最終戦を前に、会心の勝利で優勝へ望みをつないだ。関東大学リーグ戦(リーグ戦)、4校が総当たりで戦う順位決定リーグ2戦目。早大は今季4戦4敗と苦戦している東洋大との対戦に挑んだ。どちらも負ければその時点で優勝の可能性がなくなる緊迫した一戦は、先制に成功した早大が流れを引き寄せ第2P終了時点で4-0と大量リードを奪う。東洋大の反撃にも屈せず、6-2のスコアで勝利し優勝の可能性を残したままリーグ最終日を迎えることとなった。
試合開始早々に東洋大の選手が立て続けに反則を犯し、絶好のチャンスを迎えると、4分3秒にFW青木孝史朗主将(スポ4=埼玉栄)がパックを押し込む。予選リーグの東洋大戦で課題として挙がった立ち上がりの悪さを修正し、今季初めて東洋大に対して先制に成功する。内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が勝因の一つだと語ったこの先制弾で幸先のいいスタートを切った早大。FW木綿宏太(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が負傷退場というアクシデントに見舞われたが、勢いは止まらない。14分27秒には、FW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)がパックを奪うと、FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)にアシストパス。FW澤出は、「いつもだったらシュートを打ってしまうと思うのですが、1点目はかわせて入れることができた」と、落ち着いて相手DFを振り切りゴール。早大を代表するポイントゲッターでありながらここ6試合はネットを揺らすことができていなかったが、この大一番で貴重な追加点をマーク。実力を見せつけた。FW生江がさらに加点するとスコアは3-0と強豪・東洋大に対してこれ以上ないリードを奪い、第1Pを終えた。
青木主将の先制弾で早大が勢いづいた
第2Pには、FW杉本華唯(スポ2=北海道・駒大苫小牧)が右サイドから一閃。4点の大量リードを奪う。中盤の早大の猛攻の後は、東洋大にも徐々にスコアリングチャンスが生まれるが、早大は素早いフォアチェックとゴール前の堅い守りでゴールを割らせない。しかし、第3Pに入ると、東洋大が息を吹き返し巻き返しを図る。45分29秒に反撃の一打を浴びると、さらにショートハンドゴールを許しスコアは4-2。一気に油断のできない点差となった終盤、東洋大の選手のハンドリングミスからパックを奪ったFW生江とFW澤出が再び連携プレーを見せる。最後はFW澤出が押し込み、嫌な流れを断ち切った。最終盤に東洋大が6人攻撃を仕掛けてきたが、FW杉本がエンプティゴール。6-2という素晴らしいスコア、そして充実した試合内容で今季初めて東洋大から白星を奪取した。
5点目を奪い勝利を決定づけた澤出
日本学生氷上競技選手権(インカレ)の準々決勝で当たると想定されている東洋大に対し、一矢報いることに成功した早大。「チームの意識としてシンプルにプレーしようというのがあって、それを体現できたのが大きかった」と、FW澤出が試合後に語ったように、60分間を通して早大らしいシンプルでアグレッシブなホッケーを貫けたのが勝因だろう。そして「優勝したいという気持ちが本当に強い」(FW澤出)というように、昨年あと一歩で取り逃した賜杯に懸ける思いの強さが早大を勝利に導いたはずだ。3か月に渡った全17節のリーグ戦もついに次節で最終戦となる。次戦の明大戦の前に行われる、東洋大と中大の対戦で中大が勝利すればその時点で中大の優勝が決まる。しかし東洋大が勝利すれば、優勝の座を懸けての早大と明大の一騎打ちが繰り広げられるはずだ。どんな状況であろうとも目指すは勝利のみ。最善を尽くし有終の美を飾りたい。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 小林理沙子、写真 新藤綾佳)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 東洋大 |
4(16) | 1st | 0(12) |
0(13) | 2nd | 0(15) |
2(9) | 3rd | 2(16) |
6(38) | 計 | 2(43) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 04:03 | 青木 | 生江 | ― | PP |
早大 | 14:27 | 澤出 | 生江 | ― | ― |
早大 | 16:44 | 生江 | 冨田 | ― | PP |
早大 | 23:41 | 杉本 | 河田 | 小澤田 | ― |
東洋大 | 45:29 | 前田 | 石倉 | 武部太 | ― |
東洋大 | 51:12 | 久米 | 武部虎 | ― | PP |
早大 | 56:11 | 澤出 | 生江 | ― | ― |
早大 | 58:23 | 杉本 | 青木 | ― | EN | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 前田 | 青木 | 杉本 | 吉野 | 務台 |
2 | 木綿 | 生江 | 澤出 | 大崎 | 篠田 |
3 | 小澤田 | 河田 | 林 | 住友 | 大塚 |
4 | ― | 冨田 | 加賀美 | 草島 | 金井 | GK谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――優勝に望みをつなぐ一勝となりました
きょう終わりたくないという気持ちをみんな持っていたので、とりあえずあすの最終試合までどうなるかわからないと信じてやろうと言って送り出したんですけど。最初の(東洋大の)反則かな。運よく取ってくれたので、そこで1点を取れたのが大きかったかなと思います。きょうは運動量も最後まで落ちなかったので、勝てたんじゃないでしょうか。
――今年は苦戦していた東洋大に対して差をつけての勝利となりました
あすの明治もそうですが春からずっと勝てていないので、インカレ(日本学生氷上競技選手権)でも当たる相手ですし、1回も勝たないでいくとなめられてしまうので、必ず1回勝ってインカレにいこうと話して送り出しました。実際に勝ててよかったですね。インカレに向けてもいい勝利になったと思います。
――中央戦に比べてゴール前の守りが堅くなった印象を受けました
ゴール前もそうですけど、全体的に運動量とパックを保持している時間が長かったというところですね。きょうはレフェリーが、1ピリは良かったですけど2ピリでたくさん反則を取られて、少し疑問に残るところはありますけど、それに飲まれないで最後まで冷静にやったというのが良かったんじゃないでしょうか。
――きょうの勝因は
先制したのもそうですし、4-0まで持っていけたとうところが良かったかな。大体4点取っているうちに2、3点取られるんですけど、そこまで1回持っていけたというところが良かったんじゃないでしょうか。その後の2点は少し余計でしたが、そこは東洋大なのでそう簡単にいくわけがないですし、また点数を取り直して差をつけられたのが良かったと思います。
――明大戦に向けて
明大戦の前に(中央の)優勝が決まっているかもしれませんが、どうなるか分かりようもないのが今年のリーグなので。最後までうちのホッケーをやって、うちも優勝の可能性はあるのでそれに向けて今からいい準備をしたいと思います。
FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)
――優勝へ望みをつなぐ大きな一勝となりました。今の気持ちを聞かせてください
素直に嬉しいです。また明日に(優勝の望みを)つなげられたので良かったなという気持ちでいっぱいです。
――中大戦から修正した点はありましたか
立ち上がりです。特に東洋(大)戦で一次、二次と立ち上がりが悪くて、中大戦も悪くて失点をしてしまったとういうのがあったので立ち上がりを集中していこうというのがありました。先制点を取れて良かったと思います。
――今シーズン苦戦した東洋大相手に差をつけての勝利でした。要因としては何があったでしょうか
チームの意識としてシンプルにプレーしようというのがあって、きょう体現できたのが大きかったと思います。やはり優勝したいという気持ちが本当に強いです。後輩も四年生のために頑張ろうという気持ちもあったと思います。それがいい方向に向いたのかなと思います。
――きょうの試合内容を振り返ってみてはいかがでしょうか
相手の反則が多くて荒れた試合にはなったのですが、チーム全体では落ち着いていこうという話がありました。自分たちのシンプルなプレーをしようという声掛けかけがベンチの中であったので、そこが本当に良かったと思います。
――ご自身の得点シーンを振り返ってみてはいかがでしょうか
1点目は太樹(FW生江太樹、スポ3=北海道・釧路江南)がフォアチェックを頑張ってくれていて、パックをとってフリーにさせてくれたというのが本当に大きいです。ここ最近得点できていなかったので、何か変えていかなくてはいけないのかなと思っていました。いつもだったらシュートを打ってしまうと思うのですが、1点目はかわせて入れることができたので本当に良かったです。2点目はイレギュラーな形になったのですが、練習でもやっていますし、2点入れられて流れも悪かったので、あそこの場面で(ゴールを)入れることができて良かったです。
――あすの明大戦へ向けての意気込みをお願いします
優勝への望みがまだあるので、まず勝って、インカレにつなげられるように。四年生との試合もあと少しなので四年生に恩返しできるように後輩全員で頑張っていきたいと思っています。