接戦を制し白星勝ち取る

アイスホッケー

 関東大学選手権(選手権)初戦で筑波大に圧勝した早大。好調な流れに乗り、強豪・法大と2回戦で激突した。両者の実力は拮抗(きっこう)し、第3ピリオド(P)を5-5と同点のまま終了。試合はゲームウィニングショット(GWS)にもつれ込んだ。法大のシュートをGK遠藤秀至(社3=東京・早実)が確実に阻止する一方、早大の一番手・FW寺井敏博(国教3=米国・チョートローズマリーホール高)と三番手・FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)が見事ゴールを決める。難なくGWSを制し、6-5で法大を下した。

 「立ち上がりがすごく悪い」と語ったDF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)。その言葉通り、第1Pの序盤で守備の隙を突かれ、法大に先制点を与えてしまう。しかし1分後の4分22秒、DF堰合芳貴(社3=青森・八戸工大一)との連携プレーでルーキー・DFハリデー慈英(スポ1=埼玉栄)がセンターから強烈なシュートを叩き込み、1点目を奪取。その後も同じくルーキーであるFW矢島雄吾(スポ1=北海道・駒大苫小牧)がゴール前のパックを押しこみ追加点を挙げる。立て続けに金子立もゴールを決め、3-1と相手を突き放した。このまま早大のペースで試合が進んでいくと思われたが、法大が2点目を得たことで風向きが変化。法大の猛攻に早大はペースを乱され、次第に主導権を奪われる。嫌な流れを断ち切りたい早大だが、2P開始直後、相手に3点目を献上。同点に追いつかれた早大は幾度もゴール前まで詰め寄るも、相手GKに阻まれなかなか状況を打破できない。焦りを見せる早大は、第2Pの間に2回もペナルティーを出してしまい、とうとう逆転を許してしまう。ところが38分27秒、金子立がゴール前の混戦から抜け出し、痛烈な一振りでゴールネットを揺らす。なんとか同点に追いついたところで2Pを終えた。

奮戦するFW矢島

  第3Pで決着をつけたい両チーム。攻守がめまぐるしく変わる中、先に均衡を破ったのは法大だった。ゴール横からシュートを決められ、1点差を追いかけるかたちとなった早大。しかしその30秒後、DF松本逸輝(商3=滋賀・光泉)が手薄となった相手守備陣を攻め、貴重な5点目を獲得。両校譲らぬ展開になる。その後、早大は数的有利なパワープレー(PP)を迎えるが、「連携がうまくいかなかった」(金子立)とこの好機をものにすることができない。その一方、遠藤の堅守が光る。幾度もゴールに襲いかかってくる相手攻撃陣に臆することなく立ち向かい、好セーブを連発。チームのピンチを救い続けた。結局、第3P終了時に5-5と勝敗がつかず。勝負の行方はGWSに持ち越される。

攻守が光ったGK遠藤

 緊迫した空気のなか、GWSは始まった。先攻となった早大の一番手である寺井と法大GKがリンクに立つと、会場が静まり返る。固唾(かたず)を飲んで見守る観衆と両チームの選手たち。痛いほど張りつめた空気の中、寺井が動く。ゆっくりとした動作で翻弄(ほんろう)してくる相手GKをものともせず、技ありなシュートを叩き込んだ。早大ベンチは歓喜に沸き、笑顔でベンチに戻る寺井を出迎える。流れを確実に引き寄せた早大は、後攻である法大のシュートを遠藤が完璧にセーブ。二番手は両校ともにゴールネットを揺らすことができず、迎えた三番手。決めれば勝利が確定するこの場面、リンク上に立つのは副将・金子立だ。「迷わないでやるだけ」。落ち着いてGKに近づくと、スティックを一閃。ゴール上段へとパックをたたき込み、激戦に終止符を打った。

歓喜する選手たち

  「練習してきたことが全然できなかった」(遠藤)。死闘を制した早大だが、選手たちの表情は硬い。シュート数の少なさもさることながら、ペナルティーを誘発するプレーができない、PPの好機を活かしきれない等の課題が山積みだからである。準決勝となる次戦は宿敵・明大が立ちはだかる。早急に課題を克服しなければ厳しい戦いとなるだろう。自分たちらしいプレーを発揮し、強敵を打ち破れるか。選手権の優勝に向け、早大は前進を続ける。

(記事 種村春歩、写真 又坂美紀子)

関東大学選手権(2回戦)
早大 ピリオド 法大
3(6) 1st 2(12)
1(16) 2nd 2(24)
1(10) 3rd 1(16)
1(1) GWS 0(0)
6(33) 5(52)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
法大 03:32 松本力 横山 木戸
早大 04:22 ハリデー 堰合
早大 07:05 矢島 坂本龍
早大 12:38 金子立 加賀美 堰合
法大 16:51 横山 松本勝 木戸
法大 21:17 吉村 横山 木戸
法大 31:40 木戸 横山 中口 PK
早大 38:27 金子立 加賀美 ハリデー
法大 50:03 西口 木戸 吉村
早大 50:31 松本 坂本龍
早大 GWS 寺井
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
ゲームウィニングショット
TEAM
早大 寺井
青木
×
金子立
法大 横山
×
木戸
×

※早大GKは遠藤、法大GKは富田哲平
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
鈴木 寺井 金子聖 石川 新井
青木 金子立 加賀美 堰合 ハリデー
田中 坂本龍 矢島 松本
野村 瀬戸 飛田 斜森 坂本之
GK遠藤(60分)
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コメント

工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

内容的には全然良くなかったですね。最初からきっちり足を動かし、自分たちのホッケーをするように指示したのですが、そこがいまひとつできていなかったのは反省点です。

――結果自体に関してはいかがでしたか

トーナメント方式なので、きょうのようにGWSになっても勝てるというのは重要だと思っています。しかしながら、どちらかというと後手に回った場面が多かったですね。

――PPを活かせない場面が目立ちましたが

PPは練習でも準備をしたのですが、なかなか上手くいきませんでした。今後しっかりと修正し、来週の試合ではチャンスをものにしたいです。

――第1セットでなかなか点が取れませんでしたが、そこに関してはどう思われていますか

第1セットと第2セットで点を取る意識は変わっていないのですが、シュートに持ち込めていなかったり、細かいミスが目立ちますね。そこを今後しっかりと修正していけば、自然と得点数も増えてくると思います。

――次戦に向けた意気込みをお願いします

きょうの法大よりも力が上のチームが立ちはだかってくると思うので、しっかりと積極性を意識して練習を重ねていきます。

DF石川貴大主将(スポ4=埼玉栄)

――きょうの試合はきょねんの法大戦と比べていかがでしたか

リーグ戦(関東大学リーグ戦)は引き分けという形で終わってしまったのですが、春はトーナメントなので、結果的に最後勝てたということは次のステージにも進めるのでチームとしてはよかったと思います。

――きょうの立ち上がりについて

きょねんからずっと言っているのですが、立ち上がりがうちはすごく悪い。なので、ことしはまずそういうところから直していこうということだったのですが、試合開始3、4分で失点してしまって、そこからズルズル結局5失点してしまったということは、結果から見るとすごく悪いのかなと感じています。

――同点のまま第3Pに進みましたが、チームの中で何か話し合いましたか

まず第1、第2Pで、シュート数で負けている。またペナルティーをもらえていない。相手にペナルティーをさせるようなプレーができていない、走れていないというところがまず問題だったので、そういうところを改善して、走ってドライブしたり、早いタイミングでシュートを打ったりしていこう。あとはグレーゾーンのプレーをシンプルにすることが失点しないことだよなと話し合って、そういうプレーをするようにしてきました。

――来週に向けて意気込みをお願いします

しっかり1週間準備して次の試合にも出られるように頑張っていきたいと思います。

FW金子立樹副将(スポ3=北海道・駒大苫小牧)

――今日の試合を振り返っていかがでしたか

競り勝てたという部分以外に関しては、今週は一週間この試合のためにやってきた練習などが全然出せなかったので、すごい課題の残る試合でした。

――具体的に課題とは

試合前にスタッフ陣からあげられている目標は、シュート数だったりとか反則の数だったりとかだったのですが、それらを全然達成できていないです。シュート数に関しては1Pでは6本しか打ててなく、シュートを打てなければ得点に結びつかないので、そういうところが課題かなと思います。

――しかし、試合が進むにつれシュート数は増加してきました

1Pが終わった後にもっとシュートを打たないと点数が入らないということをスタッフからも言われましたし、2Pでもシュートは打てていたのですけれど、それ以上に相手にシュートを打たれているので、シュートを打つという意識をもっと高くすべきだと思います。それと同時に、守りの意識も大事だと思いました。

――ご自身は今試合で2得点、そしてGWSでは決勝点を挙げられました

チームとして点数に貢献できたということは自分としては目標にしていることなので、それは達成できていたと思います

――GWSの時はどのような心境でしたか

緊張してはいたのですが、今週の練習の時にGWSの練習を1回していたので、その時に決まった形というのがあり、それを迷わないでやるだけだと思いました。決勝点を決められて嬉しかったです。

――すべてのPで法大から点数を先に取られてしまいましたが

やっぱり立ち上がりはとても重要なので、相手にそこを攻め込まれたりすると失点にもつながりますし、そういった部分で試合の準備がまだ不足していたのかなという印象です。

――PPの時のチャンスを活かしきれていないという印象を受けました

練習でもすごいPPの練習には時間を割いているのですが、きょうはちょっと連携がうまくいきませんでした。コミュニケーションを多く取ってやっていかないと、PPはチャンスなので、しっかり決めないとダメだと思いました。今週一週間、しっかりとPPの練習をしていきたいと思います。

――次戦の抱負をお願いします

まず自分たちのホッケーというのをしっかり貫いて、きょうの試合で出た課題をしっかりこの一週間で克服できるようにやっていきたいです。

GK遠藤秀至(社3=東京・早実)

――きょうの試合にどのような意気込みで臨みましたか

きょう負けるとこの後試合がないので、しっかり勝って次の準決勝まで行けるようにと思っていました。

――きょうの試合を振り返ってみていかがですか

法大とは何回も試合をしていて、勝つための練習をここまでやってきたのですが、最初から向こうのペースで練習してきたことが全然出来なかったのでそんなに良い試合ではなかったと思います。

――具体的にどういう練習をしてきたのですか

法大はFW3人に加えDF2人もどんどん攻撃に参加してくるので、それにもしっかり対応出来るような練習をしてきたのですが、きょうは上手くいきませんでした。

――きょうの試合は反省点の方が多いと言うことですか

そうですね。

――第3Pに入って相手の攻撃がより激しくなってきましたがどのように対処したのですか

とりあえず疲れていたので、早く反対側にパックがいってくれと思いながら必死にやっていました(笑)。全然息も出来ないし足もつりそうだったので、早く終わってくれって(笑)。とりあえず守りきれて良かったです。

――GWSは緊張しましたか

あまり緊張しなかったですね。第3Pでものすごく攻撃されていたので、早く終わってGWSになってくれた方がありがたかったです(笑)。法大とは2年前の日本学生氷上競技選手権(インカレ)の準々決勝でもGWSになり勝っていて、それほど苦手意識を持っていなかったので、同点で終れば勝てると思い自信を持って臨みました。

――次戦への意気込みをお願いします

きょねんは準決勝と3位決定戦の両方で負けてしまったので、今回は準決勝にしっかり勝って決勝までいき、そして優勝したいと思います。

FW矢島雄吾(スポ1=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

この1週間練習してきたことができていなくて、次の試合につながる課題がたくさん見つかりました。次はそれを修正できるようにしたいと思います。

――今大会は大学生として出場する初めての大会ですが、どのような意気込みで挑みましたか

1年生らしく走ってガンガンいくような、自分らしい走るホッケーをやろうと思っていました。

――チームの2点目となったご自身の得点シーンを振り返って

あのシュートのときはゴールを見ていなくて振り向きざまに打ちました。「入れ」と思ったら入っちゃいましたね(笑)。

――前回の試合と合わせて現在4得点していますが、攻撃ではどのような意識を持ってプレーしていますか

自分は3セット目なのですが、そこはどんどん奥に行って相手にプレッシャーをかけるセットなので、それを意識しています。とにかく走ることを意識してやっています。

――第2Pは法大ペースでしたが

練習でやってきたことができていなかった結果、法大のペースになっていたと思うので、次の試合ではしっかりと練習でやったことを出せるようにしていきたいと思います。

――第3Pは接戦で緊張感のある内容でしたね

そうですね。でもやっぱりチームの勝ちたいという気持ちがこっちの方が上だったのだと思います。

――チームとしての課題でもある立ち上がりの不安定さがこの試合でも出てしまったように感じましたが

きょうの試合の前のミーティングで、しっかりFWのパックチェックをしようという話をしていたのですが、それができていなかったので相手に上手くペースをつかまれてしまったのではないかなと思います。

――試合終盤のPPの際に得点できなかったのも惜しい点だったと感じましたが

チームの目標でPPでのゴールというのがあって、きょういくつか目標があったのですが、それは達成できていないので、次に向けてしっかりと練習していきたいと思います。

――チームの目標というのは具体的には何ですか

PPでのゴールと、シュートを相手チームより打つ、GKのセーブ率を90%以上にする、あとは、反則をしないということですね。この前の試合は反則が多くてピンチが多かったので。強い相手になればなるほどキルプレーでやるのは大変なので、気を付けるようにしています。

――きょうの前半は反則も少なかったですね

そうですね。途中ペースが乱れて、反則する場面は多くなりましたが。

――シュート数は早大の方が圧倒的に少ないですが

だいぶ打たれて、こっちは少なかったですね。

――その中で法大と同じ5点を獲得しましたが、それはシュートの精度が良かったということですか

いや、多分遠藤さん(GK遠藤秀至、社2=東京・早実)の技術です。きょうは助けられた場面が多かったです。

――次戦に向けての個人としての意気込みは

僕はまだ1年生なので1年生らしいプレーで頑張っていきたいと思います。