第3回はスナイプ級クルー4人による対談。昨年度から全日本学生選手権(全日本インカレ)に出場している芝崎鉄平(スポ4=東京・都立三鷹)、鶴岡由梨奈(社3=東京・立教女学院)に加え、クルーとしての実力だけでなく、スキッパーとしての腕も併せ持つ白石誉輝(スポ2=神奈川・深沢)、今年、急成長を遂げた河﨑元紀(スポ2=神奈川・鎌倉学園)にスナイプチームの雰囲気、全日本インカレへの意気込みを伺った。
※この取材は10月18日に行われたものです。
最近のマイブーム、一大ニュース
マイブームについて話す白石
――最近のマイブームを教えてください
白石 僕は女性のシンガーソングライターの曲を聴くのにハマっています。野田愛実という方なのですが、すごく歌が上手くてその人の影響でサザンオールスターズにもハマりました。
鶴岡 最近ではないのですが、基本甘党なので、よく甘い物を食べに行きます。また、グルメ旅などをしてオフを全力で楽しんでいます。コロナが落ち着いたらまた旅行にも行きたいですね。
芝崎 最近は主務が趣味になっていますね(笑)。ドライブもするのですが、今年は夏ぐらいから自分の就活もあって、忙しくてあまり出かけることができなかったです。
河﨑 他大の女の子を見ることですかね(笑)。
一同 (笑)。
河﨑 あと僕は釣りが趣味なのですが、なかなか本物の釣りには行けないので、Youtubeを見ています。特に『おろちんゆー』というYoutuberの動画を見ていて、釣りだけでなくキャンプにも行くので、自然を堪能(たんのう)した気分になれます。田中丸(武、商2=早稲田佐賀)とはその人の話ばかりしています。
――選手の意外な一面を教えてください
鶴岡 合宿生活をする時間が多いので、意外性は特にないかもしれないです(笑)。
白石 会う場所が限られているので、意外と感じることは少ないですね。私生活で会ったら(意外性を)感じるかもしれないですが。
芝崎 彼(白石)はこう見えて歌が上手いです。
白石 こう見えてとは(笑)。それこそさっき言ったのですが、サザン(オールスターズの曲)やVaundy(の曲)は歌いますね。歌いますと言っても僕は歌手ではないのですが(笑)。あとは海の上でペアを一緒に歌っていますね。
――今年のヨット部での一大ニュースなどありますか
河﨑 合宿所ができたことですかね。
鶴岡 合宿生活をしているといつもがイベントみたいな感じです。
白石 新艇が来たこと、合宿所ができたこと、藤倉廉(法2=早稲田佐賀)のご飯が不味かったことですかね。
芝崎 あれすごかった。大事件だよ、、
河﨑 ビーガン弁当(笑)。野菜だけのクリームシチューみたいな感じですね。
鶴岡 朝早くから作ってくれてるだけでもありがたいですけどね。
「クルーとして成長できた1年だった」(鶴岡)
今シーズンを振り返る鶴岡
――今シーズンを振り返ってみていかがですか
白石 例年と違ってコロナの関係で練習が削られてしまったので、もっと練習をしたかったというのはあります。
鶴岡 あっという間でしたし、自分自身としてはクルーとして成長できた1年だったなと思います。というのも、昨年はこたさん(松尾虎太郎氏、令3スポ卒=山口・光)という偉大な人と乗らせていただいていたので、それについていくだけで良かったのですが、今年はついてくだけでは駄目だと考え、コースの勉強を行いながらクルーとして艇を走らせる意識を強く持ったシーズンとなりました。あと合宿所も新しくなったので、生活水準も上がり女子の人権も出てきました(笑)。
河﨑 僕は9月入学で去年ヨットにほとんど乗っていなかったので、今シーズンはヨットの知識が0の状態で始まったようなものでした。なので、毎回の練習で課題が見つかる中でその度に成長できましたし、ひたすらがむしゃらにやってきた1年だったなと思います。いきなり1番艇のクルーとして乗らせていただいていたので、その期待に応えられるように頑張っていました。
白石 本当に誰もがそう言うくらいに頑張っていました。
河﨑 まあ大変な1年でしたね(笑)。
鶴岡 スナイプチームでも「(河﨑)元紀、頑張ってるよね」と言われるくらいにはがむしゃらにやっていました。
芝崎 自分は今シーズン、競技の方に集中できない時間が多くて、正直に言うと去年で成長が止まっているなと感じてはいます。ただ、その中でも服部(陸太、スポ1=神奈川・鎌倉学園)と乗っていて、向こうがまだ何も知らない状態から(スナイプのレース)が始まったので、この1年間、服部をどれだけ成長させられるかが来年以降につながると思っていました。なので、そこは考えながら2人で成長できればなと思ってやってきましたし、最近はやっとかたちになってきたとも実感しています。チームとしては、自分が出なくてもここにいる後輩たちが結果を残して成長しているので、そこは自分自身が今年1年間やってきた中での収穫だと思います。
河﨑 本当にいい先輩です。
鶴岡 主務がいないと部が回らないので、縁の下の力持ちな存在ですね。
白石 僕らが知らないことを陰でやってくれている印象が強いです。
――合宿所が新しくなって一番変化したことは何ですか
白石 乾燥室があることですね。乾いたウェットを着ることができる感動を味わいました(笑)。
鶴岡 ただ、異臭がすごいのでそこは課題ですね(笑)。
――現在のスナイプチームの雰囲気はいかがですか
河﨑 雰囲気はいいのではないでしょうか。
鶴岡 個の良さが出ていると思います。
芝崎 個性豊かだね。
河﨑 ダイバーシティですね。
白石 一人一人が長けたものを持っているので、それを生かしながら、足りないところはみんなで補っています。いい環境で練習できていますし、レースでもいい結果が残せています。個性が強い分、みんなで支え合っている感じですね。
――チームリーダーの蜂須賀選手(晋之介、スポ4=茨城・霞ケ浦)はどういった存在でしょうか
白石 それはスペシャリスト(河﨑)に聞きましょう(笑)。
河﨑 早稲田スナイプチームに欠かせない大黒柱ですね。レースでの安定感が誰よりも光りますし、早稲田の勝利のためには必要不可欠です。あとは本当にストイックだと思います。他のスキッパーのお手本になり、追いかけられるような人ですね。
白石 とても素直なんですよ。
鶴岡 背中で鼓舞してくれますね。しかも、後輩のこともすごく見ていて、スナイプチームの課題も考えてフィードバックしてくれるので、いいサイクルをつくり出してくれる先輩だと思います。
――背中で引っ張るという面では昨年の主将であった松尾氏とも似ているでしょうか
白石 こたさんを手本にしている感じはありますね。
――今年は470級では田中丸選手、スナイプ級では大久保選手(優輝、創理3=東京・早実)や河﨑選手が台頭してきています。何か飛躍の要因はあったのでしょうか
芝崎 大久保が伸びた要因としては、蜂須賀や尾道(佳諭、スポ4=山口・光)に食らいつこうという姿勢がずっと見られたことだと考えています。いろいろと言われてきたとは思うのですが、そこでも諦めずにやるべきことをやってきたからこそ、少しずつ結果が出ているのではないかと思います。田中丸や河﨑はクラスリーダーと乗る中で、厳しいことを言われながらも弱音を吐かずについていったことが成長につながっていると感じますね。
鶴岡 あとはチームで経験を最大化しようという傾向が強まったと感じています。昨年よりケーストラブルの共有が時間を取ってやっているので、その中で仲間から学ぶ文化が根付いてお互いにフィードバックを行いながら、よりよい改善策を模索する動きが効果的に機能したのかなと思っています。
「毎年成長を感じることができた」(芝崎)
色紙を書く芝崎
――芝崎選手にお聞きしたいのですが、この4年間を振り返ってみていかがですか
白石 そうですね、、
一同 (笑)
河﨑 お前(白石)も3年いるようなもんだけどね(笑)。
芝崎 いろいろあったのですが、ここまで来たらあっという間だったなという感じです。特に今年はとても早くて、毎年成長を感じることができたとも思いますね。何もできなかった1年時やヨットに乗り始めたけれどレースに出れなかった2年時、選手として活躍できた3年時があって今があるので、レースには出ないかもしれないですが、チームとして勝つことを考えられる4年生になっているのかなと思っています。
――4年間を通して、特に印象に残っている出来事は何でしょうか
芝崎 いろいろとあるのですが、昨年の12月くらいのネタが一つあります(笑)。
白石 この中で現場にいたのは僕だけですね。
芝崎 引っ越しの時に僕がトラックドライバーをやっていたのですが、、
河﨑 ゴツンですか。
白石 ゴツンじゃない、グサッって感じだった(笑)。
芝崎 後ろにマストを積みながら狭い道を運転していて、マストがちょうどトラックの横にあって、、
白石 これ大丈夫なやつですか(笑)。
芝崎 これはちょっとなしで(笑)。今と思えばいい思い出ですが(笑)。印象的にはやはり去年の完全優勝ですね。
――自分にとって早稲田大学ヨット部とはどういう存在ですか
白石 常に先輩や後輩、同期から学ぶことが1日1つはあって、自分自身が経験者として教える立場にある中で未経験者からの素朴な質問でも意外な発見があるので、自らに学びを与えてくれる存在です。
鶴岡 少し(白石)誉輝と被ってしまうのですが、挑戦し続けられる環境だと思っていて、選手としても人間としても成長できる場所ですし、チームとしても全日本インカレ優勝を目指す中で毎日、日々変化を追い求めて何かしらに挑み続けることができる存在だなと思います。
河﨑 組織の中で生活するので、人間性を大きく学べる場所だと思っています。あとは、(鶴岡)由梨奈さんも言っていましたが、毎日挑戦する課題が発生するので、そのおかげで怠惰な人間にならずに済んでいます(笑)。
一同 (笑)。
河﨑 ヨット部に入っていなかったら、ずっとYoutubeを見ていたかもしれないですね。
鶴岡 いろいろな人に支えられて活動ができているので、それが実感できるいい機会だなと思っています。ワークの仕事であれば下級生、主務のことであれば(芝崎)鉄平さん、運営であれば4年生、さらにはOB、OGさんなど様々な人が支えてくれているので、身をもってそれを知れる場所だなと感じています。
芝崎 家にいる時間と同じくらい合宿所で生活をしているので、もう一つの家みたいな感じですね。それくらい大きな存在でした。
「最高の瞬間を4年生と共有したい」(河﨑)
色紙に書いた抱負について説明する河﨑
――全日本インカレのカギを握る選手を教えてください
白石 僕は3年生の(大久保)優輝さんがカギを握っていると考えています。理由としては蜂須賀さんと佳諭さんの成績が安定している一方で優輝さんは安定さに欠けるので、この全日本インカレでどれだけ順位を崩さないかだと思います。やはり3番艇の順位の安定が優勝に大きく影響を及ぼすので、優輝さんがキーマンだと思います。
鶴岡 同じく大久保で、1番艇、2番艇が走れば勝てる大会ではなく、いかに3艇まとめて順位を安定させられるかが重要なので、そこは大久保がカギを握っていると思います。
河﨑 同じくです。
――最後に全日本インカレへの意気込みをお願いします
鶴岡 まずは総合優勝を果たし、2連覇を成し遂げたいです。加えて、クラス優勝もしたいですし、何よりも1個上の先輩は私自身が入部した時からいる存在で3年間支えてきてもらったので、恩返しができるようにしたいですし、最後、蒲郡の地で笑顔で先輩方を送り出したいですね。あと去年みたいに主将を胴上げしたいです!
白石 みんな思っているのですが、総合優勝をして連覇を果たしたいです。加えて、自分はスキッパーとクルーを行き来する中で佳諭さんというとてつもなく上手な先輩と一緒に乗らせていただいて、いい経験をさせてもらっているので、全日本インカレの本番でも常に先輩から学び続ける姿勢で臨みたいなと考えています。
河﨑 もちろん目標は総合優勝で、クラス優勝です。僕も最後まで学ぶ姿勢を忘れずに、最後の1レースまで成長することを考えたいです。4年生にはヨットのノウハウや知識を教えていただき、大変お世話になってきた方々なので、最後、感謝も込めて一緒に喜びたいですし、最高の瞬間を共有したいなと心から思います。
芝崎 もちろん2連覇、総合優勝は必ず取りたいですし、スナイプクラスは優勝できる力を持っていると思います。470は日大に対し力負けしているところも見受けられたので、やはりスナイプが引っ張っていくことが必要だと考えていますね。あとはこの4年間の集大成となるので、最後いいかたちで終えられるようにしたいです。来年以降の3連覇につなげられるように頑張っていきます。
――ありがとうございました!
(取材・編集 足立優大)
ポーズを決めていただきました!
◆芝崎鉄平(しばさき・てっぺい)(※写真中央前)
1998(平10)年4月12日生まれ。172センチ。東京・都立三鷹高出身。スポーツ科学部4年。主務として様々な仕事を任される芝崎選手。レースでは、クルーとして1年生の服部選手を支えています!
◆鶴岡由梨奈(つるおか・ゆりな)(※写真右奥)
2000(平12)年10月16日生まれ。東京・立教女学院高出身。社会科学部3年。スナイプ級クルー。今年の6月には早稲田アスリートプログラム褒賞において最優秀学業成績個人賞を獲得した鶴岡選手。学業、部活共に成果を残し、まさに文武両道を体現しています
◆河﨑元紀(かわさき・げんき)(※写真中央奥)
2001(平13)年10月12日生まれ。170センチ。神奈川・鎌倉学園高出身。スポーツ科学部2年。スナイプ級クルー。最後まで諦めなければ結果はついてくるということから、色紙には『為せば成る』と記してくれました。ひたむきに努力を続ける2年生クルーがチームに勢いをもたらします!
◆白石誉輝(しらいし・たかき)(※写真左奥)
2001(平13)年5月8日生まれ。177センチ。神奈川・深沢高出身。スポーツ科学部2年。スナイプ級クルー。色紙にはヨット用語で調節を意味するトリムを大事にしたいということから、『トリム命』と書いてくださりました。スキッパーの走りを助ける活躍に注目しましょう!