PSSОで敗れ、惜しくも決勝進出ならず

アイスホッケー

 大学交流苫小牧大会(サマーカップ)、準決勝の舞台に駒を進めた早大は、法大との対戦に挑んだ。前日の試合で法大は、昨年の全日本大学選手権優勝校の明大を下しており、春に一度勝利しているとはいえ決して油断ならない相手だった。試合開始から豊富な運動量で相手を圧倒したいところだったが、立ち上がりから本領を発揮することはできず3-4で敗北を喫し、決勝進出はかなわなかった。やっとエンジンがかかってきた第3P(ピリオド)には法大を上回るプレーを見せたため、一層序盤が悔やまれる敗戦となった。

 「立ち上がりが悪すぎましたね」と内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)というように、不安定な立ち上がりとなった第1P。試合開始直後の25秒にいきなり法大に先制点を浴びると、続けて相手の猛攻を許す。前日に行われた日大戦で見せた運動量は影を潜め、Aゾーンでパスを回すこともままならない。11分45秒に再び法大に追加点を奪われてもなお早大らしいプレーはできず、0-2で第1Pを終えた。徐々に足が動き始めた第2Pは、ルースパックへの反応も格段に良くなり、何度もシュートを放つ。だがしかし、決定打には至らない。もどかしい状況が続いた29分25秒、PP(※1)で第1セットが必死に攻め続けると、ここまで何度もシュートを放ってきたFW澤出仁(スポ3=北海道・武修館)がついに、パックを相手ゴールに突き刺す。待望の得点を手にした早大だったが、直後に1点を返され1-3と2点リードされたまま第3Pへ。

 大きな1点目を奪った澤出

 早大のプライドにかけて同点に追いつかなければならない第3P。法大のペナルティにより迎えたPP、もうこのチャンスを逃すわけにはいかない。DF大塚脩世(スポ2=長野・佐久長聖)のロングシュートが前日に引き続きネットを揺らす。大きな2点目にベンチは盛り上がりを見せ、チームは勢いづくが次の1点が遠い。刻一刻と時計は進んでいき、試合終了まで残り2分を切る。59分09秒、再びPPの時間帯を得て、必死に相手ゴールに向かう第2セットのFW陣。FW北村瑞基(商2=東京・早実)が流したパックを「気持ちで押し込んだ」というFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)のゴールにより、間一髪で同点に持ち込む。スコアは3-3のままブザーが鳴り、勝負の行方は5分間のサドンデスへ。緊張感の漂うリンクで始まったサドンデスは、ほとんど早大がパックをキープする展開に。澤出や生江の惜しいシュートが何度も飛び出すが決めきることはできず、最終的に勝敗は各チーム5人ずつが、GKとの1対1を行うPSSО(ペナルティ・ショット・シュート・アウト)で決することとなった。PSSOは早大が2名が成功、法大が3名が成功。勝利の女神は法大に微笑んだ。早大は3-4で敗北を喫し、あと一歩、決勝の舞台には届かなかった。

第3P終了間際に同点ゴールを押し込んだ生江

 サマーカップ最後の試合となる、3位決定戦の相手は春に一度破れている東洋大。「まずはこの合宿でやってきたことというのを出し切って、いいかたちで秋リーグ(関東大学リーグ戦)につなげられるように頑張っていきたい」と生江が語ったように見据えるのは1週間後に開幕するリーグ戦だ。最初から最後まで全力で挑み、サマーカップを勝利で締めくくりたい。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 糸賀日向子)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 法大
0(11) 1st 2(14)
1(13) 2nd 1(8)
2(16) 3rd 0(11)
0(5) サドンデス 0(1)
PSSO
× 1人目
× 2人目
× 3人目 ×
4人目 ×
5人目
3(45) 4(35)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
法大 00:25 三田村 小西
法大 11:45 小西 安藤 PP
早大 29:25 澤出 杉本
法大 30:03 三田村 松井 安藤
早大 41:19 大塚 草島 生江 PP
早大 59:09 生江 北村 木綿 PP
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
澤出 青木 杉本 篠田 務台
木綿 生江 伊東 大塚 草島
北村 冨田 前田 住友 吉野
大石 河田 金井 チェイス
GK谷口
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)

――試合をふり返っていかがですか

立ち上がりが悪すぎますね。日大戦のように、最初から運動量を上げなければいけないですね。それが全くできていなかった。せいぜい第3Pに少し上回ったくらいかな。それは陸トレをやっている成果が出たのかなと思います。ただやはり法政は強いので、それが第1Pからできなければいけませんね。それができなかったというのは大きな反省点だと思います。

――敗因は立ち上がりの部分ということですか

そうですね。半分寝ぼけているような感じだったので観ていて非常にイライラしました。お客さんも同じ気持ちだと思うんですけど、早稲田大学は最初から最後まで全力でやるのが売りなのでそれができないとこういう試合になっちゃいますね。

――最終的には同点に追い付きましたが、ゴールシーンを振り返っていかがですか

ゴールしているシーンは非常にいいですね。あれをもっと回数を増やさなければいけません。そうじゃないと相手に勝てないので。それができなかった第1P、第2Pのつけが第3Pに回ってきたと。第3Pに一生懸命頑張っても、第3Pだけで勝てるスポーツではないので。最初から最後まで全力でやるということが大切ですね。

――前の試合に続いて大塚選手がゴールを決められました

シュート自体もよかったんですけど、ゴール前に立っている人間が一生懸命頑張ってスクリーンをかけたのが良かったんじゃないですかね。

――全体的にPPで決めきれていない印象を受けました

そうですね。パスの精度も悪かったし、体も動いていないので、うちがやらなければいけない基本的なものが全く出せていなくて、そうするとPPになってもいいパスが来ないといいシュートは打てないですからね。シュートを打つ前の段階がよろしくなかったですね。

――あすの3位決定戦への意気込みをお願いします

第1Pから最後まで足を動かすこと、体を使って自己犠牲をして仲間を呼んで一個のパックを5人で力をあわせて運んでいくということができなければ勝てないと思いますので、それを最初からやりたいなと思います。

FW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

立ち上がりで失点してしまったところがあったので、やっぱり最初から気持ちを引き締めて、気持ちの面で相手の方が一枚上だったかなと思いました。

――きょうの課題は立ち上がりの部分ということでしょうか

立ち上がりの部分と、ハードワークという点で早稲田の持ち味を出し切れなかったところが失点にもつながったと思います。あす3位決定戦があるので、ハードワークという部分もチームで共有してやっていきたいと思います。

――ゴールシーンはいかがでしたか

あれはPPで瑞基(FW北村、商2=東京・早実)がゴール前に流してくれて、押し込むだけだったので気持ちで押し込みました。

――サマーカップは第2セットでプレーされていますが、第2セットに求められいるプレーはどのようなものだと考えていますか

看板セットは第1セットだと思いますけど、2セット目も1セット目と同様に春くらい点を取らなければいけないと思っていますし、個人的にはやはり試合を決めるゴールというのを狙っていきたいと思うので、もう少しセットでコミュニケーションを取って点数を取れるようにやっていきたいと思います。

――3位決定戦への意気込みをお願いします

まだ相手は分からないですけど、まずはこの合宿でやってきたことというのを出し切って、いいかたちで秋リーグ(関東大学リーグ戦)につなげられるように頑張っていきたいと思います。