惜しくも明大に敗北。2位で予選リーグを通過

アイスホッケー

 関東学生リーグ戦(リーグ戦)予選リーグ最終節は明大と首位を争うまさに天王山。両チームとも堅い守りで緊迫した展開が続いたが、「チャンスで決め切れないところが出てしまった」とFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)が振り返るように決定機をふいにした早大に反して、着実に点を重ねた明大に軍配が上がった。それでもリーグ戦前半戦で0-5と大敗した相手に1点差という僅差に持ち込み、順位決定リーグに希望を持てる一戦となった。

 昨年あと一歩のところで優勝を阻止された明大に雪辱を果たすためにも、先制して勢いに乗りたい早大。しかし、試合開始後PK(※2)で不利な状況が相次ぐ。身を挺して守りを固めた早大だが、7分22秒に数的不利によるギャップを突かれ先制される。以降、11分のFW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)のシュートなど好機を演出するが、決め切れない。迎えた第2P(ピリオド)、立て続けにPP(※1)の状況が訪れるも、明大の巧みなディフェンスに苦しみ、無得点。見せ場を作れぬまま、明大のパスがつながり始め早大ゴールを脅かす。12分1秒、4秒と明大の矢のようなシュートが降り注ぐが、ここはGK谷口嘉鷹(社4=東京・早実)が続けてビックセーブを見せた。少なくとも同点に追いついておきたい早大は36分35秒からPPで有利な状況を迎えるも、「一瞬の隙を突かれて数的不利を作られて失点につながってしまった」とDF吉野泰平(社3=東京・早実)が述べたように、早大のパスの乱れを見逃さなかった明大が37分59秒に追加点を挙げ、0-2で第2Pを終えた。 

アシストで2得点ともに絡んだ澤出

  勝利のためにまずは追いつきたい早大は、第3P開始直後から持ち前の運動量で明大を圧倒する。42分42秒、熟達したハンドリングで相手DFを翻弄し、抜け出したFW澤出。そのパスを受けたFW生江が落ち着いたシュートでこの日初めて明大ゴールのネットを揺らす。リーグ戦9得点目となるこのシュートは早大に勢いをもたらした。この直後、右サイドからFW澤出が放ったシュートのこぼれ球に上手く反応したFW木綿宏太(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が猛然とパックをねじ込み、44分12秒に待望の同点弾を決めた。この勢いのまま逆転を目論む早大だったが、前のめりになったところでカウンターを受けてしまう。48分28秒、明大の鮮麗なパスワークでかき回され、痛恨の失点。連続得点の勢いを数分でそがれてしまう。その後はFW前田悠佑(社3=東京・早実)が狙いすましたシュートを放つも相手GKに阻まれるなど、歯がゆい時間が流れる。最終盤には、6人攻撃など決死の姿勢を見せたがゴールを奪うことは叶わず、2-3で惜敗に終わった。

明大の勝ち越しゴールが決まり、肩を落とす谷口

 「3点目はもったいなかったですね」と内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が語ったように、勝負所で踏ん張り切れなかった早大。とはいえ、下位チームとの対戦で危なげなく全勝したことで、予選リーグは2位で通過。次週から明大、早大、中大、東洋大の上位4校による順位決定リーグが行われる。東洋大と明大に2敗しているため、順位決定リーグは厳しい戦いとなるが、特に日本学生氷上競技選手権でも対戦が予想される東洋大には勝利しておきたい。また、次戦は予選リーグでは2戦2勝と得意にしている中大との対戦。ここを着実に勝って勢いに乗り、7年ぶりの優勝という栄冠を勝ち取りたい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 杉原優人、写真 宇根加菜葉、鬼頭遥南)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 明大
0(12) 1st 1(12)
0(22) 2nd 1(8)
2(18) 3rd 1(12)
2(52) 3(32)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
明大 07:22 中條 池田 佐久間 PK
明大 37:59 徳田 三浦 PP
早大 42:42 生江 澤出
早大 44:12 木綿 澤出 生江
明大 48:28 高木 亀田 吉岡
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
前田 青木 杉本 吉野 務台
木綿 生江 澤出 大崎 篠田
小澤田 河田 住友 大塚
伊東 冨田 加賀美 草島 金井
GK谷口
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――勝利すれば首位となる試合でした

連続して同じ相手には負けられないなという気持ちで臨んだんですけど、パスの精度が良くなかったかな。せっかく反則をたくさんもらっていたんですけど、ショートハンドで決められたり、基本技術が少し甘かったかな。3ピリになってからは、運動量も増えたし運動はよくやっていたと思いますけど、後は時間帯と役割かな。3点目はもったいなかったですね。せっかく乗っていたところなので、ああいうところで4人入っちゃうと、明治はターンオーバーが上手なので決められてしまいましたね。

――明治のカウンター攻撃にやられてしまいました

明治は1対1、2対2という状況をつくり出して、数の少ないところで自分たちのテクニックを使ってゴールを入れるのが上手なので、ああいう3点目ですね。3点目のような失点をしているうちは、勝てないかな。

――前回の明大戦は5ー0での敗戦でしたが、比べていかがでしたか

きょうは頑張っていましたよ。シュート数も増えましたし、少し精度が良くないですね。PPもかなりもらっていたんですけど、それで決められないとやっぱり良くないですね。もう少しPPの精度を上げないといけません。パスが良くなかったし、氷もあまり良くなかったんですけど、条件は同じなのでしょうがないでしょう。

――予選リーグを総括していかがですか

下位チームに取りこぼしがないというところが、今年はよくできたのかなと。昨年ほど爆発的な力があるわけじゃないんだけど、下位のチームにしっかりと勝ち切れたので今ここにいるんだと思います。ただあすからの対戦は上位のチームしかないので、東洋にも明治にも2回負けてしまって、何としても1回は勝たないと、日本学生氷上競技選手権のこともありますので。後は全日本選手権にも出たいので。まずはあすしっかりと勝って勢いをつけ直して、もう一度東洋と明治にチャレンジしたいと思います。

FW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)

――この試合を振り返っていかがですか

やる前から大事な試合というのは分かっていたので、負けてしまったのは非常に悔しいと思います。

――1、2ピリオドはオフェンス面では良かったと思いますが、無得点でした。そこについてはいかがですか

シュート数では相手を上回ったのでそこに関しては良かったですが、結果的に得点につなげることができなかったので、そこで一工夫が必要かなと思いました。

――勝敗を分けた原因は何だと思いますか

やはり決定力の部分で、相手はシュート数が少ないにも関わらず決めるところは決めて、反対に自分たちはシュート数が多いにも関わらずチャンスで決め切れないところが出てしまったので、時間はありませんが、あすはしっかりと修正して決め切れるように頑張りたいと思います。

――今の話とも重なりますが、パワープレー時に得点を決め切れなかった点についてはいかがですか

相手がタイトに守ってくることは想定していましたが、それ以上に相手は守りの面で良かったので、そこで対応し切れなかったから得点できなかったのかなと思います。

――予選リーグ全体を振り返っていかがですか

上位チームとの試合で勝ち点を落としているので、これから上位3校と当たりますが、負けられない試合が続くのでしっかりと勝ち切って、優勝できるように頑張りたいと思います。

DF吉野泰平(社3=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

1つのミスで(点を)取られてしまったことがあったのと、シュート数はけっこう打っていたのに決めきるところを決めきれなかったのが敗因かなと思います。

――前回の明大戦に比べると点差は縮まりましたが、何か収穫はありましたか

今シーズンまだ明治から点数を取れていなかったので、2得点できたというのは苦手意識などを払拭する面でも大きな収穫だったと思います。

――DF陣の出来はいかがでしたか

受け身にならずにこちらから仕掛けようとDF陣では考えていて、場面場面でそのプレーができたことも多かったのですが、一瞬の隙を突かれて数的優位を作られて失点につながってしまったので、そのような部分を修正して、あと1回決勝リーグで試合をすることができるので次につなげられたらいいと思います。

――勝敗を分けた部分は

やはり、60分間隙の無いプレーをしなければいけないところを一瞬の隙をつかれてしまったというところと、シュート数が多かったにも関わらず決めきれるところを決めきれなかったところが勝敗を分けたのだと思います。

――予選リーグを振り返っていかがでしたか

予選リーグを振り返ると、今まで早稲田は上位4チームと下位4チームに分けて考えたときに下位4チームに勝ち点を落とすことが毎年あったのですが、今年はそこを取りこぼしなく格下の相手には全て勝ち点を取れたというところが大きかったと思います。上位チームからは、中央からしか勝ち点が取れなかったのでここからの決勝リーグは東洋や明治に勝てるようにしっかり改善していきたいです。

――決勝リーグへの意気込みをお願いします

ここからは全勝しないと優勝の可能性がないので一戦一戦気持ちを込めて、落とせない試合が続くので頑張っていきたいと思います。