関東大学選手権(春大会)、最後の相手は昨年の王者、東洋大だ。序盤はスキルで上回る相手に主導権を握られ、後半になるにつれ増えた得点のチャンスもあと一歩及ばず、0-4での敗戦となった。しかし強い気持ちを持って60分戦い続け、成長した姿で春大会を4位で終えた。
ここまでの戦いの中で、粘り強いプレーを長く続けられないことを課題としてきた早大。立ち上がりから足を動かし、しつこくパックを追った。開始3分39秒、東洋大のペナルティにより、はやくもパワープレーのチャンスが訪れる。しかし東洋大にパックをキープされる時間も長く、得点には結びつかなかった。最初の得点は東洋大。5分46秒、早大のパスをカットし、2人のDFをかわしてゴール前に上がった東洋大が、隙をついてゴール。パックはGK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)の右側に納まった。2度迎えたキルプレーのピンチはそれぞれ2分間をしっかりと守り切るも、第1ピリオド(P)終了間際に東洋大がさらに1点を追加。パックがディフェンスゾーンにある時間は長かったが、簡単には得点させず、2失点で抑えた。
失点する早大
第2Pは互いに得点の動かない20分間となった。いくつもの場面で、早大に得点のチャンスがうかがえた。開始5分、FW清水朝陽(社1=北海道・武修館)がゴール前でFW金井真(スポ3=北海道・苫小牧東)から足で受け取ったパックをゴールに放つが、わずかに外れる。中盤のパワープレーのチャンスは、ゴール前のFW林幹汰(文2=東京・早実)がFW鎌田悠希(スポ3=北海道・駒大苫小牧)のパスに合わせるもパックはそれ、ゴールとはならず。その後もパックを所持しきれず、得点とはならなかった。駆け上がって守備をかわしながらゴールを狙ったFW上山響平(スポ2=北海道・駒大苫小牧)は惜しくもシュートを打ちきれず。FW木綿宏太(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が放り込んだパックに、ゴール前のFW鎌田はあと少しのところで届かない。惜しくも得点できずに第2Pを終えた。
ゴールを守るGK千葉
第2P終盤の東洋大のペナルティによってパワープレーで始まった第3P。得点して流れをつかみたかったが、攻撃のかたちを保てなかった。それでも次第に早大の攻める時間は増え、さらに5分37秒、パワープレーとなり、最大のチャンスが訪れた。ゴール前にパックを入れ、リバウンドを叩くがギリギリのところでゴールには入らず、FW木綿が放ったシュートもわずかに外れた。リンクのガラスの補修による中断をはさみ、2分間得点を狙い続けたが、チャンスはものにできなかった。一方、東洋大の反撃が始まる。9分39秒、ゴール前で東洋大の選手が軌道を変えたパックがGK千葉の右の肩口に滑り込み、3点目。さらに18分6秒、遠くから放たれたパックにGK千葉の直ぐ側にいた選手が合わせ、4点目。1点が欲しい早大は、19分13秒の東洋大のペナルティによるパワープレーで、懸命にゴールを狙う。しかし無得点のまま、試合は終了となった。
シュートを放つ木綿
第3Pのシュート数は早大が20、東洋大が12と上回り、勢いを見せるも、東洋大の素早い守備を前に得点に届かなかった。終了後、選手は敗戦に悔しそうな様子を見せたが、インタビュー時の表情は晴れやかだった。それは、ここまでの試合のように崩れることも、ペナルティで相手にリズムを作らせることもなく、目指すホッケーに近づいた試合となったからだろう。失点のたびにGK千葉に向き合って声をかけ、ベンチもともに戦った4試合の中で、着実に成長した早大。週末に予定されている早慶戦で勝利し、春のシーズンを良いかたちで締めくくりたい。
パックを保持するFW林幹汰(文2=東京・早実)
(記事 田島璃子、写真 吉本朱里、大貫潤太氏、岡すなを氏、鬼頭遥南氏)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 東洋大 |
0(5) | 1st | 2(25) |
0(10) | 2nd | 0(16) |
0(20) | 3rd | 2(12) |
0(35) | 計 | 4(53) |
※( )内はシュート数
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 |
05:46 |
川岸 | 大和 | - | - |
東洋大 | 19:26 | 大久保 | 武部 | 大和 | - |
東洋大 | 49:39 | 大友 | 佐々中 | 中島 | - |
東洋大 | 58:06 | 川岸 | 佐々中 | 武部 | - |
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | DF | DF | FW | FW | FW |
1 | 務台 | 沼田 | 鎌田 | 木綿 | 大塚 |
2 | 棚橋 | 松下 | 上山 | 田中 | 川本 |
3 | 有賀 | 金井和 | 林幹 | 清水 | 金井真 |
4 | 仲見 | 林風 | |||
GK千葉、飯見 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――試合前、どんな声をかけましたか
いつもできていないことを、最後の試合くらいはちゃんとやろうと送り出しました。
――試合を振り返っていかがですか
比較的、今日は最後まで足が動いていたのかなと。点数の匂いもしたんですが。2点くらい、取ってもおかしくない場面があったので、そこで実際に入っていれば、もうちょっと競ったゲームができたのかなと。内容としては悪くないですね。足も最後まで止まらなかったし、本当は他の試合もそうじゃないといけないですが、それができないところが今のチームの状況。ただ、あるものは全て出たのかなという感じですね。
――関東大学選手権を通してのチームの成長はどのようなところですか
やっぱりパックを下げないということ。前でプレーするということができなかったのですが、明大戦あたりから前でプレーできるようになって。それに気づくまでがおそすぎるんだけどね。勇気を持って前に出ることが大事ですね。
――今のチームの一番の改善点はどこにありますか
サボらない。最後まで足を動かす。あと、勇気を持って前でプレーすること。それができるかどうかだと思いますので、夏の間、陸上トレーニングで体と強い気持ちを持って。また合宿でもうちょっと強いチームにならないといけません。今回当たらなかった法大なども十分力を持っています。だんだん厳しくなってきているのは選手たちも分かっていると思いますので。今日程度の試合は当然やらなきゃいけない。それを日常化できるように、頑張っていきたいなと思います。
――早慶戦への意気込みを教えてください
シーズン最後の試合なので負ける訳にはいかないですし、そういう相手ですので、しっかり勝ちを収めて、連勝の記録を積み上げていきたいなと思います。
DF務台慎太郎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返っていかがですか
今日の試合は春の全ての試合の中で、一番自分たちがやらなければいけないことができた試合だったと思いますし、前回の明大戦の課題などを修正して臨めたかなと思います。
――粘り強く戦う姿が見られました
今までの試合では、第1Pでは粘り強いホッケーができていたのですが、それが試合を通してできていなかったので、今日はその点に注意してやっていこうということを試合前からチームで共有していました。それができていて良かったかなと思います。
――関東大学選手権をを通しての一番の学び、成長したところはどんなところですか
序盤の日大戦、中大戦あたりは、失点直後のプレーが軽かったりとか、グレーゾーン、危ないエリアでのプレーで、軽い、無責任なプレーが多かったのですが、後半になるにつれてそういうプレーも減ってきました。(今日は)得点はできなかったですが、内容も悪くなかったです。自分たちのやりたいホッケーをやれば、東洋大や明大にも通用する時間はあったので、そこは収穫だったと思いますし、成長できた点かなと思います。
――今後のチームの改善点はどういったところでしょうか
今日特に、みんな感じたと思うのですが、良い守りはできていますし、試合の内容も悪くなかったのですが、やはり点を取らないと勝てないな、と。特に第3Pのシュートは(早大は)20本打っていて、その中で得点が1点もないというのが課題かなと思います。今後は勝負強く、(点を)取れる時間に取りたいなと思います。
――早慶戦に向け意気込みをお願いします
慶大は春の試合を見る限り、すごく力をつけてきています。イベント的な要素もありますが、自分たちの試合に集中して、しっかり勝って早稲田の伝統を守りたいなと思います。
GK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)
――試合を終えられた今の率直な感想は
自分がしっかり止めればいい試合ができるんだと改めて思いました。
――ピンチの場面でも落ち着いて対応されていたのが印象的でした。振り返えっていかがですか
相手のシュートが来ることが多かったのですが、不思議と落ち着いて対応できました。試合前から「今日はいけるな」という気がしていたので、この感じを忘れずに次の試合、さらには次のシーズン(秋)に生かしていきたいです。
――今日はいつもと違うルーティーンを試みたりしたのですか
いつもと違う朝ごはんを食べました(笑)。牛丼です!
――関東大学選手権全体を振り返ってみていかがですか
予選リーグから苦しみましたし、決勝リーグに上がっても大差で負けてしまうことが多かったですが、成長を実感できたシーズンになったと思います。長い目で見れば、上位チームにもいい勝負ができる希望が見えてきたところだと思います。
――反省を次にどう生かしていきますか
試合の立ち上がりが課題だと思っています。第1Pで3点取られるとか、今日も2点取られていましたし。試合の最後までロースコアを維持できるように工夫していければ、勝てると思います。
――早慶戦に向けての意気込みをお願いします
慶大は今年いい1年生が入ってきてますが、しっかり勝つので応援よろしくお願いします!