【連載】インカレ直前特集『嵐のあとに』 第2回 鈴木ロイ×高橋寛伎

アイスホッケー

 得点力のあるFWとして、1年次から活躍していたFW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)とFW高橋寛伎(国教2=東京インターハイスクール)。大学2年目のことしは、それぞれどのようなシーズンになっているのだろうか。目前に迫った日本学生氷上競技選手権(インカレ)への意気込みも語っていただいた。

※この取材は12月7日に行われたものです。

「フィジカルにいってFW陣の要となる」(鈴木)

鈴木

――関東大学リーグ戦(リーグ戦)を振り返っていかがですか

鈴木 リーグ戦はもちろん優勝を目指していて。夏の大会(サマーカップ)では東洋大に勝って3位で締めくくれたので、チームの状況は良かったのですが、慶大戦(△5-5)で引き分けてしまってそこから流れが悪くなってしまいました。リーグ戦中盤で5連敗を喫してしまったのが、優勝から遠ざかった大きな要因だと思っています。

高橋 目指していた結果を出せなくて、勝てるべき試合も負けたりして、失敗が重なって4位になってしまったのが残念でした。もう少し頑張れば上の順位も取れたかなと思います。

――鈴木選手は、個人として振り返っていかがですか

鈴木 個人としては、夏のサマー大会は僕自身点も取れていてポイントにも絡めていたので調子が良かったのですが、リーグ戦に入ってから自分が点を取る機会が少なくて。あまりチームの勝利に貢献できなかったということを反省しています。

――リーグ戦はアシストが多い印象があります

鈴木 特にアシストに徹しようと思っていたわけではないのですが、運悪くゴールに入らなくて、味方が僕のミスをフォローして決めてくれた感じでした。僕で決め切れるシーンは何回もあったのですが、結局決められたシーンは少なかったです。

――高橋選手は個人としてはいかがでしょうか

高橋 セットの役割としては練習から意識してできた方だと思います。でも、個人的にはもっと得点にもつなげていきたいし、点も取りたいです。ただ、点を取るキャラではないし、チームが勝利すれば全然いいので、結果的に自分の役割としてはやれたと思います。

――矢島雄吾選手(FW、スポ2=北海道・駒大苫小牧)との連携がハマっているように見えましたが、やりやすさはありましたか

高橋 何回も試合を一緒にしたり、練習から常にやっていて、チーム内でできるだけコミュニケーションを取ったりセットミーティングをして相性を合わせようとしているので、うまくいっているのかなと思います。

――お二人から見て、今のチームの特徴はどういった部分だと感じていますか

鈴木 プレー面だと、キーパーの遠藤秀至さん(GK、社4=東京・早実)を中心に守りから入って、少ないチャンスをゴールに結びつけてロースコアで勝つというのがうちの方針です。あと、反則を少なくして勝つというのがゲームプランなのですが、今回のリーグ戦ではそれはできなかったと思っています。プレー以外の面で言うと、1年生から4年生までみんな仲良くてフレンドリーで、お互いに意見を言い合える関係なので、そこがチーム力を向上させているというか、いい意味でフレンドリーだと思います。

高橋 ワセダは他の大学に比べても仲がいい方だと思っているし、プレーでも言いたいことがあればはっきり言ってそこから組み立ててもっといいセットにしたり、チームにすることができる環境なのでいいと思います。結果を見ている限り、得点が少なかったり、秀至さんが頑張ってくれて勝っている試合が多いと思うのですが、チームとしてはもっと得点につなげられるチームになりたいです。

――FW陣の課題はどういったところだとお考えですか

鈴木 チャンスはあるのですが、うちのFW陣は僕らも含めてチャンスに弱いというか、もっと決められたら楽に勝てる試合も多かったので、そこが課題です。あと、うちのFW陣はガツガツチェックにいける選手も少ないので、もう少しフィジカルにいって相手のDFを怖がらせるプレーができれば楽に試合も進められると思います。

高橋 ワセダは他のトップチームに比べたらスキルが落ちると思うのですが、スキルの高いチームと同じレベルでできるように、もっと他の場所で足を動かして相手がやりたいプレーをできないようにしたりすれば、勝ちにつながっていくと思います。

――5連敗中はどんな思いでプレーしていましたか

鈴木 5連敗してしまった原因としては、慶大戦で引き分けてしまって、それだけで優勝が遠のいたわけではないのですが、厳しくなったということがあったと思います。そこからまた明大、中大、東洋大と3連敗して、事実上の自力優勝はなくなってしまったので、どこに目標を定めるかがフワフワしていて。その状態で二次リーグに入ってしまったので、日体大、法大と情けない試合をしてしまって、その結果5連敗というかたちになってしまいました。そのあとチームでミーティングして、これからは4位を目標にやろうということになって。具体的な目標が決まってからはチームとして立ち直せたかなと思います。

高橋 勝つべき試合で勝てなかったり、入りが悪かったりしたことが積み重なってしまい、最初の目標を達成できない状況になってしまって。負けることに慣れてしまったのですが、そこで意識を変えて勝ちにこだわることに専念してから試合に挑んだ方が良かったのかなと思います。

――終盤は立て直して4位を死守できたことについてはどう捉えていますか

鈴木 4位になるのと5位になるのとでは、らいねん度のリーグ戦の当たりが全然違っていて、5位になったら最初から上位校と戦わなければいけなくなって厳しいのですが、4位だったら下位校と試合してから上位校との試合に臨めるので、そこの差は結構大きいと思います。せめて4位になれたということは、ワセダとして最低限のことはできたのではないかなと思います。

――5連敗中の時期とリーグ戦終盤では、技術的に変えた部分はあったのですか

高橋 結果につながったかは分からないですけど、シュートを多くしたとか、そういうところですかね。

鈴木 そんなに変えてはないですけど、キャプテンの立樹さん(FW金子立樹主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)がケガをしたというのがあって、みんなが「キャプテンの穴を埋めるぞ」ということで必死になってやったということが、東洋大戦(△3-3)で引き分けたことにつながっているのではないかなと思います。

「一回一回のチャンスを絶対に決めてやる」(高橋)

高橋

――お二人で遊びに行くことはよくあるのですか

高橋 教育と国教でキャンパスが同じなので昼とかよく一緒に食べに行ったり、授業が同じ時間帯にあるときは同じ電車に乗って行ったりします。

鈴木 寛伎は実家に車があるので、休日に車を持ってきて、ご飯を食べに行ったり、温泉に行ったりしています。

高橋 オフが少ないのであんまり行けないですけど、あるときはできるだけ映画見に行こうとかありますね。二人の場合だったり、おまけがいたり(笑)。

――そんな仲の良いお二人には共通点があったりするのですか

鈴木 悪口を言うとか(笑)。

高橋 性格が悪い(笑)。

一同 (笑)。

高橋 (鈴木選手は)ハーフだから、純粋な日本人からは離れているかなとは思います。僕も帰国子女だからちょっと日本人からは離れているかなとは思います。中学から同じクラブチームでプレーしていて、そのときから知っていたので仲がいいですね。

――では、お互いの他己紹介をしてください

高橋 結構きちがいです。きちがいの、ゴリゴリのロシア人のハーフっていう感じです。

一同 (笑)。

――どういったところがロシア人っぽいのですか

高橋 イメージを悪くしたいわけじゃないんですけど、強いんですよね。体も強いし意志も強い。そういう点が日本人ではないんですよね。

――逆に、鈴木選手は高橋選手をどのように見ていますか

鈴木 まあ日本語が下手(笑)。こいつは英語を直訳したような日本語を使うので。考え方とかギャグはアメリカンというか、感性が豊かというか、日本人っぽくないです。例えばホテルが一緒の部屋だったときに、僕が洗濯物を掛けてたんですよね。で、その僕の洗濯物が落ちたら、寛伎が僕に、「お前の洗濯物自殺したよ」って。

一同 (笑)。

鈴木 面白いんです。日本人はそういう発想ないじゃないですか。アメリカンジョークをそのまま言う感じです。あとはクーポンの話とか。

高橋 その話難しいんじゃない?

鈴木 俺が説明するわ。例えば下手くそなキーパーがいたら、「あいつよりクーポンの方がセーブしてるよ」って。セーブ率が高いよっていう意味なんですけど。キーパーのセーブ率ってだいたい90%とか95%とかそんなもんじゃないですか。「20%もセーブできてないよ、あいつ下手くそだね」っていうのを、クーポンの方がセーブしているって表現するんです。

高橋 草島さん(GK草島邦彦、社3=東京・早実)が調子悪い練習とかしていたりすると、ヤジみたいに「クーポンの方がセーブ率高いよ」って言うんです。

――チームの中に推しメンはいますか

高橋 格地さん(DF格地龍太郎、スポ3=埼玉栄)と自分は結構仲が良くて、一緒に飲んだりとかしているので、この頃はやっぱり格地さんだと思います。

鈴木 最近は加賀美太一さん(FW、商4=東京・早実)です。いつも寮で朝ごはん食べているときに、みんな寮母さんに「おはようございます」って言って入ってくるんですけど、あの人の「おはようございます」の言い方が、「おはよぉーぅございまぁーす!」っていう癖のある言い方なので、みんなで今はばかにしてます。

一同 (笑)。

鈴木 推しメンというか、今はまっているネタです。

――お二人のマイブームは何でしょうか

高橋 マイブームではないんですけど、おすすめするものとしては、最近メガネ買ったんですよ。コンピューターをよく使うので。学校でも使うし、バイトがカスタマーサポートセンターで英語で対応するやつで。そこでパソコンでEメールを返して電話で対応するんですけど、JINSで買ったPC用メガネが調子良くておすすめです。

鈴木 俺は2月ぐらいに漢検を受けるので、漢字の勉強にはまっています。

――どうして漢検を受けようと思ったんですか

鈴木 最近本とか新聞を読むようになって、読めない字とかが出てくるとうっとうしいじゃないですか。だからこの際この世に読めない漢字をなくしてやろうと思って、真剣にやっています。

高橋 負けず嫌いなんだよ。

鈴木 これで落ちたら恥ずかしいけどね(笑)。僕結構資格マニアなんですよ。大学入ってからは取ってないんですけど、中学で英検とって、高校は数検とエクセルの検定とか取りました。

仲が良いお二人

——―インカレのトーナメント表を見たときの率直な感想を教えてください

鈴木 3回戦で明大に当たるということは、去年から分かっていました。去年であれば、もともと僕たちは明大と相性が良かったので、明大であればことしも食ってやろうと思っていたはずなのですが、ことしは明大と相性が悪いです。本当にここから1カ月の過ごし方が明大に勝てるかどうかのカギになってくると思います。もちろん明大の前の大東大とかも侮れないのですが、明大に勝つということを念頭に置いて、明大に勝つために僕らに何が足りなくて、何をすれば明大を上回れるかということを一人一人考えて一カ月間有意義に過ごしていきたいと思います。

高橋 僕は個人的に明大と当たることがすごく好きなんですよ。やっていて楽しいんです。なので他の大学と当たるよりも明大と当たることはすごくうれしかったです。リーグ戦の感じのままでは、ワセダは簡単に負けてしまいますし、大東大に関しては最初から最後まで真面目にやっている印象で侮れないので、明大戦に向けていい流れをつくっていきたいと思います。

——明大までの対戦相手で特に気になっているのは大東大ですか

鈴木 そうですね。おそらく大東大とは当たると思いますし、手強いですね。

高橋 うちは舐めてかかったら本当に負けると思います。

鈴木 大東は埼玉栄高出身の選手が多くて、スキルを持っている人が多いですね。スピードプレーヤーよりもスキルプレーヤーが多いです。あとは調子の波が激しいので、波に乗られたら怖いですね。なので僕らが相手の好きなことをさせないで、1部Aの意地を見せて、そのスピード感に持っていきたいですね。スピードでは僕らは勝っていると思いますが、試合を見ているとうまいなと感じる選手も多いです。ただ、あくまで1部B同士でスキルを出せているということなので、スピードをもってすれば相手にスキルを出させないようにすることは可能です。僕らは相手のプレースピードに合わせることなく、明大や中大とやるイメージで戦いたいです。勝てるかどうかは本当に僕ら次第ですね。

——インカレのキーパーソンは誰だと思いますか

高橋 僕は立樹さんに頑張ってほしいですね。この一年チームのキャプテンとしてまとめてきてくれましたし、スキルも他とは格が違うものを持っているので、リーダーとして4年生としてキャプテンとしてチームをまとめて優勝に導いてもらいたいです。

鈴木 僕はこう答えたら面白くはないかもしれないですけれども、全員だと思います。誰が抜けてもダメなチームなので、試合に出る人も出ない人も大事ですね。出ない人が頑張ることで、チーム内の競争意識が高まっていい方向にいくと思いますし、出る場合は一人一人が試合で自分のマックスのパフォーマンスを見せないと勝てないと思うので、本当に一人一人、自分がインカレで活躍するんだという思いを持ってこの一カ月間を過ごせばおのずと結果はついてくると思います。

——インカレまでの残り時間で個人として特に何に重きを置いて練習していきたいですか

鈴木 僕はリーグ戦でシュートの決定率が悪かったので、シュートの決定率を上げたいです。これに重きを置いて過ごしたいと思います。

高橋 僕はチャンスに強くなりたいです。シュートを打つまでの時間を短くしたい、シュートの精度を上げたい、スピードも上げたいという感じです。スコアにするべきタイミングでも決まらないことが多いので、一回一回のチャンスで絶対に決めてやるという気持ちで頑張りたいです。

——チームとしてはいかがですか

鈴木 チームとして僕がリーグ戦で気になったことは、反則が多かったということですね。「反則は絶対するなよ」ということを監督からも言われているにも関わらず、このリーグ戦を通してやってはいけない時間ですとか、5-4のキルプレーの場面で反則をして5-3のより厳しい状況にしてしまうということもありました。これが原因で負けたこともありましたし、まずは反則を少なくしたいです。みんなでガンガンチェックにいったというよりかは、足が動かなくて余計なスラッシュをするとかで反則を取られているので、そこが課題です。一試合に反則ゼロ。とにかく少なくすることを目標にやっていきたいですね。

——反則を少なくするためにできることは何ですか

鈴木 チェックしにいっての反則はまだ仕方がないのですけれども、リーグ戦の反則はスティックを使った反則が多くて、たたいてしまったりとかちょっかいをかけてしまったりとかトリッピングとかが目立っていました。あとDFが足で着いていけなくてスティックでいってしまうということが多かったので、そこは練習から足を動かすことですかね。フィジカルチームではないし、反則はなしでいいと思うので、スティックを使った反則を少なくしたいです。

高橋 ワセダは足で勝つという感じのチームだと思っています。スキルが高くて一人で抜いていくという選手が多いわけでは決してないので、逆にこちらはペナルティーを少なくして向こうに取らせたいくらいの気持ちで足をとにかく動かしたほうがいいと思います。

——ご自身のアピールポイントを教えてください

鈴木 アピールポイントは、ガツガツしたプレーだと思います。僕自身反則を怖がってあまりフィジカルにいけなかったので、インカレはフィジカルに行ってFW陣の要となるように得点していきたいと思います。

高橋 この頃セットの役割とかを意識しすぎて分からなくなってきましたが、本当は僕はフィジカル系だと思っていて、粘り強くコーナーで1対1でゴリゴリ頑張っていきたいと思います。

——最後にインカレに向けての意気込みをかっこいい言葉で締めてください

鈴木 じゃあ・・・、難しいな(笑)。結局最後に日本一になったチームが一番強いと思うので、最後に勝ったもん勝ちということで、日本一になりたいと思います。

高橋 かっこいいな・・・。インカレ優勝後の酒が楽しみだということでお願いします!

――ありがとうございました!

(取材・編集 川浪康太郎、中澤紅里、井上莉沙)

インカレに向けた力強いメッセージをいただきました!

◆鈴木ロイ(すずき・ろい)(※写真左)

1996(平8)年4月15日生まれ。175センチ、79キロ。北海道・苫小牧東高出身。教育学部2年。背番号『16』。鈴木選手が迷わず色紙に書き込んだ言葉は、『最後に勝ったもん勝ち』。苦しい戦いが続いた今シーズン。インカレこそは勝ちたいという真摯(しんし)な気持ちが伝わってきました!

◆高橋寛伎(たかはし・ひろき)(※写真右)

1996(平8)5月3日生まれ。169センチ、68キロ。東京インターハイスクール出身。国際教養学部2年。背番号『17』。色紙に書いてくださった『Road To Nattys』という言葉は、『全国の道へ』という意味だそうです。年に一度の全国大会であるインカレで、日本一に輝く姿を期待しています!