関東大学選手権2回戦。早大は、ことし1月に行われた日本学生氷上競技選手権で2位と大躍進した日体大との対戦に臨んだ。序盤から激しい攻防が繰り広げられ、第2ピリオド(P)まで両者一歩も譲らない展開となる。しかし第3Pで一気に4得点を追加し、点差を引き離す。8-5で日体大を下し、準決勝進出を決めた。
先に試合を動かしたのは相手だった。先制点を奪われた直後、FW青木優之介(スポ4=埼玉栄)がすぐさま1点返すも、その後日体大にさらなる得点を献上してしまう。相手ゴールに迫っていくものの、日体大の素早いカウンターに苦しみ、なかなか早大ペースで試合を運ぶことができない。第1P終了間際にDF新井遥平副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)のロングパスを受けたDFハリデー慈英(スポ2=埼玉栄)が2点目を追加。その後DF堰合芳貴(社4=青森・八戸工大一)がゴール前の混戦の中パックを押し込み追加点を挙げるも、第2P中盤に続けざまに2失点を喫す。しかし、35分54秒にFW寺井敏博副将(国教4=米国・チョートローズマリーホール高)がこぼれたパックを叩き込みシュート。4-4の同点で第2Pを終え、勝負の行方は第3Pに持ち越された。
得点後、笑顔はじける青木優(写真左)と寺井
運命の第3P。均衡を破ったのは寺井だった。46分58秒に、強烈なロングシュートを放ちゴールネットを揺らす。その後迎えた数的有利なパワープレーの好機を生かし、6得点目を得た。寺井のゴールを皮切りに、流れをつかんだ早大。終盤には6人全員による攻撃を相手に仕掛けられ1失点するも、FW矢島雄吾(スポ2=北海道・駒大苫小牧)と寺井がダメ押しの2得点を追加し試合終了。8-5で勝利を収めた。
主将としてチームを率いる金子立
「きょうのような流れでは次の相手には勝てない」(FW金子立樹主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)、「5失点は取られ過ぎで、シュートもかなり打たれてしまった」(ハリデー)。激闘を制するも、試合後の選手たちの表情は固かった。次戦までの残り一週間で、急速な課題修正が求められるであろう。準決勝では強豪・明大と対戦する。昨年の同大会で延長戦までもつれこんだ末、苦杯をなめた因縁の相手だ。昨年の悔しさを晴らし、ことしこそ決勝への切符をつかみ取りたい。
(記事 中村ちひろ、写真 杉田陵也、進藤翔太)
関東大学選手権(2回戦) | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 日体大 |
2(9) | 1st | 2(9) |
2(12) | 2nd | 2(17) |
4(17) | 3rd | 1(15) |
8(38) | 計 | 5(41) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
日体大 | 03:41 | 沢崎 | 相澤 | - | PP |
早大 | 04:47 | 青木優 | 寺井 | ハリデー | PP |
日体大 | 07:29 | 上村 | 川平 | - | - |
早大 | 19:57 | ハリデー | 新井 | 寺井 | - |
早大 | 26:51 | 堰合 | 青木優 | 金子立 | - |
日体大 | 32:30 | 相澤 | 沢崎 | 大塚 | - |
日体大 | 33:37 | 小笠原 | 上村 | 阿部 | - |
早大 | 35:54 | 寺井 | 青木優 | 金子立 | - |
早大 | 46:58 | 寺井 | 青木優 | 金子立 | - |
早大 | 48:34 | 寺井 | 青木優 | ハリデー | PP |
早大 | 58:01 | 矢島 | - | - | - |
日体大 | 58:37 | 沢崎 | 鈴木 | 松野 | - |
早大 | 59:57 | 寺井 | 青木優 | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 寺井 | 金子立 | 青木優 | 堰合 | ハリデー |
2 | 鈴木 | 青木孝 | 矢島 | 坂本 | 新井 |
3 | 田中 | 高橋 | 金子聖 | 格地 | 羽場 |
4 | 飛田 | 瀬戸 | 佐藤 | 松本 | 野村 | GK遠藤 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
きょうは守りを重点的にやるということをみんなで共有してやったのですが、結果失点も5点取られましたし、いい内容ではなかったですね。
――その5失点という結果について
相手のチームが足を使ってシンプルに寄せてきたというのがあって、それに自分たちが対応できなかった部分がありました。そういった意味では次に向けた課題が見えたと思います。
――日体大にカウンターを仕掛けられ、苦しんでいる場面が多く見受けられました
DFも下がり過ぎていたり、真ん中も同じようなかたちで取られたりといったケースもありました。そこはきっちりFW陣もバックチェックをこれからできるように準備していきたいと思います。
――きょうの一番の反省点はどこでしょうか
まず足が動いていなかったことですね。少し氷のコンディションも悪かったので、守りの面やパスとかそういったところも、うまく対応できなかったところは反省だと思います。
FW金子立樹主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――この試合を振り返ってみていかがでしたか
失点が多かったですね。そこは課題点だと思います。
――先週の試合後に、走り勝ちたいと話していましたが、その点に関してはいかがでしたか
第3Pは足は動いていたと思います。その結果として最後に点を取れたということは大きかったですね。でも、試合を通して流れが悪かったので、そこはしっかり修正していかなければいけないと思います。
――流れが悪い中でも点差を離されることはなかったですね
きょうの試合は、守りから入ろうということを意識してやっていたので、連続失点しなかったというのが(点差を)離されなかった要因かなと思います。
――先週の筑波大とはスピード感の違う相手だったと思いますが、影響はありましたか
相手のスピード感が変わるということはみんなが意識してやっていたことでしたし、最初は少し戸惑う部分もあったんですけど、少しずつ慣れてきて、いつものワセダのプレーというのをできたかなと思います。
――この試合に向けてのテーマなどはありましたか
まずは守りから、というところですね。失点をしないということをテーマにしていました。それでも、結果的に5点も取られてしまったので、達成はできなかったかなと思います。
――第3Pでの連続得点を振り返ってみていかがですか
特に意識して変えていったことはないんですけど、第3Pまで全員が走り切れれば得点を取れると思っていました。それをみんながしっかりとやってくれたので、それが結果として得点に結びついたのかなと思います。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
きょうのような流れでは次の相手には勝てないと思うので、しっかりとこの一週間で練習して明大に勝てるようにやっていきたいと思います。
FW青木優之介(スポ4=埼玉栄)
――きょうの試合を全体的に振り返ってみていかがですか
きょうは立ち上がりが悪くて、チームがいい雰囲気ではなかったのですが、結果として勝つことができて良かったです。
――日体大のカウンターに苦しんでいる印象を受けましたが、どのように対処しましたか
足を使えばなんとかなると思っていたので、第1P以降、みんなで足を動かしていこうと話をしていました。
――同点で第2Pを終えましたが、第3Pにはどのような気持ちで臨みましたか
終わってしまったことはしょうがないので、切り替えていいスタートをできるようにという話はしていました。
――きょうは1得点目を決められていましたが、ご自身のゴールシーンを振り返ってみていかがですか
結構あれはラッキーでした。
――ゴール前の状況は
ゴール前に立っていたら(パックが)こぼれてきたので、それを叩くだけでした。
――今シーズンのご自身の目標を教えてください
チームの勝利に貢献することと、個人的にはポイントランキングにも入っていきたいなと思っています。
――次の試合への意気込みをお願いします
次戦の相手はまだ分かりませんが、自分たちのホッケーができるように頑張ります。
GK遠藤秀至(スポ4=東京・早実)
――きょうの試合を全体的に振り返っていかがですか
最初に流れをつかむことができなかったのと、自分のミスで流れを悪くしてしまいました。なかなか自分たちのペースにできなかったので全体的には悪くて、このまま次の試合に臨むと勝てないのでしっかり反省したいと思います。
――結果は8ー5で勝利となりましたが、得点についてはどのような印象でしょうか
思ったよりも得点は多かったのですが、取れる試合だと思っていました。取れる場面はもっとあったので、もう少ししっかり決めてほしかったですね。
――ご自身の調子はいかがでしたか
調子自体は悪くなかったのですが、集中力が所々切れてしまいました。パックを見失ったりとか、シュート自体は止められてもそれ以外でミスをしてしまったので、試合全体を通して集中を維持できればと思いました。
――カウンターで攻め込まれてしまうシーンも見受けられましたが、どのように対処したのですか
そういう場面を突かれた時点で、そういうことをやってくるチームだとは分かってきました。DFとコミュニケーションを取ってそういう場面をつくりだしたくなかったんですけど、そのような場面になってしまった場合は相手の選択肢を絞って自分がシュートを止めるようにしました。自分はシュートを止めるだけという気持ちでいましたね。
――最後は6人攻撃も仕掛けられていましたが、その場面はどのように対処をされたのですか
練習では6人攻撃の守りの方はうまくいっていたので、そんなに心配はしていませんでした。1失点してしまったのですが、その分(ワセダが)得点もしていたので良かったですね。
――次戦に向けての意気込みをお願いします
次の試合はきょうみたいな試合だと絶対に勝てないので、練習で修正して絶対に勝てるようにしたいです。
DFハリデー慈英(スポ2=埼玉栄)
――きょうの試合を振り返っていかがですか
日体大はきょねんのインカレ(日本学生氷上競技選手権)で準優勝していて、侮れないというか、向こうも絶対に強気でくると思っていたので、自分たちは自分たちのプレーをして勝つことを考えていました。
――昨年のインカレ2位の相手に対して、特に警戒するところはありましたか
相手には昨年卒業していない選手がかなりいたので、特に一つ目はかなり警戒して(試合に)入りました。
――結果的に5失点となりましたが、DFとしてその点はどのように考えていますか
5失点は取られ過ぎで、シュートもかなり打たれてしまったので。それはDFの責任でもありますし、次の試合でそういう展開になってしまったら絶対に勝てないと思うので、1週間でしっかりと守りを意識して、(失点を)3点以内には抑えたいです。
――相手に5点を与えてしまった原因は何であると思いますか
シュートの打たれ過ぎと、DFの守りに対する意識の不足というか、前に行き過ぎた部分があると思います。
――きょうはチーム2点目となる得点も決められていました
ラッキーというか、ゴール前にいたらたまたま体に当たって入ってくれたので。遥平さん(DF新井遥平副将、スポ3=北海道・駒大苫小牧)のいいシュートが体に当たったので、ラッキーでしたね。
――第1P、第2Pはシーソーゲームとなりました。相手の印象はいかがでしたか
思ったよりスピードがあるチームというか、体に当たって来ることもあったので、少し予想外でした。
――それに対して第3Pは大量得点を取ることに成功しました。流れを変えるプレーなどはありましたか
最初の製氷の時点で水が多くて。それを見て、立ち上がりをしっかりしていこうというのはチーム内でありました。そういう声掛けもして、ベンチから盛り上げていましたね。
――入りの意識が得点につながったということでしょうか
そうですね。
――ここまで公式戦2試合を戦ってきましたが、ことしはどのようなチームだとお考えですか
DFからは昨年の4年生がたくさん抜けてしまったので、そこの不足は大きいですが、FWは一人しか抜けていないので。昨年主軸となっていた選手がことしもさらにパワーアップしてやってくれると思うので、ことしは期待できるかなと思います。
――最後に準決勝に向けての意気込みをお願いします
明大はきょねんと同じくスピードもあって、フィジカルでも当たってくるチームだと思うので、立ち上がりからしっかり警戒して自分たちのホッケーをして、ロースコアで持っていきたいなと思います。