前節で持ち前の運動量を生かしたホッケーで日大に快勝を収め、迎えた関東大学リーグ戦(リーグ戦)第9節。台風の影響で、平日の夜遅くという変則的な時間に試合が行われることとなり、選手たちには少し浮足立った様子が見られ精彩を欠くプレーが続く。最終的には3-0で勝ち切ったが、次戦に向けて課題を残す試合内容となった。
試合開始から1分03秒、好調を維持し得点をたたき出しているFW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)がスキルを見せつけゴール前にパックを運ぶ。そのまま押し込み先制弾を放つ。これで澤出はチームトップタイの6得点を記録し、3年目の貫禄を示した。早大は、この日も先制に成功はしたが後が続かない。足が動かず重い試合展開になる。第1P(ピリオド)終盤にFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)が放ったシュートがネットを突き刺すと思われたが、ポストにはね返り惜しくも得点ならず。各ピリオドで20本以上のシュートを放つことが大事だと内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)は常々口にしているが、第1Pを終えて早大の放ったシュートはわずか12本に終わった。
ここまで通算6ゴール9アシストと好調の澤出
ギアを上げたい第2Pだが、試合展開は変わらず「シュートを打てるところで打たないでパスにしたところがある」(内藤監督)というように、アタッキングゾーンで攻めあぐねる場面が続く。それでも日体大をかなり上回るシュート数を放ち、37分29秒、またも澤出がチャンスを生み出す。ゴール裏からアシストを出すと、生江がしっかりとタイミングを合わせゴール。前節に続き第2セットが息の合ったプレーで2点目を生み出した。第3Pも拮抗した展開は続いたが、内藤監督が試合後に称賛を口にしたGK谷口嘉鷹(社4=東京・早実)のリバウンドを出さない守りで日体大にゴールラインを割らせない。終盤にFW青木孝史朗主将(スポ4=埼玉栄)が3点目を追加すると、勝利は早大に傾く。しかし試合終了まで2分を切ったところで、乱闘が起こり試合は一時中断。リンクには不穏な空気が漂う。両チームの選手にペナルティーが課され試合が再開したが、再び小競り合いが起きる。最終スコアは3-0でタイムアップとなり勝利を収めたが、やや後味の悪い一戦となった。
青木主将もチームハイのリーグ戦通算6得点目をマーク
「最後までエンジンはかからなかった」(内藤監督)というように、本来の力を発揮することなく試合終了のブザーを聞くこととなった早大。今シーズンの課題だというトータルのシュート数の少なさも改善することはできず、伸び悩んだ。「どの角度からもシュートを打ってリバウンドをたたくというのが昨年はできたからこそ勝てた」(澤出)との言葉通り、快進撃を見せた昨年は一試合に50本以上のシュートを放ち相手ゴールを脅かし続けた。シュートを放たなければゴールは生まれない。ゴール前ではまず第一にシュートを選択することが求められる。次戦は直近の2試合で強豪校との接戦を繰り広げ、勢いに乗る法大。リーグ戦はここまで7勝2敗の早大に対し法大は5勝4敗と成績では上回っているとはいえ、この日のように隙のあるプレーを見せれば必ず見逃さず得点につなげてくるだろう。上位リーグ進出を確実なものにするためにも、負けは許されない。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 小林理沙子、写真 宇根加菜葉)
結果 | ||
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早大 | ピリオド | 日体大 |
1(12) | 1st | 0(8) |
1(22) | 2nd | 0(6) |
1(12) | 3rd | 0(10) |
7(46) | 計 | 2(24) |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 01:03 | 澤出 | 篠田 | 大崎 | ― |
早大 | 37:29 | 生江 | 澤出 | 篠田 | ― |
早大 | 50:71 | 青木 | 務台 | 杉本 | ― | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
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セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 前田 | 青木 | 杉本 | 吉野 | 務台 |
2 | 木綿 | 生江 | 澤出 | 大崎 | 篠田 |
3 | 小澤田 | 河田 | 北村 | 住友 | 大塚 |
4 | 大石 | 冨田 | 加賀美 | 草島 | 金井 | GK谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)※囲み取材から抜粋
――試合内容を振り返って
ひどかったね。足も動いていなかったし、シュートを打つところで打てていなかったし、そういうことをやっているといわゆるしっくりこない試合になりました。最後までエンジンはかからなかったね。
――先制はしましたが、動きは悪かったです
変則的な日程で少しそわそわしているところもあったのかなと思うんだけど、もうちょっと試合に集中してほしいなというところはありますね。さぼっているわけじゃないんだろうけど、判断が一歩遅い。それをそのままにしていたのが一番よくないね。やっぱり足が動いていないんだったら、無理やり足を動かそうとかそういうことをして、運動をしないとなかなかいいチャンスは生まれないですね。シュート数も少なかったです。
――荒いプレーもありました
まあお互い様なので、気を付けなければいけませんね。今年はうちだけじゃなくてリーグ全体としてミスコンとかが多いので、「気を付けなさい」という話はしたんですけど、言ってるそばからやってしまってと思いますので、そこは注意しました。
――そのような試合内容の中でも勝ち切れたことは大きいです
きょう一つ良かった点と言えば谷口かな。シュートもリバウンドを出さないで1本で終わらせていて、今まではキャッチングばかりだったんだけど、スティックハンドの方も大分上手になってきたので、その辺は彼の練習が形になって出てきたのかなと思います。
――法政戦に向けて修正すべき点と意気込みをお願いします
まず運動量を上げなければいけませんね。法政は今のっているので先制されないように、1ピリの最初から運動量を多くゴールに向かわなければいけません。きょうもシュートを打てるところで打たないでパスにしたところがありますけど、それをやっていると法政の餌食になってしまうので、まずはシュートを第一選択として次の試合に臨みたいと思います。
――点が入らないだけど、ずっと圧倒していたようには見えましたがまだ足りないですか
きょうの試合じゃ全然足りないですね。もっと点数が入っても良かったし、まずシュートを打とうとする空気が感じられなかったのが一番気に入らないですね。打ってキーパーに止められるんだったらまだいいんだけど、打たないでパスとかに意識がいっているとことがきょうの一番気に入らなかったところかな。後一回しか氷上練習はありませんけど、そこでもう一度ギアを上げて法政戦にチャレンジしていきたいと思います。
FW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)
――試合内容を振り返っていかがですか
あまり早稲田のホッケーができなくて、悪い流れのときもありましたし最後はああいうふうになってしまいました。全体的にはあまり良くありませんでしたが、勝ち切れたというのは良かったと思います。
――試合間隔が空いたと思いますが、どのように調整されましたか
台風で(試合が)延期になってしまいましたが練習はちゃんとやっていたので、そこまで大きな影響はありませんでした。ですが、平日の夜にホッケーをすることはなかなかないので、そこでかみ合わない部分もあったのかなと思います。
――先制点こそ挙げましたが、全体の動きは良くなかったと思います。チーム全体として振り返っていかがですか
スタートから足を動かしていこうという話はありましたが、この時間に慣れていないというのもあって足は動かなくて。流れは悪かったですが、あそこで点を決められて良かったです。
――この試合で今季の関東大学リーグ戦(リーグ戦)通算6ゴール9アシストとなりましたが、ここまでのリーグ戦を個人として振り返っていかがですか
まだまだ点は取れましたし、アシストできるところもありましたし、もっと上を目指してチームに貢献できるように頑張っていきたいと思います。
――今週末に法大戦がありますが、そこに向けての修正点と意気込みをお願いします
トータルとしてシュートの数が少ないのが今年の課題で、どの角度からもシュートを打ってリバウンドをたたくというのが昨年はできたからこそ勝てたと思っていて。それを思い出して今年もシュートを多く打てれば勝てると思うので、そこを修正していきたいと思います。