関東大学リーグ戦(リーグ戦)、ここまで8勝2敗で2位の早大は慶大と対戦。慶大は現在最下位とはいえ、前日の試合で首位を走る明大を撃破しており、いい状態でこの日の試合に臨んできた。序盤は慶大の勢いに押される場面も見られたが、第2P(ピリオド)からは本来の早大のプレーを徹底し、逆転に成功する。慶大もしぶとく試合終了間際に1点差に詰め寄ってきたが、勝利は譲らず。5-4のスコアで白星を飾り、5連勝となった。
「うちのやりたいホッケーを慶応にやられてしまった」(内藤正樹監督、平3二文卒=北海道・釧路湖陵)というように、第1Pは慶大のアグレッシブなプレーに圧倒される展開となる。リバウンドをたたかれ先制を許すと、慶大ペースのまま試合は続いた。次に赤いランプを点灯させたのも慶大だった。鋭いシュートが「プレッシャーによってパスレシーブが乱れてしまった」(FW生江太樹、スポ3=北海道・釧路江南)とパスワークも乱れ、0-2とリードを奪われたまま第2Pを迎えた。指揮官が「慌てるな」と選手たちに声を掛け、挑んだ第2P。早大が本来の力を発揮しFW前田悠佑(社3=東京・早実)の先制弾で反撃に出る。慶大の選手がペナルティーとなり、パワープレー(※1)を迎えるとこのチャンスを見逃さない。生江がしっかりとパックを押し込みまずは同点に追いつく。FW北村瑞基(商2=東京・早実)の勝ち越しゴールでとうとう逆転に成功し、第3Pへ。
反撃の一打を放った前田
さらなる得点で慶大を突き放したい早大は、生江が敵をかわし一気にゴール前まで持ち込み、ネットを揺らす。「キルプレーで、点差も1点差という状況で取れた点で大きかった」と状況を打開する4点目をマークした。 しかし46分3秒、慶大がゴールを決め再び1点差に。試合は終盤までこう着状態となる。再び試合が動いたのは、55分10秒、ここまで絶妙な連携プレーを見せてきている第2セットが躍動。FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)がゴール裏からパスを送ると、生江がワンタッチでシュートを決める。生江はハットトリックを達成し相手を突き放す。しかし慶大も意地を見せ、試合終了まで1分を切ったところで得点。なかなか勝利を確実なものにできなかったが、残りの時間はパックをしっかりとキープし慶大の得点を許さない。5-4という最終スコアで辛勝し、リーグ戦の通算成績を9勝2敗とした。
ハットトリックを達成した生江
リーグ2巡目は下位校との4戦全てに勝利し勝ち点を着実に積み上げてきた。そしていよいよ次戦から上位3校との対戦が始まる。来週は1巡目では敗北を喫した東洋大、明大との戦いが待ち受けている。スタートから足を動かし、60分間早大のホッケーを貫くことができれば勝利はおのずと見えてくるはず。昨年、あと一歩のところで取り逃した優勝杯を手にするために、ここからが踏ん張り所だ。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 小林理沙子、写真 杉原優人)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 慶大 |
0(9) | 1st | 2(11) |
3(19) | 2nd | 0(3) |
2(11) | 3rd | 2(9) |
5(39) | 計 | 4(23) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
慶大 | 05:44 | 田中 | 笹山 | 小嶋 | - |
慶大 | 12:22 | 笹山 | 小嶋 | ― | PK |
早大 | 22:03 | 前田 | 務台 | 杉本 | ― |
早大 | 26:57 | 生江 | 大崎 | 木綿 | PP |
早大 | 30:14 | 北村 | 大塚 | 小澤田 | ― |
早大 | 40:37 | 生江 | ― | ― | PK |
慶大 | 46:03 | 十文字開 | 福盛 | 十文字陽 | ― |
早大 | 55:10 | 生江 | 澤出 | ― | PP |
慶大 | 59:05 | 十文字陽 | 福盛 | ― | ― | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 前田 | 青木 | 杉本 | 吉野 | 務台 |
2 | 木綿 | 生江 | 澤出 | 大崎 | 篠田 |
3 | 小澤田 | 河田 | 北村 | 住友 | 大塚 |
4 | 大石 | 冨田 | 加賀美 | 草島 | 金井 | GK谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――試合を振り返っていかがですか
1ピリは慶応が今調子がいい状態で、彼らは決意を持って臨んできて若干押されてしまった形でした。2ピリからは修正していつものホッケーができたので、ちょっとエンジンのかかりが遅かったですね。
――第1Pは慶応に早稲田のやりたいホッケーをやられてしまったように見えました
全くその通りですね。安易に中に入って裏を取られて、3対2、2対1の状況を作られたりしていました。詰めも甘かったので、シュートを打たれてしまいますよね。後は、ナンバーカウント。相手の誰に付くかということが、きっちりできていなくて中途半端にみんな帰ってきたので、帰ってきているのは帰ってきているんだけど、スティックリフトをちゃんとやりながら帰ってきていないところで、2点撮られてしまったかなと思います。
――第2Pの前に選手たちにはどう声を掛けましたか
慌てるな、と。今おっしゃった通り、うちのやりたいホッケーを向こうがやってきているということなので、ちゃんとうちも同じようにやりなさいと言って送り出しました。
――生江選手はハットトリックとなりました
一人で取ったわけじゃないので。第2セットが一生懸命頑張って取ったということですね。
――次戦からは上位校との対戦となります
これでやっと挑戦権をもらえたのかなと思っています。来週は東洋と明治ですけども、前回は負けていますのでしっかりやり返して、決勝リーグに行って勝負できるようにしたいと思います。
FW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)
――きのう、明治に勝利している慶應との対戦でしたが、どのように戦っていこうとしていましたか
試合前のミーティングで、下位チームに全勝して上位と戦いたいと皆で話をしていたので、結果としてはそこは達成できたのでよかったと思います。
――試合内容を振り返って
早稲田のホッケーをするという目標があったのにも関わらず、スタートで2失点してビハインドという形になってしまったので、60分間通して早稲田のホッケーができるように練習から意識してやっていこうかなと思います。
――序盤は慶應のアグレッシブなプレーに押されていたように見えましたが
そうですね。プレッシャーによってパスレシーブが乱れてしまったり、本来の僕たちのホッケーができなかった部分からの失点というのが多かったと思うので、上位とやる時はミスはできないと思いますし、早稲田のホッケーをして上位と戦っていきたいと思います。
――ハットトリックの感想
きょうの得点はゴール前の混戦からだったり、ワンタッチでのシュートだったりが多かったですけど、もっともっと自分で試合展開を打開できるように試合を決定づけられるような得点を奪えたらチームも楽に勝てると思うので、そういうゴールを取れるように練習していきたいと思います。
――ゴールシーンをそれぞれ振り返って
1点目と3点目に関してはパワープレーでゴール前にパックが転がってきたところを押し込んだという形ですけど、2点目に関してはキルプレーで点差も1点差という状況でとれた点で大きかったと思いますけど、やっぱりそういうゴールを取れるようにしていきたいと思います。
――来週から上位との対戦が始まりますが、意気込みをお願いします
昨年あと一歩で優勝というところに届かず、一戦一戦の重みというのは選手全員分かってると思うので、そこに向けた気持ちの面とプレーの面と両方、チームでまた一段階、二段階上げてプレーできるようにチーム全体で声掛けてやっていきたいと思います。