日本学生氷上競技選手権(インカレ)初戦まであと11日に迫った12月14日。八戸合宿前最後の、本拠地・東伏見での練習が行われた。インカレ直前特集第1回では、大一番を控えた早大の現在地を探る。
東伏見での最後の練習は、いつも通り午前4時にスタートした。関東大学リーグ戦(リーグ戦)の閉幕から2週間以上が経っているこの時期は、試合勘を鈍らせないため、実戦練習に重きを置く。この日も序盤に氷上で体を慣らした後は、すぐに実戦形式に移行。全選手を1セット5人ずつに分け、白、赤、黄、青、黒の五色のユニホームで区別する。とはいえ、現在はFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)とDF篠田純希(スポ1=北海道・苫小牧東)がU20世界選手権に派遣されチームを離れるなど、オールメンバーがそろっていないこともあり、セットを固定してはいない。また、パワープレー時のスペシャルセットで起用されていたFW高橋寛伎(国教3=東京・インターハイスクール)を白セット(第1セット)に入れるなど、様々なパターンを試している最中だ。4時半頃まではFW3人対DF2人、残りの1時間は5人対5人でミニゲームを行ったが、いずれも各色の混合メンバーでセットを組んだ。
監督、コーチのアドバイスに聞き入る早大陣
5人対5人のゲームではレフェリーのジャッジに基づいて試合を進め、本格的な実戦を意識する。この日のゲームで目立ったのはFW陣の好調ぶりだ。1年生のFW伊東勢司(政経1=東京・早実)が華麗なシュートを決めるなど、リーグ戦では下位セットに入っていたメンバーも懸命のアピールを見せた。FW鈴木ロイ副将(教3=北海道・苫小牧東)が「FW陣のし烈なレギュラー争いが見られて、FW陣としては1段上のレベルに上がれた」と語るように、上位セットに欠員の出ているFW陣は特に競争意識が高まっており、インカレでも誰が起用されてもおかしくない状況だ。一方、守りの面ではGK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)が奮起。リーグ戦同様の体を張った堅守を見せ、好調のFW陣を相手に最少失点に抑えた。攻守共に、ここまでの調整は順調にきている。氷上練習の後はウエイトで1時間汗を流し、3時間に渡る早朝練習を終えた。
各選手が切磋琢磨(せっさたくま)し合い、ゴールを狙う
東京での練習を終え、DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)は「無駄ではない2週間だった」と手応えを口にした。今後は八戸に移動し、前半は南部山で走り込みなどの基礎トレーニング、セットを固定する後半は新井田で本番を意識した氷上練習に取り組む。悲願の日本一へ向け、いざ、決戦の地へ。
(記事 川浪康太郎、写真 小林理沙子、佐々木一款)
コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――東京での練習はきょうが最後でしたが、関東大学リーグ戦(リーグ戦)終了後の練習期間を振り返っていかがですか
2週間練習をしてきて、リーグ戦の反省というよりはインカレ(日本学生氷上競技選手権)に向けてというところを意識して、トークサポートや脚を使ったバックチェックなどを重点的に取り組んできました。
――チームの状態はいかがですか
特に大きなケガ人が出ることもなく、順調に準備ができていると思います。
――国際大会の出場やケガで数名抜けている状況ですが、影響はありませんでしたか
今はセットプレーというよりも1対1や脚を使った個人個人のスキルをベースに練習をしているので、セットがうんぬんというところは気にしていないです。
――普段から実戦に重きを置いた練習をしているのですか
この期間は特に2週間あって試合間隔が空いていたので、いつもより実戦形式に時間を割いて、実戦感覚を失わないように、その中で脚を使うということをやってきました。実戦形式でやっているとチームとしての弱い部分が見えてくるので、きょうのような5-5の練習に取り組んでいます。八戸に行ったらまた違うかたちでスケ―ティングや走り込みのメニューをしたいと思っています。
――各セットの選手を混ぜて5人組を作る場面が多く見られましたが、これに関してはどんな意味があるのですか
まだセットを固定しているわけではないですし、いろんな選手にチャンスを与える中で、誰がやるにしてもうちのやりたいホッケーは変わらないということを共有するために様々なかたちを試しています。
――下位セットの選手もゴールを決めるなど、全体的に好調な印象でしたが、どう感じていますか
3つ目、4つ目は、それこそ試合に出られる、出られないというところの競争意識を持っていますし、それがチームの底上げにつながっていると思います。1つ目、2つ目だけのチームではないので、3つ目、4つ目、5つ目の選手の誰が試合に出ても活躍できるように全員が準備をしてくれています。
――八戸での合宿ではどんな練習をしたいですか
前半、後半で分けるのですが、インカレは負ければ終わりですし、その中で普段以上の力を出す必要があるので、前半はあと一歩踏み込めるかというところをスケーティングを中心にやっていって、後半はセットプレー、特にパワープレーの部分を重点的に取り組みたいです。その頃には澤出(仁、スポ1=北海道・武修館)と篠田(純希、スポ1=北海道・苫小牧東)も戻ってくるので、それからセットを決めて、どうやって点を取るかというところを考えていきたいです。
――最後に、インカレに向けた意気込みをお願いします
目指すは一つなのですが、まずは一つ一つを大事に積み重ねながら結果を残しつつ、最終的には優勝にたどり着ければいいと思います。今季意識してきたスピーディーでアグレッシブ、早くてしつこいワセダのホッケーを60分間、一つ一つの試合で展開できるように準備していきます。
DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――東京での練習はきょうで最後でしたが、関東大学リーグ戦(リーグ戦)終了後の練習期間を振り返っていかがですか
リーグ戦終わって、そんなに休まずにインカレ(日本学生氷上競技選手権)に向かって練習してきたのですが、一回一回の練習が充実していて、思い返すとハードな氷上練習やトレーニングをしてきたので、これから八戸に行くに当たって無駄ではない2週間だったのかなと思っています。
――内容としてはどういった点でハードだったのですか
< p>内容としては大きく変えたことはなかったのですが、これまで秋リーグを通してやってきたことを再確認して、チーム力を強化するために運動量の多い練習や筋力を使ったトレーニング、心拍数を上げるインターバル走などをやってきました。
――現在のチームの雰囲気や状態はどう感じていますか
リーグ戦が終わってセットを代えてみたりして、今まで出番の少なかった選手が上のセットにきてみたりという変動があったので、5対5とかをやっても、チーム内にライバル意識が芽生えてきたのかなという部分は感じています。
――前の土曜日に中大との練習試合があったということですが、そこでの感触はいかがでしたか
こっちが多く反則をしてしまって、逆に一つしか反則をもらえなかったのですが、もらう反則が少なくてパワープレー(PP)のチャンスがここ数年と比較すると少ないとコーチ陣から言われていて、それが練習試合でも改善できていませんでした。うちはPPを生かして得点して勝つチームなので、これから反則に対する意識を高めていく必要があるのかなと思いました。
――第1セットの状態はいかがですか
最近の練習ではシュート数が増えてきて、DFを含めてどん欲にゴールに向かう意識が高まってきているので、FWは特に練習でできていることを試合でもやってくれるのではないかなと期待しています。
――八戸での合宿ではどんな練習をしたいですか
コーチ陣からは八戸では「あと一歩を頑張る」というところに重点を置くように言われたのですが、試合で苦しい時にどれだけ頑張れるかということを意識してやれると練習の質も高くなりますし、実際に試合で第3ピリオドの残り1分とかの場面で頑張れるのではないかなと思います。コーチ陣のその言葉を信じて、自分たちは一生懸命練習に取り組んで、最後は優勝して終えられればいいかなと思います。
FW鈴木ロイ副将(教3=北海道・苫小牧東)
――東京での練習を振り返っていかがでしたか
正直な話、リーグ戦が終わったあとチームが中だるみしちゃったっていうのがあって、そういう意味では反省しつつ、もう一回リーグ戦のことを思い出しながら一つずつやっていこうという感じでした。最初の方はやっぱりみんな練習で気が緩んでいましたが、最後になるにつれて一つずつ考えながらやっていて、間に中大との練習試合とかもあって、そこが秋リーグの反省を思い出せるいい機会だったので、最終的にはいい練習ができたのではないかなと思います。
――明大を想定した練習をしたいと仰っていましたがいかがでしたか
まだ具体的に想定した練習はしていないですが、常に明大を想定していて、大雑把ですけど、反則をしないだとかいかに反則をもらうかという部分を意識してやっていますね。
――FW澤出仁選手(スポ1=北海道・武修館)とFW青木孝史朗選手(スポ2=埼玉栄)を欠いていますが、FW陣に影響はありますか
その二人がいない分、チームにかなり競争心が生まれていますね。特に下のセットでやっていて秋リーグであまり出番のなかった選手も、監督にアピールしようと必死になってやっていました。そこはFW陣のし烈なレギュラー争いが見られて、FW陣としては1段上のレベルに上がれたのではないかなと思います。
――第1セットの完成度はいかがですか
まだセットを固定してセット練習みたいなことはやっていないのですが、最近は同期のFE飛田烈(商3=東京・早実)とFW高橋(寛伎、国教3=東京インターハイスクール)と組んでいます。夏ぐらいからパワープレーで組んできたメンバーなので、お互いに意思疎通できています。でも、実際にこうやって5人対5人のセットを組んだことはないので、同期ということもあって言いやすいので逐一話をして、お互いにこうしてほしいという要求などを隠さずに言っています。しっかりコミュニケーションが取れてかなり状態も上がってきているので、あとは八戸でもっといい状態に持っていければいいかなと思います。
――練習中のセットのメンバーは固定されていますか
アンダー組の二人がいないということがあったり、インターンや体調不良で練習に出られないやつもいたので、あんまりセットが固定はできなかったです。この時期はセットの固定というよりも、どれだけチームの競争心を駆り立てられるかなので、八戸に行ったらだいぶセットも固定してやっていくと思います。特にFW陣なんかは誰が試合に出てもおかしくないと思うので、一つ一つの練習で競争してみんながレギュラーを勝ち取る意識でやってほしいなと思います。
――鈴木選手は普段から声を出している印象ですがどういった声掛けを意識していますか
やっぱり上級生である僕とかが引っ張らないとみんなグダッとしちゃうというか。いちいちげきを飛ばさないとわからないやつもいますし。本当に細かく言った上で、人に言うということは自分自身にも責任は生まれるので、言ったからには自分もやるということを大切にしています。そのプレーをみんなに見てもらって、みんながこういうプレーすればいいんだというのを感じ取ってもらえればいいなと思って、いつも大きな声を出して練習の雰囲気や質が向上するように頑張っています。
――八戸の合宿ではどういう風にチームの状態を仕上げていきたいですか
まず八戸合宿は前半が南部山という閉ざされた山の上にあって逃げ場所がない、下界に降りるには車が必要なリンクと宿舎しかないところで3日間くらい合宿します。そこでの合宿は本当にダッシュしかやらないですね。やっぱりインカレ(日本学生氷上競技選手権)は運動量勝負になってくるので、その3日間の合宿での4回ほどの練習でどれだけ走れるかというところが大事になってくると思います。本当に大変だと思いますけど、キャプテン、アシスタントが中心となって、選手たちに妥協なくしっかり足ちぎれるぐらい走ってもらいます。その自信をもって八戸の後半の新井田合宿に行って、新井田ではセットを固定してセット練習、PP・PK練習を増やしてやります。南部山合宿で鍛えぬいて脚力に自信をつけて、新井田合宿でセットでの完成度を高めて大会に臨みたいと思います。
GK谷口嘉鷹(社2=東京・早実)
――きょうは東京での最後の練習でしたが、調子はいかがですか
きょうは特に変わったことはないんですけど、いつも通りの感じで東京での最後の練習なので、みんなでいい状態で八戸に乗り込もうという意味でも最後まで集中したいい練習ができたと思います。
――きょうの練習ではミニゲームでもあまりゴールを決められていなかった印象ですが、ご自身の守備力は上がっていると感じますか
自分は今コンディションもいい状態なので、このまま続けれたらなと、思っています。
――個人でフォーカスして取り組んでいることはありますか
今は、2番目の動きを特に意識していてリバウンドで出た後の次の動きをどれだけ速くできるかというのを意識していて、それが結構ゲーム形式でも生かせたのかなと思います。
――チーム全体の話になるんですけど、GKとして守っていてチームのFW陣の力は上がっていると思いますか
結構攻撃に厚みが出てきて、それこそ攻撃の4番手の人がFWだけじゃなくてDFとかも攻撃に参加したり、パスレーンに入っていったり結構積極的に攻撃に参加しているというのは見ていていい攻撃だなと思います。
――八戸に今から行かれてどのような練習をしたですか
風邪とかケガとかは絶対にしないようにしてなんとしてでも試合にはいい状態で臨みたいので、そういった面のコンディションの調整をしっかりしたいです。目指すは優勝なので、それに向けてチームで一歩ずつ一丸となって一回一回の練習を大切にしていきたいです。