兄弟対談の後編は新体制でのアイスホッケーについて。兄弟愛あふれる対談では、FW林風汰(教4=東京・早実)とDF金井和(文構4=東京・早実)の兄2人のチームへの影響の大きさがうかがい知れた。弟の2人、FW林幹汰(文2=東京・早実)とFW金井真(スポ3=北海道・苫小牧東)も、一つ学年が上がり、チーム内での立ち位置が変わってくる。学年をつなぐ2組の兄弟は、今季をどう見据えているのだろうか。
※この取材は3月22日に行われました。
※お名前が似ているため、林風汰選手・林幹汰選手、金井和選手・金井真選手と色分けして掲載しております。
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――ではここからアイスホッケーの話に移りたいと思います
金井真 やっとだー。
林風汰 ずっとこっち(私生活)で良かったのに。
一同 (笑)。
――今のチームの雰囲気はいかがですか
林風汰 俺は良いと思う。去年こんなに声出てなかったよね。
金井真 あー。たしかに。
金井和 4年生が少なくて、2、3年生が多くて1年生が少なくて。学年の平均が真ん中に寄っていることもあって、体感として去年よりもチームの仲が良いっていうのはあります。
林幹汰 他の大学って、先輩の防具運んだり、上下関係があるけど、俺らは厳しくない。あ、厳しいけど、先輩が優しいから(笑)。みんな話しますね。
林風汰 そう、優しいから~。
金井和 最低限のマナーとか礼儀がある中で人間関係はお互いのことをリスペクトしているチームだと思います。
金井真 お前(幹汰)よく言ったよな。「礼儀」とか「最低限の」とか。
林幹汰 やってるよ。
金井真 俺のことなんて呼んでる?
林幹汰 シンサン。
金井真 嘘つけ!「しん!しん!」って。
林風汰 (真に)「風汰」って呼ばれてます。
金井真 あ、そうだった!忘れてたぁ!
一同 (笑)。
林風汰 特大ブーメランだぞ。
金井真 みたいな感じですね。仲は良いです。でも逆にそれで、弊害というか。あんまり練習中に熱くなる部分が少ない。ヒートアップしたりとか。そこは試合では絶対あるので、ギャップができちゃいそうで怖いかなと。練習中から熱くなる人が少ないので、試合やってみないとわからないですけど。そこは怖いなとちょっと思います。
林風汰 練習がある意味楽しくなっちゃってる。練習は楽しいですけど、悪く言えば気が抜けてる。よく言えば楽しくできてる。
林幹汰 (タイプは)人によりますね。そんなにガツガツ行かない人もいれば、こういう(真)誰でも狙っちゃうようなやつもいる、みたいな。
林風汰 お前やん。
林幹汰 俺もそうだけどー。
金井真 お前が一番チンピラだよ。
林風汰 (試合を)やってみないとわからないですね。
林幹汰 それは4年が変えてくれるでしょ。(風汰を見る)
金井真 (風汰を見る)
林風汰 ええで、ええで。
金井和 (我関せず、という表情)
1年生との関係
――1年生とは話しましたか
林幹汰 毎日遊んでますね。1年の3人部屋が広いのでたまり場です。ヨギボーもある、ゲーム機もある。温かい、涼しい、何でも利くので。
――どんな風に接しているんですか
林幹汰 もうタメ口使われてます。幹汰って言われてます。
金井真 ここ(真と和)は、清水(FW清水朝陽、社1=北海道・武修館)と飯見(GK飯見拓未、社1=東京・早実)が日光出身で、僕たちも栃木日光出身でもともと面識あったので。三男の弟が同い年で。ちっちゃい頃から見てきたので新入生っていう感じがあんまりしないです。その2人に関しては。向こうも結構話しかけてくれるので、やりやすいです。出路(DF出路貴海、スポ1=東京・都立竹早)はあんまり話せてないです。他の1年生より寮に入るのも遅くて。どういう人なのかつかめてないですね。
林風汰 飯見君は高校の同級生で、じゃねえや、
一同 (笑)。
金井真 1年生~1年生~。
林風汰 高校の後輩で。かぶってないんですけど。朝陽は兄貴が自分の1つ上だったんです。兄貴と仲良かったんです。弟いるの知らなくて。でも幹汰は仲良くて。お互いに知っていて。朝陽はウエイトルームのペアが一緒なので、可愛がってあげようかなって感じです。やんちゃボーイなんで。
――林幹汰選手は初めて大学で後輩ができましたが、先輩風は吹かせていますか
一同 (笑)。
林風汰 絶対タレコミ入ってるよ。
林幹汰 自分は1年生の頃から生意気だったので、仕事もろくしてなかったから、「後輩ができたら示しつかねぇぞ」って言われていました。自分が先輩に敬語を使えていない時があるので、そこはタメで来られても怒らないですね。でも、仕事をちゃんとやってなかったら怒りますね。1年生に。
金井真 こいつ…! お前が一番言えないからな。
林風汰 タメ語と同じくらいできてない。そこも言えねぇよ。
林幹汰 まあ圧は掛けませんね。ただ、やってないと怒られるのが2年生なので。あと、俺らの代は後輩に言うタイプの人がいないので、そこは自分が担当しようと思います。
金井真 ヤキ隊長、よっ。
林幹汰 ヤキ隊長です!
林風汰 これが?
林幹汰 呼び出すから。
林風汰 片手で十分。
――2022年、期待する選手を教えてください
林幹汰 俺。
林風汰 俺。
金井真 真面目にいけよ。
林幹汰 キャプテン(DF務台慎太郎、スポ4=北海道・駒大苫小牧)に期待します。務台さんは実力はすごいあるんですが、組み合わせとかタイミングでタイトル取れていないので、ああいう選手には取らせたいなという気持ちも込めて期待します。
林風汰 2択なんだよな、今シーズンは。こいつ(真)か、千葉(GK千葉琉矢、スポ3=北海道・武修館)です。うーん、せっかく一緒に対談やったので金井真で。去年の躍動ぶりを見てれば、今年は俺の、
林幹汰 (風汰の手を持ってゴマをすらせる)
一同 (笑)。
林風汰 でも、今年も、仲良いチームは波が激しい。逆に上下関係しっかりしたチームってずっとコンスタントなイメージがあるんです。でも仲良くなっているからこそ波がいいところにぶち当たれば強いところに勝てるし、弱いところにはすくわれるかもしれないし。っていった時に、波を作れる選手ってあんまり早稲田にいない。一番波を作れるのは、去年の1年間、明治戦とか、俺の次には金井真かなと。
金井真 あざす。がんばります。風汰さん。(期待する選手は)お前(風汰)じゃないから大丈夫。ガチで、千葉です。琉矢は去年村上さん(村上隼斗氏、令4スポ卒)っていう守護神がいたので出場機会が少なくて、本人もフラストレーションが溜まっているなと日常で話していて感じるので。元同部屋ということもあり、すごく期待してる。ってちゃんと書いておいてください。上からですが、同期なので、琉矢には期待します。頑張ってください。
対談が気になり、中を覗き込む千葉
金井和 期待っていう意味を込めるなら、1年生の清水朝陽君。昔からプレーを見ていたんですけど、自分が知ってる時よりすごい成長してて。1年生でも遠慮せず、全てさらけ出して、いきいきとプレーしているので。今年は人数が少ないので清水くんには頑張ってほしいなと思っています。
林風汰の元気がチームを盛り上げる
――4年生のお二人は部に対してどのような関わり方をしていきたいと思っていますか
林風汰 これ大事よ。
――先ほど、林風汰選手は声出し担当、金井和選手はツッコミ役というお話がありました
金井真 そういうこと? ベンチ開けとかじゃなくて?
林風汰 来年からあれ(スーツ)着たままずっとベンチに立ってようかな。
金井和 自分は人に指示をしたり、怒ったりするタイプじゃなくて。誰にでも平等に接して、意見を言うよりチームの雰囲気を大切にしちゃうタイプなので。たぶん木綿(FW木綿宏太、スポ4=北海道・駒大苫小牧)とか務台がチームに対していろいろなことを言うと思うんですが、自分は後輩目線に立ってあげて、チームの状況をコントロールしたいなと思っています。
林風汰 めっちゃちゃんとしゃべるじゃーん。
金井真 この後よ。
林風汰 昔から人より100倍くらい元気で。とにかく波がある時もない時もやらなきゃいけないことは変わらないと思うので。基礎をやるというのと、仲良いならとにかく元気にやる。あとはさっき言ってた、メリハリをつける。この3つをやれば1年間なんとかなると思っているんですけど、言うのが簡単なだけで。今年こそは1年生以来、全部の大会ができると信じてるので。そうなると、このチームは必ずどこかで問題が起きます。そうなった時に、俺は修正できる立場じゃないから、とにかくチームがいい状態の時も悪い状態の時も、常に上を目指せるような…結局声掛け担当じゃねぇか。ダラダラ喋ってみたけど。
金井真 でも風汰が元気な時(チームも)元気じゃない?
和・幹汰 (うなずく)
金井真 みんな眠い時にこいつ(風汰)がすごくうるさくて、みんなが盛り上がってきた頃にちょっとずつ疲れてくるんで、いい調子に保ってるんですけど。本当に風汰が元気ない時はどよーんとしちゃうので。3年の時からムードメーカー的なので。声出し担当がんばれよ。
林風汰 しょうがなくやってるだけなんだけどね。
金井真 期待してます、先輩。
林風汰 本当はもっとクールなんだよ。
金井真 あーそうなんですか。
質問に答える金井和
――金井真選手は上級生となり、組織をまとめていく立場になるかと思います。どんなプレーヤーになりたいですか
金井真 まとめるのは上の素晴らしい先輩方に一任してるので。
林風汰 (偉そうにする)
金井真 あと鎌田(FW鎌田悠希、スポ3=北海道・駒大苫小牧)もAマーク。そこは信頼しきっているので、まとめるというよりは、あおって、盛り上げていく。自分が練習で暴れていれば、多少イライラして自分にやり返すやつが出てくるので。そういうので競争心をあおっていけたら。ウエイトでも陸上でも、できるだけ背中で見せて頑張っていきます。背中見てやらないガキもたまにいるんですけど。誰とは言わないですけど。そういうやつもケツ叩いていけたらなと思います。
丁寧に答える金井真
――林幹汰選手はチームの中での存在感も増していくと思いますが、どのようなプレーヤーになりたいですか
金井真 言ったことはやれよ。
林幹汰 おっけー。2年生はまだ下級生ですが、1年生の時は心のどこかで4年生とか、華唯さん(杉本華唯、令4スポ卒=現所属未公表)がいるからな、って頼っていて。これからは自分が引っ張っていくっていうのを常に忘れないようにやって、
風汰・真 (目を合わせる)
林幹汰 上級生がたるんでたらぶっ飛ばしに行きますね。
風汰・真 おーぅ。
林風汰 是非お待ちしております。
後輩を生かす
――最後に今年1年の抱負をお願いします
金井和 自分がチームの中立的な立場で全体を客観視できるような存在になりたいです。プレーの方でも、DFなので、チームの守備に貢献して。去年はタイトル取れなかったので、優勝という目標に向けて、一人ひとりが切磋琢磨できる環境を形成していきたいと思います。
金井真 こいつ…堅い!
金井和 (微笑む)
金井真 僕はFWなので、とりあえず点を取ることを1番に考えて。あとは、チームの士気を高められるようなプレーを毎試合やれるように頑張っていきます。
林兄弟 (同じタイミングで腕を組む)
林風汰 強いて言うなら、ホッケー人生においてこんなに本気でやるのは最後のシーズンだと思うので。とにかく15年、16年で一番楽しかったなと言えるシーズンでありたいと思います。それが、練習とか、寮生活も信頼関係とかでホッケーにつながるので、そういうのもチーム形成の一環だと思うので、そういうところ。みんなにも「今年の4年生めっちゃ楽しかったな」って。過程が大事かなと思うので。そして優勝っていう結果に。各々やることは分かっていると思うので、それを明確にできるようにしたいです。(真を指して)点取ることだよ、とか。(幹汰を指して)点取ることだよ、とか。(自分・風汰を指して)体を張ることだよ、とか。(和を指して)DF人少ないから頑張ってねとか。春の時点で今年は弱いので。でもみんながやることやれればなんかあると思うので。そのためにはチーム仲良くないとホッケーも楽しくできないので、とにかく楽しいシーズンにしたいです。…やっば、4年生みたいなこと言っちゃったよ…。
金井真 4年生になったね!
林幹汰 自分は、去年の真は2年なのに、ぶっちゃけ一番活躍してたじゃん。
林風汰 たしかに。
林幹汰 っていうのを見た時に、結果残せば何でも良いんだなと思って。
林風汰 (失笑)。
林幹汰 真面目なやつじゃないので、プレーできないとろくでもない人間になるので。チームにもいっぱいライバルがいますし、うまい選手もいますが、その中で一番を狙って、プレーで点取ってブイブイ言わせる選手になりたいですね。
金井真 その言い方だと俺がブイブイ言わせてたみたいになるから。やめなさい。
――ありがとうございました!
林風汰 おもろかったな。1時間あっという間!
色紙を持つ選手たち。左から、林風汰、林幹汰、金井和、金井真
(取材・写真 田島璃子、落合俊)
◆林風汰(はやし・ふうた)
2000(平12)年10月11日生まれ。168センチ。東京・早実高出身。教育学部4年。林幹汰の兄。兄弟対談の前に行われた、主将・副将対談に「上半身はスーツ、下はパジャマの短パン、手にはバナナ」という出で立ちで現れた林風汰選手。今年もさまざまな武勇伝が生まれることに期待です!
◆林幹汰(はやし・かんた)
2003(平15)年1月7日生まれ。178センチ。東京・早実高出身。文学部2年。林風汰の弟。中学生のころから、歴代の彼女には「必ずミサンガを作らせる」という林幹汰選手。ミサンガは付き合っている間、ずっと足から外さないそうです。つまり、足を見れば、その時に付き合っている人がいるかどうかが分かります!
◆金井和(かない・やまと)
2000(平12)年5月31日生まれ。176センチ。東京・早実高出身。文化構想学部4年。金井真の兄。林兄弟と弟の金井真選手が賑やかに話しているのをにこにこと見守っていた金井和選手。エナジードリンクをよく飲んでいるそうで、寒い帯広でのインカレでも、コンビニでコーラをたった1本、大事そうに抱えてレジに並んでいました。
◆金井真(かない・しん)
2001(平13)年8月26日生まれ。176センチ。北海道・苫小牧東高出身。スポーツ科学部3年。金井和の弟。1年生に真選手のイメージをうかがったところ、「ストイック」「練習で一番声を出している」と褒め言葉が次々と飛び出しました。どうやら、1年生は対談直前に真選手に怒られていたそうです!