宿敵相手に無念の敗戦、決勝進出ならず

アイスホッケー

 関東大学選手権(選手権)2回戦でゲームウィニングショットの末、法大を破った早大。迎えた準決勝の相手は宿敵・明大だ。FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)の先制ゴールにより幕開けた試合はその後一進一退の攻防が続き、第3ピリオド(P)終了時に2-2と決着つかず。延長Pへと突入するも、守備の連携ミスを攻められ痛恨の失点。強豪校に対し最後まで死闘を演じたが、勝利の女神は微笑まなかった。

相手と競り合うFW金子立副将

 「立ち上がりが勝負」。工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)のその言葉通り、早大は序盤よりリンクを広く使い、スピーディーな攻撃を仕掛けていく。すると開始3分16秒、DF堰合芳貴(社3=青森・八戸工大一)からのロングパスをゴール前で金子立副将が上手く合わせ、いきなり先取点を奪取する。間髪をいれずにFW矢島雄吾(スポ1=北海道・駒大苫小牧)が相手ゴールを脅かすなど、隙の見せない攻めを見せる早大。このまま早大が押し切るか――。そんな空気さえ会場に漂う中、第1Pが終了する。

攻めの姿勢を崩さないFW寺井

 第1Pとはうって変わり、第2Pはやや押される展開に。この日はペナルティーが多く、数的不利な状況であるキルプレーを何度も強いられる。守備陣の疲弊も激しく、徐々に明大に主導権が移っていく。そして24分14秒、守備の合間を縫うようなかたちで相手にシュートを決められ、同点に追いつかれてしまう。その後はGK遠藤秀至(社3=東京・早実)やDFハリデー慈英(スポ1=埼玉栄)らの活躍で猛攻をなんとかしのぎ、このPを切り抜けた。しかし、続く第3Pでもキルプレーのピンチが多く、46分31秒に無念の失点を許す。反撃に転じようと、FW寺井敏博(国教3=米国・チョートローズマリーホール高)がゴールを襲うも、得点には結びつかない。1点ビハインドのまま、時間だけが確実に過ぎていく。そんな重苦しいムードを断ち切ったのはFW加賀美太一(商3=東京・早実)だった。FW青木優之介(スポ3=埼玉栄)からパスを受けると、ゴール正面よりスティックを一閃。放たれたパックは勢い良く相手GKをすり抜け、ゴールネットを揺らす。値千金の同点ゴールとなった。その後は2-2のままスコアが動かず、第3P終了。雌雄を決すべく、試合は延長Pへと突入した。

ゴールを狙うFW青木

 4対4のサドンヴィクトリー方式で行われる延長Pでは、先に1点を手にしたチームが勝利となる。早大は開始直後から素早い動きでパックを狙うが、相手にゴール付近まで詰め寄られてしまう。なんとかこのピンチをしのぎたいところだが、「ゴール裏でパックを取られた時点でちょっとコミュニケーションが足りなかった」という遠藤の言葉通り、守備の連携が上手くいかず、シュートコースが開いてしまう。この一瞬の隙を、明大は見逃してくれなかった。相手FWが放ったシュートは、無慈悲にも早大ゴールへと突き刺さる。2-3。延長Pはわずか31秒で幕を閉じ、早大の敗北が決まった。

 「どんなかたちであれ負けてしまったということはトーナメントを戦っている以上、次に進めずに3位決定戦に回ってしまうということで、非常に悔しい」。そう語るDF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)の表情には、悔しさがにじんでいた。しかしながら、選手権はまだ終わったわけではない。29日には、東洋大との3位決定戦が控える。この試合で浮き彫りとなった課題を修正し、難敵を下すことができるか。早大の真価が試される。

(記事 落合修平、写真 又坂美紀子)

関東大学選手権(準決勝)
早大 ピリオド 明大
1(12) 1st 0(18)
0(5) 2nd 1(19)
1(12) 3rd 1(14)
0(0) 延長 1(1)
2(29) 3(52)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
早大 03:16 金子立 堰合 加賀美
明大 24:14 桂川 松本 北島
明大 46:31 大場 松金 大津 PK
早大 51:53 加賀美 青木 金子立
明大 60:31 大椋 大津
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
鈴木 寺井 金子聖 石川 新井
青木 金子立 加賀美 堰合 ハリデー
田中 坂本龍 矢島 松本
野村 瀬戸 飛田 斜森 坂本之
GK遠藤
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コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

立ち上がりが勝負なので、第1Pに関しては運動量も多く、良かったと思います。第2Pは少し攻めこまれましたが、第3Pでは立て直しましたね。60分間の戦い方としては悪くはなかったです。

――明大の印象はいかがでしたか

もともと実力がある選手ばかりなので、我々はチャレンジャーとして臨みました。

――結果は残念でしたが、収穫もあったということでしょうか

そうですね。同点に持ち込めたのは評価できると思います。その後の場面でうまく勝ち切ることができることができるようにこれから練習を進めていきたいです。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

3位決定戦ですので、当然全員がしっかりと勝ちへの気持ちをもったうえで臨みたいと思います。

DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返って

先週はトーナメントなのでどんなかたちであれ勝てて良かったという話をしたのですが、今週に関しては真逆で、どんなかたちであれ負けてしまったということはトーナメントを戦っている以上、次に進めずに3位決定戦に回ってしまうということで非常に悔しくて。チームとして目標に掲げていた早慶戦までのプラン、ターム1として目標にしていた春の優勝がなくなってしまったことはとても残念に思います。

――明大の印象は

強烈なFWがそろっていて、その中でいかにロースコアの展開に持ち込めるか、少ない点差で勝てるかということを考えていました。失点に関しては2失点までに抑えようとしていたのですが、結果としてプラン通りにいかず3失点してしまったことが負けの要因なのかなと思います。

――きょうの試合で良かった点は

点数を取られた後にチームが下を向かないで、次に取り返そうというように意識の転換が早かったというところに関してはすごく良かったのかなと思っています。

――うまくいかなかったのはどのような部分ですか

速いプレッシャーの中での球離れ、リスクマネジメント、タスクマネジメントの部分が悪くて、ターンオーバーであったり、失点を生んでしまったのかと思います。またペナルティーの数もだいぶ多くて、数字は覚えていないのですがそこが悪循環だったのかなと思います。

――3位決定戦に向け修正したい点は

まずは得点です。2得点では、なかなか1得点に抑えるのは厳しいので3点以上は得点をしていきたいと思います。また第1セットは筑波大戦以降に得点していないので、ファーストシフト、セカンドシフトでしっかり得点を取れるような攻撃をしたいと思います。

GK遠藤秀至(社3=東京・早実)

――明大の印象はいかがでしたか

明治は個人個人うまい選手がそろっているので、1人がパックを持ったときにうまいなと思いました。

――ゴール前に攻め込まれた際、守備で気を付けたことはなんですか

パスとかで反対側に振られたりしないように、できるだけDFとコミュニケーションをとったり、振られたときもちゃんと周りを見て、まったく気づかなかったというような状況を作らないようにしました。

――ワセダ側の反則が少し多かったですが、原因は何だと思われますか

相手が個人技で抜いてきたときなどに、コーナー際などでやはりスティックが出てしまったりとか、相手に振り回されて遅れたときにスティックが出てしまったり変なふうに行ってしまったりとか、そういう場面があったので、それが原因だと思います。

――延長戦での失点時、ゴール前の状況はいかがでしたか

ゴール前の状況というか、まずゴール裏でパックを取られた時点でちょっとコミュニケーションが足りなかったかなと思うので、次の練習ではまずそこから直していきたいです。

――3位決定戦に向けて意気込みをお願いします

きょねんも3位決定戦に行って負けてしまっているので、ことしこそはしっかりと勝ちたいと思います。