まさに氷上の格闘技。関東大学リーグ戦(リーグ戦)二次リーグでの早慶戦は、荒れた試合模様となった。早大は第1ピリオド(P)で2点を先制し幸先の良いスタートを切る。しかし4-1で迎えた第3P。数的不利のキルプレーで2失点を喫し点差を縮められてしまう。それでも終盤に怒涛(どとう)の3連続得点で慶大を突き放し、苦しみながらも大差での勝利を収めた。
「(早慶戦は)意識しないというと嘘になる」(DF石川貴大主将、スポ4=埼玉栄)。注目の一戦で、早大は第1Pから理想的なホッケーを展開する。5分55秒、「ゴールに向かうプレーを意識していた」というFW鈴木ロイ(教1=北海道・苫小牧東)が相手GKの弾いたパックを押し込み先制に成功。スピーディーな攻撃で敵を圧倒すると、FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)も得点を決めさらに点差を広げた。一方の慶大も果敢にゴールを狙うが、GK遠藤秀至(社3=東京・早実)が好セーブを連発し追随を許さない。続く第2Pも1失点でしのぐと、鈴木がこの日2点目をたたき出すなど攻撃の手を緩めずリードを保った。
先制点を奪った鈴木
このまま早大の快勝で終わると思われた第3P。序盤に1点を加えたものの、キルプレーで相手の反撃にあい主導権を奪われてしまう。さらに反則者が続出し、会場は緊張感漂う異様な空気に包まれた。不穏なムードを一掃したのは、FW青木優之介(スポ3=埼玉栄)だった。50分48秒、激しい攻防から抜け出した青木はゴール正面からスティック一閃、強烈なシュートでネットを揺らし相手ベンチを静まり返らせた。その後は完全に早大の独壇場。終盤に2点を追加し試合を決定づけると、最後はリーグ戦初出場となったGK草島邦彦(社2=東京・早実)が「思い通りのプレーをすることができた」とゴールを守り抜き逃げ切った。
闘士をむき出しにする石川主将
8-3というスコアだけを見れば圧勝と言えるが、「慶大にやりたいホッケーをやられてしまった」(鈴木)、「まだまだ全体的には課題は残っている」(工藤哲也監督、昭63社卒=青森・八戸)といった言葉が示すように満足のいく内容ではなかった。次戦の日体大戦までも間隔が短く過酷な日程が続くが、それを乗り越えた先には輝かしい栄光が待っている。歓喜の時を信じて、勝負の秋を突き進む。
(記事 川浪康太郎、写真 加藤佑紀乃)
関東大学リーグ戦 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 慶大 |
2(11) | 1st | 0(16) |
2(11) | 2nd | 1(12) |
4(13) | 3rd | 2(11) |
8(35) | 計 | 3(39) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
早大 | 05:55 | 鈴木 | ハリデー | - | - |
早大 | 13:08 | 金子立 | 寺井 | 青木 | - |
早大 | 22:12 | 鈴木 | - | - | - |
慶大 | 24:33 | 史 | 鈴木 | - | - |
早大 | 30:17 | 青木 | 石川 | 寺井 | - |
慶大 | 45:27 | 鈴木 | 金村 | 大久保 | PK |
早大 | 46:37 | 田中 | 堰合 | 坂本之 | - |
慶大 | 46:55 | 金村 | 小池 | - | PK |
早大 | 50:48 | 青木 | 金子立 | - | - |
早大 | 51:52 | 高橋 | 鈴木 | - | - |
早大 | 55:54 | 寺井 | 青木 | 金子立 | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 青木 | 金子立 | 寺井 | 新井 | 石川 |
2 | 加賀美 | 高橋 | 鈴木 | ハリデー | 清 |
3 | 飛田 | 坂本龍 | 田中 | 坂本之 | 堰合 |
4 | 矢島 | 瀬戸 | 田村 | 斜森 | 羽場 | GK遠藤→草島 |
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月4日時点) | |||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
順位 | 校名 | 勝点 | 試合数 | 勝 | 分 | 負 | |||
1 | 中大 | 23 | 9 | 7 | 2 | 0 | |||
2 | 明大 | 22 | 9 | 7 | 1 | 1 | |||
3 | 早大 | 21 | 9 | 7 | 0 | 2 | |||
4 | 東洋大 | 19 | 9 | 6 | 1 | 2 | |||
5 | 法大 | 7 | 9 | 2 | 1 | 7 | |||
5 | 日体大 | 7 | 9 | 2 | 1 | 6 | |||
7 | 慶大 | 4 | 9 | 1 | 1 | 7 | |||
8 | 日大 | 1 | 9 | 0 | 1 | 8 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――前の試合から間隔が短かったですが、選手たちに疲労は見られましたか
きょうはちょっと動きが悪かったので、疲れは残っていたと思います。
――いままで課題は得点力とおっしゃっていましたが、きょうは大量得点でしたがいかがですか
点は取りましたけれども、向こうのミスで入った点もあったので、まだまだ全体的には課題は残っているかなと思います。
――第3Pでは試合が中断する場面も見られましたが
そこは点数的にはうちのほうが勝っていましたし、冷静にやるようにということで、選手たちもベンチの中で互いに信じ励まし合っていたので、そういった意味では関係なかったと思います。
――次の試合も間隔が短いですが、どのように戦っていきたいですか
まずはきっちり、体調の自己管理をすることで、疲れはたぶん残るのかもしれないですけど、いままでやってきたことを実践できるように準備をしたいと思います。
――DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)
――前回の試合からの間隔が短い中、コンディションなどはいかがでしたか
ことしはリーグを通してイレギュラーな日程が続く中で、コンディションを作ることはチームとして最善を尽くしますが、どのチームも一緒なのでその点では言い訳にはならないですし、自分たちの中では最善を尽くしたつもりです。
――早慶戦に向け特別な思いはありましたか
リーグ戦の中での一つの試合だと思っていて、それでも一目置かれるような試合なので意識しないというと嘘になりますが、一つ一つ勝っていく上でのただの一つに過ぎないので、特にこれといった強い感情はなかったです。
――序盤に先制する展開となりましたが、気持ちは楽になりましたか
スコア的には良かったのですが、要所でターンオーバーがあったり、危険なシチュエーションがあったので、そういうところではメンタル的にもコントロールしながらプレーしていきたいですし、マイナス思考というか押しているムードではなかったので乗り切れなかったというところはあります。
――守備陣の出来はいかがでしたか
3失点してしまいましたが、2点はキルプレーでの失点で最初の第1Pに関してはターンオーバーなどが目立ったのですが、第2P以降はパス出しもできていましたし、悪い内容ではなかったと思います。
――第3Pでは中断する場面も多かったですが、その時の心境は
レフリーのジャッジどうこうで相手が主として試合を止めていましたが、自分たちは落ち着いていこう、ペナルティはできるだけ少なくしていこうという平常心を保って良い意味で間も取れたかなと思いました。
――次の試合への意気込みをお願いします
次は日体大戦で、これも間隔が短くコンディションを作るのが難しいと思うのですが、そこは言い訳せずにしっかりと最善を尽くして、日体大は法大にも勝っているのでしっかり自分たちのプレーができるように良い準備をしていきたいと思います。
GK草島邦彦(社2=東京・早実)
――リーグ戦では初出場ということで、緊張などはされましたか
最初は少ししましたね。ですが、チームのみんなが声を掛けてくれて。また、自分でも出場したら緊張しないようにと考えていたので、そこまでではなかったです。
――思うようなプレーをすることができましたか
リバウンドも出さず、思い通りのプレーをすることができたと思います。
――ご自身の強みはどこだとお考えですか
反射神経ですね。練習でもそこを意識しています。
――早大には現在草島選手の他に、GKが2名います
もちろん二人ともすごい選手なのですが、負けたくないです。コーチ陣にも人一倍アピールしています。
――今後の意気込みをお願いします
リーグ戦ではきょうの試合で初めてベンチ入りを果たしたのですが、これからコーチ陣にしっかりとアピールをし、先輩たちにもプレッシャーをかけ、そして全試合でベンチに入れるように頑張りたいです。
FW鈴木ロイ(教1=北海道・苫小牧東)
――この試合を全体的に振り返ってみていかがですか
きょうはシュートをたくさん打って、シュートからリズムを作ろうという話をしていたのですが、なかなか上手くいかず、シュート数でも相手に負けてしまい、逆に慶大にやりたいホッケーをやられてしまったなという印象です。
――鈴木選手ご自身は積極的にゴールに向かっている印象でした
きょうはゴールに向かうプレーを意識していたので、結果的に得点に結びつけることができて、その点は個人的に良かったと思います。
――2得点を決められていましたが、振り返ってみていかがですか
まず1点目は同じセットのハリデー(慈英、スポ1=埼玉栄)にパスをして、その後ハリデーがゴール前に出したこぼれ球を決めたかんじです。2点目はコーナーで自分が上手くパックキープして、狙ったところに打てました。
――第3Pは荒れた展開になりました
これから上位のチームと戦っていく上で、ああいった相手と乱闘的なことをして反則をしてしまうのはとてももったいないことだと思うので、ちゃんと自分たちの感情をコントロールして、なるべくああいう乱闘のシーンは減らしていきたいなと思います。
――きょうの8―3というスコアについてはどういった印象をお持ちですか
得点の面では効率的に得点を重ねられたと思うのですが、失点が3と多くて、キルプレーでの失点が多かったのでそこが課題だと思います。
――日体大戦につながる収穫は得られましたか
各セット点を取れたことが収穫だと思います。キルプレーは課題が見えたので、次の日体大戦までにキルプレーの部分を修正して臨みたいと思います。
――日体大戦はどのように戦っていきたいですか
いつも話し合っていることなのですが、第1Pで失点ゼロ、反則ゼロという目標でやっていきたいと思います。
――次の試合への意気込みをお願いします
個人的にはどんどんゴールに向かってチャンスメイクをして得点を奪い、無失点で勝ちたいと思います。