から陸でも海でも結構一緒にいることが多いです。レギュラー争いがある中で、誰よりも競技に対して真面目で、うまくなろうっていうのが、一緒に乗ってても、乗ってなくても伝わってきて、それが尊敬できるところです。

――早大を選んだ理由を教えてください

飯田 自分は高校からヨットをやって、大学でもヨットをやろうってなった時に、個人よりは団体でやっていきたいっていう思いがあって。その時にインカレでずっと総合でトップを走ってたのが、早稲田で。チームのあり方みたいなところを見て、 早稲田で自分もやりたいなと思って入りました。

前田 私はヨットは関係なくて。早稲田を選んだ理由は、私はスポ科に一般で入りました。ヨット部でマネジャーをするきっかけとも似てるんですが、スポーツをサポートするような勉強がしたいなと思って。そう考えた時に、早稲田は、そういうところが、国内で一番進んでいる学校だろうなと思って、私は早稲田を選びました。

――元々どこかのマネジャーやトレーナーをやろうって思っていたんですか

前田 そうですね。ヨットを選んだ理由は、最初はちょっと試しに行ってみようぐらいの感じだったんですけど、雰囲気とか見て、もう入っちゃおうって思って、勢いで入っちゃいました。雰囲気が楽しそうだったので。

高田 大学入った理由は、私、元々高校がカナダで、 そのままカナダの大学に進学しようとしてたんですけど、コロナで日本に帰ってこざるを得なくなって。帰国生入試でいろんな大学を受けて、早稲田がその中でも一番いい(笑)。

――では、選手のお二人がヨットを始めたきっかけを教えてください

飯田  私は小4の時にウインドサーフィンを始めて、中3までそれをやって、いろんな世界大会とかもウインドサーフィンで経験させてもらって。その中で、高校でもウインドを続ける選択肢はあったんですけど、将来を考えた時に、ヨットの方が活躍できる未来があるんじゃないかっていうのを、いろんな人とお話させてもらって。高校でヨットを始めました。

――元々、競技としての親しみはあったということですか

飯田 (ヨットとウインドサーフィンは)ちょっと違うんですけど、まあ、同じ感じのことをやってました。

高田 私は大学に入って、サークルに入ろうと思ってたんですけど、自分に合うサークルがあんまりなくて。たまたま両親がヨットやっていたってこともあって、早稲田には、ヨット部があるっていうのを大学に入って初めて知って。新歓は行ってないんですけど、とりあえず入ろうかなって。

「あれは激アツでした」(飯田)

答えに悩む飯田

――入学した後のヨット部での生活についてお聞きします。合宿所での生活なども含めて、部活の生活で印象に残っている出来事はありますか

前田 合宿生活で、「いいな」って思ったのは、澪(飯田)の誕生日。服部陸太(スポ2=神奈川・鎌倉学園)と飯田澪は誕生日が同じなんですけど、ちょうど夏休みなので、合宿中で。夜に盛大にお祝いしたのは、合宿じゃないとできないかなって思います。

――どんなふうにお祝いしたんですか

飯田 去年は桃子(中尾、商2=広島大付福山)とかが踊って。

高田 プリン! コンビニのプリンにそのままろうそくをさして。即席でやりました。今年は2人から、「去年もあったから今年もあるだろう」っていうのを感じて。結構パーティーっぽく。

前田 コンビニにあったケーキがモンブランだけだったので、周りにお菓子並べて、みたいな感じで楽しかったです。

――来年また大変ですね

高田 ハードルがね(笑)! あと2回あるんで(笑)。

――では、競技の面で、印象に残ってる大会やレースはありますか

飯田 やっぱり去年の全日本インカレ(全日本学生選手権)は結構印象に残っていて。自分はサポートで海に出てて、早稲田が優勝して、すごくうれしかったけど、自分は選手としては何もできなくて。その悔しさもありつつ、先輩たちが活躍する姿を見て、すごく刺激になったし、来年自分がやらなきゃっていう思いにもなりました。1年間、自分の中で忘れられない感情だったかなと思います。

前田 この前の秋イン(関東秋季学生選手権)の決勝の最後のレースで、澪(飯田)の艇が最後に一気に追い上げて、それのおかげで47(470級)もクラス優勝できて、 完全優勝っていうかたちになったので、澪(飯田)も負けず嫌いだから・・・

飯田 あれは激アツでした。

前田 今まで、大会でうまくいかなかった時とか、澪(飯田)が悔しがってるのを結構目にしてたので、澪(飯田)らしいというか、前走れてるっていうのを見て、すごい同期だなって思いました。

飯田 マジで激アツだったよな!

前田 あれは感動した!

高田 私は乗り始めたのが、去年の11月で、冬の期間、寒い中ずっと練習して、初めての公式大会、学連の大会に初めて出たのが4月の女子イン(関東学生女子ヨット秋季選手権大会)の時のレースで。初めてビブスを着て出たレースで、澪(飯田)と1位を取って、トップホーン。自分が最初からスタートして、フィニッシュして、1位を取った時のレースが一番うれしかったです。

飯田 懐かしい!

「男子女子関係なく、みんな仲いいって感じ」(高田)

質問を聞く高田

――では、マネジャーは普段どのような仕事をしているんですか

前田 何してるっけ。合宿生活をする中で、例えば、献立を考えたりとか、ご飯作ったりとか、その辺の生活回りとか。あとは手続き関係で、レースの申告だったり、ハーバーとのやり取りだったり。

――スポーツ科学部で学んでいるようなこともしているんですか

前田  レースをしたりする時の成績管理とかは、競技面のサポートなんですが、 そのがっつりトレーナーっぽいことはしていないです。

――今年はマネジャーに後輩が加入しましたが、難しさはありますか

前田 去年は言われたことを全部、「はいはいはい」って、どんどんやってくばっかりだったんですけど、今年はもう上にマネジャーが誰もいないので、自分でちゃんと考えるようになりました。

――マネジャーの仕事で楽しいなと思う時はどんな時ですか

前田 大会とかで優勝してたりとか、レースで勝ったりとかしてるところを見ると、やりがいを感じるし楽しいなって思います。

――男女一緒に活動しているヨット部は男子のほうが多いですが、女子の雰囲気は

飯田 女子部屋の中では結構わちゃわちゃしていますが、全然男子とも仲いいので。

前田 女子が集まると、女子だけで盛り上がることもあるけど、男子女子関係なく、みんな仲いいって感じがします。

今年、女子の鶴岡選手(由梨奈、社4=東京・立教女学院)が主将になって、変化したことはありますか

高田 競技面でいうと、男子の方がフィジカル的に有利で。強風が吹いた日とかは、メンタルもフィジカルも結構辛くなる時があるんですけど、由梨奈さんも女子クルーとしてやられてきたので、すごく相談しやすいし悩みを打ち明けやすくなったかなと。

――2年生はどんなカラーの学年ですか。全員で遊びに行ったりは

前田 「全員で行きたいよね」とか言ってるけど全然そろわない(笑)。

飯田 でも全然、仲いいよな。

高田 いい距離感を保ちつつ。

飯田 全体で(遊びに行く)ってことはあんまりないんですけど、ほぼ全員で行って、また別のほぼ全員でって。毎回何人か抜けてるけど…っていう感じです(笑)。

「今年はもっと選手をメンタル的にも支えられるようにしたい」(前田)

高田と目を合わせる前田

――では全日本インカレの話に移ります。大会まで約1週間となり、今の気持ちは

高田 私はレースのことを考えすぎちゃうと、ずっと緊張してしまって。「もし、動作ミスして、こんなことがあったらどうしよう」みたいなことを考えてしまうと、それが実現しちゃう気がしてるので、あまり何も考えないようにしてます。

前田 去年は何にも分からずに行って、自分のことで精一杯というか、やらなきゃいけないことで精一杯だったんですけど、今年は自分にも割と余裕ができてるはずなので。今年はもっと選手をメンタル的にも支えられるようにしたいなって、そういう気持ちでいます。

飯田 この1週間結構緊張してて。去年はサポートとして行ったので、初めて選手として行く全日本インカレで、やっぱ勝ちたいっていう思いも強いし、緊張してます、思ったより(笑)。

――昨年に比べ、新しいメンバーで挑むことになりますが、自分が引っ張っていかなきゃというような意識はありますか

飯田 「引っ張ってかなきゃ」っていうよりは、4年生のスキッパーが2人抜けて、クルーもたくさん抜けて、 この代が始まった時は、47(470級)は競議力の面でだいぶ劣っているところからのスタートで。春から秋にかけて、レースでしっかり結果を出せるようになってはきたんですけど、自分の気持ちとしては、 自分が足引っ張らないように。やっぱり、3番手のリザルトがかなり重要になってくるのがインカレだと思うので。

――試合前のルーティンはありますか

前田 (飯田は)サングラスじゃない?

飯田 あんまりいいことじゃないかもしれないですけど、レース前に赤いサングラスをつけるっていうのはあります。

――どのような意味があるんですか

飯田 光高校出身なんですけど、高校も赤スピン、赤ビブスで。レースの時は赤がいいなと思って、赤いサングラスを買って、付けています。

高田 人生で初めてを出たレースでたまたま買ったゼリーがあって。そこから毎回そのゼリーを買わないと心配なので、それを飲みます。あとは、時間がある時に、今まで練習で怒られてきたところを見直して、で、そこだけは頭に入れようと(笑)。

――マネジャーのルーティンは

前田 ルーティン(笑)? 当日の動きを確認、それぐらいです(笑)。

――最後に全日本インカレへの意気込みをお願いします

飯田 うちからいったら、澪(高田)が最後やからな。

高田 え、最後やだなー。チームとしては、3連覇したいっていうのがもちろんなんですけど、個人としては直暉さんと乗らせてもらって、いろいろ大変なこととかもあったんですけど、最後一緒に乗れる大会なので、感謝の気持ちを忘れずに、トップホーンを鳴らせたらいいかなと。

前田 去年は千秋さん(?平名千秋氏、令4人卒)から、「全部引き継がなきゃ」っていう気持ちでこの1年間やってきたので、それをいつも通りできたらなと。 自分のことはちゃんとできる分、やっぱり、選手のサポートっていうのが、マネジャーの一番大きい仕事だと思うので、明るい雰囲気をちょっとでも出せたらなっていうふうに思います。

飯田 チームとして3連覇っていうのは、もちろん目指すところです。自分も澪(高田)と同じように、4年生と乗らせてもらってて、春からずっと一緒に練習してきて、自分が成長させてもらいました。自分たちが最後、点数を動かせるところなので、今までやってきたことを全部出し切って、いい結果で終われたらいいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材 足立優大、落合俊、田島璃子 編集 田島璃子、宮島真白)

全日本インカレの意気込みを書いていただきました!

◆飯田澪(いいだ・みお)(※集合写真左)

2002(平成14)年9月9日生まれ。山口・光出身。スポーツ科学部2年。470級スキッパー。赤いサングラスがトレードマークの飯田選手。できるだけ早くゴールし、インカレ3連覇を後押しします!

◆高田澪(たかだ・みお)(※集合写真右)

2002(平成14)年3月14日生まれ。カナダ・エルジンパークセカンダリースクール出身。社会科学部2年。470級クルー。全日本インカレでは470リーダー・倉橋選手のクルーを務めます。感謝の気持ちをもってレースに挑むそうです!

◆前田楓香(まえだ・ふうか)

2002(平成14)年9月25日生まれ。山口・徳山出身。スポーツ科学部2年。先日の取材では「濡れてしまうかも」と服を貸してくれるなど、早スポ員のサポートまでしてくださりました!