春の関東大学選手権で明大、中大、東洋大に次ぐ4位となったスケート部アイスホッケー部門。選手たちは並みいる強豪に打ち勝ち雪辱を果たすため、日々練習を重ねている。今回はこれから待ち受ける大会に向け、陸上トレーニング(陸トレ)と氷上練習に励むチームの様子を伝える。
陸トレでは後ろ向きの体勢やあぐらの姿勢から走り出すなど、工夫を凝らしたダッシュが行われる。「最高学年から声を出すことでチーム全体で良い雰囲気でできると思うので自分から声を出すようにしている」(坂本之麿、社4=青森・八戸工大一)という4年生を中心に活気のある練習が行われた。また、別日にはサッカーもトレーニングメニューに組み込まれた。W杯が開催されていた時期ということもあり、チームのボルテージも高まる。通常の練習とは違い選手皆がリラックスした表情の中、白熱したプレーを繰り広げた。
体力強化のためダッシュに励む
8月11日に開始した氷上練習では、「基礎的な部分を見つめ直すということで今回取り入れている」(澤出仁、スポ2=北海道・武修館)というスケーティングに多くの時間が割かれた。基本的なフォアスケーティングやバックスケーティングを確認すると、サークルに沿って滑ったり、二人組となり息を合わせて進むメニューに取り組む。その間ゴールキーパー陣は内藤監督の指導の下、ゴールキーパーに必要なスケーティングの確認をする。その後グループに分かれてパスやシュート練習を行い、終始良い緊張感の中で練習をこなした。
二人一組で呼吸を合わせてスケーティングをする選手たち
「まだ4年間でタイトル獲ってないので絶対にタイトルを獲った4年生といわれるように陸トレ、サマーを過ごして秋リーグ万全の状態で臨めるようにしたい」(飛田烈、商4=東京・早実)、「これからの大会全部優勝する気持ちでチーム全員で戦っていきたい」(坂本)と決意を胸に練習に取り組んでいる。その目標を達成するためには「明日以降も(活気のある練習を)続けていけるかがうちの試金石ですね」(内藤正樹監督、平4二文卒=北海道・釧路湖陵)というように、日々の練習をどのように積み重ねていくかが大切だ。最終目標である全日本学生選手権優勝に向け、チーム一丸となって練習に励んでいく。
(記事 糸賀日向子、写真 藤岡小雪)
コメント
〈6月19日〉
パク・グニョンコーチ(スポーツ科学学術院)
――コーチの視点から見て春の課題は何だったでしょう
アイスホッケー選手は激しいスポーツで、体で戦うことが多いので、体重を増やすことです。その中でも体脂肪ではなく筋量を増やしましょうということでやっています。毎週日曜日にフィジカルテストをしながら強度の調整をしていて、今週はテーパリングという軽めの調整の週になります。春の目標としては、まず先ほど話したように体重を増やして、それからパワーをつけるトレーニングをするということになります。
――今の段階ではどれくらいの成果が出ていますか
5~60%です。今はあまり強度を高めていなくて、ジャンプやアジリティをそこまで入れていないので。8月に入ると夏合宿も始まるので、そこから上げていこうとしています。
――選手のモチベーションを高めるために意識していることはありますか
みんなで楽しくやることです。なぜ、このメニューが必要なのかを説明して、できるだけ自分も一緒にやって、一緒に声を出して、笑って、辛い時は辛く。コーチもやってるから自分たちも頑張ろうと思ってくれることを狙ってやっています。
――コーチングを始めて、早大のアイスホッケーチームはどういうチームだと思いますか
みんな優しいです。僕が昨年正式に加入する前に何度か会いに来たときは、我が強すぎる選手が結構いて、あいさつもちゃんとしないし。早大の学生として、相手に対して敬意を払うなど、もっと丁寧に行動するべきだと感じていたことはありました。だから、僕はまず人間として基本的な礼から始めました。みんな丁寧なプレーをするようになって、ぼくが入る前とは違ったチームになっていると思います。早大のすべての部活を知っているわけではないですが、いちばん優しくて一生懸命プレーする学生たちじゃないかなと思います。
FW飛田烈(商4=東京・早実)
――今のチームの雰囲気はいかがですか
みんな秋リーグに向けて陸トレ期間ということなんですが、おのおの意識を高く持って良いチームの雰囲気でできていると思います。
――春のリーグを終えて自分の中で課題というものはありますか
昨年に比べて4年生ということもあって悪い意味で気負ってしまったというところが少しありました。だから秋リーグはチームのことも考えながら、得点というかたちで楽にチームを勝たせることができるような役割をしたいと思います。
――1年生が入ってきてその点についてはいかがですか
4年生と1年生って中学、高校と被ったことがない学年なので大学に入って難しいとは思います。でも早大は他の大学と比べて戦力やスキルが弱い分、1年生の活躍というのは秋リーグでとても大事になってくるかなと思います。
――国際交流試合に出場して学んだことは
向こうの大学はフィジカル面が圧倒的に違いました。1プレー1プレー終わった後とかも多分向こうの習慣だと思うんですけど、やりあったりしていたのでそういうところは日本人は学ばないといけないと思いました。個人的にもフィジカルで負けて全然通用しない部分があったので、相手がフィジカル強い分スピードとかで活躍できるような体力作りとスキルを磨いていきたいと思います。
――今日は陸トレ期間の中のご褒美の日ということでしたが、いかがでしたか
いつもは辛いメニューが多いですけど、今日は見てもらった通りボールを使った楽しいメニューでチームの雰囲気もすごく良かったです。いつものこの元気の良さで辛いメニューも乗り越えて、チーム皆がレベルアップしていけたらいいなと思います。
――いつもはどのようなメニューをしているのでしょうか
このグラウンドで大きい四角形を作って速いペースで皆で20分くらい走ったり800メートルや400メートルを区切ってインターバルをしたり、基本外ではランメニューが多いです。
――コーチから今言われていることはありますか
この間コーチと面談というかたちで話をさせていただいて、春の大会で個人的にあまり活躍できなかったので、コーチからも活躍して欲しいという温かい言葉をいただきました。それに応えることができるように、秋リーグは4年生ですし最後のシーズンなので何かチームに貢献できるように頑張りたいと思います。
――今ブログが高頻度で更新されていますが、前の代のブログ隊長として今のブログ隊長の働きはいかがですか
僕はなかなか更新できずにいて。面白い文章と更新回数と皆が楽しみにしているブログで昨年から小澤田君(匠、スポ3=東京・早実)がやりたいといっていたので、昨年から小澤田君に託せば良かったなと感じています(笑)。
――それでは最後に夏に向けて強化していきたいことや意気込みを教えてください
歴史的大敗を喫してしまったので、早慶戦で負けた代って言われるかもしれないんですけど、それより久しぶりに早大がタイトルを獲った代と言われるようにしたいです。まだ4年間でタイトル獲ってないので絶対にタイトルを獲った4年生といわれるように陸トレ、サマーを過ごして秋リーグ万全の状態で臨めるようにしたいです。
GK谷口嘉鷹(社3=東京・早実)
――今のチームの雰囲気は
今は氷上ないっていうのはあるんですけど、みんなで陸トレに良い雰囲気で臨めていて、なおかつ各々追い込むところまで追い込めているので、チーム全体が良い雰囲気で陸トレをこなしているかな、と思います。
――春の大会など、振り返って課題は
個人の課題っていうと昨年よりは試合慣れという部分では大きな成長があったと思うんですけど、やっぱりまだ春は(上位の)3チームに勝ちきれないっていうことがあったので、そういう部分では勝負強さとか、ちょっとの差なんですけど、その差がまだあったので、そこをこの陸トレ期間で、氷上はもちろんないんですけどウェイトでも陸トレでもできることはあると思うので、そこをちょっとずつですけど、縮めていけたらなと思っています。
――具体的にはどのようなところを強化したいと考えていますか
今、個人的にやっているのはウェイトだったらジャンプ系で、自分はプレーヤーと違ってクリーズっていう狭い中での移動がメインで、移動距離が短いのもあるんですけど、その移動がちょっとでもズレたりすると、やっぱり失点につながるっていうのがわかっているので、そういう小さい距離ですけどジャンプ系で瞬発力や、移動の速さは重要だと思っているので、ジャンプ系は多めにやっています。陸トレも、短い距離のアジリティーとかそういう速さがちょっとかもしれないですけど氷上につながってくると思っているので、そこは新しいトレーナーの方と一緒にキーパーだけのメニューとか陸上でも、テニスボールなど使って反応とか色々やってもらっているので、そこはやっぱり今後に生かしたいです。
――氷上練習はいつから再開されますか
東京で8月の2週目から氷上練習に入ります。
――氷上練習ではどのようなところに取り組みたいですか
氷上練習に入ったらまず、この陸トレ期間にやってきたことをちょっとでも生かせるように、ゼロでスタートするのではなくて積み重ねてきたものをちょっとでも氷上で生かせるようにやっていきたいですね。
――チームとしての課題や強化したい部分はありますか
チームとしては、これは昨年と一緒だと思うんですけど。60分間どこよりも走りきる体力が無いと、うちは個々のスキルでは負けている部分があると思うので、その体力でカバーするっていうことですね。あと1つ強化したいのは、ウェイトで、今回の陸トレでも結構ウェイトを増やしていて重量を多くしたりしているので、あたり負けない体作りだったりは、強化したいと思います。
――秋のリーグ戦に向けて意気込みをお願いします
狙うは1つで優勝だけなんですけど、優勝狙う部分でも一試合一試合本当に大事になってきて、もう早稲田は強いチームではないとわかっているので、そこはやはりチャレンジーの気持ちを持って臨むのと、勝ちきることですね。昨年も良い試合は何回かあったんですけど、勝ちきれていない部分があったので、そこは一試合に集中力を注いで、一試合一試合大切にしていきたいです。
〈8月13日〉
内藤正樹監督(平4二文卒=北海道・釧路湖陵)
――氷上練習がスタートしましたが、夏の体づくりの成果は感じられますか
体つきはよくなっていると思います。昨年からグニョンコーチとダソムコーチがいますので、かなり体は絞れているのかなとは思います。ただ、アイスホッケーに使える筋肉の使い方を鍛えたる必要もありますし、根性だけではなく頭を使うメニューが大事になります。小堀恭之コーチ(平5人卒=北海道・駒大苫小牧)と山崎浩市コーチ(平12卒=北海道・釧路江南)を中心にそういったメニューを取り入れています。
――まずはスケーティングなどの基礎から積み上げていく方針でしょうか
はい。明大、中大、東洋大に勝っていくためには、課題である基本プレーの精度を上げないと、頭ではわかっているけど技術が伴わないということが起こります。それをできるだけ少なくするために、氷の上では頭を使ってスケーティング、パス、シュートをはじめとして自分で考えさせるメニューを取り入れています。
――監督はゴールキーパーについて指導をしていらっしゃいましたね
私もゴールキーパー出身なので、ゴールキーパーに必要なスケーティングの基本的なところをおさらいしていました。二人とも上手になってきているのは間違いないです。ただ、あくまでも優勝が目標なのでもっと磨きをかけていかないといけません。
――氷上がない期間に課題の洗い直しはありましたか
4年生中心に反省・検証はさせます。ただ、何といっても基本練習ですね。走ること、パスとレシーブ、シュートの精度を意識してやらせています。
――練習の雰囲気は活気があるように感じられます
やっと氷に乗ることが出来てうれしいという気持ちが大きいでしょう。これがシーズンを通して続けばそれなりの結果がついてくると思います。明日以降も続けていけるかがうちの試金石ですね。毎年、だんだん疲れてくると元気がなくなってきますが、今年は運動量を落としてでも正確にやろうと話していますので、考えてやってほしいですね。
――最後にサマーカップの目標を教えてください
優勝が一番いいのかもしれませんが、今やっている練習や帯広でやる練習の成果をしっかりと発揮できるかということを徹底的に確認したいですね。
DF坂本之麿(社4=青森・八戸工大一)
――氷上練習を再開して陸トレを経ての手応えはいかがですか
例年以上の負荷でトレーニングできていると思いますし氷上練習は基礎からしっかりやっているので例年に比べて良いスタートを切れているのではないかなと思います。
――今のチームの雰囲気はいかがですか
練習中はすごく声を出し合っているので、すごく良い雰囲気でトレーニングできていると思います。
――目標や課題についてチームで確認したと拝見したのですが、どのようなことを話したのでしょうか
練習のメニュー一つ一つにどういった目的を持って取り組むかというのを一人一人確認して練習するようにというのを目標にしました。
――今日の練習の流れは
きょうは本当に基礎を中心にする練習でこれから実戦は増えてくると思うんですけどまずシーズンの初めなので基礎の練習からやりました。
――陸トレはいかがですか
走り込みが中心だと思います。すごく負荷が重いメニューばかりなので皆すごく大変だと思うんですけど、声出しあって頑張っています。
――個人的に意識しているところは
4年生で最高学年なのでできるだけ先頭で走るようにしていますし、最高学年から声を出すことでチーム全体で良い雰囲気でできると思うので自分から声を出すようにしています。
――監督やコーチから言われていることは
今はやっぱり基礎をしっかりすることですね。これから実戦に入る中で基礎をしっかりしていないとだめだということで基礎をしっかりするようにしています。
――サマーリーグやリーグ戦に向けての意気込みをお願いします
これからの大会全部優勝する気持ちでチーム全員で戦っていきたいと思います。
FW澤出仁(スポ2=北海道・武修館)
――オフが明けて練習が再開しましたが、ご自身の今の調子はいかがですか
まだリンク練習は少ししかやっていない状況で、コンディションが把握できていない部分もあるんですけど、いい感じできていると思います。
――今回から新しく取り組んでいるメニューなどはありますか
きょうのリンク練習でもそうだったんですけど、スケーティングの練習を多く取り組んでいます。いつもはシュート練習が主なんですけど、基礎的な部分を見つめ直すということで今回取り入れています。
――夕方には陸トレをやっていましたが、感触はいかがですか
前回の早慶戦では、技術的な面もありましたけど体力的な面やパワーの面でも負けていました。そういった面を補うために陸トレをやっているので、それが試合で出せればと思っています。
――練習において特に気を付けていることを、個人とチームでそれぞれ挙げてください
個人で考えているのは、どのメニューでも手を抜かないということです。例えば陸トレではしっかりラインまで行くなどで、そういう面を一番気を付けています。チームとしては、頭を使ってどのメニューも取り組んでいこうということを意識しています。パス1つにしても、あらゆる点に注意して各々が考えてやっています。
――ミーティングでチームの目標と今後の課題について話し合ったとfacebookで拝見しましたが、具体的にはどのようなことを話したのでしょうか
春の大会で上位3チームに全敗して、早慶戦も負けてしまったので、その結果をもう一度見つめ直して、一からやっていこうという話をしました。また、ホッケーだけではなく私生活の面でも引き締めてやっていこうという話もしました。そのようなことを念頭に置いた上で、応援されるチームになっていきたいとチームとして考えています。
――今後の大会への抱負をお願いします
春に上位3校と慶大に負けた分、夏の大会ではまず結果を残せるようにしたいです。この夏ハードな陸トレに取り組んでいくので、その力を出せるように全員で頑張っていきたいと思います。