白熱の一戦!王者・中大を脅かすも牙城は崩せず

アイスホッケー

 「正直、勝ち試合だったと思う」(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)。第2ピリオド(P)に3点を奪い逆転。大学アイスホッケー界に君臨する春の王者・中大を追い詰めた。しかし、数的不利のキルプレーから主導権を受け渡すと、第3Pでは両校の力の差が浮き彫りに。1月の日本学生氷上競技選手権で敗れて以来、公式戦では初めてのマッチアップ。強敵相手に堂々たる戦いぶりを見せたが、3-6で敗れ雪辱を果たすことはできなかった。

 第1P序盤、いきなり先制を許すが、その後は固い守備が光った。中大の強力FW陣が次々とゴールに襲い掛かったが、GK遠藤秀至(社4=東京・早実)の好セーブもあり最少失点でしのぐ。DF陣の踏ん張りに、FW陣が応えないわけにはいかなかった。第2P開始から1分4秒、FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)のゴール裏からのパスにアジャストした寺井がネットを揺らす。そのわずか38秒後、歓喜の瞬間は再び訪れる。ゴール前の攻防が続く中、FW高橋寛伎(国教2=東京インターハイスクール)がこぼれ球を押し込み逆転に成功。さらに中盤、鈴木が今度は右サイドから好アシストを上げると、FW青木孝史朗(スポ1=埼玉栄)が完璧に合わせ貴重な追加点を挙げた。圧巻のゴールラッシュ。このまま、早大の時間が続いていくと思われた。

鈴木(写真中央左)の好アシストが得点につながった

 流れが変わったのは35分20秒。早大が、この日両校を通じて初めての退場者を出す。その後も相次いで反則を取られ、3人対5人の苦しいキルプレーが続いた。ここで2点を奪われ同点に。第2P残り5分を切ったところで、状況は一変してしまった。運命の第3P。FW田中創一郎(政経3=東京・早実)、青木孝ら、第2セット、第3セットのFW陣が積極的に攻め込み好機を演出する。しかし、得点を決めることはできないまま、ついに中大に決勝点が入った。終盤さらにダメ押しの2点を加えられ、勝負あり。「自分たちから相手に流れを渡してしまった」(遠藤)。相手の猛攻になすすべなく、早大はここで力尽きた。

3点目、鮮やかなゴールを決めた青木孝

 悔しい敗戦となったが、田中が「試合をしてみてそこまで大きな差が開いているとは感じなかった」と胸を張ったように、チームの成長も垣間見えた。特に目立ったのは得点力の向上。前回の明大戦では1得点にとどまったが、下級生FW陣がシュート数を増やし、第1セット、4年生ばかりに頼らない幅広い攻撃を展開した。これで今季初の連敗となったが、まだ優勝の可能性が消えたわけではない。1週間後、挑戦者の気持ちで東洋大戦に臨む。

(記事 川浪康太郎、写真 冨田千瑛)

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関東大学リーグ戦
早大 ピリオド 中大
0(9) 1st 1(13)
3(16) 2nd 2(13)
0(10) 3rd 3(20)
3(35) 6(46)
※( )内はシュート数
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
中大 02:47 桶屋 松沢 松浦
早大 21:04 寺井 鈴木
早大 21:42 高橋 矢島
早大 29:15 青木孝 鈴木 寺井
中大 36:31 坂本 加藤 PK
中大 38:03 齊藤 坂本 PK
中大 49:41 坂本 加藤
中大 51:48 坂本 齊藤 加藤
中大 55:01 坂本 簑島
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF/FW
飛田 金子立 青木優 坂本 新井
鈴木 青木孝 寺井 堰合 羽場
田中 高橋 矢島 松本 志村
加賀美俊 瀬戸 加賀美太 格地 佐藤
GK遠藤
コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――試合の感想をお願いします

勝てるゲームではあったと思うのですが、結果負けてしまったのは素直に悔しいです。

――内容を振り返っていかがですか

第1Pと第2Pの途中まではうちのプラン通りのスコアに持っていき、しっかり点を取りに行くということはできていたので、全体的には悪くなかったと思います。足も動いていました。

――前回の明大戦では得点力が課題に挙がっていましたが、今回はいかがでしたか

うちがやりたいホッケーであるゴール裏からの攻撃だったり、リバウンドを取るということはできたと思います。あときょうは相手の反則がゼロだったので、パワープレーのチャンスが生かせなかったことは想定外だったかなと思います。

――第2Pではいろいろな動きがありました

やはり反則から(キルプレーを招き、人数が)3-5で2点入れられたことは、ゲームの流れだからしょうがないかなと思うのですが、同点に追い付かれた後さらに引き離されたというのは、やはり中大との差があるなと思いました。

――第3Pの連続失点の原因は考えられますか

まず細かいところでパックをディフェンスゾーンから出せなかったり、マークがついていなかったりといった細かいところで相手につかれました。そこは相手のチームの方が上手だったと思います。

FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――試合を終えた率直な感想をお願いします

自分たちのミスから失点が生まれているので、今の実力通りの結果が出てしまっているなと思います。

――内容を振り返っていかがですか

第2Pの(人数が)3―5だったり、反則が立て続けに続いたところが分岐点だったのかなと思います。

――前回の明大戦後に挙げていた『得点力』については改善していたように感じました

みんなゴールに向かう意識というものは強く持っていたと思うのですが、最後の詰めだったり中大の固い守りにやられたかなと思います。

――第3Pの連続失点の原因は考えられますか

Dゾーンから出せなかったり、DFとセンターのコミュニケーション不足というものが最後の3失点につながったのかなと思います。

――きょうの一番の反省点はどこでしょうか

連続失点が多くなってしまったというところが敗因かなと思います。

――東洋大戦までに改善していきたいことはありますか

連続失点しないために、気持ちの面だったりというのはしっかり練習のときから意識してやっていこうと思います。

FW寺井敏博副将(国教4=米国・チョートローズマリーホール高)

――試合を振り返っていかがですか

ゲームプラン的にセットの役割があって、それを遂行したと思うんですけど、(立ち上がりに)1点入れられて。それでもチャンスが生まれるからといって我慢し、結果的に第2Pの前半に3-1で逆転できたんですけど、そこから後半が2回続いて(点を)入れられきつい状況から抜けられず、そこから失点が続いたことがそこがきょうの敗因かなと思います。

――きょうのゲームプランはどういったものを想定されていましたか

中央はすごいシステマティックで、ゾーンに入れたらとても攻撃力のあるチームなので、そこはDゾーンでしっかりやって、チャンスあったらしっかり打っていこうと言っていました。

――1点目を挙げられていました。得点シーンを振り返っていかがですか

ネット裏で、ロイ(FW鈴木ロイ、教2=北海道・苫小牧東)とマロ(DF坂本之麿、社2=青森・八戸工大一)がバトルしていて、ちょうど自分がスロットで、スロットに逃げる感じで入ってきて、そこでロイがいいパス出してくれて。ワンタイムで肩口を狙って、入ったんでよかったと思います。

――その後を振り返っていかがですか

「ペナルティを取ってしまったのはしょうがないから切り替えよう。」と言っていたのですが、後半で2点入れられてしまって。「まだ同点だから大丈夫。」と言って切り替えたつもりだったんですけど、そこでまた失点してしまいました。そこは痛かったです。

――第2Pと第3Pの間でチーム内で共有したことはありますか

「まだ同点だから全然勝ててるし大丈夫。」という声掛けはしていたんですけど、そこで失点してしまったのが痛かったです。

――3-6という得点についてはどうお考えですか

正直、勝ち試合だったと思うんですけど、最後3点連続失点して逃げられてしまったという感じです。

――次戦に向けての意気込みをお願いします

2試合落としてしまって、ちょっと厳しい状況なんですけど。優勝争いするためにはもう1試合も落とせないと思うので、1試合1試合を大事にして次は絶対勝ちたいと思います。

GK遠藤秀至(社4=東京・早実)

――日本学生氷上競技選手権で敗れて以降、公式戦で初めて中大と対戦しましたが、特別な思いはありましたか

なかなか中大には勝てていなかったので、きょうこそは勝つというつもりで試合に臨みました。

――前回の明大戦に比べて、守りから攻撃につなげられているように見えました

明大戦に比べたら、最初の流れは1失点したこと以外すごく良かったのですが、そのあと相手にペースを握られて。相手にうまくやられたというよりは、自分たちから相手に流れを渡してしまったという場面があったので、そこは修正しなければいけないと思います。毎試合同じことを繰り返しているので、いい加減直さなければいけないと思います。

――第2Pで続いたキルプレーの場面を振り返っていかがですか

レフェリー次第というところもありますし、そこで流れを持っていかれたので仕方ないところもありますが、第3Pで立て直せばよかったところを立て直せずに悪いペースになってしまったので、切り替えをしていかなければいけなかったです。

――その第3Pでは3失点を喫しました

自分たちのミスから失点してしまったので、第3Pは疲れが出るところではあるのですが、そこでもっと声を掛け合って、まず守りからしっかりやっていかなければいけないと思いました。

――そんな中、守備陣全体の収穫と課題を挙げるとすればどのような点ですか

きょうは大崎(DF大崎大祐、先理1=青森・八戸)がけがをしていてDFが一人少なかったのですが、その中でもDFはしっかり守ってくれたので、そういった点では良かったと思います。課題としては、第3Pまで自分たちの流れを離さないようにしていくことだと思います。

――それを受けて、次の東洋大戦に向けた意気込みをお願いします

東洋大は体当たってくるし、スピードも早いので、そこをしっかり対策していきたいです。上位校にまだ勝てていないので、次こそ勝ち点3を取りたいです。

FW田中創一郎(政経3=東京・早実)

――今回の試合を振り返っていかがですか

「第1P、第2Pと我慢の展開が続くぞ。」というふうに試合前から全員で共有していて、その通りの展開になっていったところまでは良かったんですけど。第2Pの終わりで反則が重なってしまって悪い流れを作ってしまったことと、(ワセダが)第3P強いと言われているところで最後ふんばれなかったのが残念です。

――3-6という今回の結果についてはどうお考えですか

そこまで試合をしてみて大きな差が開いているとは感じなかったのですが、自分たちの小さなミスで、やらなくてはいけなかったことをまっとうできなかったことで点を取られているので、そこを修正すれば次はいい結果につながるんじゃないかと思います。

――第1Pと第2Pの間でチームで話されたことはありますか

1点先制されてはいたけど、そこまで自分たちの流れが悪い訳でもなかったし、足も動いていたのでこのまま我慢の展開を続けていこうと話はしました。

――2得点目のゴールシーンを振り返っていかがですか

自分たちのセットの役割として泥臭くいこうと試合前から共有できていたので、理想的なゴールだったかなと思います。

――第2Pで続いた反則の要因はどういったものだとお考えですか

第2Pの最後という結構厳しい、肉体的にもきつい時間帯だったと思うんですけど、そこで足を動かさずにチェックにいってしまったので、そういうプレーが反則につながったのではないかと思います。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

まだここで終わったわけではないし、これからの結果次第では十分に優勝が狙える位置にいると思うので、ワセダのホッケーを全員でしながら優勝を狙っていきたいと思います。

FW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)

――試合を振り返っていかがですか

僕らのゲームプラン通りに進んだことは良かったと思うのですが、最後の最後我慢し切れなくて反則してしまって。我慢していればチャンスは来るんですけど、僕らがDゾーンからしっかり出せずに失点につながってしまったので、そこの我慢のところが敗因だったと思います。

――ゲームプランはどういったものだったのでしょうか

いつも上位校と試合をするときは失点を少なくてしてロースコアの試合に持ち込むというのがゲームプランでした。その点では第1Pは無反則で終われましたし、第2Pまでは失点を少なくできたのですが、第2Pの最後の最後に反則4つ犯してしまって、そこから流れが悪くなって。流れが悪くなったときに僕らで流れを取り戻すような動きができなかったというのが、駄目だったなと思います。

――鈴木選手の好アシストが1点目につながりました

あのシーンは33番の坂本選手(DF坂本之麿、社2=青森・八戸工大一)がいいチェッキングをかけて、たまたま相手のDFが2人ゴール裏にいたので、坂本選手がパックを絡んでくれて。僕がパックを取ったときにはゴール前に88番の寺井選手(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)がフリーでいて声を掛けてくれたので、僕はパックを出すだけでした。

――次の東洋大戦までに準備していきたいことを教えてください

きょうの試合もゲームプラン通りには進んだけれど、結局最後細かいプレーを徹底し切れなくて負けてしまいました。東洋大戦まで時間あるので、本当に細かいプレーを追求していって、練習中から試合を想定したプレースピードで練習して、必ず東洋大に勝って勝ち点3を挙げたいと思います。

FW青木孝史朗(スポ1=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

前半はチーム全体で足も動いていて、リードした部分もあったので良かったのですが、後半に自分たちのミスから失点してしまうシーンがあったので、そこは反省点かなと思います。

――前回の明大戦からきょうまでどのようなことを重点的にやってきましたか

相手が格上校の試合なので、細かいことはせずに足を動かすということを意識して練習してきました。

――第1Pは1点ビハインドで終わりましたが、第2Pが始まる前に何か話されましたか

1点ビハインドというのは予想されていたことなのでそこは特に考えず、第2Pもしっかり足を動かしていけば自分たちの得点につながるということをチームスタッフから言われました。

――第2P前半は積極的に攻撃を仕掛けている印象がありました

第2Pは自分たちのいいペースでどんどん攻めれたので、それが第3Pまでつなげられたら良かったなというのはありますね。

――ご自身の得点シーンを振り返っていかがですか

あれも足を動かしてロイさん(FW鈴木ロイ、教2=北海道・苫小牧東)からいいパスをもらった結果だと思っています。

――第2P後半や第3Pは我慢する時間が続きました

キルプレーで失点してしまうシーンは2回あったので、キルプレーをしっかり修正していきたいなと思っています。

――全体を通しての中大の印象はいかがでしたか

中大はプレーにミスもあるのですが、隙がないというかパックチェックなどもしっかりしていて、とても攻めづらいチームですね。

――次戦はサマーカップでは勝利している東洋大との試合になりますが、どのように戦っていきたいですか

東洋大は早大が苦手としていたチームなのですが、夏の大会で勝利しているので、この調子で東洋大戦に勝利したいと思います。