関東大学リーグ戦(リーグ戦)開幕から約1カ月、ついに1次リーグ最終戦となる東洋大戦を迎えた。東洋大は、大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)でゲームウィニングショットの末惜敗した因縁の相手。「いいところまでいって勝てていなかったので、きょうは勝ちにいこうという準備はしていました」(工藤哲也監督、昭63社卒=青森・八戸)。先制点を得て幸先の良いスタートを切ったが、第2ピリオド(P)に逆転を許してしまう。その後はシーソーゲームの展開となるが、残り56秒で勝ち越し点を献上。念願の白星はまたしても遠く、3連敗となった。
序盤から脚を動かし積極的にゴールを狙った。「角度のないところからもキーパーにシュートを浴びせてみるなど、キーパーも嫌がるように」(FW青木孝史朗、スポ2=埼玉栄)。ミーティングでシュートを多く打つことを再確認したことが奏功し、先制点を挙げることに成功する。しかし第2Pでは、相手の果敢な攻撃を受け防戦の時間も長くなる。そこで攻めるべき場面では攻撃に徹し、守るべき場面ではゴール前を固めるなど切り替えを意識。「きっちり脚を使って守ったり、キーパーが頑張ってくれたりしたことも大きかった」(工藤監督)。大量失点を喫した明大戦から守備も改善され、第2Pを終え1-2と逆転は許したものの不用意な失点を防いだ。
守備陣を、チームを支えている新井
第3P、パワープレー(※1)のチャンスを逃すことなく、まずDFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)のゴールで試合を振り出しに戻す。その直後キルプレー(※2)の状況を生み出し3失点目を喫するが、FW飛田烈(商3=東京・早実)がこぼれ球を押し込み意地の同点弾を決めた。次の1点が試合を決める――。しかし残り5分となった時早大は立て続けにペナルティーを取られ、相手が得点しやすい状況に。そしてその隙を逃すほど強敵は甘くはなかった。右サイドから放たれたパックは、無情にもゴールに吸い込まれていく。3-4。これが決勝弾となった。「もっと効率の良い守り方ができたのでは」(ハリデー)。キルプレーが明暗を分けたと言っても過言ではない。
攻守で存在感を示したハリデー
1次リーグを3勝4敗で負け越し、暫定6位と現実は厳しい。勝ち点では格下であるはずの慶大、法大と並び、『四強』とされる中大、明大、東洋大の他の三校には遠く及ばない。この日のように後半に失点を許した試合や1点差で敗れた試合もあり、「勝てる試合、勝てた試合は多くあった」(青木)と振り返る。チームが2次リーグで掲げた目標は「全勝」。早大のプライドを死守するためにも、ここから先取りこぼしは許されない。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。
※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。
(記事 加藤佑紀乃、写真 冨田千瑛、川浪康太郎)
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結果 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
1(18) | 1st | 0(6) |
0(13) | 2nd | 2(11) |
2(12) | 3rd | 2(9) |
3(43) | 計 | 4(26) | ※( )内はシュート数 |
得点経過 | |||||
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チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 8:24 | 青木 | 生江 | - | - |
東洋大 | 22:54 | 清水 | 猪狩 | - | - |
東洋大 | 37:07 | 阿部 | 山田 | 成田 | - |
早大 | 48:46 | ハリデー | 生江 | 矢島 | PP |
東洋大 | 51:02 | 佐藤 | 柴田 | - | PK |
早大 | 53:20 | 飛田 | 鈴木 | - | - |
東洋大 | 59:04 | 川口 | 佐藤 | 柴田 | PK | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 飛田 | 鈴木 | 矢島 | 羽場 | 新井 |
2 | 青木 | 生江 | 澤出 | 篠田 | ハリデー |
3 | 田中 | 高橋 | 小澤田 | 野村 | 大崎 |
4 | 瀨戸 | 前田 | 伊東 | 坂本 | 吉野 | GK谷口 |
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――相手が大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)で敗れた東洋大ということで、勝ちたい気持ちは強かったですか
合宿とサマーカップではいいところまでいって勝てていなかったので、きょうは勝ちにいこうという準備はしていました。
――第3ピリオドの二度のキルプレーが痛かったですが、振り返って
キルプレーの練習は準備をしてきたのですが、そこは相手の方が上回っていて、点を入れられたのは残念です。
――守りの面は前回に比べてよかったと思うのですが
きっちり脚を使って守ったり、キーパーが頑張ってくれたことが大きかったです。
――シュート数でも相手を大きく上回りました
先週の明大戦もそうだったのですが、シュートを多く打っていこうということを各セットで共有した結果だと思います。
――ここから勝ちにつなげるために必要なことは何ですか
チームとしては力がついてきていると思うので、決められたことをきちんとやって、集中力を持って二次リーグも戦っていきたいです。
――一次リーグは3勝4敗という結果でしたが、総括していかがですか
勝ち点としては満足していないのですが、チーム力は上がってきているので、そこを勝ち点につなげていきたいです。
――次戦は日体大が相手ですが、どんな対策をしたいですか
日体大は一次リーグでも苦戦していますし、そこで勝ち切れるかどうかが大事になってくるので、勝ちにいきたいです。
DF新井遥平主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――前回の明大戦から守備の面で変えてきた部分はありますか
東洋大がしてくるホッケーに対して自分たちがどのようなホッケーをするか、ビデオミーティングをして確認してきたつもりだったのですが、結果的に4失点してしまったのは残念です。
――大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)で負けたこともあり特別な意識はありましたか
スキルの高い選手が多いことは分かっていることなので、それに対してどういうプレッシャーをかけるかということを話し合ってきたのですが、サマーカップ同様また1点差で負けてしまいました。
――シュート数では東洋大の26本に対し早大が43本と大きな差をつけました
練習の時からシュートを打っていこうというコンセプトを決めてやってきた中で、それが試合でもできていたので、結果として得点こそ3点に留まっていますが、自分たちのやりたいホッケーはできていたのかなと思います。
――DF坂本之麿選手(社3=青森・八戸工大一)がいない状況ですが、DF陣の調子はいかがですか
マロがいなくなってから2カ月経つのですが、その中でマロに頼っていたDFの選手も今は自立して自覚とかも出てきていると思います。そういった点では、マロがいない分成長している選手は多いです。
――上位3校との対戦で感じたことはありますか
やってくることは分かっているところもありますし、それを上回ってくるうまいプレーヤーもいますし、難しいなとは感じました。ただやり方次第では勝てない相手ではないので、次の対戦では勝ちたいです。
――一次リーグは3勝4敗という結果でしたが、振り返っていかがですか
結果としては全然満足のいく状況ではなくて、3勝しかしていないですし、4敗してしまっているので、優勝は厳しくなってきたのかなと思っています。そんな中でも優勝が厳しいからといって諦めていてはもったいないので、ここから全勝できるようにチーム一丸となって頑張りたいです。
DFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)
――3-4で敗れましたが結果をどう受け止めていますか
非常に悔しいです。きょう勝てれば3位でリーグ戦(関東大学リーグ戦)を折り返せたんですけど、きょう負けたことによって慶大、法大と並んでしまったので次の第2クール頑張らないといけない課題が見つかりました。
――ご自身の得点は、1-2で迎えた第3ピリオドのパワープレー中の得点でした。ベンチからも「決めろ!」と声が上がっていました
非常にいいタイミングで入れることができたと思っています。あのパスが、1年生の生江(太樹、スポ1=北海道・釧路江南)から来たんですけど、非常にいいパスであと僕が決めるだけだったのでいい位置でいい時間帯で決められたかなと思います。
――ただその直後と、試合の終盤にはキルプレーでの失点がありました
非常に課題が残る失点ですね。やはり数的不利な状況では得点が入りやすくなってしまうので、ペナルティしないというのを徹底するのはもちろんですけど、その後の4人で守るキルプレーの状態の時にもう少し話し合ってというか、もっと効率のいい守り方ができたのではないかなとは思いました。
――ただ前回の明大戦より守りが固い印象を受けました
うちのチームはやはりたくさん得点力があるチームではないので、守って守ってロースコアで勝つというのは目標にしています。そこに関しての目標は少し達成できたのかなと思います。
――前回から何か変えたということは
いえそんなに変わってはないんですけど、明大の攻撃力が強かったというのもあって明大にはいっぱい入れられてしまいました。きょうはもう少しちゃんと切り替えて、行くとこは行って行かないところは引いて守るというか、内側をキープして守り、なるべくシュートを打たせないということを徹底してやっていました。
――シュート数では東洋大を大きく上回っていました
試合の前のミーティングで、やはりシュート数というのは重要だという話をしていて、向こうよりたくさん打って、打てば入るものは入ってくれると思うので、そういうのは事前にミーティングからやって達成できた目標の一つです。
――一次リーグは3勝4敗という結果に終わりました
負けている数の方が多いというのは、やはり課題が残るものだと思います。2次リーグは全勝がもちろん目標なんですけど、どこまで上位校に食らい付いていけるかがカギになってくると思うので、前半は取りこぼしなく、そして後半はより気を引き締めて頑張っていきたいと思います。
FW青木孝史朗(スポ2=埼玉栄)
――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか
< p>きょうはチーム全体としてはシュート数も多くて、足も動かせていて、第1ピリオドなんかすごくいいなと思っていたのですが、試合結果としては3-4で負けてしまいました。試合終了間際の反則であったりだとか、守りが長い状態続いて入れられてしまったみたいな場面が相手の方があって、決定的なチャンスを相手に多くつくられてしまっていたなと思います。
――シュート数の多い試合でしたが、チームとして攻めを意識されていたのでしょうか
< p>角度のないところからもキーパーにシュートを浴びせてみるとか、キーパーも嫌がるからということで、どんどんシュートを打っていくようにはしていました。
――本日先制点をあげられました。その時のゴールシーンを振り返っていただきたいです
太樹(生江、スポ1=北海道・釧路江南)がシュートを打っている体制でいたのでゴール前で対応しようかなと思った時に、ちょうどよくシュートをくれたので、それが自分の足に当たって入りました。
――中大戦以降、矢島雄吾選手(スポ3=北海道・駒大苫小牧)とのセットの変更がありましたが、今の調子はいかがですか
第1セット目と2セット目だと全然プレースタイルが違っていて、2セットはどちらかというとスピーディーな攻撃なので、はじめは慣れるまで練習など辛かったのですが、今はもうやりやすくなっています。
――今回の試合でリーグが折り返しとなりますが
きょうの試合を含めて、1点差など勝てる試合、勝てた試合が多くあったと思うので、それをしっかりと取りこぼさないようにしていれば、今こういう状況にはなっていなかったのかなと思います。優勝という可能性はかなり低くなってしまったのですけれども、二次リーグでは全勝するということをミーティングで目標にしましたので、それを達成できるよう頑張ります。