最終戦は明大に完封負け。3位で秋リーグを終える

アイスホッケー

 今年もまた、紫紺のグローブが宙を舞うのを目の前で眺めるしかなかった。長きに渡った関東大学リーグ戦(リーグ戦)もついに最終節。1つ前に行われた試合で東洋大が中大の優勝を阻止したことにより、早大対明大の最終試合が優勝を懸けての一騎打ちとなった。奇しくも昨季と同じ組み合わせとなった優勝決定戦は、一進一退の攻防が続く。しかし中盤に先制に成功した明大が流れを引き寄せ、終わってみれば0-4の完封負け。リーグ戦は3位で秋の戦いを締めくくることとなった。

 「第1ピリオドは自分たちがやろうとしたホッケーができた」(DF大崎大祐副将、先理4=青森・八戸)。その言葉通り試合序盤から、持ち前のアグレッシブさを生かしたホッケーを披露する早大。「チェッキングもはまってかなり良い時間帯が続いていた」(FW青木孝史朗、スポ4=埼玉栄)というように、積極的な守りも目立った。だが明大もリーグ戦3連覇が懸かる王者のプライドを持って、この試合に挑んでくる。早大はスコアリングチャンスは何度かありながらも、得点を奪えない。「第1ピリオドで(点を)取れなかったのが後になって響いた」と内藤正樹監督(平3二文=北海道・釧路湖陵)が振り返ったように、好機があっただけにやや悔やまれる第1Pとなった。

敗戦を噛みしめる試合後の選手たち

 観客に息もつかせぬ試合展開のまま第1Pは終了。両者無得点のまま試合の半分が過ぎ最初の1点を奪った方に流れは傾く、そんな空気がリンクに漂う中、均衡を破ったのは明大だった。明大が誇るスキルプレーヤー池田涼希の華麗なアシストから得点が生まれると、徐々に試合は明大ペースに。「第3ピリオドになってからワンチャンスでのピンチを防ぎきれなかった」と、序盤に失点。また、早大の主力選手であるFW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)がボードに激突し一時戦列を離れると、FW木綿宏太(スポ1=北海道・駒大苫小牧)も負傷で欠く早大は戦力ダウンが否めないチーム状況となる。さらに1点を失うと、スコアは0-3。反撃の糸口をつかめないまま、51分58秒に明大のシュートがネットに突き刺さる。大学アイスホッケー界を代表する明大のGK磯部裕次郎の好守にも阻まれ、一度もネットを揺らすことなく試合終了のブザーを聞くこととなった。

3位の賞状を手にする青木主将

 転がり込んできたチャンスをものにできず、早大は今年も優勝杯を明大に譲ることとなった。試合後の選手たちからは「悔しい」という言葉が漏れたが、一方で前向きな言葉も多く聞かれた。「みんなが頑張って勝ち取った勝点の積み重ねが今回の3位というかたちにつながった」(大崎)。その言葉通り今年は下位チームに対して全勝し、きっちりと勝ち点3を積み上げてきたからこそ、最終日まで優勝争いに絡み3位という成績でリーグ戦を終えることができた。ただ、上位校との対戦は中大以外には勝ち越すことなく一歩及ばなかったため、7年ぶりの賜杯獲得とはならず。それでも、「チーム全員が1つになってみんなが同じ方向を向いてプレーすれば、どのチームにも勝つチャンスがあるということを知れた」(大崎)とチームがまとまった時には、上位校をも圧倒するプレーを見せた早大。12月末に行われる日本学生氷上競技選手権は、4年間一度もタイトルを手にしたことのない4年生がタイトルを獲得できる最後のチャンスだ。冬の釧路で今年こそベスト8のカベを打ち破り、エンジのグローブを投げる早大の姿を目にしたい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 鬼頭遥南、岡すなを)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 明大
0(17) 1st 0(10)
0(14) 2nd 1(20)
0(7) 3rd 3(10)
0(38) 4(40)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
明大 31:38 徳田 池田 青山
明大 41:33 佐久間 京谷 岩崎
明大 44:14 徳田 池田 三浦 PK
明大 51:58 池田 亀田
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
前田 青木 杉本 吉野 務台
冨田 生江 澤出 大崎 篠田
小澤田 河田 住友 大塚
伊東 加賀美 草島 金井
GK谷口
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――今年もまた明治の優勝を目の前で見ることとなりました

東洋が第1試合で頑張っていいチャンスをくれましたけど、なかなか生かしきれなかったですね。けが人も出たのが少し残念でしたね。木綿がいなかったのが若干痛かったかなと思いますけど、それでもいる人間で最後まで一生懸命できたと思います。

――立ち上がりはかなりアグレッシブなプレーができていました

昨日の流れで1ピリが大事だよということは言っていたし、本人たちも理解していたので。やっぱり1ピリに1点ほしかったですね。あそこで取れなかったのが後になって響いたかな。明治が相手なので、どうしても先に1点を取って優位なかたちで進めたかったというのが本音ですけど。やっぱり1ピリに点を取って1―0でいきたかったというのが正直なところですね。

――後半はパスが通らない場面もありました

きょうは明治もうち以上に運動してきたかなという感じはしますね。上手な明治、強い明治が運動でもうちと同じように頑張ると、基本技術の差が少し出ましたね。それだけ向こうも優勝したかったんだろうと思います。

――リーグ戦を振り返って

総じてはよくやったと思います。まずは下位のチームに取りこぼさないで、きっちり8勝できたのは良かったと思います。それがあったから2位で通過できて、最終日の試合までできたんだと思うのでそこは評価しています。ただやっぱり最終的には、優勝を争う直接対決ですね。明治、中央、東洋に勝ち越すことができなければいけないと思いますね。明治には3回負けましたし、東洋にも1勝2敗で負け越しました。そこに勝てないと優勝はできないのかなと。優勝争いをする、というところまではきっちりよくやったと思いますけど、優勝する、というところで強いチームに対してあともう1勝、2勝できるようなチームにならないと、(優勝は)難しいのかなというところですね。トータルとしては、うちは一生懸命やったと思います。

――上位校と戦えるようにするために、どのような準備をしていきたいですか

インカレまであと3週間くらいありますけど、何と言ってもパスレシーブですね。ボールゲームなので、パスが通らないと始まりませんから、やはり正確性と精度を上げなければいけませんね。そのために練習から必ずこのパスは通すんだという気持ちでやらないと、ラグーでもサッカーでもそうですけど、パスが通らないとゲームは始まりませんので。もっとその精度を上げていきたいと思います。たぶんインカレの準々決勝で東洋大かな。準決勝は中央で、最後に明治と当たるのであれば、もう1回チャレンジして、1回でいいから明治に勝ちたいですね。それがインカレの決勝であれば最高だと思います。

FW青木孝史朗主将(スポ4=埼玉栄)

――試合を終えて、今の率直な気持ちをお聞かせください

まずは悔しい思いが一番に出てきます。きょうの試合に関しては自分たちのやりたいプレーというのも出来ていましたし、チャンスもかなり多かっただけに悔しい気持ちが大きいです。

――試合を振り返っていかがでしたか

自分たちは毎回立ち上がりが悪い試合だとずるずる悪くなってしまうのですが、きょうは第1ピリオドではシュート数を増やしていこうということでシュートも打ってチェッキングもはまってかなり良い時間帯が続いていたのですが、後半、第3ピリオドになってからワンチャンスでのピンチを防ぎきれずに結果として終わってみたら4―0と大差が開いてしまったのが反省点だと思います。

――勝敗を分けた部分は

一番は決定力の差かなと思っています。

――今リーグの収穫と課題を教えてください

明治大学には一勝もできませんでしたが、明治大学も含めて自分たちは今後の行い次第ではどの相手にも勝てるという自信がついたリーグ戦になったと思います。(課題に関しては)負けている試合は、大体試合の入りが悪く先制点を取られてそのまま自分たちのプレーが出来ずに終わってしまうということが多かったので、試合の入りは修正していかないといけない点なのかなと思っています。

――リーグ戦3位という成績についてどのように感じますか

きょう中央大学が負けて、目の前に優勝があったというだけに、3位という結果は非常に悔しいです。

――最後にインカレへの意気込みをお願いします

あと1か月もないですが、自分たちの行い次第ではどの相手にも対等以上に出来るのではないかという自信を得たリーグ戦だったので、今後この1か月間死に物狂いで練習して、必ずインカレではこの借りを返せるように頑張っていきたいと思います。

DF大崎大祐副将(先理4=青森・八戸)

――きょうの試合を終えて率直な気持ちを教えてください

悔しいの一言です。

――きょうの試合を振り返ってどうですか

第1ピリオドは自分たちがやろうとしたホッケーができて、得点はできなかったものの、失点もなく良い立ちが上がりだったのですが、第2ピリオドの失点する前あたりから少し明治の思うようにやられて、自分たちが後手にまわるようなプレーで一瞬のすきをつかれて失点してしまったというのが第2ピリオドだったと思います。

――副将としてリーグ戦全体を振り返ってどうですか

みんな一生懸命戦ったと思います。去年の下位チームに対しては全勝できて、2位の中央大学には2勝して、4位の東洋大学に決勝リーグで1勝できたのはチームとしてすごく頑張ったところだったと思います。みんなが頑張って勝ち取った勝点の積み重ねが今回の3位という形につながったのだと思います。

――3位という順位は気持ちとしてはどういうものですか

正直、明治戦は最終戦で優勝も可能性はあったので、優勝をとりに行った結果の3位はとても悔しいし、去年のチームを超えるチャンスだったので、結果として3位というのは悔しいですけれど、でも3位になれたというのは、4位で終わるのと3位で終わるのは全然違うのでプラスに捉えていいのかなと思います。

――収穫や課題を教えてください

リーグ戦を通して得た収穫としては早稲田のチーム全員が1つになってみんなが同じ方向を向いてプレーすれば、どのチームにも勝つチャンスがあるということを知れたことは今回のリーグ戦の収穫だと思います。逆に課題としては、1つにまとまることのできなかった時の弱さというのが露呈したリーグ戦でもあったので、あと3、4週間、1か月あるかないかですが、インカレに向けてみんな同じ方向を向いて強いプレーをできるよう取り組んでいきたいと思います。

――インカレにむけてひとことお願いします

自分たち4年生に残されたタイトルをとる大会がインカレしかないので、その悔しさを忘れず、また去年と同じ悔しさを味わわないようにも1ヶ月間みんなで同じ方向をむいて、勝ちに対して強い想いを持って練習に取り組んでいきたいと思います。