【特集】早慶戦直前対談 第2回 DF石川貴大主将×FW坂本龍平×GK中川悠輔

アイスホッケー

 早慶戦直前特集第二回では、DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)、FW坂本龍平(スポ4=青森・八戸商)、そしてGK中川悠輔(教4=東京・早実)の三選手にお集まりいただいた。今季の振り返りも含め、早慶定期戦(早慶戦)への意気込み、そして四年間の思いを語っていただいた。

※この取材は1月13日に行われたものです。

「日本一になれたことは印象深く残っています(坂本)」

石川主将

――早慶戦の思い出をお聞かせください

石川 4年間やってきたところで感じたことなのですが、早慶戦はOBやマネージャーが自分たちのために毎年毎年開いてくれて。回を重ねるごとに演出だとかを凝ってくれていることが早慶戦の大きな印象の一つです。

中川 僕の中での早慶戦の一番強いイメージは、2年前のインカレで優勝した後の早慶戦です。ちょうど成人式と被っていて、2年生の間では早慶戦に出るのか成人式に出るのかというので一悶着があり、結果的にみんな成人式に出たのですが、前日からの体調もあまり優れずなんとか勝てたというのは印象に残っていますね。

坂本 思い出に残っているのは観客の多さですね。他のリーグ戦とかと比べても早慶戦ほど入っていることはないので、独特な雰囲気の中でプレーできていたということはそれ自体が思い出だと思います。

――ワセダでの4年間の思い出は

石川 良い思い出としてはやはりインカレ(日本学生氷上競技選手権)で優勝したことですね。どんな部活とかスポーツでもそうですが勝ってこその楽しみがあるということが大きいと思うので、インカレ優勝したという時のあの感じは一番の思い出ですね。嫌な思い出としては、「あしたも三時起きか」という日々が毎日のように迫ってくることですかね。いまは「あと2回で終わる!」という感じですね(笑)。

中川 それだけのためにやっているよね(笑)。あと2回で!というのがモチベーション。

石川 でも、三時起きというのが全てマイナスかというとそうではなくて、逆にそれで学校もきちんと行けるし、自分の時間を作りやすいというメリットもあるので、そこはしっかり割り切れたというのはよかったと思います。

中川 4年間で良かったことは、寮生活ですかね。地方から多く来ていることもあり、全員が一つの寮に入っている部活はうち以外ないと思います。同じ寮で、同じ時間に朝ごはんを食べて夜ご飯を食べて、同じ時間にお風呂に入って、本当に一つの家族のように仲良くて、上下関係もあるところはありますがないところではフランクな状態で、みんなで優勝に向かってやっているという部分では良い時間を過ごせたと思いますし、良い経験ができたと思います。

坂本 僕自身日本一になれたという経験はいままでアイスホッケーをやってきて初めてだったので、日本一になれたことは印象深く残っています。あと思い出としては、色んな人と関わることができたなと。寮生活で面白い先輩後輩や同期と面白いことをしたり、あとは地域の人たちともコミュニケーションを取れたりとなかなか経験できないことを経験できてそれが思い出になっています。

――4年間で辛かったことは何でしょうか

石川 やはり三時起きですね(笑)。

中川 試合とかじゃなかったら三時起きかな。

石川 でも、そんな辛いと思うことは正直ないです。常に何か目標がある中でやってきたし、三時起きというのは覚悟した上で入ってきましたし、辛いということはあまりなかったです。負けた時や勝てない時は辛い時期もありましたが、これだけが辛いということはないです。

――1年生の時といまとで、印象が変わった4年生はどなたですか

石川 それはもう、坂本ですね。八戸というところから出てきて、最初は鍋とかもみんなで囲めなかったのですが、僕たちが成長させたかなと(笑)。

坂本 寮生活のおかげでここまで変われましたね。

――ほかの4年生についてはいかがですか

石川 斜森(敬太、教4=東京・西)は一般で受けて後から入ってきて、やりたいという思いが強くて入ってきたのですが、最初はその思いが強すぎたのか寝坊とか考えられないことをしまくっていましたね。でもことし4年生になってから、チームを引っ張ろうとか、慢性的なケガをしながらも少しでも高いモチベーションを持ってチームをリードしようという気持ちはあったのではと感じました。そういったメンタルの部分での変化というのは年を重ねるごとにみんな変わっていったのではと思います。

坂本 きょうから新しい部員が来るよという朝練に遅刻してきたという(笑)。

中川 メーリスで絵文字使うレベルだよね。「すみません、起きられませんでした」って(笑)。

石川 最初の頃はなかなかすごかったです。

中川 部活っていうくくりでやったことがなかったからね。

石川 すごかったに尽きます、本当に(笑)。

坂本

――4年間で成長した部分はどういったところでしょうか

中川 イジられ耐性ですかね(笑)。特にこいつ(石川)ですね。合宿でゴミ箱がいっぱいになったら誰かが捨てに行くのですが、こいつは絶対に捨てに行こうとしないし、自分の近くに置いてほかの人は誰も捨てていないのに「みんなで行くよ!ジャンケンしよう」とか言うんですよ。ちょっと自己中なところがあるのですが、まあそこが可愛らしいところですね(笑)。

石川 それでもやっちゃう中川がいるから、まあいいじゃないですか。ジャンケンしても負けるのは中川だし、やっぱ持ってるんですよね。

一同 (笑)。

石川 あとは、俺も中川も坂本も、OBとかと接する機会が他の選手に比べて多くて、そういったところは社会に出てからの目上の人に対する接し方であったり、精神面で成長するチャンスは多かったなと思います。

坂本 プライベートを侵害されても割り切れるようになったところが大きいですね。僕の中では、寮生活をしていなければそのままの性格で進んでいったと思うと恐ろしくて、本当に寮生活で精神的に変われたのでよかったと思います。

中川

――慶大の選手とは仲が良いですか

石川 この前僕は、江口とご飯に行ってきました。高校も一緒だし、リンクで会うと喋る選手ですね。

中川 僕は挨拶して、一言二言話して、じゃあねという感じですね(笑)。ただ高校から金村とかと試合はしていたので、面識はあるけど仲良くはないですね。

坂本 僕は主務をしている時に早慶戦の運営をしていて、仕事の話はしていましたね。

――後輩たちにはどんな言葉をかけたいですか

石川 この前インカレで負けてからロッカールームでそれぞれに話したのですが、そこでの言葉に尽きると思います。4年生みんなそうだと思いますが、あっという間だったなと。この前入寮してこの前4年生になって、この前ことしの目標を決めるミーティングをしたばかりの感覚のまま4年間、1年間が過ぎてしまったので、時間とチームを大切にしていくのが大変であり重要だからそこに気を使いながら頑張っていってほしいと思います。

中川 ロッカールームで同じようなことを言ったのですが、一つでもタイトルを取ったり優勝とかをすればこの代は強かった、この代は勝った代だと言われて、負けた代は何も残らないで、あとからこうだったからダメだったと言われてしまう可能性があると思うんですよね。だから一つでもタイトルを取るということがその代にとっての使命だと思うので、僕たちはできなかったですが後輩たちは毎年一つ、二つ、できれば三つしっかり取って終えられたら、今後の人生にも生きると思うのでそれを目指してやってほしいです。

坂本 僕は、いつどこでケガしてアイスホッケーができなくなるか分からないので、1年目も2年目も3年目も4年目も関係なく、目の前の練習や試合であったりアイスホッケーができる時に一生懸命やって、悔いのない学生生活を送ってほしいということを言いました。

「相手を圧倒して勝ちたい(石川)」

――早慶戦を前に、ここまでのシーズンの振り返りをお願いします

石川 ことしのシーズンが始まる前にきょねんのシーズンの振り返りをして、きょねんはプロセスがどうであれ結果が悪かったので、自分たちはここを変えてああしようこうしようと、スタッフともっとコミュニケーションを取ってチーム作りをしていこうということを一つの目標にしてやってきました。自分たちの中ではスタッフとも良いコミュニケーションが取れたと思っていますが、どれだけプロセスが良くても自分たちが満足できるようなチーム運営ができても、最終的にはスポーツが勝敗を分けるものである以上結果を残さなければいけない中で結果を残せなかった、タイトルを一つも取れなかったことは、すごく後悔しているし残念に思っています。でもことし1年間、スタッフやOBや保護者の協力があって満足のいく環境の中でホッケーができたのではないかなと思います。

中川 チーム面のことは言ってくれたので、僕からは広報活動について。ことしは3年生の松本(逸輝、商3=滋賀・光泉)を中心にマネージャーと一緒によくやってくれて、今回の早慶戦に関しても告知してくれたり、いつもより協賛の幅を広げてやってくれたり、ワセダのスケート部ホッケー部門を色んな方に知ってもらえる機会を後輩が作ってくれて、そういう面ではいままでよりも僕たちを見てくれる機会が増えたと思っています。ほかにも東京アイスホッケーチャンネルだったりアイスホッケーに親しむ環境が増えて…。

石川 早スポもな。

中川 早スポもね。もちろん!本当に伝えてくださる方々が多くて感謝していますし、いままでに比べて良かった部分だと思います。

坂本 今シーズンを振り返ると、一つもタイトルを取れなかったということは反省しなければいけないことだと思いますし、何かが足りなくてそういう結果になってしまったと思うので、そこを反省して来季以降は一つでも多くタイトルを取れるように頑張ってほしいと思いました。

――早慶戦への意気込みをお聞かせください

石川 本当に選手、スタッフ、マネージャーだけではできなくて、OBや協賛してくださっている企業やお店の方々にまず感謝したいです。何十年負けていない早慶戦で自分たちの代で負けるということは決してしたくないし、後輩たちにもそんな思いはさせたくないので必ず相手を圧倒して勝ちたいと思います。

中川 早慶戦というのは独特な雰囲気ですし、41年間冬は負けていないということで、慶大が相手ではあるのですがプレッシャーとの戦いだと僕は思っています。チーム全員で乗り越えて本当の勝利をつかんで、できれば二回連続のMVPを取れればなと。今回の賞品はまだ分かりませんが、そちらを新生活で生かしていきたいと個人的には思っています。

坂本 このチームでやれる最後の試合だと思うし、僕自身もこんなに本気でやるアイスホッケーは最後の試合になると思うので、精一杯頑張って勝ちたいと思います。

――ありがとうございました!

(取材・編集 川浪康太郎)

まもなく最後の決戦です!

◆石川貴大(いしかわ・たかひろ)(※写真中央)

1993年(平5)4月26日生まれ。165センチ、82キロ。埼玉栄高出身。スポーツ科学部4年。一年間主将としてチームを率いてきた石川選手。早慶戦ではどのような活躍を見せてくれるのでしょうか。

◆坂本龍平(さかもと・りゅうへい)(※写真右)

1993(平5)年4月7日生まれ。170センチ、70キロ。青森・八戸商高出身。スポーツ科学部4年。丁寧に質問に答えてくださった坂本選手。他のお二人からいじられる場面も見られました。

◆中川悠輔(なかがわ・ゆうすけ)(※写真左)

1993(平5)年7月28日生まれ。171センチ、73キロ。東京・早実高出身。教育学部4年。ユーモア溢れる受け答えをしてくださった中川選手。二連続となるMVP獲得に期待がかかります!