明大に大敗、しかし守備では次戦につながる成果も

アイスホッケー

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)第6戦の相手は、昨年度の日本学生氷上競技選手権、今年度春の関東大学選手権、夏の大学交流戦苫小牧大会のタイトルを全て手にした強敵・明大だった。前回中大相手に攻撃面で収穫があった早大だが、この日はなかなかゴールネット揺らすことができない。さらに、第2ピリオド(P)では5失点するなど守備でも苦しみ、1-8と大差で黒星を喫した。

 「準備してきたことができなかった」(工藤哲也監督、昭63社卒=青森・八戸)。明大とのこの一戦で、早大は厳しい現実を突き付けられた。試合開始から明大に主導権を握られ、3分21秒、たまらず早大がペナルティーを犯してしまう。キルプレー(※1)になり、数的有利な明大にそのまま先制点を許してしまった。その後早大も、軽快なパス回しやゴール裏からの攻撃で反撃の機会をうかがう。あらゆる角度からゴールを狙い、繰り返しシュートを放った。しかしなかなか明大の守備を割ることはできず、我慢の時間が続いていく。そんな中、相手のペナルティーでパワープレー(※2)のチャンスを得たが、ここでも一点が遠い。さらには、こぼれ球がゴールに転がり入る不運なかたちで2点を挙げられ、0-2。シュート数では並んだものの、2点ビハインドで第1Pを終えた。

積極的な攻めを見せたが、1得点に留まった

 第2Pでも開始早々、21分14秒に3点目を取られてしまった早大。しかしその失点直後、「得点がほしい場面だった」と振り返ったFW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)が、相手の隙を突くシュートでチームに貴重な1点をもたらす。リーグ戦3試合連続となる得点を挙げ、ルーキーながらその存在感を大いに示した。ところがその後、早大の守備が固まる前にゴールされる展開が続き、点差を広げられていく。ここで連続失点の流れを変えるべく、ゴールキーパーをGK草島邦彦(社4=東京・早実)に交代した。48分18秒、ゴール前右サイドからのパックを退け危機を脱したかと思われたが、逆サイドから再び突かれて失点。しかし第3Pでは草島邦の奮闘もあり、5失点の第2Pから一転1失点に抑えた。守備では持ち直したものの、早大が追加点を挙げることはかなわず、1-8で敗れた。

途中出場で意地を見せた草島邦

 トータル8失点になった明大戦を、DFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)は「自分たちのやりたいホッケーができない試合」であったと表現した。特に第2Pでは相手に流れを奪われ、なかなか自分たちの攻撃の機会をつくることができなかった。しかし第3Pでは切り替え、相手に点を入れさせない、ロースコアで勝つためのプレーをすることができた。その成果は、被シュート数28本という数字にも表れている。次戦の東洋大も簡単な相手ではないが、この日の収穫を生かして4勝目を挙げたいところだ。

※1 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が少なく、数的不利な状態をキルプレーと呼ぶ。

※2 ペナルティーによる退場で相手チームより人数が多く、数的有利な状態をパワープレーと呼ぶ。

(記事 橋本望、写真 冨田千瑛、加藤佑紀乃)

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結果
早大 ピリオド 明大
0(10) 1st 2(10)
1(7) 2nd 5(12)
0(5) 3rd 1(6)
1(22) 8(28)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
明大 04:22 松本 高橋 梅村 PK
明大 17:37 桂川 府中 大場
明大 21:14 桂川 相馬
早大 24:03 澤出 生江 篠田
明大 28:16 京谷 高橋 松本
明大 32:42 井上 梅村
明大 33:19 桂川 府中 池田
明大 38:18 高橋 徳田
明大 43:01 池田 松本 桂川 PK
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
飛田 鈴木 矢島 羽場 新井
青木 生江 澤出 篠田 ハリデー
田中 高橋 小澤田 吉野 大崎
加賀美 瀨戸 河田 前田 野村
GK谷口→草島邦

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――大差をつけられましたが、試合を振り返って

明大戦の準備はしてきたのですが、準備してきたことができなかったのは反省点です。

――準備してきたこととは具体的にはどんなことですか

明大は攻撃が上手なので、3番手、4番手をしっかりマークするということを共有してきたのですが、結果として4番手に打たれたり、ゴール前でうまくマークがつけなくて点を入れられてしまいました。そこは修正する必要があると思います。

――不運なゴールもありましたが

結果入れられているのでそこは仕方がないのですが、被シュート数は29本と最近ないくらい抑えられたと思います。その中で8点入れられたということは、これから分析していかなければまた次も同じことになるということだと思います。

――ゴールキーパーを途中交代させましたが、どういった判断でしたか

谷口(嘉鷹、社2=東京・早実)も失点が重なって切り替えることができていなかったので、途中で代えました。

――草島邦彦選手(社4=東京・早実)が第3ピリオド(P)は1失点に抑えましたが、その点についてはいかがですか

彼も4年生で経験のあるキーパーですし、ゲームをつくるということを、第2Pまでの点差で勝つのは難しい中でよくやってくれたと思います。

――一方でFW陣は明大と比べてどういったところに差を感じましたか

第1Pはチャンスもありましたし、ゴール前のチェックやゴール裏からの攻撃はできていたのですが、決め切れなかったところは練習で修正していきたいです。

――次に当たる東洋大は大学交流戦苫小牧大会(サマーカップ)で悔しい負け方をした相手ですが、どんな試合をしたいですか

当然実力のあるチームですし、サマーカップの結果を踏まえても簡単に勝てる相手ではないので、きょうの反省を生かして勝てるように準備していきたいです。

DFハリデー慈英(スポ3=埼玉栄)

――きょうの試合全体を振り返っていかがでしたか

1-8という大敗を喫した中で、自分たちのやりたいホッケーができない試合でもありました。特に第2ピリオド(P)では5失点もしてしまって、不甲斐ない結果になってしまったなと思います。

――今回の失点が多かった原因は、何が大きいと思われていますか

一応明大戦のビデオとか見て対策はしていたんですけど、シフトが長くなったりとか、コミュニケーション不足とか、集中力を欠いたりだとか、そういう様々なことが重なって崩れちゃったのかなと思います。色々なことの積み重ねですね。

――第2Pでの点差は、第3Pでのプレーに影響しましたか

そうですね、やっぱりこのままじゃまずいということで、第3Pは長丁場のリーグ戦(関東大学リーグ戦)での次の試合につなげるためにも、勝って終わろうと。切り替えて、リフレッシュして直して挑んだんですけど、結局負けてしまって。最小失点には抑えたのかなと思うので、少しは成長の兆しはあったのかなと思います。

――リーグ戦に入って、ご自身のコンディションはいかがですか

全然悪くはないと思います。僕は今2つ目のセットでプレーしているのですが、うちのセットは無失点ということを目標にしています。きょうまでは1、2失点で抑えられていたのですがきょうは失点してしまって。上位セットにあるまじき行為といいますか、このセットとして無失点、なおかつ得点を決めて帰ってこなきゃいけないと思っています。きょうの状態はあまり良くなかったですが、それ以外は今までは好調です。

――リーグ戦に入ってから守備に徹しているイメージを受けたのですが

それは意識している部分がありますね。やっぱりたくさん得点力のあるチームではないので、最小失点に抑えてロースコアで勝つというのが一応目標ですし。まず守備を第一からというようには考えています。

――最後に、次戦に向けて意気込みをお願いします

次の東洋大戦でリーグ戦のちょうど半分になりますし、上位校には一勝はしておかないと、この先もう優勝とか見えなくなってくると思うので、東洋大戦はしっかり勝って終わりたいと思います。

FW澤出仁(スポ1=北海道・武修館)

――ご自身のゴールシーンを振り返っていかがですか

点数がほしい場面だったので、取れてよかったと思います。でもその後流れが悪くなってしまったので、そこは改善点かなと思います。

――3試合連続得点を決めています。個人としての調子はよいということでしょうか

個人的にはいいと思うのですが、チームとしてはまだ勝てていません。なのでまた一から、チーム全員で頑張っていきたいです。

――前回の試合から第2セットのメンバーが変わりました。連携はいかがですか

練習のときから声を掛け合って、コミュニケーションをとってやっているので、それがきょう生かせたかなと思います。

――具体的にどのように生かせましたか

青木さん(孝史朗、スポ2=埼玉栄)が入ることによって、シュートの強化という部分でプラスになっていると思います。青木さんがシュートを打てるように、青木さんにパックを集めてゴール前で勝負するというコンセプトでやっています。

――次戦に向けて意気込みをお願いします

次は東洋大なのですが、チームとしてあまり勝てていない状況なので、まず一勝して二次リーグにつなげていきたいと思います。