【連載】全日本インカレ直前特集『4EVER』第2回 坂上宗輝×松尾虎太郎

ヨット

 第2回に登場するのは、坂上宗輝(政経4=東京・早大学院)、松尾虎太郎(スポ1=山口・光)の1、4年生コンビだ。愛知・蒲郡で行われた全日本学生個人選手権(全日本個選)で2位となり、『スーパールーキー松尾』の名前を全国に知らしめたのが8月のこと。それ以降スナイプ級の絶対的な2番艇としてチームに貢献してきた。そんな松尾を入部当初から支え続けてきたのが経験豊富なクルー坂上だ。1年生と4年生。スポーツ推薦入学者と未経験者。一見対照的だが、海の上では抜群のコンビネーションを披露する二人に、全日本学生選手権(全日本インカレ)を直前に控えた心境を伺った。

※この取材は10月19日に行われたものです。

「宗輝さんが一番」(松尾)

入部から今までを振り返る松尾

――松尾選手は春に入部してからここまでを振り返っていかがですか

松尾 今年は、僕の中ではとりあえずレギュラーを獲れたらいいかなくらいの気持ちで最初はやっていました。でも予想以上にうまくいって、ヨットも自分が想像してた以上にうまくなっているのを身をもって感じているので、今はとても充実した生活を送れていると感じています。スナイプだけじゃなくて470級のクルーやスキッパーもやらせていただいて、いろいろなことができて成長した半年だったと思っています。

――坂上選手は昨年の全日本インカレ後に新チームが発足してからここまでをどう振り返りますか

坂上 最初は自分たちが一番上(の学年)になって、選手というより部の運営の方がすごく大変で、そこで結構バタバタしていて下級生にも迷惑をかけてしまったんですが、それが春、秋につれて徐々にチームとしてまとまってきていると思うので、そこはよかったです。

――お二人で組み始めたのはいつからなのでしょうか

坂上 僕は3月10日から練習に参加したのですが、その日から組んでいます。

――坂上選手は昨年に続いて1年生とのペアですね

坂上 そうですね。まあそんなに1年生だからといって何か意識していたわけではないんですけど、まあ入ってくる前から速いっていう噂は聞いてたので、最初はこっちがビビッてましたね(笑)。

――組み始めてから成長を感じるところはありますか

松尾 お互いすごく成長していて、今は宗輝さん以外のクルーと乗るのは考えられないくらいです。宗輝さんが一番!(笑)。宗輝さんは僕が何も言わなくても僕がやってほしいことを全てカバーしてくれるので、すごくいいペアなんじゃないかなと思います。

坂上 最近は連携がしっかりできるようになってきたんですけど、松尾の方がヨット歴は長いですし、どうしても僕が迷惑をかけてしまうこともまだまだ多いので、あと乗るのも数回なのですが、集中していきたいと思います。

――8月の全日本個選では2位という結果でしたが、それについてはどう振り返りますか

松尾 全然2位なんて取るつもりで行っていなかったです(笑)。僕らはそれまで順位とかは意識してやっていなくて、全日本個選では10位以内とか、入賞を目指してやっていたんですけど、実際に蒲郡に行って走ってみたら、自分たちも実力で前を走れるというのが分かったし、全日本個選以降は社会人もいるレースでも結果を残せるようになったので、全日本個選は自分たちに自信を持たせてくれるいいきっかけになりましたね。

坂上 僕も同じく全日本個選で2位を取るとは思っていなくて、まあ頑張って入賞できればいいなという気持ちで臨んでいたんですが、でも内容はともかく結果がついてきたので、すごくうれかったです。そこでタイトルに近いものが取れて、そこから今までいい感じで来れたかなと思います。

――今季のスナイプチーム全体の戦いぶりはお二人にはどう見えていますか

坂上 毎年そうなんですけど、3番艇がどれだけ走れるかというのが総合優勝、クラス優勝を目指す上で大事なポイントになってきて、今年も最初は礼(永松、スポ4=大分・別府青山)以外は横一線だったので、2、3番艇は決まっていなかったのもあって、僕らも「レギュラーを獲るぞ」っていう気持ちで頑張れた部分はあります。あとはやっぱり入江(裕太、スポ2=神奈川・逗子開成)と岩月(スポ3=愛知・碧南工)の競争がすごくチーム全体を活性化してくれて、いい競争関係の中で、誰が出ても走れるような状態になっていると思います。

 僕は今までがどうだったか分からないんですけど、今年は4艇が全て全国トップレベルにあって、その中から3艇を選ぶっていうかたちなので、レギュラー争いも激しくて練習からバチバチなんですけど、そういう環境にいるからこそ全員がレベルアップできて、秋インカレ(関東学生選手権)でもいい成績で勝てて、そういう普段の練習環境からいい状況にあるんじゃないかなと思います。

「寒さに強い、くらい?(笑)」(坂上)

対談でも息の合った掛け合いを見せてくれた

――少し話は逸れますが、坂上選手がヨット部に入ったきっかけを教えてください

坂上 僕は高校時代はボート部で、最初は大学でもボート部に入るつもりだったんですけど、高校でクラスも部活も一緒だった深田(龍介主務、政経4=東京・早大学院)がヨット部の試乗会に行くという話を聞いて、自分も選手でやっていける部活がいいなとはずっと思っていたので、僕も行ってみました。その後も試乗会に行ったり、話を聞いたりしている中で、ボート部よりヨット部の方が自分が選手で出れる確率は高いのかなと思って、本当にそれだけで選びましたね。

――ボート部時代の経験が生かされていることはありますか

坂上 いやー、あんまりないかな・・・寒さに強い、くらい?(笑)

松尾 絶対言うと思った(笑)。

坂上 動きは全く違うので、(ボート競技の経験が)生きてくることはないんですけど、ボート部の頃からめちゃめちゃ寒い中で練習していたので、他の人よりは寒さに強いかなとは思います(笑)。

――松尾選手が早大への進学を決めた理由は

松尾 僕は高校は光高に進んだんですが、その理由は当時光高にいた小泉維吹っていうやつと組んで世界大会でメダルを狙おうということで、そしたら僕が光高に入ったタイミングで維吹の兄の颯作くん(小泉、平28スポ卒=現トヨタ自動車東日本)が早大に入って、颯作くんにあこがれてその時点からワセダがいいなと思っていました。高校でヨットをやっていたら早大から声をかけていただいたので、まあ早大以外興味もなかったですし、早大に入りました。

――松尾選手がヨットを始めたのはいつごろなのですか

松尾 小学2年の時ですね。父がヨットをやっていたのもあって無理やり連れていかれたんですけど、最初は本当にヨットが嫌いで、でも広島のヨットハーバーに行けば芝生でサッカーができるので、それを楽しみにヨットに行ってました。気づいたらヨット一本になってましたね(笑)。

――では本格的に競技に入っていったのはいつからなのでしょうか

松尾 いつかなー・・・小学6年の時にたまたま全国大会で優勝して、日本代表になったので、それ以降はヨットをやらざるを得ないというか、ヨットにハマったのかな?まあ今でもヨットにハマってるわけじゃないんですけど(笑)。

――早大ヨット部は未経験者、経験者、スポーツ推薦入学者のバランスがいいという印象ですが、お二人はどう思いますか

坂上 これまで3年間ヨット部で過ごしてきて、インカレで勝った後に思うのは、やっぱりそういう未経験者がすごく重要だなということで。早大は例年すごくいいスキッパーが入ってくれるので助かっているんですけど、その中でも経験者にはない、未経験者なりの意見というのが随所で取り入れられてるというのを感じています。セーリング技術は経験者たちが教えてくれますし、陸での仕事とか日常生活でもお互い成長し合えるというか、違う考え方や意見を持つ人が集まっているのはすごくいいことだなと思いますね。

松尾 僕が思うのは、みんな頭がいいなということです(笑)。陸の上でのこととか、自分は任せっぱなしで、そのおかげで自分としては海の上ではヨットにめちゃくちゃ集中できますし、陸の上での作業などはみんな優秀だなといつも感じています。自分はバカなんですけど(笑)、チームとしてのバランスがいいのでうまくいっていると思います。

――部活動と学業との両立は大変だと思いますが、それに関してお二人は大丈夫でしょうか

坂上 僕は1年の春は学部のカリキュラム的に大変だったのですが、まあ一回要領をつかんでしまえばあんまり勉強がつらいと思ったことはなかったですね。僕は勉強と部活の両立に関しては問題なかったです。

松尾 僕は勉強は嫌いなんですけど、大学に行くのは好きなので、毎日学校に行って、授業も分かっているかと聞かれると怪しいんですけど(笑)、ちゃんと出席しているので、まあなんとかなってます。単位も大丈夫でした!

――今年からマネージャーが4人体制になり、合宿所のご飯がおいしくなったとの声が多く聞こえるのですが、お二人はどう感じていますか

坂上 そうですね。僕らが1年の時はカレーとかスープみたいな感じだったので(笑)、それに比べると今はマネージャーが入ってくれたのもあって、夜もおいしいご飯が出てくるのはすごく楽しみです。

松尾 去年までのことは分からないんですけど、すごくおいしいですよ!練習終わって疲れたーってなっても楽しみは夜ご飯しかないので、それが楽しみで練習頑張ってます。

――一番おいしかったメニューはなんですか

松尾 あれじゃないですか?チーズが乗ってるやつ。

坂上 あーそうだね。タコライスみたいなやつ。あれおいしいね。

松尾 ご飯にケチャップとひき肉みたいなのが乗ってて、その上にチーズが乗ってて、それが良い感じに溶けてて・・・あーなんかおなかすいてきた(笑)。

坂上 海の上で食べるとよりおいしく感じます。

――坂上選手は全日本インカレを最後に引退されますが、引退後、楽しみにされていることはありますか

坂上 友達と旅行に行くだとか、あとは毎年学生マッチの対抗レースがあるので、最後に出て同期で楽しみたいとは思っているのですが、今はインカレで手一杯であまり後のことは考えていませんね。

――松尾選手は大学に入学してから今まで大変だったことはありますか

松尾 部活は基本的に全部大変(笑)。でも高校の部活よりは全然楽なんですけど、朝4時に起きてご飯を作ったりとかも辛いし、着艇後、疲れているのにいろいろしたりするのも辛いです。でもそれは今の4年生も1年生から部員全員がやっていることなので、辛いけどこれを乗り越えていくしかないと考えています。辛いけど気づいたら終わっているので大丈夫です。

――4年生と1年生は学年の雰囲気が似ているとの声もありますが、お互いどんな学年だと思いますか

坂上 2年生は同期がすごく仲が良くて、僕らの代は仲は悪くないのですが、部活が終わったらみんなバラバラみたいな感じで、部活のときだけわいわいやっている感じです。1年生はちょっとどうかわからないですけど、似ているんですかね。あまり僕は感じたことがないんですけど。4年生は他の学年と比べても、僕は結構普通な方なんですけど、わりかし個々人の色がかなり強いです。それはきょねん、おととしくらいからそうだったんですけど、一人ひとりの個性が強いというのはあるので、バラバラになったら危ない学年かなとはずっと思っていたんですけど、ここまでちゃんと1年間、自分たちの代がなんとかやってこられて本当に良かったと思っています。

松尾 1年生もたぶん個人個人がすごいバラバラって言ったらあれなんですけど、僕らもそんなに部活が終わってからみんなで何かするっていう訳でもなく、僕がそんなにあまり部活のみんなと一緒にいるっていうことがない。もう部活で嫌なくらい一緒にいて、別に私生活から一緒にいるというタイプでもないのでそんなに部活生とは一緒にいないです。でもみんなすごく仕事ができる人たちばかりなので、みんながバラバラでも、結局やらなければいけないことはそれぞれが分かってやっていけているので、なんとかなっていると思います。これからあと3年間あるので、もしもなんかあるようだったらもう一回まとめられるくらいじゃないとやばいかなみたいな。ちょっとまだ全然わからないですが。とりあえずでも、みんな仲が悪い訳ではなくてみんな普通に仲はいいです。それぞれがそれぞれのことをちゃんとやっているみたいな感じ。僕が一緒にいないだけかもしれないんですけど(笑)。

坂上 周りは(一緒に)いるかも?(笑)

松尾 周りはたぶん結構いると思うんですけど、僕は完全にいつも一人で。僕あんまり部活の人と全然いないですよね?特に同い年の人と。

坂上 わりかし4年といる方が多いよね。

松尾 はい。奎樹さん(岡田主将、スポ4=佐賀・唐津西)とか礼さんといることの方が全然多いですね。全然嫌いな訳じゃないんですけど、(1年生とは)あんまり一緒にいないです。

――今年のインカレは福井での開催ですが、そこで楽しみにされていることは何かありますか

坂上 楽しみというか、寒いのでとりあえず本当に晴れてくれと思っています。楽しみは宿のご飯とかですかね。日本海なのでお刺身とか出てきたらおいしいかなみたいな。それぐらいですかね。

松尾 僕も福井に楽しみはあまりないかな・・・。

――1年生が芸をやるというのを噂には聞いたのですが

松尾 え、いつですか?

坂上 知らない(笑)。俺らの代は芸というか、ちょうどハロウィンの時期だったから、ハロウィンの仮装して選手の部屋に行った。

松尾 えー(笑)。僕もやらないといけないんですかね?

坂上 それはもう。わかんないけど。

松尾 ことしもハロウィンですね。

坂上 うん、毎年ハロウィンだよ(笑)。

松尾 (福井での)楽しみは全然ないんですけど、僕と颯作くんがひそかに楽しみにしているのは、近くにサーフスポットがあるので、どんな波が立っているのかを見るのが楽しみです。たぶん苦しいレースになるので、ただただ耐えるだけになります。でもヨットのレース自体は僕好きなので、ヨットのレースをするのはすごく楽しみです。練習は嫌いですけどレースは好きです(笑)。

「最後みんなで笑って終わりたい」(坂上)

4年間の思いを語る坂上

――全日本インカレまであと1カ月を切りましたが、今はどのような心境ですか

坂上 1年生の頃から考えると、長かったようで結構ここまであっという間だったかなと思っていて、インカレまでの練習もそんなにないですし、あとほとんど4日間のレースだけなので、これまでやってきたことをしっかり出せれば結果がついてくるかなとは思っています。僕らの代は1年生からインカレで負けたことがない代で、一度もインカレの地から負けて帰ったことがないので、ことしも勝って帰りたいという思いであとちょっと頑張ろうと思っているので。インカレは内容も大事だとは思うんですけど、結果が本当に全てなので、みんなで優勝して最後は笑って終わりたいなと思っています。

――坂上選手としてはレギュラーとして迎えるのは初めてだと思いますが、これまでとは違う部分は何かありますか

坂上 3年生までずっとサポートのボートからインカレを見てきたので、今年初めてその舞台で虎太郎と一緒に乗るということで、僕は結構いつも緊張してしまうタイプなのでとりあえず福井では緊張しないようにしようかなと、自分で頑張ろうと思っています。あとは本当に最初の1レース目のスタートに準備をここからするだけかなと思います。

松尾 インカレというものをまだ経験したことがなくて見に行ったことすらないので、どんなものなのか分からないんですけど、今までのように僕個人だけでのレースとは違って今回は団体戦ということで、僕一人の点数が僕だけではなくてチーム全員の点数となるので、ちょっとだけ緊張はします。でもやることはいつものレースと変わらないので、あと1カ月できることはしっかりやって、できることと言ってももう練習もほとんどないので今の実力のまま臨むというかたちにはなります。僕は勝ってどんな感じなのか、動画で見たことくらいしかないので、今年勝ちたいし、礼さん、奎樹さん、宗輝さんなどの4年生とやってきて、この4年生たちを勝たせてあげたいので、僕の力でなんとかなるかはわかりませんが、ちょっとでも力になれればいいなと思っています。

――松尾選手は初めてのインカレですが、インカレに対してどのようなイメージを持っていますか

松尾 動画とかでしか見たことがないのですが、どこもすごく応援が大きくて、お祭りと言ったらあれなんですけど。レギュラーとしてレースに出るメンバーよりもはるかにサポートの方がどこの大学も多いと思うんですけど、その中で緊張もありながらのレースになるんじゃないかなという、それぐらいの印象しかあまりないですね。ただ、すごく楽しいところなんじゃないかなとは思います。

――福井でレースをするのは初めてということですが、その部分で何か怖さや不安はありますか

坂上 海面とか風の怖さというのはあまりないので、自分たちが今までやってきたことをしっかり出せればいいかなとは思っています。あとは本当にあまり寒くない方がいいかな、とりあえずちょっとでも暖かければいいかなと思っているので、今まで練習でやってきたことをしっかり出せればいいかなと思っています。

松尾 僕も寒いのが大嫌いなので寒くなければいいなというのと、福井だけに限らないんですけど、ヨットって自然のスポーツで、いろいろ不確定な要素が多すぎるスポーツなのでレースが実際に始まるまで何があるかわからないし、本当にきのうまでずっと走り続けていた人が次の日走れなくなるみたいなことがよくあるので、そういうことがないように、どんな環境でも自分たちが常に上位を走れるように万全な準備だけはしていたいなと思います。

――全日本インカレに向けて今はどのような練習をされていますか

坂上 ここからスピードを上げようとかテクニックをどうとかそんな時間はないので、最近だと基礎的な練習をしてしっかり身体が動けるようにということで、小松さん(一憲コーチ)がそういう練習メニューをしてくれたりして、あとは基礎的なことがしっかりできていればいいのかなと思っています。

松尾 今からは数えるくらいしか練習もなくて、数えるくらいの練習では技術もなにもそんなに上手くなれるようなことはないので、僕としては自分の中で自信を持ってレースに出られるような練習にしたいなと。スタートや動作とかいろいろやることを全部自分がレース中に自信を持ってできるように、これちょっと不安だなと思うことがないようにレースに臨めるような練習をずっとしてきています。僕が例えばスタートがちょっと苦手でも、これ以上技術をうまくすることはできないんですけれど、毎回毎回練習でうまくスタートを切っていれば多少は自分を持ってレースに出られるんじゃないかなと思うので、自信を持つために練習をやっています。

――今のご自身の調子はいかがですか

坂上 最近雨とか寒い日が続いているので、たまに喉が痛いなというようなことはあるんですけど、明日からインカレでも出られるくらいの体ではいます。

松尾 体の調子は、雨が降りすぎて体が動かせていないので、もごもごしているような感じなんですけど、インカレまで時間もあるし全然それは気にしていません。ヨットの調子自体は、いい感じでできた秋インカレのあとの六大戦(秋季東京六大学戦)はちょっとうまくいかなかったんですけど、自分の技術が下手とか決してそういうことではなくて、たまたま風が上手く読めなかったくらいのもので、その次の練習もちゃんとうまく走ることができたので、ヨットとしてはうまくいっているのではないかなと思います。だから技術的なところも不安はあまりないし、ケガもしていないし体も全然大丈夫です。

――全日本インカレにおける2番艇としての役割はどのようにお考えですか

松尾 1番艇より走ること。1番艇より走れるかはもちろんわからないんですけど、1番艇と同じくらいとかそれ以上に走ることだと思います。もちろん礼さんはピュンピュン走ってくれるので、全日本個選のように二人ともがずっといい位置に取り続けられたら、チームのみんなも気持ちがすごく楽になったりすると思うので、礼さんとトップ争いができるくらい2番艇がしっかり走りたいと思います。

坂上 そんなに2番艇だからっていうことを僕はあまり考えてなかったんですけど、僕らの2番艇もそうですし、礼とあと岩月、入江で、インカレは大叩きしないことがすごくいいことだと思うんですけど、そのなかでも全員がトップを狙えるくらいのスピードや技術を持っているので、全員でトップを狙いに行って結果的に3艇がいい順位で回れればなと思っているので、できる限り上位を取れるように頑張りたいと思っています。

――今年は全日本インカレでの負けを知らないチームですが、4連覇に向けて怖さはありますか

坂上 もちろん4連覇という意識は嫌でも出てきますし、プレッシャーもあるんですけど、やっぱりその中でもチームとしては4連覇という目標よりは総合優勝するという目標があってそこに向けてこの1年間頑張ってきたので、終わってみて4連覇だったねというくらいで、あまり今から4連覇だという感じではなく470級とスナイプがお互いに支え合ってしっかり最後総合優勝取れればいいかなと考えています。

松尾 今3連覇まで続いてきていて、それを途切らせてしまったらということで4年生もすごくプレッシャーに感じていると思います。僕自身も4連覇できて僕が4年生になるまで続いたら7連覇になるので、その途中の段階と言ったら今の4年生に悪いかもしれないですけど、まだ誰もやったことのない5連覇、6連覇、7連覇と行くためには、3連覇を積み上げてきてくれた先輩方の力があってこそ今ここまで来られているので、このまま先輩たちがせっかく優勝してきてくれた3連覇というのを僕らがレースに出るところで途切らせたくないなとずっと思っています。でも4連覇4連覇と思っていたらあまりいいこともないと思うので、自分たちのやれることだけをしっかりやってレースに臨みたいなと思っています。

――全日本インカレ優勝に向けてキーパーソンを挙げるとしたらどなたですか

坂上 僕はパッと今思ったのは元津(志緒、スポ3=長崎工)かなと思っていて。というのも練習だと奎樹とかよりも走るという場面もあるので、インカレで前を走っている姿を見たいですし、元津が走ってくれれば470級チームも活気付きますし、元津なのかなと今思いました。

松尾 僕は入江さんです。順位で気持ちの浮き沈みもある人なんですけど、逆に言うと入江さんが前を通ればすごく盛り上がるというか、入江さん自身もすごく喜ぶし、その喜びが宿に帰っても表情から全然違うので、そういうのがみんなに影響して部全体がすごく明るくなるんじゃないかなと思います。入江さんが後ろを走ってしまうと部全体が陸の上でも元気ない暗い感じになってしまうかなと思うのですが、それは入江さん自身もすごくわかっていると思うので、入江さんが一番のキーパーソンじゃないかなと思います。実際に入江さんが秋インで走ったら全然部の雰囲気も違ったし、そうなんじゃないかなと思います。

――最後、全日本インカレに向けて意気込みをお願いします

坂上 残すところあと4日間のレースのみで、大学生活の4年間ヨット部に捧げてきたと言ってもいいので、最後みんなで笑って終わりたいなというのは思っています。個人的には優勝終わったあとみんなで回転紺碧してシャンパンファイトして、「優勝したね」みたいなことをやりたいです。そのためにも今までやってきたことをレースで出すのもそうですし、最後ちゃんと自信持ってレースに臨めるように、福井に行くまで、行ってからもしっかり準備して最初のレースに臨みたいなと思っています。

松尾 ずっと思っていることなのですが、レースで負けることほど楽しくないことはなくてやっぱり勝ったレースが一番楽しいし、ヨットって見た目以上にすごくきついし、あんなきつい競技で後ろを走ってしまうなんて僕にとっては全然楽しくないことなので、楽しむために勝ちたい、前を走りたいとすごく思います。結果的にそれがチームの優勝につながればいいかなと。とにかくチームのためになるような走りをインカレでしたいなと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 松澤勇人、加藤千咲)

1、4年生コンビながら仲の良さが伺える対談となりました!

◆坂上宗輝(さかのうえ・そうき)(※写真左)

1995(平7)年12月2日生まれのO型。身長163センチ、体重60キロ。東京・早大学院高出身。政治経済学部4年。スナイプ級クルー。松尾選手から、「宗輝さん以外考えられない」と言われるほど全幅の信頼を置かれている坂上選手。ここまでクルーとしてスーパールーキーを支え続けてきました。全日本インカレでもその役割を全うし、「全身全霊」チームに貢献します!

◆松尾虎太郎(まつお・こたろう)(※写真右)

1998(平10)年10月28日生まれのA型。身長178センチ、体重72キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部1年。スナイプ級スキッパー。塾考すること約5分、初めての色紙に書いてくれたのは「打波」。ヨットは波を越えるスポーツということで、「破」ではなく、「波」という字をチョイスしました。全日本インカレでは、文字通り『波』を打ち破ってほしいです!