トーナメント2回戦で慶大に勝利し、2年ぶりのベスト4進出を果たした早大。しかし、その後は明大、中大を相手に課題となるPP(※1)時のプレーを改善できず連敗を喫する。優勝の可能性は消えたが、3位の座をつかむために負けられない東洋大戦に臨んだ。
この日は前週から大きくセットを変えて臨んだ早大。第1ピリオド(P)開始早々リズムよく攻撃を展開し、高橋寛伎(国教4=東京インターハイスクール)がゴール裏から鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)にアシスト。鈴木がしっかりと押し込み、幸先のいい立ち上がりとなった。しかし、その後はPP時に得点を奪えないという課題がまたもや顔を出す。パスをつなぎ、シュートまでは持ち込むものの決定力に欠いて追加点を奪えない。攻めあぐんでいるあいだに、東洋大にきれいに崩されて同点ゴールを奪われた。さらに、第1P残り2分には、鈴木がダブルマイナーペナルティにより4分間の退場処分を受ける。PK(※2)の状況で粘りのディフェンスを続けるも、ラスト2秒をこらえきれず逆転を許して第1Pを終えた。
先制点を挙げた鈴木。今大会チームトップの6得点を挙げた
第2ピリオドはお互い攻め込むシーンはあるものの得点を挙げられず、シュート数も13本ずつと互角の戦いを繰り広げた。DF坂本之麿(社4=青森・八戸工大一)が必死のディフェンスでパックを奪い、鈴木が飛び出すなど得点の匂いをさせるプレーも出たが得点には至らない。互いに得点がないまま試合は第3P終盤へ。同点ゴールを奪いたい早大は総力を挙げてゴール前に攻め込み、何度か決定機を作るもあと一本が遠い。ラスト2分を切ったところでタイムアウトを取り、6人攻撃を仕掛けるもこれもゴールをわることは叶わず。東洋大に奪われたパックは無人の早大ゴールに流れ込み、試合終了を告げるブザーが鳴った。
試合前に円陣を組む早大。コミュニケーションを重ね、チームの雰囲気は上昇中
例年以上に準備を重ねて今大会に臨んだが、例年通りの4位という結果に終わった早大。この結果について主将の鈴木は「いつもと変わらない4位でまだまだ足りないということを思い知らされました」と話した。あと一歩の力が足りないということはチーム全体の共通認識となっているはず。内藤正樹監督(平4二文卒=北海道・釧路湖陵)は「圧倒的に負けた試合はなかった」と振り返り、「もっと自分を強く出してほしいなと思います」とメンタル面の強化を選手に求めた。課題であるPP、PK時のプレーとシュートを決め切る力、さらに不屈の闘志を磨き、秋こそは4位の殻を破り捨てる。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 佐々木一款、写真 糸賀日向子、小田真史、小林理沙子)
関連記事
執念で2得点を挙げるもむなしく、前日に続き2敗目(4/24)/秩父宮杯第66回関東大学選手権
またも明大に敗北。課題見つかる(4/22)/秩父宮杯第66回関東大学選手権
昨年の雪辱を果たし、2年ぶりのベスト4進出!(4/15)/秩父宮杯第66回関東大学選手権
結果 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
1(7) | 1st | 2(10) |
0(13) | 2nd | 0(13) |
0(12) | 3rd | 1(15) |
1(32) | 計 | 3(38) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 00:30 | 16鈴木 | 17高橋 | - | - |
東洋大 | 08:48 | 19柴田 | 18阿部 | 16武部 | - |
東洋大 | 19:58 | 19柴田 | 23佐藤 | 12福田 | KP |
東洋大 | 59:46 | 27小堀 | 21古川 | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 12飛田 | 16鈴木 | 17高橋 | 33坂本 | 31大崎 |
2 | 1澤出 | 19杉本 | 9生江 | 25篠田 | 29ハリデー |
3 | 2北村 | 27前田 | 21矢島 | 18羽場 | 23草島 |
4 | 15伊東 | 24河田 | 14小澤田 | 13吉野 | 10住友 | GK34谷口 |
コメント
内藤正樹監督(平3二文卒=北海道・釧路湖陵)
――今日の試合の内容はいかがでしたか
今日の試合に限らず、圧倒的に負けたという試合はなかったと思います。今日が一番その象徴でした。それを点数で表現できなかったのは、色々な面でほんの少しずつ負けているのかなと思いますね。それで最終的に、1点、2点惜しかったねという試合になっています。
――改善に向けての具体的なプランはありますか
うちの選手は非常に優秀ですけれども、ちょっとずつサボるという悪魔がいるんですね。それに負けているような状態です。夏の陸トレでは、そういう自分の中の自分と戦って欲しいですね。それが出来ればいつでもひっくり返すだけの能力はあると思っています。
――今日はセットを大きく入れ替えていましたが、機能しましたか
機能した部分もありましたし、そうではない部分もありましたね。第2セットは比較的良かったのかなと思いますけど、それでも点は取っていないので、まだまだ改善の余地はあると思います。
――秋のリーグに向けてどういう戦い方をしていきたいですか
もっと運動量を増やさなければいけないですね。上位3チームとやってどれだけの差があるのかは分かったと思います。私たちは早稲田大学なので、『現世を忘れぬ久遠の理想』ということで、自分たちはどこから来てどこにいるのか、これからどうなりたいのか、そしてその差を埋めるためにどれだけの時間を掛けなければいけないのかということをよく考えて、夏の間過ごすようにという指示はしました。もっと運動量を増やして、諦めない姿勢を前面に出してほしいと思いますね。一生懸命戦っているんだろうけどもそれを体で表現できていないところがあるから、もっと自分を強く出してほしいなと思いますし、そういうチーム、そういう選手になってほしいなと思います。
――この5試合を通して早大は当たりが弱いという印象を受けましたが、これは改善すべき点なのでしょうか
そうですね、悪い点です。フィジカルが弱いということは、メンタル面も頭のどこかで負けることを想定している部分があるということです。東洋大を見て強いなと思いますが、そこに負けないぐらいの強さを出さなければ勝つことは出来ません。そのへんの弱さ、負けちゃうんじゃないかという一瞬の弱さを消してもらいたい。そうすれば、いつでも東洋大と
明大と中大とイーブンに戦えると私はそう信じています。
FW鈴木ロイ主将(教4=北海道・苫小牧東)
――今日の試合を振り返っていかがでしたか
今日の試合も結構PP、PKが鍵になっていてPP、PKから流れを崩してしまったということが多々ありました。そこが一番の敗因だと思います。
――今日の試合にはどのような戦略で挑まれましたか
まずは東洋大云々では無く、自分たちのプレーをしっかり確認しあうというところで特にDゾーンでのプレー、バックチェックのプレーを意識していました。あとアタッキングゾーンでのプレーに関しては、シンプルにどんどんゴールに集めてそこから得点を狙うという話はしていました。
――試合では早い時間にゴールを決めましたが、その点についてはいかがでしたか
先制点を取れたことはすごく良かったと思います。でも昨年からそうなんですが早大は先制点を取った試合に限って1点を取られただけで皆ガックリ来てしまうことが多くて、そこから連続失点ということがすごくありました。だからメンタルコントロールを今後もう少ししっかりとしていく必要があると思いました。
――今日のFW陣の連携はいかがでしたか
シュートまでいけるところが結構少なくて、東洋大にシュート数で負けてしまいましたし、僕らからしてもあまりシュートまでいけたイメージが無かったです。シュートも単発で終わってしまっていて、本当に打たないといけないときにパスを選択してしまってあまり相手キーパーにプレッシャーをかけるプレーができませんでした。もう少しFWの連携というか、シンプルにシュートを打っていってゴール前で厚い攻撃をしたいと思います。
――今大会を振り返っていかがでしたか
例年通り4位で終わってしまって…。僕らとしても3月にチームが始まってから例年以上に準備はしてきたつもりでした。でも結局いつもと変わらない4位でまだまだ足りないということを思い知らされました。また今シーズン『僅差が大差』がスローガンなのですが、上の3チームとは1点差、2点差とか、勝てていた試合とかも多かったのに1点を取れるところで取れなかったりとか悪い時間に失点してしまったりだとか本当にちょっとの差で大きな差を招いてしまったと思います。秋に向けて切り替えて、もう一回しっかり準備をしていきたいと思います。
GK谷口嘉鷹(社3=東京・早実)
――きょうの試合への意気込みを教えてください
きょう勝てば3位ですし、負ければ4位で終わるという試合でした。今までずっとワセダは3位になり切れてなかったので、ことしは何としても例年と違ったワセダの姿を見せるということで勝利を収めたかったです。
――東洋大に対してのゲームプランは何でしたか
中大、明大と試合をして、ラッシュでの数的不利を作られての失点が多かったので、チーム全体としてラッシュは無くそうということで臨みました。なるべくDゾーンで5対5の状態で数的不利を作らない状態で守れるように、バックチェックなどをしっかりとやること。自分はどこで数的不利が起きてるかというのをしっかり一番後ろ見れているので、声掛けしてなるべく数的不利を作らないような守りを意識しました。
――試合を振り返って
やはり悔しいの一言ですね。あと一歩でしたけど、そのでもあと一歩というのが今のチームの実力だと思いますし、そこを埋められないと上位に勝っていけないというのを改めて感じました。
――試合内容を振り返って
試合内容としては決して悪いわけではなかったです。もちろん全部がよかったわけではありませんが、チームとしてやろうとしていたことが結構出来ていた部分があったのでそこをもっと強化していければと思います。
――個人的に良かった点、悪かった点
ここ2試合セーブ率があまり伸びない試合がありました。どうしてもそこは90%を最低でも出せるようなゴールキーパーになりたいというのがあります。そういう点に関してきょうは良かったと思います。
――チームとして良かった点、悪かった点
バックチェックですね。本当にきょうの試合は数的不利を作られるのがほとんどなくて守りやすかったです。あとは、ベンチでの声ですね。最近ずっと意識してるのですが失点した後士気が下がりがちですが、そこでベンチから声を出すことによって逆に盛り上がっていけます。
――これからに向けて
上位3チームとの差はまだまだあると思いますし、何とかしなきゃいけないと思います。本当にちょっとの差ですが、その差を埋めてないと勝てないと思うので少しの差だからいいやとか考えずにチーム全体として差を埋められるように夏頑張っていきたいです。