最終戦は明大に完敗。2位で春を終える

アイスホッケー

 またも明大に完敗を喫した。直前に行われた試合で東洋大が10年ぶりの優勝を決め、両者共に優勝の可能性が消滅し迎えた関東大学選手権Aグループ最終戦。ここまで1勝1敗の早稲田に対し2敗の明大。王者らしくないプレーが続いていた明大だったが、この日はやっと本来の力を取り戻しアグレッシブなホッケーで早大を圧倒。「勝ちたいという気持ちが明治大よりも早稲田の方が少なかったといったメンタル的な部分が負けにつながった」と大崎大祐副将(先理4=青森・八戸)が振り返ったように勝利への執念でも明大を上回ることはできなかった。昨年秋の関東大学リーグ戦の優勝決定戦でも敗れた因縁の相手に、1-4で敗北。ここまでの勝ち点で2位に輝いたものの、選手たちの表情に明るさはなかった。

  試合開始から明大はアグレッシブでシンプルなホッケーを見せる。一方の早大も持ち前の運動量で応戦し、ハイレベルな戦いが展開される。均衡が破れたのは7分10秒。ゴール前までパックを持ち込み、最後は押し込んだ明大が最初に赤いランプを点灯させた。続く明大の攻撃でもポストに当たる間一髪のシュートが多く、早大はピンチを迎える。危ないシーンを切り抜けると一進一退の攻防が続いた。終盤は明大の執拗なディフェンスに攻め手を見つけられないまま第1ピリオド(P)が終了。第2P、PP(※)の時間帯にFW生江太樹(スポ3=北海道・釧路江南)がシュートを放つも、これは惜しくもポストにはね返る。28分頃にもFW杉本華唯(スポ2=北海道・駒大苫小牧)のゴール裏からのパスによりスコアリングチャンスが生まれるが、これも得点にはつながらず。33分50秒、PK(※2)時に明大のDF青山がブルーライン付近から放ったスラップショットがネットを突き刺し、スコアは0-2。早大も何度もシュートを放つがGK香田の好セーブに阻まれ、無得点のまま最終Pへ。

今大会ほとんどの時間、ゴールマウスを守り続けたGK谷口嘉鷹(社4=東京・早実)

 53分36秒に、またもPPの場面で明大のワンタイマーが飛び出し追加点を挙げられる。中盤、明大のペナルティーが重なり、大きな得点のチャンスとなる。すると早大のお家芸である、DFハリデー慈英(スポ4=埼玉栄)のワンタイマーがこの日もさく裂。ようやく1点を返し、反撃に出たい早大だったがなかなか波に乗り切れない。「パスレシーブが雑だった」と内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)が振り返ったように、一つ一つのパスの正確さで、明大には太刀打ちできなかった。終盤に4点目を決められ突き放されると、そのままゲーム終了。春大会最終戦を勝利で飾ることはできなかった。

前回と同様、強烈なスラップショットを決めたハリデー

  ここまでに得た勝ち点により、法大と明大を上回り2位という成績を収めた早大。実に9年ぶりに春の大会で2位に輝いたとはいえ、「まだまだ昨年のレベルには達しないなという感じはする」と内藤監督が語った。実際にこの日の試合でも早大の目指す、素早いチェッキングやシンプルなホッケーを、逆に明大に徹底されてしまっていた。今大会得た課題を修正すべく、選手たちはこれから鍛錬の夏を迎える。「秋にはどこのチームも認めるような優勝して当然だと思われるチームになりたい」(大崎)。その言葉通り、成長した早大の姿を秋には見ることができるはずだ。

2位の表彰状とトロフィーを手にする大崎副将(左)と小澤田匠副将(スポ4=東京・早実)

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

(記事 小林理沙子、写真 菅沼恒輝)

※( )内はシュート数

結果
早大 ピリオド 明大
0(11) 1st 1(11)
0(14) 2nd 1(12)
1(10) 3rd 2(10)
1(35) 4(33)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
明大 07:10 京谷 池田
明大 33:50 青山 池田 田名部 PP
明大 43:36 青山 池田 京谷 PP
早大 45:47 ハリデー 前田 PP
明大 55:35 池田 青山 京谷
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
小澤田 木綿 杉本 ハリデー 務台
澤出 前田 生江 大崎 住友
伊東 富田 河田 大塚 吉野
加賀美 北村 金井 草島
GK谷口
コメント

内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)※囲み取材から抜粋

――試合内容を振り返って

全てにおいて負けていたという感じがしますね。運動量で言えばしっかり頑張っていたところはあるんだけど、パスレシーブが雑だったところが大きいかな。簡単にマークを外してしまったり、簡単にシュートを打たせてしまったところもあるし、まだまだ足りないところがたくさんありますね。

――勝敗を分けた部分は一つ一つのプレーの精度ということでしょうか

そうですね。我々がやらなきゃいけないしっかりパスをつないで、5人で力を合わせてゴールに1個のパックを運ぶという作業をしなければいけないんだけど、そういう場面が少なかったかな。できていた場面ではスコアリングチャンスもあったんだけれど。後は、反則で2点を取られているので、やっぱりやっちゃいけない反則はやっちゃいけないですよね。そこを強い明治や東洋に向かっていかなければいけないなかで、良くない反則をしてしまうと失点につながってしまうということでしょうか。

――シュート数では上回りましたが、点数が入らなかったです

上回るほど打っていたかなという感じもするんですね。もっと内容のあるシュートを打たなきゃいけないですね。例えばしっかりスクリーンに入るとかそういうことをやって、入らないシュートにどれだけの意味を持たせてやらないとなかなか点数には結びつかないですね。

――今大会振り返って課題や収穫は

まだまだ昨年のレベルには達しないなという感じはします。まず昨年のレベルにまで持っていかなければいけなくて、そういう作業を5月、6月、7月、夏合宿でしなければいけないと思います。

――秋に向けて

まずはこれから体力づくりですね。体力づくりをして、最後まで走れる運動量を手に入れなければいけません。後はきょうの課題であったパスレシーブ。非常にまだ雑ですね。しっかりと取ってほしいというパスがあまりなくて、無責任なパスが多かったのでそういうのを修正しないと秋はやっていけないと思うのでその辺を精度をしっかりと上げていきたいですね。野球でもキャッチボールできないとダブルプレーができないのと同じで、まずはキャッチボールをしっかりできないといけません。

DF大崎大祐副将(先理4=青森・八戸)

――試合を振り返って

自分たちの優勝はなかったですが、試合前のミーティングであったように他の試合のことは考えず目の前の試合に集中して勝つという意識で臨みました。走ってシンプルなホッケーでパック守ってどんどんシュートを打つというホッケーをやろうとしたのですが、うまくいかず結果として負けてしまいました。

――勝敗を分けた部分は

勝ちたいという気持ちが明治大よりも早稲田の方が少なかったといったメンタル的な部分が負けにつながったと思います。

――2位という結果を受けて

2位という結果についてはうれしいです。ただ決勝リーグの初戦の東洋戦(●3−5)は正直勝てたと思うのですが、試合の入りとピリオドの入りが悪く勝てた試合を落としてしまいました。第2戦の法政大戦(○7−2)はそういった反省点を修正して臨めたのでいい試合だったと思うのですが、きょうの明治大戦は勝つという気持ちが足りず負けて2位という結果でした。きょうの試合は次の試合につながる良い形で終わろうという話もしていたのですが、それもうまくできなかったので、反省の多い2位かなと思います。

――DF陣の総括をお願いします

この大会に入る前にDFの篠田(純希、スポ3=北海道・苫小牧東)が怪我で離脱となりフルメンバーで戦うことはできなかったのですが、いる人たちの中でどうにかしなければならないというのがDF陣の間であり、プレーできる人がみんなで一生懸命やったのはよかったと思います。ただ決勝リーグの東洋戦の入りだったり、法政大戦の第3ピリオドの残り6分で2失点といったよくない部分もあり失点が多くなってしまったのは反省点だと思います。

――今大会での収穫をお願いします

去年の4年生が抜けて新しいチームとして3月からやってきましたが、卒業生が残していってくれたものを良い形で残そうとしたのは収穫だったと思います。

――今後に向けて

高麗大との定期戦や今回の春のリーグ(関東大学選手権)で自分たちの良いところや足りてない部分がはっきり出たと思うので、そこをまずは陸トレから夏休み中の合宿を通して修正し、秋のリーグ戦(関東大学リーグ戦)やインカレ(全日本大学選手権)ではどこのチームも認めるような優勝して当然だと思われるチームになりたいと思います。