シーズンがついに始動! アイスホッケー部の夏の1日に迫る

アイスホッケー

 「ウインタースポーツは夏の間何をしているのか」。そのような疑問を解決すべく、合宿を控え、活動を再開したばかりのスケート部ホッケー部門の練習の様子を取材した。監督、コーチが変わり、新体制となったホッケー部門の夏シーズンが始まった。

トレーニング後に集まる選手たち

 八戸での合宿を前に、チームが再集合したのは8月7日。5月初旬の早慶戦のあと、陸上トレーニング期間、自主トレーニング期間を挟んでの再開となる。この間、早大スケート部ホッケー部門は内藤正樹前監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)がスケート部総監督に、堤広利監督(平10人卒=東京・早実)が就任、さらに松浦駿コーチ(平24スポ卒=北海道・釧路工)が加わり、新体制となった。また、9月入学の共田野安(国教新1=カナダ・ジョージエリオットセカンダリースクール)が加入。合宿を経て、9月から開幕する関東大学リーグ戦(秋リーグ)に向け、チームのレベルを上げていきたい段階だ。

トレーニングに取り組むFW林幹汰(文2=東京・早実)

 練習は朝のウエートトレーニングから始まった。東伏見キャンパス、スポーツホール地下にあるトレーニングルームの器具を使い、黒川S&Cコーチの指導の元、負荷や相性を基準に、いくつかのグループに分かれてトレーニングを行う。FW田中裕人(スポ2=滋賀・光泉カトリック)やFW平林慶太(スポ2=北海道・釧路江南)のように、淡々と取り組む選手がいる一方、FW林幹やGK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)など声を出しながら取り組む選手など、思い思いのやり方でメニューをこなしていた。終盤のBGMは『アンパンマンのマーチ』。約1時間のトレーニングを終えると、短くミーティングを行い、解散となった。

暗い中、リンクに移動する選手たち

 この日の氷上練習は22時15分から23時45分までだ。練習場所となるスケートリンクは都内にわずかしかなく、多数の大学や社会人チームやクラブチーム、さらにはフィギュアなども利用するため練習時間は遅くなることが多い。朝のトレーニングからの日中の時間はバイトや勉強などそれぞれの使い方をし、夜に再集合となる。

堤監督を中心に集まる選手たち

 8日の練習は、5月の早慶戦以来、約3カ月ぶりの氷上練習が始まったばかりだ。早稲田大学系属校の高校生も受け入れ、スケーティングの確認など基礎的な練習が主となる。ポジション別に分かれた練習も多く、山崎コーチ、松浦コーチ、堤監督がそれぞれのグループに付いて指導をしていた。内藤総監督も氷上練習に参加。コーチ陣と話す姿もあった。最後には全体を2つに分け、試合形式の練習を実施。楽しみながらも、限られた時間を有効に使った練習に真剣に取り組む様子が見られた。

パックを足で保持するFW上山響平(スポ2=北海道・駒大苫小牧)と取りに行くFW清水朝陽(社1=北海道・武修館)

 練習後のインタビューでは、「どんどん上のセットに上がり、たくさん試合に出て、チームに貢献する」(共田)、「試合で結果を残せる選手になりたい」「1年生の人数が少なくて肩身が狭いと思うので、彼らが早くチームに馴染めるようにサポートしたい」(FW江島陸人、国教3=東京・早稲田)など、この夏からチームに加入・復帰した選手からの頼もしい言葉が寄せられた。大学交流戦苫小牧大会が中止となったため、次の大会は、9月4日に日大との初戦を迎える予定の秋リーグだ。昨年の4位を保ち、さらにその上を目指すため、重要な夏合宿を丁寧に過ごしたい。

切り返す共田

スタートの合図を待つ江島

(記事、写真 田島璃子)

コメント

黒川貴徳S&Cコーチ(スポM1=神奈川・追浜)

――昨年までの競技(ウエイトリフティング)との違いはなんですか

 昨年までは早稲田大学ウエイトリフティング部でトレーナー活動をしていましたが、ウエイトリフティングはコンタクトスポーツではないため、「氷上の格闘技」と呼ばれているアイスホッケーと比べても必要な体力要素や発生する怪我はまったく違います。

――スケート部ホッケー部門のトレーナーを引き受けた決め手はなんですか

 早稲田大学アイスホッケー部では、夜中や早朝に練習がありますのでスポーツをする環境としてとても恵まれているとは言い難いです。しかし、そのような環境の中でも頑張っている選手をサポートしていきたいと思ったことがアイスホッケー部のトレーナーを引き受けた決め手です。

――部員に期待することはなんですか

 私からトレーニング時に指導やアドバイスをすることはありますが、選手側からもトレーニングや怪我などの相談があれば、どんどん聞いてほしいと思います。そういったコミュニケーションを重ねることで信頼関係を築くことができますし、お互いになにか気付きを得ることができれば、共に成長できると思います。

――メニューを組む際に意識していることはありますか

 メニューの目的や意図はもちろんですが、他にも種目の順番や鍛えている部位が偏っていないか、またアイスホッケー特有の動作をトレーニングメニューに反映できているかなどです。しかし、アイスホッケーの経験がないため探りながらメニューを組んでいますので、適していないなと思ったメニューは変更するなど柔軟に対応することも意識しています。

DF務台慎太郎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――今日(8日)の練習のねらいや簡単な流れを教えてください

 昨日(7日)、今日(8日)の練習の内容としては前半はスケーティングや基礎的なメニューでとにかく氷に慣れることを目的とした練習が多く取り入れられていました。後半はゲーム形式も多かったので、氷に慣れながら楽しみつつホッケーの感覚を取り戻せたと思います。

――春までを終え、合宿が始まるにあたって、チームとして意識していきたいことや心掛けていることは

 春の大会(関東大学選手権)を終えてから陸トレ期間に入り、基礎体力や筋力向上に努めてきました。合宿が始まるまでにまずは氷での感覚を取り戻すこと、そして陸トレ期間で培った能力をホッケーで生かし、運動量を意識したプレーを全員が共通意識として持っていたいと思います。合宿では試合なども行いながら、チーム力を高めていきます。

――監督、コーチの名前を初めて聞いた時の印象は

 就任されたお二方とも、就任以前より認識はありました。特に松浦コーチは早稲田で選手として活躍されていた時から知っていたので、自分が見ていた方に指導していただけることをうれしく思います。

――大学交流戦苫小牧大会(※)の部の中での位置付けはどのようなものですか

 春の大会では東洋、明治、中央と試合を行いましたが、まだまだ力の差を実感する結果となりました。また昨年インカレ(日本学生氷上競技選手権)で敗れた法政など、ライバルが多いと感じていますが、この合宿期間でいい時間を過ごすとで、上位校との差を縮め、勝利を目指したいと思います。

――大学交流戦苫小牧大会(※)の意気込みを教えてください

 いよいよ本格化するシーズンに向けて、チーム一丸となってまずはこれから始まる合宿期間でチーム全体の力を向上させていきます。サマーカップでは、結果にこだわることはもちろんのこと、それ以上にチームとしてやるべきことを明確にすることや、試合内容にこだわることで秋のリーグ戦に向けて意味のあるものにしたいと思います。
※大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)は中止が発表されました。

FW江島陸人(国教3=東京・早稲田)

――部活に戻って感じた部の変化はありますか

 今年は例年より部員が少ないので、チームが一丸となって戦わなくてはいけないという意識が、留学前(1年前)よりも一人一人に芽生えているなという印象を受けました。特に、留学前はまだ2年生だった同期のみんなが今や上級生らしくチームを引っ張っていて、感心しました。

――今後の目標を教えてください

 個人の目標としては、試合で点を取ることです。自分はコロナや留学の影響でまだ昨年の春の大会しか経験していなく、これといった結果も残せていないので、試合で結果を残せる選手になりたいです。また、私生活においては今年は1年生の人数が少なくて肩身が狭いと思うので、彼らが早くチームに馴染めるようにサポートしたいです。

共田野安(国教新1=カナダ・ジョージエリオットセカンダリースクール)

――これまでのホッケー歴を教えてください

 やまびこバスターズ→Pursuit of Excellence→Rink Hockey Academy→Philadelphia Hockey Club

――やまびこバスターズに所属していた務台主将や平FW平林慶太選手(スポ2=北海道・釧路江南)との面識はありますか

 あります。務台さんとは小学校が一緒で、冬になると僕の家の裏庭に小さいリンクを作り、毎朝学校の前に一緒に練習していました。年が3歳離れていたので同じチームでプレーしたことはないですが、いろいろ教えてもらいました。慶太さんとは小学1年生から中学2年生までやまびこバスターズで一緒にプレーをし、カナダへホッケーキャンプに一緒に参加したことも2回あります。昔から足がすごく速く、いつもスマートなプレーをしていて憧れです。

――早大のアイスホッケー部に入った理由を教えてください

 小さい頃よく早慶戦を見ていて憧れで、早稲田大学を受験することにしました。また日本語より英語の方が得意で、早稲田大学の国際教養学部が全部英語で、いろんな国の人と勉強できることもすごく魅力的で、興味が湧きました。

――同期の印象はいかがですか

 たくみ(GK飯見拓未、社1=東京・早実)も朝陽(FW清水朝陽、社1=北海道・武修館)もワンピースがすごく好きでいつも話しているので、自分も見なきゃなって思ってます(笑)。でも、最初寮に入った時はいろんなことを教えてくれて本当に助かりました。2人ともすごく優しくて、話しやすくて、これからの4年間がすごく楽しみです。

――今後の目標を教えてください

 どんどん上のセットに上がり、たくさん試合に出て、チームに貢献することが目標です。