仕上がりは上々! 全日本への切符を得る

ヨット

 早大ヨット部から4艇の出場となった、関東学生個人選手権スナイプ級(関東個戦)。強風から微風までさまざまな風域でのレースとなったが、風ごとにうまく対応し、安定した走りを見せる。目標である4艇で全日本学生個人選手権(全日本個戦)に出場することは果たせなかったが、見事3艇が次のステージに進んだ。

 大会1日目。第1レースから早大は果敢に攻めていく。島本拓哉(スポ3=千葉・磯辺)・清原駿(創理2=東京・早大学院)組が1回、平川竜也(スポ2=神奈川・逗子開成)・花岡航(創理3=京都・洛北)組が2回トップフィニッシュを決め、好調なレース展開を見せる。しかし、第4レースで「スタートでミスをした」(平川)と思うような走りができず、平川・花岡組は順位を落とし、11位という結果に。一方、島本・清原組は首位、永松礼(スポ1=大分・別府青山)・櫛田佳佑主将(社4=東京・早大学院)組は2位で初日を折り返した。

トップフィニッシュを2度決めた平川(左)・花岡組

 そして迎えた最終日。上位を死守するため、いいスタートを切りたい早大。しかし、「スタートで第一線から出ることができなかった」(櫛田)と、第5レースで永松礼・櫛田組が15位と出遅れてしまう。平川・花岡組も25位を取ってしまい苦しい状況になったが、その後は辛抱強く耐え抜いた。また、島本・清原組は「風の強弱や波の立ち方を意識して走らせ方を変えられた」(島本)と語るように、自分たちの走りを見せ、総合1位。第8レースでは上位3位を早大が独占した。高橋友海(教3=神奈川・桐蔭学園)・服部雄大(基理2=東京・早実)組は惜しくも大舞台には届かなかったものの、カットレース(※1)があった関係で平川・花岡組が4位、永松礼・櫛田組が6位入賞という結果を残し、全日本個戦の出場権を得た。

優勝し、ガッツポーズを見せる島本(左)・清原組

 実力を見せつけ、3艇が全日本個戦の切符をつかんだ関東個戦。チームとしてはスタートが課題となるものの、第一線で出られなくてもその後修正し、レースを組み立てることができていた。さらに、今季初の個人戦優勝を達成した早大。次は、昨季5年ぶりに敗北を喫した早慶戦。エースの小泉颯作(スポ3=山口・光)を欠いたレースとなるため、慶大に勝利するにはスナイプチームの走りがカギとなる。エンジのセーラーたちは常に上を目指し、大海原へ帆を進めていく。

(記事 平川さつき、写真 近藤廉一郎)

(※1)大会の既定のレースを行うと、最も悪いレースの点数を除くことができるというルール

結果

▽スナイプ級

優勝 島本拓哉・清原駿組  13点

4位 平川竜也・花岡航組  46点

6位 永松礼・櫛田佳佑組  47点

※上記の3ペアは全日本個選出場決定

24位 高橋友海・服部雄大組 151点

コメント

スナイプ級クルー櫛田佳佑主将(社4=東京・早大学院)

――2日間のレースを振り返って

これまでワセダが苦手としていた風域でも戦えたことが一番大きかったですね。割とみんなが前を走れていて、目標としていた4艇で関東学生個人選手権を通過することはできなかったんですけど、まとまって走れていたことは良かったのかなと思います。

――第5レースで順位を落としてしまいましたが、微風域での走り方というのはいかがでしたか

微風域でのボートスピードという点に関しては負けている感じはなくて、スタートで第一線から出るということができなかったために順位を落としてしまったのかなと思います。

――収穫と課題は

苦手な風域でも前で走れていたことが収穫なのかなと思っています。課題としてはまだまだ詰めの甘いところです。前でマークを回航しても、後ろで抜かれてしまうことやスタートでちゃんとバウを出せないというところが今後課題となってくる点だと思います。

――スナイプチームとして修正していく点は

チームとしてはスタートというところを課題にしていこうと思っています。やはりスタートでちゃんとバウを出せれば、レース展開が楽になることはみんなが感じたことだと思うので、そこに重点を置いて練習していきたいと思います。

――最後に、ことしの早慶戦はエースの小泉颯作選手(スポ3=山口・光)を欠いたレースになりますが、どのような戦い方をしていきたいですか

470でディスアドバンテージを抱えてしまっているので、どれだけスナイプで得点を稼げるかということを常に考えて、スナイプがチームを引っぱっていくレースにしたいです。

スナイプ級スキッパー島本拓哉(スポ3=千葉・磯辺)

――2日間のレースを振り返って

強風も微風のレースもあって、自分たちなりに風に合わせて走り方の切り替えができたのが良かったと思います。

――2日間とも順位を崩さずにレース展開をすることができた要因は

スタートでうまく出ることができた点と風の強弱だったり波の立ち方を意識して走らせ方を変えることができたのでそれがすごく良かったのかなと思っています。

――スナイプチームとしての走りはいかがでしたか

まだまだ甘い部分があると思っていて、軽風時に3艇まとまった順位で走ることができないというのがあって、どんな場面であっても前を走れるようにしなければいけないと思っています。特にレースの合間であってもまとまっていなければならないと感じました。

――今後そのような課題をどのように改善していきたいですか

夏は江の島での練習になり、合宿所がないのでチームとしてより個々で動くことが多くなってしまいチームとして動くことが少し弱まってしまう場所でもあります。しかし、そこでよりチームを大事にして全員がレベルアップできるようにしていかなければなりませんし、僕も上級生なのでそういうことを意識して練習していきたいです。

――早慶戦に向けて抱負をお願いします

チームレースというのはあまり考えないようにして、まずは風を見ることなどの土台、しっかりとしたレースができてから、チームということを考えて、そこで余裕があったら味方を助けたりしたいです。やはり颯作がいないのでスナイプがしっかり走るということと470チームにフォローができるところがあればしていきたいと思います。

スナイプ級スキッパー平川竜也(スポ2=神奈川・逗子開成)

――2日間を振り返って

手ごたえもあり、課題もありっていうレースでしたね。

――第4レースで順位を落としてしまったことについてどう思いますか

課題にしているスタートでミスをしてしまって、それが出てしまったところがやっぱり甘いなと思いました。第5レースもだいぶ崩していて、それというのも課題を克服しきれていなくて、今後、全日本学生選手権(全日本インカレ)までに直さなきゃいけないなと思いました。

――課題というのは

微風とスタートですかね。結局、スタートがすごく重要になってきて、スタートさえよければ前を走るという展開が続いているので。

――最終日は微風域が多いレースでしたが、どんなことを意識しましたか

いつも通りというか、練習通りにレースをするっていうこと意識していました。もしスタートで失敗してもなるべく崩さずに這い上がっていくレース展開ができればいいなと思っていました。

――今レースの収穫は

崩したことやスタートでの失敗、規則42条の違反をスタート直後にとられて、1回ビリまで落ちたレースもどうにか11位まで最終的に上がってくることができました。そういうコースなどを、結構いままでリスクをとってコースを引いて抜かれるっていうことが多かったですけど、リスクヘッジを考えられたので、攻めるところは攻めて、守るところは守るレースができたのが収穫でした。

――全日本学生個人選手権(全日本個戦)2年連続選出ですが、短い間で改善したいことは

スタートと、微風、中風、あと北風ですね。

――夏の間に練習したいことは

レースする機会がすごく多く、しっかり社会人や全日本のトップレベルの選手とレースできるので、そこで食らいつき、いろんなものを試して、夏が終わればすぐもう全日本個戦と全日本インカレがあるのでそこに生かせればいいと思っています。

――最後に早慶戦への意気込みを教えてください

昨年の早慶戦は僕だったり島本さんだったりがブラジルのリオデジャネイロで行われていたジュニアワールドに出場していた関係で、いなかったメンバーがレギュラーで4人ほどいて、ブラジルで負けたっていうことを知りました。ことしは正々堂々と勝負できるメンバーがそろっているので、ちゃんと勝ちたいなと思っています。同大戦がちょっと前にあったのですが、それも負けているのでここで1回軌道修正していければなと思います。