【連載】インカレ直前対談『be champion be challenger』第1回 河田大智×桔川翔太郎×松山大祐

ヨット

 第1回に登場するのは、河田大智(法1=神奈川・逗子開成)、桔川翔太郎(政経1=英国・ACSインターナショナルスクールヒリンドン)、松山大祐(創理1=神奈川・逗子開成)の3人。全員がヨットの名門・逗子開成高校にルーツをもち、この春に早大ヨット部へ入部をしたルーキーだ。多種多様なバックグラウンドを通じての高校時代や現在について語っていただいた。

「実は奇妙な関係で、僕たち同じ高校なんですけど…」(桔川)

左から、松山、河田、桔川

――自己紹介をお願いします

松山 1年の松山大祐です。

河田 1年の河田大智です。

桔川 1年生の桔川翔太郎です。スナイプのスキッパーをやっています。

――次に、他己紹介をお願いします

桔川 最初に河田に対して2人で言おうか。

松山 同期なんですけど、後輩です。

河田 そうそう(笑)。

桔川 ね、うん、後輩だよね。実は奇妙な関係で、僕たち同じ高校なんですけど…。

河田 2人が同い年で僕が1個下なんです。

松山 僕が一浪してて、桔川は留学してたんで、1年ずれてて。しかも、僕に関して言うと、高校の時、一番最初に先輩と後輩でペアを組んでヨットを教えるんですけど、そのペアが僕と河田で。めっちゃ先輩後輩の関係だったのに、一気に同期になって。先輩感もどんどんなくなって。

桔川 そういう面でいうと、(河田は)接しやすい。

松山 そうそう。あとは真面目だよね。

桔川 スナイプで同じなんですけど、いつも先輩にも積極的に質問していて、競技への向上力は非常にあるのではないかと。

――次に、松山選手については

河田 いや、僕の中ではやっぱり「先輩」。

松山 嘘だ(笑)。

河田 先輩感が抜けないかなーみたいな感じで(笑)。でも、なんか高校の時よりも接しやすい。距離感は近く話せるかなって。…えっと、身近な存在です!

――ちょっと言わせてる感じも出ていますが…

松山 (笑)。「こいつ仕事しないな」とか。 なんなら、河田の方が先輩みたいなね。

河田 そんなことはないです。

松山 「松山さん、ちゃんとしてくださいよ」とか(笑)。

桔川 競技の面で言うと、4年生と組んで、メンタルで絶対やられると思うんですけど、なんとかこう耐えて…。

一同 (笑)。

桔川 本当にすごいなって思います。生活面で言ったらベッド周り汚いかなーくらい(笑)。

河田 あと、建築(学科)。

桔川 勉強している、課題に追われているイメージ。

松山 合宿で製図をしてて。

河田 努力っていうか、競技と勉強をちゃんとやってる。

松山 (ちゃんとやってるように)見えてるだけ(笑)。

――では、桔川選手については

河田 桔川さんは余裕がすごい。キャパシティがでかい。何でもできる。

松山 器用でなんでもできるっていう感じで。

河田 同期感はないかなー。

松山 すごい大人っぽいんです。普段僕らは割と1年生で(一緒に)いるけど、桔翔(桔川)は1年生ともいるし、 普通に4年生とかとも、誰とでも仲良くラフに話してる感じ。そこが魅力。できないよね。あと、基本オーバーリアクション(笑)。

河田 テンション高いね。

松山 ムードメーカーだね。面白い。

「エンジが好きなので」(河田)

身振り手振りで説明をする松山

――早大を選んだ理由を教えてください

松山 僕の父親が建築業をやっていて、 それで高校の頃から建築に興味をもったので、大学は建築学科に行きたいなって思って。さらに、高校の時、僕が高3の年にコロナが流行ってしまって、いろんな大会、インターハイとかが潰れてしまったんで、ちょっと不完全燃焼で。大学でもヨットで活躍したいなって思いが生まれて。じゃあ、ヨットが強くて建築学科がある、どこなんだろうって思ったら早稲田が一番当てはまったりました。ヨットも日本一のチームだし、建築も私立の中では圧倒的に忙しいっていうイメージで。「両方やっていけるかな」っていう心配はあったんですけど、 やっぱりやりたいことをまっすぐ考えて、「やれないかも」って思うんじゃなくて、「とりあえずやってみよう」って感じで早稲田を目指しました。

河田 僕は特に理由はないんですけど、漠然としたイメージで、早稲田は「いい大学」なのかな、というのと。あと、エンジが好きなので。そのくらいのイメージで入って。松山さんみたいに、これがありたいというのがあったわけではないです。

松山 (河田がヨット部に入った理由は)僕がまずヨット部に(桔川から)めっちゃ勧誘されて、「いや、もちろん行くよ」って言って、次に河田が「来るよね」みたいな。

河田 ですね。

桔川 僕、帰国子女入試で一番早く決まって。次に(松山が)決まって。誘って、誘ってって(笑)。(僕が早大を選んだ)理由の一つとしてあるのが、僕はジュニアからずっとヨットをやってるんですけど、その先輩の中で早稲田に行った先輩がいっぱいいて。その人たちからも誘われてたっていうのもあります。その人たちと、すごく仲がいいというか、 距離が近かったので、一緒にヨットができたら楽しいのかなっていうので選びました。あと、海外の高校に行ってて、(大学も)海外っていう選択肢もあったんですけど、元々経済学部に入りたくて、政経だとトップなので、そんな軽い感じで選びました。メインはヨットですね。

――ヨットをはじめた理由を教えてください

松山 僕は、 逗子開成っていうところに中学受験で入ったんですけど、元から海、水が好きだったので、水泳部に行くか、ヨット部に入るか…。体験でヨットに乗った時に、海の足つかないところまで自分で自由に行けるっていうのに、魅力を感じて。ヨット部入ってみようっていうのがきっかけですね。

河田 僕も中学から(逗子開成)で、中学に入学する時は全然ヨットとか興味なかったんですけど、 たまたま中学の入学式で隣だった人がずっとヨットやってた子で、たまたま初めのクラスの席の隣もその人だったんですよ(笑)。話してたら、ヨット面白いみたいな話をずっとしてるから、 見学行ってみようかなと思って見学行って、それで始めて。何を思ったか、大学でもやっています。

松山 また運命じみたものを(笑)。

桔川 僕は、父親がウインドサーフィンとかヨット関係のことをやってたのがきっかけで、親のすすめで、小学生3、4年生ぐらいから始めました。あと、その頃シンガポールに住んでいて。シンガポールって、ヨットがすごく強くて、そういう環境がそろっていた状態だったので。身近にヨットがありました。

――同じ高校の卒業ですが、逗子開成あるあるみたいなものはありますか

松山 挨拶じゃない? まず。

桔川 ちょっとダメだ、僕は全然在籍期間がなくて…。海外に行ったりしていたので。

松山 高校のヨット部はすごく歴史のある部活で、礼儀とあいさつとか時間管理とか、そういうのがすごい徹底されています。ミーティングの時とか、「これからミーティングを始めます」「シュース」っていうんです。「シュース」っていう意味の分からん言葉を(笑)。

桔川 でも引き締まるよね、ちょっと。

松山 ありがとうございましたは「セシュース」みたいな(笑)。「したー」もあるね。「したっ」「したー」(笑)。

桔川 後輩がたまに通ると、「したー!」って言われるよね。

河田 抜けてないんですよ。

桔川 日常生活でも、それが出ちゃうぐらいすごい徹底されてるので、「部活感」が大学よりある。

松山 先生もすごいいい方々で。厳しいけど、愛のある感じで。

桔川 厳しいわりには結構先輩後輩仲いい。

松山 そうそう。あと「基本駆け足」。高校でインターハイとかで優勝を競ってる高校は、 みんなその平日も練習してるんですよ。午前中授業だけやって、午後は海に出る、みたいな。練習時間が全然違くて、しかも経験者の人が多いんですが、僕らは高校から始めてる子が圧倒的に多くて。勝つにはどうしようって考えた時に、その無駄な時間をなくそうって。ハーバーの中でも駆け足だし、 練習終わった後、学校に帰るまでも駆け足だし。

桔川 (ハーバーで)「あー逗子開成だ」ってなるよね。

松山 リュックとかガソリン缶持って走ってるのは大体逗子開成です(笑)。

――今でも駆け足ですか

松山 いや、さすがに(笑)。でも、割とハーバーとかで駆け足しちゃったり。

河田 同じとこで練習してるので、高校の時の顧問の先生を見ると、「走ったほうがいいのかなー」って(笑)。

――大学に入ってから母校のヨット部を見て、感じることはありますか

河田 後輩が頑張ってるの見ると、「自分も頑張ろう」って気になる。なんか、自分が高校生だった時は、 大学生のOBの人に「頑張れよ」みたいに言われてたので。その辺はちょっと大人になったのかなって(笑)。

松山 そうだね。

桔川 場所ね、場所は変わんないのに…。

河田 活動が違うし。

桔川 活動も違うし、「今まで、俺らあっち側だったのか!」って。

松山 客観的に逗子開成を見ると、「よくやってたな」って。やばくない? 軍隊みたい(笑)。

「未経験者のやる気がすごい」(松山)

話に耳を傾ける桔川

――大学に入ってからのお話を伺います。印象に残っている出来事はありますか

桔川 僕は今まで個人でずっとやってきて、団体戦が初めてで。今まで個人でやってきた先輩とかにも「団体は違うよ」っていう話は聞いてたんですけど、 自分は「同じようなもんだろう」みたいに思っていました。実際にやってみて、責任感の違いっていうのを感じて。今までのヨットへの向き合い方とのギャップを感じるきっかけだったので、それは自分の中で大きな変化だったかなと思います。 なんかあったっけ、ハプニングとか。

松山 ハプニングで言ったら、僕が覚えているのは、1年生が 食事を作ることが多くて。みんなでミーティングの後に消灯までにご飯作ったりするんですけど、 ある同期の子が、みんなが切った人参を、そのままサラダに入れて(笑)。みんなでそれをまた回収したとか。そういうのが割と日常的で。

桔川 1年生の主な仕事として食事を作るってのがあるんですけど、まあ、トラブルは多発していて(笑)。

松山 最近は慣れてきたけどね(笑)。

河田 印象的な試合だと、この前の秋のインカレ(関東秋季学生選手権)で、選手とかじゃなくて、見てる側だったんですけど、 そこで見ててもその優勝しているのを見て、最後のレースの時に早稲田がトップだったの。どっちもトップで、最後、フィニッシュまで来て、見ていて、「おー、かっけー」って。僕はまだ選手とかになれるようなレベルにいないけど、「頑張ろうかな」みたいな。しびれますね。

――1年生はどんな雰囲気の学年だと思いますか

松山 明るい、仲良し(笑)。

桔川 分け隔てなく仲がいいのと、

松山 やる気もすごい。未経験者のやる気がすごい。

桔川 下級生はレース期間、練習できない時間が長かったりするんですけど、その中でも「どうやったらもっとうまくなれるんだろう」とか、考えてる人が多くて。お互い刺激し合えてるなって。あとは、柔らかい。柔らかいというか…

松山 あったかい。

桔川 そうそうそう。尖ってる人があんまりいない(笑)。他の学年と大きく違うのは、人数が

松山 多い。

桔川 その分賑やかさはあるかな。よく先輩方に言われるのは食事を作る役割で、結構先輩たちは、いやいやじゃないですけど、押し付け合いみたいな感じだったらしいんですが、僕たちは結構なんか積極的に、みんなで作ってて。

河田 みんなでやろうぜーって。

松山 みんな率先して動くっていうか、助け合うっていう感じがすごい。

河田 「同期ミーティングみたいなのした方がいいんじゃない」みたいな話もあるんですけど、なんか、僕たちはキッチンで。

松山 キッチンで解決できちゃってるんで。そのくらいいい雰囲気というか。いい人溜まりっていう感じ。

――3年後が楽しみですね

桔川 自分たちも楽しみです!

「…優勝します!」(松山)

笑顔で対談に答える河田

――先輩の印象はいかがですか

桔川 おー。河田、ちょっと代表して。

河田 先輩の印象? 2年生の印象は、丁寧にいろんなことを教えてくれてる。「去年自分たち困ったから、こういうところはもっと早くやっといた方がいいんだよ。」みたいなのを結構教えてくれるて。めちゃめちゃ頼りになるっていうか、一番近いし、結構話しかけてきてくれる感じもあるんでね。

桔川 3年は

河田 3年生の方がムードメーカーが多いかな。

桔川 みんながみんなじゃないけどね。

河田 3年生は…

桔川 すごいいろんなタイプがいて。みんないい意味で違うみたいな。一人一人が個性あるなっていう感じです。

河田 4年生は安定感が。

桔川 安定だね。「来年いなくなったらどうしよう感」が

松山 あるあるある。

河田 とりあえず「あの人たちがいればなんとかなるよねー」みたいな。

桔川 さすが4年生というか、頼りになる。すごい人たちです。

河田 いるだけで安心。

桔川 いなくなったらどうしよう(笑)。

――1年生ならではの大変なことはありますか

松山 朝食を早く起きてやるとか。

河田 荷物とかも、朝…

桔川 準備はだいたいそうね、1年生。レース期間中だと特になんかね乗れない時間とか多かったりして、もどかしいというか、そういう時期も多いのかなと。人数多いからまだいいんですけど、

松山 少なかったら

桔川 大変だよね、ヨットってすごく道具を使うスポーツなんで、荷物もたくさんあって、毎回の練習だけでもすごいたくさんの準備が必要で。それを大体1年生がやるので一番大変かなと。

――授業との両立はいかがですか

桔川 おー。それはもう松山に聞いてください。

松山 僕は前期はコマ数でいうと、月から金、1から5限があるとするじゃないですか。で、全部で25コマの中の21コマ埋まってる状態で前期過ごして。それで、製図課題も毎週出てて、みんな土日に製図室でやるんですよ。「僕はいつやればいいんだ」って感じで。日曜の練習終わってから徹夜してやってとか、そんな感じで。結構やばい生活しました。けど、前期はちゃんとフル単(すべての単位を取ること)でした。

桔川 (河田に)どうですか(笑)?

河田 僕は法学部で、忙しいとは言えない感じ。(コマ数も)半分も埋まってない感じ。単位は落としてしまいました。

桔川 両立のほどは

河田 両立はちょっとできてないかな…。おかしいよね。

桔川 ここに建築学科いるんで、自分もとても忙しいとは言えないんですけど。松山がさっき言ったみたいに、みんな土日であの課題やると思うんですけど、僕は結構必死に平日カリカリやって、気付いたら土日みたいな生活で。一応、 「合宿に課題を持ち込まない」っていう自分の中で目標があったんですけど、ちょっと持ち込みつつ、なんとか。

河田 僕は終わってない。

桔川 持ち込んでる率高いよね。

河田 持ち込んで、騒いでやってるのに、結局いつも終わらないっていう。

――大久保選手(優輝、創理4=東京・早実)も同じ建築学科だと思いますが、アドバイスをもらったりは

松山 たくさん頂きます! もう本当たくさん。「この科目はこう受けるんだよ」みたいな、「 こうやって乗り越えるんだよ」みたいな、生きる術を(笑)。

桔川 まともにやってたら…

松山 そう、まともにやってたらね、正攻法は無理なんで、教えてもらってますね。

――ライバル視してる選手はいますか

桔川 僕は服部選手(陸太、スポ2=神奈川・鎌倉学園)とずっとちっちゃい頃から一緒にやってて。今は僕が1つ下がったので1つ上の学年。全然あっちの方が今は(実力的に)上なんですけど、目指したいというか、いつか同じぐらいになりたいなっていう。そういう選手です。

河田 早稲田で、ランクをつけるんだったら、上に残りがいて、1人でポンみたいな感じなんで。早稲田の中には、「みんなすごいな」って感じで。どっちかっていうと、高校の同期。みんないろんな大学行ってるんですけど、 まだみんなレギュラーになれてない人たちも多いんですけど、そこには負けたくないかな。

松山 どうしよう。うーん、じゃあ、まるさん(田中丸武、商3=早稲田佐賀)で! 来年も4年生として、 僕ら470クルーを引っ張っててくれると思うので。まも憧れでありつつ。追い越せたら追い越すっていう心がけで頑張っていこうと思います。

――では最後に、全日本インカレ(全日本学生選手権)への意気込みをお願いします!

桔川 僕は基本的にサポート側として、いつでも代われる準備はしていきたいと思います。 選手たちがストレスを抱える中で、海の上でいかにいつもの状態でいられるかっていうのを心がけて、万全な状態で、望みたいなって思ってます。

河田 僕も選手じゃなく、サポート側でやると思うんですけど。4年生に「1年生何したらいいんですか」って聞いた時に、「空気がその下がんないように」「1年生はいつも通りムードをと保ってね」みたいなふうに言われたのもあるので、平常心で。あとは先輩たちの姿を見て、その学べるところはしっかり学んで、自分が来年とか再来年とか、自分の代になった時に生かせるような、何か学びを得たいなと思います。

松山 僕はありがたく選手として出させていただくんですけど、結構緊張しいなところもあるんで、 落ち着いて動作をして・・・うわ、どうしよう、考えてなかった…優勝します!

桔川 おー。

――ありがとうございました!

(取材 足立優大、落合俊、田島璃子 編集 田島璃子、宮島真白)

今後への意気込みを書いていただきました!

◆松山大祐(まつやま・だいすけ)(※集合写真左)

 2002(平成14)年8月7日生まれ。神奈川・逗子開成高出身。創造理工学部1年。470級クルー。普段からニコニコとしている松山選手ですが、早大内で忙しいとされる「3K」の一つ、建築学科で勉学にも力を入れているそうです!

◆河田大智(かわた・だいち)

 2004(平成16)年1月18日生まれ。神奈川・逗子開成高出身。法学部1年。スナイプ級スキッパー。対談では先輩方の印象についてたくさん話してくださいました。少しずつその姿に近づけるよう、今後に期待がかかります!

◆桔川翔太郎(きっかわ・しょうたろう)(※集合写真右)

 2002(平成14)年6月16日生まれ。英国・ACSインターナショナルスクールヒリンドン高出身。政治経済学部1年。スナイプ級スキッパー。幼い頃から国外におり、早大にも帰国生入試で入学したという桔川選手。対談のメンバーからは「何でもできる」と言われていました!