今回登場するのは、川合大貴(商4=埼玉・早稲田本庄)、松本健汰(政経4=東京・早大学院)、大久保優輝(創理3=東京・早実)、田中丸武(商2=早稲田佐賀)の4人。彼らの共通点は早稲田大学の附属高・系属高の出身であること。早稲田との関わりが深い彼らは、早稲田にどのような思いを抱いているのか。2連覇を目指す大会を前に何を思うのか。4人の胸中に迫る。
※この取材は10月22日にオンラインで行われたものです。
附属高・系属高出身の4人
質問に答える松本
――まず初めに自己紹介をしてください
松本 松本健汰と言います。学部は政治経済学部で、出身校は早稲田高等学院出身です。あだ名は松本健汰という名前なので『マツケン』と基本的には言われています。
川合 川合大貴と申します。早稲田本庄高等学院出身で、商学部の4年です。あだ名は『川合ちゃん』か、それをちょっと長いと思う人には『チャン』と呼ばれています。
大久保 創造理工学部建築学科の大久保優輝です。出身校は早稲田実業です。あだ名は特になくて『大久保』って呼ばれています。
田中丸 田中丸武です。出身校は早稲田佐賀高校です。学部は商学部で2年生です。あだ名は『まる』と呼ばれることが多いです。
――ご自身の出身校の良いところを教えてください
松本 男子校なので仲が良くて、楽しくストレスない高校生活が送れたと思います。恋愛とかもないので(笑)。
川合 なんでも自由なところですかね。何をしても基本的には怒られないところが良いかなと思います。
大久保 個性溢れる人が多くて、明るい人が多いです。僕は12年間早稲田なのですが、家族みたいに仲良い人もいます。/p>
田中丸 田舎なので自然があるところと、寮があるので寮に入ったらめちゃめちゃ友達と仲良くなれるところが良いところかなと思います。
――ヨット部で活動していて、附属高・系属高で良かったと思うことはありますか
松本 他の附属にはないのですが、学院だけヨット部があって、そこでヨットに触れてから大学で本格的にヨットを始めたという感じです。そこでのつながりや、知識などは川合ちゃんや他の選手よりはあったので、そこは良かったのかなと思います。
川合 附属高だったからこそ、授業で助けてくれる友人もいて部活に専念できたというところが良かったと思います。
田中丸 早稲田佐賀から3人(ヨット部に)入っているのですが(経緯としては)1人が入って、あとの2人を誘ってくれて3人で入部することができたので、(早稲田佐賀の)友達がいたから、ヨット部に入れたと思っています。
大久保 僕も川合さんと一緒で、勉強や学校の情報などで手伝ってくれる人がいるので、助かっています。
――建築学科は大変という印象ですが
大久保 めっちゃ大変です。建築は大きく分けて4回1年に課題提出があるのですが、ちょうど昨日課題が終わりました。その授業を落としてしまうと留年してしまうので、それだけは気をつけています。
今年を振り返って
取材に応じる大久保
――昨年インカレ優勝を果たしましたが、今シーズンはどのような気持ちで臨まれましたか
川合 一昨年負けているので、昨年は挑戦する立場でした。しかし、昨年は優勝したので今年は追われる立場だということで、他の大学よりも練習の質や量を意識的にあげていくことを意識しました。
松本 川合ちゃんもですが、僕も昨年はレギュラーで優勝することができて、そこからまた1年間あるということでそこは自分たちで引き締めて、モチベーションを高く保つことを意識していました。やはり(それまでと)同じことをしていたら埋もれてしまうということは言われ続けていたので、何か新しいことをしたり、みんなで話し合ったりすることを大切に1年間やってきたと思います。
大久保 僕は新しい代になってからレギュラーが誰になるかということを考えて、自分がレギュラーに入るとしたらインカレを経験していない選手になります。自分の個人の実力につながるので、自身の実力アップに着目して、練習していました。また、来年自分が一番上になるので、周りを見て行動できるように努力していました。
田中丸 僕は昨年1年生だったので、4年生の先輩方が優勝していて、その時はただただ「すごいなあ」ということを思っていました。実際に自分が乗るようになっていって、自分がレギュラーになれるかということは全く考えていなかったのですが、先輩と乗ることで少しずつ上達できるようになってきました。
――各チーム今季をここまで振り返っていかがでしょうか
松本 470チームの話をすると、470は今季も日大がかなり強くて、日大との差がしっかりとレースの数字で出てきてしまっています。その差の部分を仕上げていかないと、インカレも厳しい戦いになると自分たちは分析しています。今年もしっかり公式戦で総合優勝はできているのですが、手応えという部分で470がもっと引っ張っていかなければいけないという焦りのようなものは、この1カ月くらい持っていますね。
川合 スナイプチームとしても大会は勝てていることが多いのですが、取れる点数を取れておらず、点数を取ってしまう試合がかなりあるので、そのようなことを一つ一つ改善して、インカレでは無駄な点数を取らずに勝ちにいけると良いと思っています。
――川合選手と松本選手は最後の夏合宿でしたが振り返っていかがでしたか
川合 色々あって楽しかったです。
松本 きつい練習もあって大変なところは大変でした。合宿所が移転したことなどもあり、なかなか練習に集中できないこともあって、一概に楽しいとは言えない夏でした。
――今年の部の雰囲気はいかがですか
田中丸 どの代も同期だけで仲良いという感じではなくて、みんなで1年生から4年生まで学年関係なく、仲良くしていただいています。雰囲気は良いと思いますね。
大久保 僕もまると同じことを思っていて、上下関係はあるのですが、上級生と下級生の仲が良いです。また、オンとオフもはっきりしていて雰囲気はとても良いと思います。
松本 メリハリがあるチームかなと思います。やるときは練習に集中して、オフの時はみんなで仲が良いです。オンとオフがしっかりしていて、良いチームだと思います。
川合 そうですね。付け加えるとしたら、1年生と2年生にやかましいのがいることくらいですかね(笑)。
――田中丸選手は同期にそれを感じますか
田中丸 ちょくちょくいます(笑)。でも、そういう人がいてこそ、雰囲気が明るくなることもあるので良いと思います!
――自分の強みは何だと思いますか
川合 メンタル面で言うと、順位が悪くてもあまり悲観的にならないところです。大久保と僕はペアなのですが、レース中の順位が悪い時にも「頑張ろうぜ」と話したりするので、そのようなところですかね。
大久保 そこは本当に助かっています。(僕は)順位が悪いと気分が落ちてしまうこともあるので、川合さんに修正してもらうことが多いです。
――そんな大久保選手の強みは何でしょうか
松本 僕は今年練習してうまくなったと思うのですが、まだ調子に幅があります。調子が良い時は前を走れることが多いのですが、自分の波をインカレに合わせて、調子の良い走りができたら、それが自分の強みになると思います。また、スナイプチームは蜂須賀さん(晋之介、スポ4=茨城・霞ヶ浦)と佳諭さん(尾道佳諭、スポ4=山口・光)の上二艇が、関東ではずば抜けているような技術を持っています。そこに少しでも追いつけるように、あと少ない期間頑張りたいと思います。
――他の方はいかがですか
松本 役職などはついていないのですが、その分周りを見るというか、チーム全体を見て今どのような課題があるのかを考えています。そこはチーム全体にとってもの自分の強みと言いますか、自分が生かせる部分だと思っているので、そこは最後までやっていければ良いと思っています。
田中丸 失敗した時などに深く考えすぎずに、次の方向を考えるということを意識しています。また、今は4年生のクルーが3人いらっしゃって、その方たちと僕の技術の差がすごくあります。そこは4年生が抜ける前にどのような技術を持っていて、どうしたらその技術を身につけられるのかということは注意して見るようにしています。
ヨットを離れた4人の素顔
笑顔を見せる田中丸
――最近の趣味は何ですか
松本 僕は3カ月くらい前からサウナが好きになってしまって、サウナが趣味だと断言できますね。家の近くのジムについているサウナがとても空いていて、そこのサウナに通うようにはしています。引退したら全国のサウナに行くということが楽しみではあります。
田中丸 仲の良い友人4人くらいと車で田舎に行って七輪を購入したこともあって、それで食材を買って焼いて食べるということをよくやっています。最近は秋刀魚を焼きました。
大久保 僕はサーフィンです。オフの日には3個上の先輩と近くの海に入ったりしています。サーファーもどきです(笑)。
川合 趣味はないのですが、最近は東京に行かなければいけない用事が多いので、美味しいものをインスタグラムで探して一人で食べています。一昨日は日本橋でハンバーグ食べました。
――ヨット以外の悩みはありますか
松本 最近は卒論を書かなければならないのですが、卒論のテーマが決まっていないという悩みがあります。悩みを超えて圧力を感じています。気持ちがもやもやしていますね。
川合 俺も卒論のテーマやばいです。今月末にテーマを決めろと言われたのですが、絶対無理です(笑)。
――他の方、悩みはありますか
大久保 いつも悩みはないタイプなのですが、強いて言うなら課題くらいですかね。
田中丸 僕もそんなにないのですが、来週オンラインテストがあるので、大丈夫かなと思っています。
松本 そんなまる大変じゃないでしょ(笑)。大久保と同じ感じで言っているけど。
田中丸 僕にとっては大変です(笑)!
――自分の学年のカラーを教えてください
田中丸 2年生は2年生同士で仲が良いです。2年生で固まって部活を楽しんでいます。
大久保 3年生はこの3年間で一回も遊んだことがなくて、仲は良くないのですが、逆にその関係があることで妥協し合わないです。互いに厳しいことを言えるので、部活としては良い関係です。
松本 3年生はいつもケンカしているもんね。仲が良いところ見たことない(笑)。
――4年生はいかがですか
川合 4年生はかなり遊んでいますね。他大とも仲が良いですし、先輩後輩とも仲が良いです。色々な人と遊んで楽しくやっている人が多いかなと思います。
松本 僕らは仲が良いですね。一言でいうならば。3年生よりは2年生と雰囲気は似ているのかなと思います。
「必ず優勝したい」(川合)
全日本インカレへの思いを語る川合
――みなさんは高校も早稲田ですが、早稲田への思いはどのようなものですか
大久保 早稲田愛は誰よりも強いですね。あと、えんじ色が好きです。早稲田は自分の居場所だと思っています。友達も部活も早稲田がメインで。今までずっと早稲田で生きてきたので、自分の居場所ですかね。
川合 僕も(大久保と)一緒ですかね。オフの日は早稲田の人と遊ぶことが多いので。故郷ですね。
松本 僕も基本的には同じです。早稲田=自分みたいなところはあります。人生で記憶があるうちのほとんどは早稲田で過ごしているので、自分のアイデンティティなど色々なものは早稲田でかたち作られていると感じます。早稲田は自分そのものですね。
田中丸 早稲田佐賀はかなり遠いので近しい感じではありませんが、部活に入ってから「早稲田としてこう在らなければいけない」ということは言われるので、模範というか指針のようなイメージを持っています。
――現在自分で足りないと感じている部分は何でしょうか
松本 ペアの課題でそもそも順位が悪いレースを作らないということもありますが、順位が悪かったレースでうまくいかないところからの修正力が課題だと思っています。ヨットはどうしても前を走っている艇が有利で一回抜け出してしまえば、楽に良い順位を自分たちは取ることができます。しかし、順位が悪い時に自分たちが落ち着いた動作をして、確実に風を拾うということを課題に感じているので、そこをどれだけ詰められるかというところが、インカレの安定した順位につながると思っています。
川合 僕はコミュニケーションですかね。大久保と一緒に乗っていて、大久保が走ることに集中している時に、風の情報や他の船の情報を伝えられていないことが多いのでそこが1番の課題だと思います。
大久保 僕は例えば1日目の1、2レースが悪いとその日もぽんぽんと悪いレースを取ってしまうことが課題です。修正ができていないので、1、2番艇でその日の船の情報だったり、船を早く走らせるためのセッティングだったりを上二艇に聞いて、悪いところをなるべく1日で修正できるようにすることが今の課題です。
田中丸 僕はまだ周りを見て情報をスキッパーの方に伝えるということができていなくて、かなり目の前のことに集中してしまうことがおいです。全体を考えながら乗らなければいけないと思います。
――全日本インカレまで残り2週間ですが、実感はありますか
松本 昨年も同じようなことを言っているのですが、ここまでかなりあっという間に終わってしまって、(2週間後が)全日本インカレだという実感はまだありません。僕は試合の前日に緊張してしまうのですが、今は全くしていないですね。
川合 僕も緊張とかはしていないです。月曜日から(蒲郡に)行くので、そこからチームとしても変わっていくのかなと思います。
田中丸 僕も本当にあっという間だと思っていて、4年生の先輩たちがあと2週間くらいしかいないということを考えても、実感が湧かないですね。
大久保 僕も4年生が抜けてしまうことがすごく悲しいです。でも、そんなこと考えていても無駄なので、インカレ前にモチベーションを高められるように、もうすでに高いのですが、変に上がらず冷静に頑張りたいと思います。
――インカレ優勝へのキーマンはどなたでしょうか
松本 プレッシャーをかけるわけではないですが、僕は大久保くんをキーマンとしてあげておきます。
川合 一緒の船に乗っているので、大久保ですかね。僕らのところが足を引っ張ってしまっている部分があって、僕らの走りにチームの勝利がかかっているところもあるので、大久保がキーマンです。
田中丸 僕も大久保さんかなと思うのですが、さすがに面白くないので…。僕と河崎(元紀、スポ2=神奈川・鎌倉学園)は初出場なので、二人で頑張っていきたいと思います。
大久保 僕は蜂須賀さんですかね。部内では圧倒的な実力を持っていて早稲田のエース艇なので、蜂須賀さんが部の優勝に大きく関わってくると思います。僕の名前も挙げてもらったのですが、なるべく調子良く走ってチームに貢献できるように頑張りたいと思います。
――インカレへの意気込みを教えてください
川合 僕は大久保と女の子(の3人)でペアを組んでいて、風が強い時は僕、弱い時は女の子という感じで走ります。今年のインカレは蒲郡で強い風が吹くことが多いので、出番も多くなると思いますが、そこでも一つ一つ失敗しないようにしながら、必ず優勝したいと思います。
松本 自分にとっては最後のインカレになるので、ヨットを始めて7年ほどになるのですが、その7年間が無駄じゃなかったと自分の中で思えるように悔いなく終えたいと思っています。その上でチームとして総合優勝したいです。
大久保 僕はセレクションではないのですが、スナイプのスキッパーになりました。当時は早稲田の他のスキッパーと比べて実力はなかったですが、蜂須賀さんと佳論さんに1年の頃から手取り足取り教えてもらったので、最後優勝して引退してもらえるように頑張りたいです。これからは100%頭を部活に切り替えて頑張りたいと思います。
田中丸 僕はヨットを初めてまだ短いので、ちゃんと今まで教わってきたことを本番でしっかりできるように、自分のできることをしっかりやって(4年生に)気持ち良く終わってほしいと思います。
――ありがとうございました!
(取材・編集 足立優大、内海日和)
色紙を書いていただきました
◆川合大貴(かわい・まさき)(※写真左端)
1999(平11)年8月24日生まれ。164センチ。埼玉・早稲田大学本庄学院出身。商学部4年。スナイプ級クルー。インスタグラムでお店を探して、おいしいものを食べることが最近の楽しみだという川合選手。インカレの会場となる愛知県蒲郡で、見事インカレ二連覇を果たしとびきりの笑顔を見せてくれることでしょう!
◆松本健汰(まつもと・けんた)(※写真中央左)
1999(平11)年9月9日生まれ。172センチ。東京・早大学院出身。政治経済学部4年。470級クルー。最近はサウナに凝っているという松本選手。サウナでととのってまくっているそうです。4年間の全てをこのインカレでぶつけます!
◆大久保優輝(おおくぼ・ゆうき)(※写真中央右)
2000(平12)年4月30日生まれ。175センチ。東京・早稲田実業高出身。創造理工学部3年。スナイプ級スキッパー。体育会部活では珍しい理系学部所属の大久保選手。やはり理系学部の課題と部活の両立は簡単ではないそう。スナイプスキッパーとしてたくさんお世話になった先輩方のために、蒲郡で戦い抜きます!
◆田中丸武(たなかまる・たける)(※写真右端)
2001(平13)年6月26日生まれ。178センチ。早稲田佐賀高出身。商学部2年。470級クルー。3人からは「まる」というあだ名で呼ばれている田中丸選手。最近は七輪を購入して、秋刀魚を焼いたそう。初めてのインカレの舞台で、最後まで勝利を追求し続けます!