関東大学選手権(選手権)準決勝で明大に敗れた早大は、東洋大との3位決定戦に臨んだ。第1ピリオド(P)冒頭は互いに打ち合うオープンな展開に。しかし先制点を献上すると、流れは相手に傾き、4点ビハインドで第1Pを終える。第2P以降は攻勢に転じ、好機を演出。だがフィニッシュで精彩を欠き、得点に結び付けることができない。第3Pでなんとか2ゴールを挙げたものの、最後まで追い付くことができず、5-2でタイムアップ。強豪を前に苦杯を喫し、今大会を4位で終えた。
序盤は激しく玉際で競り合い、一進一退の攻防を繰り広げた両校。しかし6分45秒、ゴール前から放たれたシュートにGK遠藤秀至(社4=東京・早実)が反応し弾くも、パックの勢いを殺し切れずに失点。そこから勢いづいた相手に3ゴールを許し、第1P終了時点で4点を追う厳しい状況になる。しかし、「1点取れれば流れは変わるので、足を動かしていこう」(FW寺井敏博副将、国教4=米国・チョートローズマリーホール高)と選手たちは気持ちを切り替えた。その後は1点を落としたものの、パックを持つ時間が増え始める。素早いパスワークで敵陣に侵入し、幾度となくシュートを放つ早大。だが、相手GKの好守に阻まれ、ゴールを割ることはできず。5点差で第2Pを終えた。
ゴールに向かうFW矢島雄吾(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
第3Pを迎えても、相手のプレスに苦しみ1点が遠い。東洋大のカウンターで守備を崩され、ヒヤリとする場面も。中盤では数的有利なパワープレーの好機を得たが、生かすことができない。残り10分で5点ビハインド。もはやここまでか――。しかし、そんな絶望的な状況をDFハリデー慈英(スポ2=埼玉栄)が打ち破る。頼れる2年生は、ゴール前でパスを受けるとスティックを一閃。ゴール左に突き刺さる豪快なシュートでチームに勢いをもたらした。53分57秒にはFW鈴木ロイ(教2=北海道・苫小牧東)がゴールにパックを押し込み、追加点を挙げる。3点差とし東洋大に食い下がるも、反撃はここまで。その後は得点機をつくることができず、2-5で試合終了のブザーが鳴り響く。選手権4位という結果に、選手たちは肩を落とした。
待望の1得点目を挙げたハリデー
2-5と、スコアだけを見ると大敗だ。しかし、第3Pでは東洋大を上回るスコアをマークするなど、互角以上に渡り合うことができていた。それだけに、「第3Pでできたことを先にできていれば」(ハリデー)と悔いの残る試合になった。また今大会では、明大や東洋大といった強豪に勝利を挙げることができずに、勝負の厳しさを実感した。だが、「秋に向けて改善して、インカレ(日本学生氷上競技選手権)優勝も狙っていける」(DF堰合芳貴、社4=青森・八戸工大一)と選手たちはすでに前を向いている。後期こそは強豪の牙城を崩し、覇者のプライドを見せつけたい。
(記事 佐藤諒、写真 進藤翔太、加藤佑紀乃)
関東大学選手権(3位決定戦) | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
0(8) | 1st | 4(20) |
0(11) | 2nd | 1(14) |
2(13) | 3rd | 0(7) |
2(32) | 計 | 5(41) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 | 06:45 | 中澤 | 柴田 | 阿部 | - |
東洋大 | 09:38 | 阿部 | 柴田 | 中澤 | - |
東洋大 | 12:05 | 出口 | 柴田 | 人里 | - |
東洋大 | 16:18 | 石橋 | 田中 | 坂本 | - |
東洋大 | 23:06 | 人里 | 坂井 | - | - |
早大 | 52:34 | ハリデー | 金子聖 | 田中 | - |
早大 | 53:57 | 鈴木 | ハリデー | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | 堰合 | ハリデー |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 矢島 | 坂本 | 新井 |
3 | 田中 | 高橋 | 金子聖 | 松本 | 大崎 |
4 | 佐藤 | 瀬戸 | 加賀美太 | 格地 | 羽場 | GK遠藤 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――2ー5という結果について
春の締めのゲームだったので、結果にこだわっていったのですが、結果は残念でした。
――きょうのチームの動きはどのようにご覧になりましたか
立ち上がりが悪かったですね。いつも東洋大に対しては、第1Pで先制点を取られて向こうのペースでやられるというのがあったので、そこを気を付けることと、ペナルティの少ないプレーでやろうと動きは指示をしたのですが、結果としてはこれまで通りと同じ展開だったということは次の課題だと思っています。
――きょうの一番の反省点は
まず1対1で勝てなかったということと、足を使っていなかったということですね。相手に自由にシュートを打たれていて、第1Pも20本くらい打たれていました。そういったところは反省点だと思います。
――今大会を全体的に振り返って
春に関しては、結果にこだわって8週間ほどかけてチームをつくってきたのですが、結果が出せなかったところは反省です。ただ、チームの雰囲気だとか4年生10人を中心にチームをつくっていて、そういったところできっちりリードしてくれています。秋に向けては春の課題をしっかりと修正をして、当然結果にこだわってホッケーをしていきたいと思います。
FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を終えて率直な感想をお願いします
第1Pの失点というのがきょうの負けにつながったと思います。
――2-5という結果についてはどう受け止めますか
ワセダはロースコアで勝つというのを目標にしているので、第1Pで、しかも連続失点というのが良くなかったと思います。
――この試合に臨む前のチームの雰囲気はいかがでしたか
東洋大にはここ数年勝てていないので、みんなそれぞれの気持ちで臨んでいたのですが、失点して流れが相手に傾いてしまったときにみんなの気持ちが切れてしまい、そこにつけこまれてしまったのかなと思います。
――主将という立場から見たこの試合でのチームの動きはいかがでしたか
全体的には悪くはなかったと思うのですが、連続失点してからチームのエンジンがかかりにくくなってしまったなという印象ですね。
――この試合の一番の反省点は連続失点ということですね。具体的にどのように改善していきたいですか
もっとセット内でコミュニケーション取って、どうして失点したのかということを話し合っていきたいです。攻めからの守りの意識を高めていかないといけないと思いますね。
――今後の抱負を教えてください
春の試合は終わったのですが、まだ早慶戦も残っていますし、まずは早慶戦で勝てるようにしっかり練習していきたいと思います。
FW寺井敏博副将(国教4=米国・チョートローズマリーホール高)
――この試合を振り返っていかがでしたか
3位決定戦だったので、結果が出なかったのが残念ですね。最初の連続失点が本当に痛かったです。あの悪い流れを断ち切れなかったことがきょうの反省点だと思います。
――第1Pでの連続失点の原因は何だったのでしょうか
言い方は悪いのですが、相手にとってラッキーなゴールが続いてしまっていましたね。その流れにワセダも乗ってしまって、悪い流れを断ち切れなかったのが一番の問題だと思います。タイムアウトを取るなりして、そういった流れをなんとか止めたかったですね。
――第1Pが終わった後にチームではどんな話をしたのでしょうか
第1Pが終わった時点で0ー4という点差の離れた試合になってしまったのですが、それでも諦めないでまずは1点取ろうと。1点取れれば流れは変わるので、足を動かしていこうという話をしました。内容としては悪くはなかったと思うので、アンラッキーなゴールがあったけれど切り替えていこうという気持ちで次のピリオドに臨みました。
――第3Pで追い上げを見せましたが、その場面を振り返ってみていかがですか
(第3P入る時には)0ー5になってしまっていたのですが、そこで諦めずに点数を取りにいけたというのは、チームとしてプライドを持てているということだと思うので、今後にもつながっていくんじゃないかと思いますね。
――今大会を全体的に振り返ってみていかがでしたか
正直、結果が出なかったなと。優勝という目標で臨んだのに優勝で終われなかったのが非常に残念です。
――来週は早慶戦ですが、どんな試合をしたいですか
早慶戦に向けて来週は3回の練習があるので、そこで良い内容で練習して、絶対に勝ちたいと思います。
GK遠藤秀至(社4=東京・早実)
――きょうの試合を全体的に振り返っていかがですか
最初流れが悪かったです。ワセダは入りが悪くて第1Pで失点を多くしてしまいました。その後は足も動くようになって流れもだいぶつかめてきたのですが、やっぱり入りが悪いと全体的に悪くなってしまうので、そこは今後もっと良くできるようにしていきたいと思います。
――今回の結果を受けてお気持ちを教えてください
ワセダは毎年春の試合で良くないので、ことしはいい結果で終わりたかったのですが、あまりいいかたちで終われなかったので、今後秋とインカレ(日本学生氷上競技選手権)でいい結果を残せるようにしっかり練習していきたいと思います。
――第1Pと第2Pの間で意識されたことは
結構自分たちのミスから相手にやられていたので、相手に取られないようにまずはしっかり奥のゾーンでやろうという話はしました。
――ご自身の今回のプレーについてはいかがでしたか
かなり調子が悪かったので第1Pに取られてしまったのですが、第2Pと第3Pでは少し修正できたかなと思います。ただ、もう少し第1Pも第2Pも良くできたと思うので、しっかりそこは修正していきたいと思います。
――きょうの守備陣の動きはいかかでしたか
第2P以降は良かったと思うのですが、第1Pではパックを持ちすぎて相手に取られてしまっている場面が多かったです。全体的に意思疎通ができておらず、あまりパスがうまくつながっていなかったので、そこは初めからコミュニケーションを取れるようにして、最初からいいペースでいけるようにしていきたいと思います。
――今後に向けた抱負をお願いします
春はもうこれで終わってしまったので、あとは秋とインカレで優勝できるようにしっかり練習していきたいと思います。
DF堰合芳貴(社4=青森・八戸工大一)
――強豪の東洋大との試合でしたが、先週からどのような準備をしてきましたか
東洋大は最初から速いプレッシャーで来るので、それにどう対処するのかという練習をしてきました。
――第1Pでは4失点と、防戦一方でした
プレッシャーに対する練習というのが、焦点が合わなかったというか。東洋大の速さを練習で意識し切れなかったところがありました。
――東洋大の多彩なシュートパターンについて
いろんなところからゴールを狙ってくるっていうのは分かっていたので、1対1で負けないということを意識していました。そんなにDFとしては勝てなかったというわけでもなかったです。改善できるという感じでした。
――第2Pからは失点が減りましたが、第1Pの後何か話し合ったのですか
1回ベンチに戻ることで気持ちの切り替えができて、いったん落ち着けたので、東洋大の速いチェックにも落ち着いて対処できました。練習でやってきたことを思い出せる良い時間があったので、そこで気持ちを切り替えることができました。
――お話にもあった通り、東洋大は玉際に激しくきていましたね
玉際は僕たちも意識していました。あそこでパック取るか取らないかっていうのはすごく大きいので、小さい部分ですけどそこからパックを自分たちのものにするということをみんな意識してやっていたと思います。
――春の大会を4位で終えることについてはどのように考えていますか
優勝を目指してやっていたので、やはり4位っていう結果は悔しいのですが、いろんなチームと試合できましたし、ことしのチーム事情なども分かりました。秋に向けて改善して、インカレ(日本学生氷上競技選手権)優勝も狙っていけるかなと思います。
――早慶戦に向けた意気込みをお願いします
早慶戦は伝統ある試合ですし、お客さんもたくさんいらっしゃる大きな大会なので、勝ちます。
DF坂本之麿(スポ2=青森・八戸工大一)
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
第1Pの連続失点が響いてこういう結果になってしまったのですが、唯一良かった点といえば(第1P後)失点を少なくして、第3Pには2点を入れ、ピリオドのスコア的には勝っていたので、立ち上がりをもっと修正すればいい戦いができたと思います。
――DF陣の調子はいかがでしたか
そんなに悪くなかったと思いますけど、失点してからまた失点してしまったので、集中力がなかったと思います。
――5失点という結果については
DF陣がシュートを打たせ過ぎていますし、もっと失点を少なくすれば少ない点でも勝ち切ることはできると思いますが、5失点という試合をしてしまうと勝てないと思うので、失点は少なくゼロに押さえられるようやっていきたいと思います。
――坂本選手が活躍している第2セットの調子は今大会を通していかがでしたか
最初の試合はあまり動きが良くなかったのですが、試合を重ねていくうちに得点もできるようになりました。きょうも前回の明大戦でも得点していましたし、尻上がりに調子を上げてきたので、セットとしては動きは悪くなかったと思います。
――今大会の一番の課題を挙げるとしたら
立ち上がりに先制点を取れなかったことだと思います。きょうも試合前に先制点を取られないようにということを共有していたのですが、こういったかたちで先制点を取られて、また連続失点してという悪い流れになっていたので、先制点を取るという気持ちでやっていかなければいけないと思います。
――今後はどういった目標を持っていきたいですか
近い目標でいうと早慶戦があるので、そこでは絶対に勝つという気持ちと秋リーグ(関東大学リーグ戦)、インカレ(日本学生氷上競技選手権)を優勝できるように、夏にしっかり個人でレベルアップをして目標達成できるように頑張りたいと思います。
DFハリデー慈英(スポ2=埼玉栄)
――明大戦から一週間経ちましたが、どのような修正をしてきましたか
修正というか、明大戦で負けて気持ちを落とさず3位を決めにいくという思いで気持ちを上げてきました。
――第1Pの4失点についてはいかがですか
第1Pの1失点目と2失点目はイレギュラーな球が入ってしまって、そこから流れが崩れてしまったということが原因で連続失点してしまったのだと思います。
――第3Pでのゴールを振り返って
ピリオド終盤になってきての反撃の1点だったので、うれしくないと言えばうそになりますが、それだけでは足りないなという気持ちはあります。
――第3Pはチーム全体のシュート数も増えましたが、そのあたりについてはいかがですか
第3Pでできたことを先にできていれば、もっといい試合ができたのかなと思います。
――今大会を通じて、早大らしいホッケーはどれほどできましたか
ワセダは昨年もフェアプレーを心掛けていたのですが、ペナルティの少ないゲームの中でロースコアで戦えたのは良かったと思います。昨年の3位決定戦は大差をつけられて負けたので、5失点に抑えられたのは進歩かなと思います。
――今後に向けた意気込みをお聞かせください
これで差ははっきりしたのですが、それに伴い敵わない相手ではないということが確信できたので、これからまたチーム一丸となって頑張っていきたいと思います。
FW矢島雄吾(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合を振り返って
失点が続いてしまって、切り替えなければいけないところで連続失点してしまったので、それが今後の課題かなと思います。
――2-5というスコアについては
やはり第1Pの4失点というのが痛かったです。ワセダの強みとして第3Pが強いとは自分たちで言っているのですが、それでもエンジンかかるのが遅かったかなと思います。
――この大会に向けて、ご自身が重点的にやってきたことはありますか
セットで走ろうという目標があったので、スケーティングとかダッシュという面に関してトレーニングをしていきました。
――今大会を全体的に振り返って
明大戦が最後やはり惜しいかたちで負けてしまって、そこからこの東洋大戦の第1Pも立ち上がりが悪かったです。リーグ戦(関東大学リーグ戦)ではすぐ1週間後に次の試合があるので、負けた後の次の試合でも立ち直しや切り替えをしっかりやっていく必要があると思います。
――早慶戦に向けての意気込みをお願いします
絶対負けたくない相手なので、大差で絶対勝ちたいと思います。