【特集】470級ジュニアワールド直前特集――小泉颯作インタビュー

ヨット

 ことしも早大から世界の舞台で戦うセーラーが選ばれた。小泉颯作(スポ3=山口・光)は昨年行われた第42回全日本470級選手権で9位に入賞し、2014年度国際470級ジュニア世界選手権の出場権を獲得。目標であった世界大会に出場することとなった。今大会はイタリア・チェルビアで6月26日~7月3日の日程で開催される。早大のエースとして今季も期待されている小泉に、この大会への意気込みを語っていただいた。

※この取材は6月4日に行われたものです。

奪還へ

笑顔で取材に応じる小泉

——今季の調子はいかがですか

春の関東学生選手権(関東インカレ)では、調子が悪いわけではありませんでした。しかしブラック(※1)に引っかかってしまい、甘いところがあるという感じです。

——春の関東インカレを振り返って

ブラック以外にも、風が不安定になったときに自分の成績も不安定になってしまいました。2レース目で10位をとったときがあって、その辺りに不安要素がありました。

——関東インカレで見えた課題とは

風が安定して、自分の力をしっかり出せれば前で走ることができると確認できました。しかし、自分がスタートでミスをしたときに順位が安定しないところは課題が残っていると思います。チームについては、1年生が例年に比べて安定して走ってくれています。470級チームとしては今後自分たちがミスをしなければ上を狙えると思います。総合に関しては実力とプラスして、まだチーム力が足りていないため、そこはまだまだだなと思います。

——ペアである江畑陽太(法4=神奈川・浅野)の印象

ペアが確定したのは4月です。すごく良い人です。真面目に活動にも取り組んでいるし、直に努力してくれる良い先輩です。

——お二人で話などされますか

話すことは基本的にはヨットのことです。一つの動きに対して、どうしたらもっと良くなるとか。僕がモードに入りすぎるので、ピリピリすることもあります。

——小泉さんご自身のことしの目標は

9月の全日本個人選手権で、きょねん最終日で優勝を逃しています。そのため、ことしは優勝を目標にしています。後は、大学生の大会ではない全日本選手権を江の島でやるので、上位に入れるように頑張ります。

——新入生を迎えられて、新たな部の雰囲気はいかがですか

経験者の1年生は春の関東インカレからいましたが、初心者の人たちは先週くらいから参加していたので、やっと全員そろったという感じです。人数も増えて、活気づいて楽しいです。

——3年生になられましたが、上級生として心掛けていることは

全日本選手権や、ナショナルチームの選考レースや、合宿などで部活を結構抜けることがあります。そのため、あまり部に貢献できていません。ジュニアワールドが終われば落ち着くので、チームのことを考えた活動をしていきたいと思います。

——ことし期待しているチームメイトは

同じ470級の1年生で、岡田圭樹(スポ1=佐賀・唐津西)です。ジュニアの頃から知り合いで、そんな人が自分のいる大学に入ってくれて、一緒に日本一を目指して活動できるのは嬉しいです。

——1年生の加入は戦力にどのような影響がありますか

きょねんも全日本個人選手権で成績を残した4年生がいましたから、戦力差はよく分からないです。しかし、まだ1年生であることを鑑みると、今後どんどん戦力になっていくと思います。全日本学生選手権(全日本インカレ)奪還へは近づいていっています。

勝つことが大事

——小泉さんがヨットを始められたきっかけは

小学校3ねんせいからです。両親がサーファーで、よく海に行っていたのですが、そこでヨットの体験教室に入ったことがきっかけです。

——ヨット競技の魅力とは

僕は基本的に、勝つことが大事だと思っています。だから、勝てることですね。ヨットには風などの色々な条件があるので、たまにすごい人にも勝ったりします。ジュニアのころはそういうことが嬉しくて、ここまでやってきました。

——スキッパーになられたきっかけは

ジュニアの頃に乗っていたOP級というのは、1人乗りだったので絶対にスキッパーでした。後は体が小さくて体重が軽いので、2人乗りになってもスキッパーをやっています。

——スキッパーならではの魅力

自分で舵を持っているので、ヨットを走らせている感じが魅力ですね。

——今までの競技生活で1番の思い出は何ですか

高3のときに地元の山口で行われた国体ですね。長い間それに向かってやってきたので、その過程もよく覚えています。ジュニアの頃は全然日本一ではなかったので、1位になれて本当にうれしかったですね。さらに、周りにも上手い人たちが沢山いる中でやっていかなくてはいけなかったので。

——何故ワセダにいらしたのですか

僕がジュニアの時に、合宿のコーチがワセダの主将でした。引退したばかりの人でしたが、色々教えていただいて、そのときにワセダのヨット部の存在を知りました。その人が素晴らしい人で、僕もそういう人になりたいと思ったのと、スポーツ全般が好きなので、スポーツ科学部があるところを探してワセダに来ました。

——普段のヨット部の練習などはどのような雰囲気ですか

きょねんは結構楽しめな雰囲気だったのですが、ことしはわりと真面目な感じです。盛り上げ役がいなくなって、きょねんと比べると少し静かになりましたね。

——チーム内で仲の良い選手は

基本的には同期と一緒ですね。オフの日は岡田圭樹や永松瀬羅(スポ2=大分・別府青山)と永松礼(スポ1=大分・別府青山)と遊んだりもします。圭樹たちはジュニアの西日本でよく会っていたので、昔から仲が良いです。

——試合前に集中力を高める方法はありますか

試合に行くときは、家を掃除して綺麗にします。『心を整える』と高校の頃に読んで、やり始めました。船のチェックも抜けがないように、決まったことをやって集中力を高めています。後は、絶対に早く寝ます。合宿ではいつも通りにならないこともありますが、消灯になったらすぐに寝ています。

成長して帰れるような遠征に

イタリアでも活躍が期待される小泉

——きょねんの全日本選手権では、ジュニアワールド出場を目標にされていましたか

はい、ジュニアワールド出場を目標に臨みました。

——ペアを組んでいる明海大の選手の印象は

僕の一つ下なのですが、明るくて元気なタイプです。自分の意見もさらっと言ってくれるので、ペアはやりやすいですね。きょねん、コーチの紹介でナショナルチームの選考レースに一緒に出た人です。

——先日、次世代選手特別強化合宿(強化合宿)に参加されていらっしゃいましたがどのようなことを練習されたのですか

海の練習以外に陸上トレーニングもあり、知識のミーティングや栄養指導もありました。体重を増減させたりするための食事とかですね。後はコンディショニングの仕方やプレゼンも行いました。

——強化合宿で学んだことは

少数精鋭の合宿だったので、ヨットの技術について細かい指導をしていもらいました。自分の技術が上達したのは、帰ってきて部の練習に参加して感じられました。その他、栄養やプレゼンについてなど、海の上以外での力も付きました。ナショナルチームも参加していたので、その人たちと比較してまだまだだなと思いました。

——強化合宿で見えた課題は

僕は入りすぎちゃうことがあって、精神的な面で弱い部分があります。悪い順位を取ると悪い方向に行くことがあります。そのような自分の弱さを克服していきたいと思います。

——ジュニアワールドで勝つために必要なことは

技術的にはまだまだ差があります。後はペアが突然変更となり、ほとんど一緒に練習せずに行くことになるのため、コンビネーションで不安が残りますね。体重の管理などもしっかりしないといけないと思います。

——ジュニアワールドの目標は

10位以内に入ることです。

——最後に、ジュニアワールドへ向けての意気込みをお願いします

今回もできるだけ上位を目指すのと同時に、今後の全日本インカレなどへ向けて少しでも成長して帰れるような遠征にしたいと思っています。

——ありがとうございました!

(取材・編集 近藤廉一郎、丸山美帆)

(※1)規則30.3(Black Flag Rule)に対する違反のこと。そのレースは失格となる。

今大会の決意を書いてくれました

◆小泉颯作(こいずみ・そうさく)

1993年(平5)9月7日生まれのA型。163センチ、56キロ。山口・光高出身。スポーツ科学部3年。色紙に書く言葉が見つからないと焦った表情を浮かべていた小泉選手。悩みに悩んで書いた言葉は『イタリアで紺碧の空を歌う』。ワセダ魂を見せ、イタリアの地でも力いっぱい歌ってもらいたいですね!