日大と激突 劇的勝利で上位リーグ進出決定!

アイスホッケー

 関東大学選手権、2回戦の日大との戦いは、初戦を不戦勝で勝ち上がった早大にとって初めての公式戦での戦いとなった。思うように流れをつかめず、交互に点を取り合う苦しい展開に。試合終了2分前まで1点差で負けていた早大だが、主将のDF務台慎太郎(スポ4=北海道・駒大苫小牧)の得点で追いつき、さらに残り時間23秒で1点を追加。伝統校・早大の意地を見せ、上位リーグ進出を決めた。

 第1ピリオド(P)、動きは良い早大だったが、なかなか得点にはつながらない。両チームが渇望した先制点は、日大のものとなった。キルプレー終了直後、数的不利な状態で、GKが弾いたパックを叩かれてゴール。開始13分で0-1になってしまう。少なくとも追いついて第1Pを終わらせたい早大は、パックをキープし、得点のチャンスを伺う。試合開始17分46秒、FW木綿宏太(スポ4=北海道・駒大苫小牧)のアシストにFW大塚鵬蓉(スポ3=埼玉栄)が落ち着いて対応。DFの隙を縫って、パックをゴールに差し込んだ。

ゴールを守るGK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)

 迎えた第2P、またもや、日大に先に得点を許すことになる。まず、開始5分11秒、GK千葉の左側、ゴールとの隙間に、ゴール裏から流れたパックを打たれてしまう。務台が体を使ってゴールを死守し、ビデオ判定へ。結果、ゴールは認められなかったが、直後にまたピンチが訪れた。ゲームが再開し17秒後、何度もゴールを狙う日大がゴール目の前でのパスを上手く合わせ、ついに1点を追加。大きく盛り上がる日大ベンチに対し、やりきれない表情の早大。なかなかパックをアタッキングゾーンに運べず、苦しい時間が続く。ベンチから、GK飯見拓未(社1=東京・早実)が「まだ半分以上ありますよ!」と叫ぶ声が響く。そんな中、10分28秒、相手のディフェンスを引き寄せたFW鎌田悠希(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が逆サイドに駆け上がったFW木綿へ、託すような表情でパックを送る。しゃがみ込みながらスティックで弾いた木綿のパックは勢いよくゴールに吸い込まれた。副将の二人が作った1点で同点に追いつき、その後のキルプレーも守り切る。もう1点を追加して第3Pに余裕を持ちたい早大に、パワープレーのチャンスが巡ってきた。安定した攻めのかたちから、務台が保持したパックを、マークが外れた鎌田が呼び、冷静にシュート。3-2で第2Pを終えた。

3点目のゴールを決める木綿

 1点差で有利に始まった第3Pだが、その余裕はすぐに消え去る。2分40秒、日大の選手がニュートラルゾーンから駆け上がり、放ったパックはゴールに収まった。試合は振り出しに戻ることになった。日大の攻撃をなかなか崩せず、危ない場面が続く。そんな中、試合が動いたのは試合時間残り5分41秒、日大の得点だった。日大の吉成翼が空中でパックを操りゴールへ。千葉が触れるも、パックはゴールの枠ギリギリに吸い込まれていった。残り時間はわずか。会場は、「2013年ぶりの日大の上位リーグ進出への期待」と「勝たなければならないはずの早大への焦り」で満たされていた。窮地に追いやられた早大だが、なんとしてでも追いつかねばならない。その思いを得点に変えたのは、主将の務台だった。試合時間残り2分35秒、FW金井真(スポ3=北海道・苫小牧東)への妨害があったとして、日大にペナルティが出る。パワープレーのチャンスで、敵をひるがえし、距離のあるところから力いっぱい放った務台のシュートは、スクリーンが功を奏し、ゴールに突き刺さった。しかし、喜ぶ素振りを見せるものの、務台の表情は硬いまま。時間内に勝つためには、あと1点が必要だった。日大のタイムアウトを終え、試合は残り約1分。「絶対に60分で勝ってやろう」と意気込んだ鎌田がゴール前へ駆け上がり、DF沼田恵祐(文2=青森・八戸)からのパスに合わせ、落ち着いてゴール。残り時間23秒のことだった。そのままブザーが鳴り、試合は終了。わずか2分で2得点する、劇的な勝利だった。

同点に追いつくシュートを打つ務台

逆転を喜ぶ選手たち

 今季初めての公式戦での試合となった日大戦は、主将・副将を中心とする上級生の活躍により、パワープレーのチャンスを生かして勝利した。次戦以降は、先日の練習試合で6点差をつけられている中大、スキルのある選手が集まる明大、日本代表に選ばれた2人がチームを離れている中でも圧倒的な強さを見せている東洋大と、強豪がひしめき合う上位リーグでの戦いとなる。内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)は、「(60分間やりきれれば)そこそこの試合はできます。そういう歴史を持っています」と言い切った。日大との戦いで勢いをつかみ、果敢に立ち向かっていきたい。

(記事 田島璃子、写真 前田悠輔、落合俊、吉本朱里)

ベンチから千葉を支える飯見(コメント参照)

 

結果
早大 ピリオド 日大
1(16) 1st 1(7)
2(11) 2nd 1(17)
2(6) 3rd 2(10)
5(33) 4(34)

※( )内はシュート数

得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
日大 13:49 後村
早大 17:46 大塚 木綿 沼田
日大 25:28 吉成 差波 笹川
早大 30:28 木綿 鎌田 沼田
早大 38:14 鎌田 務台 木綿 PP
日大 42:40 岩瀬谷
日大 54:19 吉成 笹川
早大 58:08 務台 大塚 木綿 PP
早大 59:37 鎌田 沼田 木綿
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする

早大メンバー
セット DF DF FW FW FW
務台 沼田 木綿 大塚 鎌田
棚橋 有賀 上山 田中 金井真
松下 金井和 林幹 清水 川本
    林風 仲見 平林
GK千葉
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――格下だったはずの日大に、ギリギリでの勝利となりました

良くないですね。もうちょっと差を付けられないとおかしくない試合だったんですが。第1Pはそこそこ足が動いていて、いい感じだったんですが、1試合を通じて継続できないところが今のうちの弱さですね。両方とも能力をぶつけ合えば、もうちょっと点差がついてもおかしくないなと。足が途中で止まる、相手に合わせてしまうというところで、こういう結果になりました。

――人数が少ないための体力的な差もあるのでしょうか

それもあるかもしれません。あとは本人の意思かな。もうちょっと強い気持ちをもってプレーしてほしいなと。

――シーズン初戦ということで、今シーズンについてお伺いします。まずは主将の務台選手にはどのようなことを期待されますか

もう、プレーで引っ張っていってほしいなと。人間的にはいいやつなんですが、良いやつだけではだめで。強いやつであってほしいので、プレーでそれを表現してほしいなと思います。

――他の副将の二人については

主将の務台に関しては、キャプテンということもあり、それなりに重圧を感じていると思うので、残りの二人も務台を支えてやってもらわなければいけない立場です。やっぱり引っ張っていってほしいなと思いますね。言葉はもちろん、プレーで見せることが一番わかりやすいと思うので。上級生なんだから、がっちりやってほしいなと思います。

――新一年生、特にFW清水朝陽選手(社1=北海道・武修館)にはどのようなことを期待されますか

入ったばっかりなので、まずは元気よくやってほしいなと思いますね。まだ、入学してから日が経っていないので、勝手を知らないところもあると思いますが、早くうちのチームに慣れてもらって。彼はインターハイで優勝していますが、そういうかつての仲間を今度は敵に回してやるんだという強い気持ちを持って。エンジのユニホームが似合うような選手になってほしいなと思います。

――上位リーグに向けた意気込みをお願いします

次からは全部ランキングがうちよりは上のチーム。今日の第1Pや先週の中大との第1Pを第3Pまでやらないと、6-1、7-1のようなスコアになってしまうので、それはどうしても避けたい。彼らもわかっていると思う。20分できることはわかりました。あとは残りの40分。40分全部やるというわけにはいかないのかもしれないですが、10分ずつ区切って、10分頑張ろう、その10分できたら次の10分頑張ろうと切らさないように。それができればそこそこの試合はできます。そういう歴史を持っていますので。チャレンジしたいなと思います。

DF務台慎太郎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――今日の試合は何を目標に挑みましたか

みんなも予想していたと思うのですが、自分たちが攻めている時間帯がすごく多くなると思っていたので、そこでミスを少なく自分たちのやるべきホッケーを全うすることが大事だと共有していました。今日の試合では、相手の流れやスピードに合わせてしまう部分があったので、そこは改善していかないといけないと思いました。

――4点目はチームを救う1点となりました。いかがでしたか

本当に運良く点数入れられて、流れも変えられてよかったと思います。しっかりスクリーンに入ってくれた選手もいたので、そこは助かったなと思います。

――新チームとして初の公式戦でしたが、感触はいかがでしたか

ここまで練習試合を3試合やってきて、その3試合は相手にパックを持たれる時間が長かったです。しかし、今日はパックを持つ時間が長い中で、どういう試合展開になるのかなと思っていたのですが、相手のペースに合わせてしまったり、流れの悪いところで選択の悪いプレーもあったりしました。自分たちの展開できる試合で、内容良く終わることが今年の課題だなと感じました。

――次戦への意気込みをお願いします

今日とはまた違って相手は格上です。その中で相手の時間帯が多くなると思うのですが、しっかりと守るところは守りたいです。今日はギリギリの戦いで、内容も良くなかったので、そこは来週からの練習で改善して、いい内容で、なおかつ勝って終わりたいです。

FW木綿宏太副将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――今日の試合は何を目標に挑みましたか

まず公式戦初試合ということで、勝つことを目標にやっていたのですが、こんな展開になるとは思っていなかったです。

――ギリギリの戦いでしたが、終盤はどのような気持ちで頑張りましたか

全然諦めていなかったので、最後の最後まで諦めずに一生懸命やっていれば、絶対追いつけたり逆転できるかなと思って。その辺を意識してやっていました。

――得点した時は噛み締めたような表情でした

練習試合3試合やって、全試合で点決められていなかったので、公式戦でしっかり決められたこともプラスでした。全ポイントに絡めたので、自分にとっては収穫かなと思います。失点を減らせるように頑張ります。

FW鎌田悠希副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――今日の試合は何を目標に挑みましたか

今日勝たないと決勝リーグで上位校と戦えないので、勝つことを大前提として挑みました。

――ギリギリでの勝利となりましたが、どのような気持ちで戦っていましたか

第1Pは点数こそ入りませんでしたが、みんなでやろうとしてたことが結構できていたので、後は点数を決めるだけという感じでした。そこで波に乗れずに失点につながって、自分たちのプレーができなくなってしまったので、際どい戦いになってしまったのかなと思います。

――コンスタントにチームに貢献する姿が印象的でした。最後には勝利を決定づける得点もありました

第3Pで逆転された後、務台さん(務台慎太郎、スポ4=北海道・駒大苫小牧)のゴールで追いついて。オーバータイムに持ち込むのは良くないと思ったので、絶対に60分で勝ってやろうという気持ちで最後はゴールに向かいました。

――次戦への意気込みをお願いします

次は上位校と戦う機会があると思いますが、まだ1週間あるので練習で反省点を改善していって、勝ちにいけるようにみんなで頑張っていきたいです。

FW大塚鵬蓉(スポ3=埼玉栄)

――今日の試合は何を目標に挑みましたか

FWとしてポイントすることはもちろん、今年から上級生になったので、上級生として、試合の流れを考えたプレーでチームの勝利に貢献することを目標に臨みました。

――1セット目の起用となり、コンスタントにチームに貢献されています

去年から、FWとしてポイントに絡むことを目標にしていたので、しっかりポイントに絡めたことは良かったのかなと思います

――兄の大塚脩世氏(令4スポ卒)も応援に来ていましたね

 試合中、親とおばあちゃんしか場所が分からなくて、兄が来ていたのは分かったんですが、場所が分からなかったです。

――次戦への意気込みをお願いします

次戦からは強豪チームが相手になっていくので、今まで以上に気持ちを引き締めて、FWとしてポイントをとり、チームが勝利できるように臨んでいきたいと思います。

GK千葉琉矢(スポ3=北海道・武修館)

―今日の試合は何を目標に挑みましたか

今日は勝つ。内容より試合に勝つということが目標でした。

――ギリギリの戦いとなっていましたが、いかがでしたか

本当に勝てて良かったということが一番。自分が結構足引っ張っちゃったというか、決められちゃいけない時間で入れられた部分も結構あったので。プレーヤーに助けられました。

――苦しい時間が続きましたが、どのようにして気持ちを切り替えましたか

自分の中でしょうがないと切り替えて。後輩の飯見拓未(社1=東京・早実)がいるんですけど、いつも失点したら声かけてくれるので、そこで落ち着いてもう一回気持ち入れようと。

――やはり飯見選手の声援は力になりましたか

でかいですね。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

次は強い相手。中央、明治、東洋が来るので、助けられた分、強い気持ちで上位校に勝っていこうと思います。