『個』でも圧倒!エンジの力を見せつける

ヨット

 同志社戦にも勝利し、未だ団体戦では無敗の早大は、ことし初めての個人戦である関東学生個人選手権(関東個選)470級に挑んだ。台風の接近で天候が不安視されていたが、無事に2日間で7レース行われ、早大は1位と2位を独占する好成績を残す。『個』でも力を見せつけた早大から3艇が全日本学生個人選手権(全日本個選)の出場を決めた。

『紺碧の空』を高々と歌い上げる部員一同

 今大会は団体戦とは異なる個人戦。つまり、『個』の力が重要となってくる。しかし、石原裕太主将(文講4=東京・早大学院)の「個人戦というよりも団体戦というイメージで臨んだ」という言葉に象徴されるように、ことしの早大の『チーム力』を今大会でも発揮した。1日目は4レース行われ、第3レースまで3、1、1位と好調な走りを見せていた小泉颯作(スポ2=山口・光)・槌谷祥吾(商3=東京・早実)組は、第4レースで13位と遅れを取るも初日を2位で終えた。その一方、山口祥世(スポ4=長崎工業)・石原組は、1、2、4、4位と安定した走りで初日を1位で折り返す。また山口優(スポ3=佐賀・唐津西)・谷口諒介(文講4=東京・桐朋)は第1レースで17位と出遅れるもその後巻き返し、初日を10位で終え全日本個選の出場圏内に食い込んだ。

 2日目も天気に恵まれた江ノ島沖。風の影響でレース開始が遅れたが3レース行われた。今大会、第5レース以降はカットレース(※)が適用される。「カットとなってしまう点数を取らないような戦い方と、小さい点数でカットの点数を小さくするような戦い方を意識した」と石原が語るように、そのルールを利用して攻めてくるライバルたちを上手く対処し、前日と同様圧巻の走りを展開した。2位と3位の点差が開いていたため早大同士の優勝争いとなった2日目。「ワセダ同士で競える大会はこのレースくらいしかない」と山口祥が振り返るように、第6レース終了時点で同点に並んだ山口祥・石原組と小泉・槌谷組は、互いを刺激し合いながら疾走を続ける。結果的に最終レースでトップフィニッシュを果たした山口祥・石原組が優勝、小泉・槌谷組が準優勝というワンツーフィニッシュを飾った。また「思い切っていいスタートを切れるように」と谷口諒が語るように、山口優・谷口諒組もスタートから落ち着いた走りを見せ前日より順位を2つ上げ、8位で全日本個選への切符を手にした。

2位に輝いた小泉・槌谷(右)組

 ことし、チームで勝つことを目標にしている早大は個人戦でも力を見せ、ライバルたちを圧倒した。「サポートメンバー含め、部員全員で勝ちに行く雰囲気を保てている」と石原が強調するように、ことしの早大の好調は『チーム力』で支えられている。そしてすでに、部員たちは9月の全日本個選、続く11月の全日本学生選手権(全日本インカレ)へ意識を向けている。ことしの早大は一味違う。『チーム力』で3年ぶりの頂へ――。まだまだ成長の余地はある。エンジのセーラー達は疾走と王座奪還へ向け帆を走らせ続けていく。

※大会の既定のレースを行うと、最も悪いレースの点数を除くことができるというルール

(記事 近藤廉一郎、写真 細矢大帆)

結果

▽470級
1位 山口祥世・石原裕太組 14点
2位 小泉颯作・槌谷祥吾組 16点
8位 山口優・谷口諒介組 62点
※上記の3ペアは全日本個選出場決定

24位 瀧下雄介(創理2=東京・早大学院)・永松瀬羅(スポ1=大分・別府青山)組 130点
37位 市川夏未(社1=埼玉・早大本庄)・江畑陽太(法3=神奈川・浅野)/谷口柚香(スポ4=長崎工業)組 217点
53位 星洋輔(スポ4=東京・芝)・古家帆高(文構2=東京・早大学院)/大堀裕太郎(文構2=東京・早大学院)組 301点

◆コメント

470級クルー石原裕太主将(文構4=東京・早大学院)

――全日本個選出場決定、おめでとうございます!

ありがとうございます!

――1日目のレースを振り返っていかがですか

1日目は昼前から風が吹いてきて、4レース行われました。ワセダの艇は調子が良くて、周りの大学よりも良い成績を残せて、良かったと思います

――2日目はいかがでしたか

今回は5レース目以降はカットレース(5レース行うと、最も悪いレースの点数を除くことができるというルール)となるルールが適用されているレースで、それがあるかないかで戦い方が大きく変わってきます。2日目はなるべく大きな点数を取らない、つまりカットとなってしまう点数を取らないような戦い方と、小さい点数でカットの点数を小さくするような戦い方を意識しました。逆にそれを利用して攻めてくる大学もあるので、それにも上手く対処しながら、結果的に良いレースになったと思います。

――個人戦という大会でしたが、主将としてどのような思いで臨みましたか

名前自体は個人戦ですが、多くの大学が出てくる上に、70艇ものチームが出場している大会なので、個人戦というよりも団体戦というイメージで試合に臨みました。ワセダは470級は6艇出走していましたが、皆で情報を共有して、チームとして戦うという意識を高める良い機会だったと思います。

――チームとして好調を維持している要因は

部員全員の、特に下級生たちの部活に対するモチベーションが非常に高くて、もっと言うとつい先日入ってきた1年生がやる気を持って仕事している。それを指揮する2年生も高い目標を持って行動している。上級生だけが勝ちに向かって進んでいるチームではなくて、サポートメンバー含め、部員全員で勝ちに行く雰囲気を保てていることが、いまのワセダの強さだと感じています。

――最後に全日本個選に向けて意気込みを

関東代表として全日本個選に臨むので、関東に恥じない、ワセダに恥じない走りを全国の舞台で披露したいです。

470級スキッパー山口祥世(スポ4=長崎工業)

――全日本個選への出場決定、おめでとうございます!

ありがとうございます!

――今大会のレースを振り返って

1日目が終わったときは、安定したスコアを残せていたので良かったです。初日しっかり稼いで、2日目に無難に走れば全日本個選にいけるという状態にしたかったので、そういう面に関しては良い出来だったと思います。

――優勝への意識はありましたか

1日目のレースを終えて2日目以降はカットレースが関わってきました。初日の4レースでトップにいても、1レースだけミスをした艇が上がってくることもあるので、油断できないなという感じはありました。

――小泉颯作選手(スポ2=山口・光)・槌谷祥吾選手(商3=東京・早実)の組と激しいトップ争いとなりましたが

レース自体は2位と3位に結構点差があったので、2艇での争いという感じになりました。やはりワセダ同士で競える大会はこのレースくらいしかないので、すごく刺激になりました。

――470級リーダーとして、全体的な結果を振り返って

上位3艇が全日本個選への切符をつかみ、すごく良かったとは思いますが、これからの課題は4番艇以降の艇も、3番艇と変わりなく走れるようにリーダーとしてやっていきたいと思います。

――最後に全日本個選に向けて抱負を

きょねんは10位という結果で終わってしまって、九州の大学に全く立ち向かえなかったので、ことしはしっかり戦えるように練習を積んでいきたいです。