1-6。終わってみれば、予想をはるかに超えた大差での敗戦だった。タイトル獲得を胸に挑んだ日本学生氷上競技選手権(インカレ)で、ベスト8敗退。あまりにも早い幕切れだった。
「ずっとこの東洋大戦に勝つことだけを考えてやってきた」(FW金子立樹、スポ2=北海道・駒大苫小牧)。初戦のわずか6時間後に行われた準々決勝の相手は、優勝候補・東洋大。並々ならぬ思いで臨んだ早大だったが、課題の立ち上がりの悪さがこの試合でも露呈してしまう。開始23秒で、GK遠藤秀至(社2=東京・早実)がはじいた相手のシュートが不運にもゴールに入り失点。試合の主導権を始めから相手に握らせてしまう。相手の相次ぐペナルティーにより、5人対3人のパワープレーのチャンスを得たものの、これを生かせず無得点。その後のキルプレーのピンチはGK遠藤を中心にしのぎ切り、守りから流れをつかんだかに思えたが、直後に相手の気迫に押され追加点を許す。シュート数でも大きく引き離され、相手の勢いを止められないまま第1ピリオド(P)を終えた。
気持ちの入ったプレーを見せた三浦
第2Pでも、相手に攻め込まれる時間が続く。31分45秒には、キルプレーの場面を我慢しきれず失点し3点差。さらに決定的だったのは、35分0秒での失点。ゴール前まで突破を許し、たまらず反則を犯してしまう。アドバンテージが与えられた相手のプレーを切ることができず、数的不利の状況でまたもゴールを許してしまった。早大も相手の反則によりチャンスを幾度か得たものの、連携がうまくかみ合わず。得意とするパワープレーで、一度もゴールネットを揺らすことができなかった。
池田主将が意地の1点を奪った
「もっと自分たちにできることがある」(FW池田一騎主将、スポ4=北海道・駒大苫小牧)。厳しい状況で迎えた第3Pだったが、選手たちは誰一人として諦めてはいなかった。FW三浦亮(教4=青森・八戸商)が敵陣を突破しゴールを脅かすなど、気持ちの入ったプレーでチームを鼓舞していく。そして、45分5秒にはキャプテン・池田が意地のゴールを決めた。しかし、またも失点を重ねてしまい、1-6というスコアでゲームセット。早大は準々決勝で姿を消し、連覇の夢は道半ばでついえてしまった。
試合が終わり、チームメイトに声を掛ける池田主将
立ち上がりの悪さ、パスの精度の粗さ、FWの決定力不足など、課題は多く残ってしまった。さらに、なかなかチームが一つになれなかったということも、敗因の一つだろう。しかし、「最後は全員が同じ方向を見てやれた」(FW森田哲朗副将、教4=東京・早実)と、最後には全員で全力で戦い抜くことができた。今季の戦いはここで幕を閉じたが、チームはすでに前を向いている。「目標に向かって全員がしっかりと前を向いて進めるようなチームにしたい」(DF石川貴大副将、スポ3=埼玉栄)。この経験を糧に、必ずや来季雪辱を果たしてくれるはずだ。
(記事 辻玲乃、写真 中澤佑輔、角田望)
日本学生氷上競技選手権準々決勝 対東洋大 | ||
---|---|---|
早大 | ピリオド | 東洋大 |
0(5) | 1st | 2(16) |
0(9) | 2nd | 2(13) |
1(14) | 3rd | 2(10) |
1(28) | 計 | 6(39) |
得点経過 | |||||
---|---|---|---|---|---|
チーム | 時間 | ゴール | アシスト1 | アシスト2 | PK/PP |
東洋大 | 00:23 | 今村 | - | - | - |
東洋大 | 16:14 | 今野 | 川口 | 武尾 | - |
東洋大 | 31:45 | 川口 | 今野 | 岩野 | PK |
東洋大 | 35:00 | 今野 | 田中健 | 宮倉 | - |
早大 | 45:05 | 池田 | 金子立 | 青木 | - |
東洋大 | 50:26 | 中澤 | - | - | - |
東洋大 | 58:50 | 人里 | - | - | - | ※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする |
早大メンバー | |||||
---|---|---|---|---|---|
セット | FW | FW | FW | DF | DF |
1 | 池田 | 金子立 | 寺井 | 石川 | 堰合 |
2 | 佐藤 | 横町 | 森田 | 清 | 松本 |
3 | 青木 | 三浦 | 金子聖 | 斜森 | 新井 |
4 | 田中 | 坂本 | 瀬戸 | 加賀美 | 村上 | GK遠藤 |
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コメント
工藤哲也監督(昭63社卒=青森・八戸)
――試合を終えていまのお気持ちは
秋リーグ(関東大学リーグ戦)後のオフが終わってから一カ月間、きょうの試合をターゲットにして合宿や練習試合などを含めて準備をしてきたんですけれど、このように結果が出なかったのは非常に残念でした。
――一番の敗因はどこにあると思いますか
パワープレーで点が取れなかったところが流れを悪くしたと思います。後手後手に回ってしまいました。
――東洋大の印象は
いつも通りアグレッシブでチェッキングも速いですし、パックに対する貪欲な姿勢であるとか、そういったところは相変わらず手ごわいチームという印象は変わらないですね。
――第3ピリオド(P)に入る前、監督からはどのようなお話をされましたか
0-4で負けていたので、点を取るかたちのセットに切り替えて、まず1点取ろうという話をしていました。パワープレーで組んでいるようなセットでFW3つとDF2つ回しからスタートして、点を取った上で様子を見て(FWも)2つ回しにしていこうといったプランでした。
――1-6と予想以上の点差でしたが、課題だった守備の弱さが出てしまったということはありますか
ディフェンスというか細かいミスもあって点を取られてしまったかたちです。秋リーグはずっと第1Pの立ち上がりが悪くて、そこで点を取られて下を向いてしまうというところがあったので、インカレ(日本学生氷上競技選手権)では仮に1点、2点取られたとしてもその後リカバリーして取り返して前向きにやっていきましょうという話を1カ月間ずっとしてきたつもりではあったのですが、そういう中で今回も点を取られた後にパワープレーのチャンスがあったにも関わらずそこで取れなかったところが残念だったなと思います。
――今シーズン監督に就任されてからの一年間を振り返っていかがでしたか
4年生にタイトルを取らせてあげられなかったというのが一番心残りです。勝ち負けに関しては我々監督の責任なので、どこが悪かったのかということなどをもう一度考えたいと思っています。結果には当然満足していないので、いろいろと考えなくてはいけないと思います。
FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を終えて、率直な思いをお願いします
最後以外はワセダらしいプレーができなかったので…。もっと早くチームを同じ方向に向けて、チームの力を上げていくことができなかったというのは、一年間キャプテンをやってきて後悔しているところです。
――これまで「チームを一つに」ということを言い続けてきたと思いますが、その部分についていまはどのように感じていますか
試合の残り時間が少なくなったときも、みんな勝とうと思って必死にプレーしてくれていましたし、最後に集まったときも涙を流してくれるということは、それだけ悔しさがあったと思うので、そういう部分では最後の最後にチームを同じ方向に向けることができたと思います。釧路に入ってからもすごく良い雰囲気で練習できていましたし、自分たちがいなくなった後もこれから良いチームになっていってくれるんじゃないかと思います。
――試合前は主将として選手の方々にどのように声を掛けられましたか
試合の前は緊張している選手が何人もいましたし、こういう大舞台では気持ちが大事なので、リラックスさせるために「気負うことないよ」ということを全員に伝えて、選手自身のポテンシャルを出させてあげられるようにしていました。
――1-6というスコアでしたが、一番の敗因はどこだと思いますか
普段から練習試合で慶大に負けたりと、勝ち癖をつけられなかったというところと、試合が始まってすぐの失点というのが今シーズンを通して何回も見られたので、それがチームが流れに乗り切れなかった原因になっていたのかなと思います。ですが、最終的には4年生やキャプテンの自分がチームをしっかりまとめられなかったということだと思います。
――きょうの東洋大の印象は
正直なところ一番早大がやりにくいチームなのかなというのがあって。やっぱりハードにプレーしてきますし、それによって気持ちの面で負けてしまうこともあるので、それがしっかりできていたチームだったと思います。
――試合内容を振り返って
第1Pは試合の入りとしては良くなくて、徐々に良くなっていったという感じなんですけど、終わってみればあの第1Pで試合が決まってしまったのかなという部分があります。
――第2Pが終わって4点ビハインドという状況でしたが、第3Pが始まる前はどのような話をしましたか
下を向いている選手が多かったですし、0-4というスコアで諦めかけていた選手もいたと思うんですけど、そういう選手に前を向かせるために、「まだ終わってない」、「もっと自分たちにできることがある」とチームの背中を押してあげられるように話しました。
――第3Pに池田選手がゴールを決めた場面では、完封はさせないという早大の意地もあったように思いましたが
そうですね。全然自分らしくない得点のかたちだったので、本当にそういう勝ちたい、得点を取りたいという気持ちから出たプレーだったのかなと思います。あの1点だけで終わってしまったのが悔しいですけど、最後まで負けないという気持ちを出しながらプレーできたのだと思います。
――ベスト8という結果については受け入れられないといった思いでしょうか
やることはやってきたつもりですが、やはりもっとできたという後悔はありますし、ベスト8で終わって残りのインカレの期間ずっと悔しさがあると思います。納得はいかないですし、ワセダで4年間やっている中で支えてくれた方や家族のために最後インカレ優勝という有終の美をを飾りたかったんですけど、そういう姿を見せられなくて本当に悔しいです。
――試合終了間際には4年生が一緒に氷上に出てプレーしているシーンもありました。最後にその同期への思いをお願いします
この一年間、チームを同じ方向に向けるためにいろいろ悩みながらやってきたんですけど、一人じゃどうしてもうまくいかないこともありますし、そういうときに同期の三人がしっかり支えてくれました。1年生の頃から自分だけ試合に出させてもらっていたようなときも、いろんなかたちでサポートしてもらっていましたし、同期には本当に感謝しています。
FW森田哲朗副将(教4=東京・早実)
――試合を終えて、率直な気持ちを教えてください
悔しいですね。きょねんの優勝という結果からベスト8ということで。正直スコア的には悔しさを感じられないスコアなのですが、落ち着いてみるともうこのチームでホッケーができないというのは悔しいです。
――5点差という結果でしたが
不運なかたちでいきなり失点してしまいましたが、第1Pが終わった時点ではまだ2点差ということで、ここから立て直すことができればパワープレーのチャンスも多かったですしキルプレーも守ることができたので、パワープレーで決めるという強みを生かせなかったのがもったいなかったなと思います。
――午前中の2回戦についてはチームとしてどのように捉えていましたか
1点をすぐ先制して、こっちのミスから逆転されましたが、ベンチ自体は落ち着いていて。短期決戦なのでまず勝利をという良い雰囲気で戦えました。
――2回戦の反省を生かして臨んだ東洋大との3回戦、チームはまとまれていましたか
第1Pが終わって目が覚めたという感じがありましたね。キャプテンからげきが飛んだのでみんな目が覚めて、ここから(立て直そう)、という感じになりました。しかしそこで点数をさらに取られて、苦しくなってしまいました。
――強敵・東洋大を相手に、どのような対策を考えていましたか
反則も多いので決められるチャンスが来るというのがうちの戦略でした。ある程度反則も取れて、DFにもプレッシャーをかけていくこともできたのですが守りの部分で先にミスが出て失点してしまって。そこが少しゲームプランとずれてしまったところですね。
――パワープレーが生かせなかった原因は
研究されていたというのもあると思いますし、少しずれれば入っていたとか、ほんのちょっとのずれでチャンスができなかったので、そういったところだと思います。
――特に前半はパスがつながらなかった印象があります
そうですね。先に点数を取られて焦ってしまったというのもあると思います。
――試合中は相手選手とたびたび衝突する場面が見られました。強い気持ちの表れということでしょうか
そうですね。それが自分の役割でもあるので、自分がそれをしっかりやっていかないと。向こうもそういうチームなので。
――これで最後の公式戦が終わりました。副将として引っ張ってきた一年間を総括して
きょねんインカレで優勝しましたが、みんなが4年生のために、また4年生は下級生のためにという風に動けていたチームだと感じていました。そういうチームを目指したのですが、春は悔しい思いをして、秋のリーグ戦でもそういうチームにできていないと感じられる部分があって…。ですが第3Pに入って0-4で負けているというときでも、試合に出ていない選手がすごくベンチから声を出していたり、そういう諦めない姿勢が見られて。また、試合が終わった後にベンチにも入っていない選手が涙を流してくれているところを見て、最後は自分たちが目指していたように全員が同じ方向を見てやれたというのが感じられて満足しています。
――4年生が少ない中チームを引っ張ってきた池田主将にはどのような言葉をかけたいですか
プレーでも精神的な部分でも本当に支柱的存在でした。その分(池田)一騎にはプレッシャーもかかっていたと思うので、他の4年生3人でできるだけそういうのを軽減したかったですし、プレー以外では迷惑をかけたくなかったのですが最後まで一騎に頼りっぱなしで。またこれから次のステップへと進んでいくので、一ファンとして応援していきたいと思います。
――最後に、来季この舞台でまた戦うであろう後輩にはどのようなことを期待したいですか
悔し涙は流してほしくないですし、実力的にもメンタル的にもよくできた後輩たちなので、新入生が入ってからまた新しいチームをつくって、3冠を達成してくれるよう応援したいと思います。
FW三浦亮(教4=青森・八戸商)
――残念ながらベスト8で敗退という結果になってしまいました。いまのお気持ちをお聞かせください
悔しいです。もっとやっておけばよかったと思うことがあるし個人としてもまだまだ足りなかった面があったのでこういう結果になってしまいました。それを受け止めて来季後輩たちに頑張ってもらいたいと思います。
――東洋大戦はヤマ場でしたが、どのような対策をして臨みましたか
細かい対策もしていたんですけどやっぱり最後は気持ちが強い方が勝つ、自分たちの気持ちを強く持ってプレーできれば勝てると思っていたんですけど、そう甘くはありませんでした。東洋大の方が自分たちより一枚上だったなという結果なので、僕らはもうプレーできないですけど、らいねんぜひリベンジしてほしいです。
――試合開始直後に失点するなど、課題のディフェンス面で苦しみました
言ってみればミスからだったんですけど、ミスっていうのはやっぱり出るものなので。もちろんそれをやる場面が悪かったとかとかそういうのが起こったことは反省して直さなければいけないんですけど、失敗は出るものなので。失敗してもいいから積極的にプレーして自分たちが氷上で出せるものを全て出したかった。そういう意味では弱気じゃなくて積極的にやったミスであれば、本当は自分たちでカバーして立て直してやらなければいけなかったんですけど、そのミスでちょっとガクッときて落ち込んでしまったというのは自分自身の弱さであり、引っ張っていけない4年生の弱さでした。後輩のせいにはしたくないので、自分たちが最後は立て直せなかったから負けた。そういうことだと思います。
――失点を防ぐというよりは得点を狙いに行く意識の方が強かったのですか
いや、そういうことではないです。守りから始まるのはもちろんなんですけど、やっぱり秋リーグの2試合目とかは守り一辺倒になってしまって何もできなくて、自分たちがセーフティーにやって結局何も起こらなかったので、守るところはしっかり守って攻めるところは自分たちがやりたいかたちでしっかり攻める。そういう意味で積極的にやろうということは話し合っていました。
――ディフェンスを突破をしていく場面が何度もあり好機を作っていましたが、ご自身のプレーについてはいかがでしたか
本当はもっとやらなきゃいけないのかもしれないですけど、自分が考えていたよりはきょうの試合はことしの中で言えば個人的には良かったのかなと思います。でも逆に言えばそういう気持ちになればできるものをなんでここまで出せなかったのかなっていうのがあって、きょうの試合がいままでより良かった試合で、もっと言えばきょうの第3Pがきょうの第1、2Pよりも良かったというのはどこか自分の中で出し切れていないところもあるということかなと感じています。ただ、きょうに関しては個人としてはそれなりに良かったかなという感じですね。
――最後のインカレに懸ける強い思いがこの舞台で出たということですか
そうですかね。でも負けたので、結局は出せてないんですよ。突破はしても結果として得点まで行っていないので、それがやっぱり自分の実力で、それだけじゃまだまだ足りないんだなということですね。本当はもっとやりたいんですけどもうできないので、良い経験にして別の方法で何かに生かしていければいいなと思います。
――インカレはどのような舞台でしたか
後輩のときはお世話になった4年生を勝たせたいという気持ちでやっていましまけど、4年生になったら独特の緊張感がありました。でも、後輩たちは最後まで頑張ってくれましたし、主力でいま出ている選手たちはより成長してくれたと思うし、力があるのに出れなかった選手もいると思うんですね。聖(FW金子聖、スポ2=埼玉・立教新座)だったり、佐藤(FW佐藤秋都、教2=北海道・駒大苫小牧)だったり。FWで言えば加賀美(FW加賀美太一、商2=東京・早実)とかあの辺がもっと試合に出られる機会を持って、ここから奮起して頑張ってくれる良いきっかけになってくれればいいと思っています。インカレという舞台で氷上に立って良い経験をしたことは自分にとっても大きかったですけど、たぶん彼らにとっても大きかったと思います。そういう中で彼らと一緒にホッケーができて、最後は「組めて良かったです」と言ってもらえたのがすごくうれしかったですね。
――チームとして目指してきた一番大きな大会を終えて、何か思うことはありますか
本当はもう一回やりたいというのが正直なところなんですけど、勝負の世界なので。でもワセダで4年間やれて幸せでした。ホッケーは高校のときに辞めようかなという気もあった中でもう一回やってみようと思ってワセダに来て、うまい先輩とか怖い先輩とか色々な人たちがいる中で自分自身成長できて、まだまだホッケーできると思ったし、それを4年生になって今度は後輩に伝えたいと思ってやってきました。最後に自分自身への後悔はありません。来季は来季で次の4年生が中心となってやってくれると信じています。負けもするし勝ちもするこういう真剣勝負の舞台に立って試合できるっていうことが僕らにとっては大きなことになると思うし、幸せな時間を過ごさせていただいたので、これからも何らかのかたちで部に貢献していければと思います。
FW横町翔太(スポ4=青森・八戸工大一)
――ご自身最後のインカレとなりましたが、お気持ちとしてはいかがでしたか
きょねんの4年生の代でインカレは優勝していて、ことし優勝できれば2連覇ということでそういう意気込みもあったのですが、それ以上に今季は春のトーナメント(関東大学選手権)、秋のリーグ戦で思ったような結果を残せなくてふがいない成績になってしまっていたので、最後こそは優勝して後輩たちのためにも一つタイトルを取ろうという意気込みで4年生4人を始めとしたチームがそういう気持ちでやっていたので、本当に悔しいですね。
――きょうを迎えるに当たってチームの状態はいかがでしたか
きょうはダブルヘッダーの試合だったので、そこの不安は少しあったのですが、試合前のアップの段階ではみんな足も動いていましたし、そういった点ではうまくやれていたと思うのですが、いざ試合が始まってみると序盤から少し押される試合展開だったというのは、チームとしての弱さが出たのかなと思います。スタートから悪いというのは秋リーグの頃からの課題だったので、そこを最後まで改善できなかったということが敗因だったと思います。
――セットを変えられた意図というのは
スタッフの方から変更の連絡が来たので詳しくは分からないのですが、僕らはどういうメンバーになってもそれぞれのセットで与えられた仕事を遂行するだけなので、それだけです。
――東洋大戦、ゲームプランとしてはどのようなものを考えていましたか
いつも通りですが、チームとしてはロースコアのゲームに持ち込んで、パワープレーで点数を取ってリードしていこうという話だったのですが、きょうの試合の内容的には序盤からリードを奪われて、スペシャルプレーでも得点できないという苦しい時間が続いたので、そこの流れを変えられなかったのが当初のゲームプランとは違った部分でした。
――思い通りにいかなかった部分はパワープレーでしたか
そうですね。パワープレーだったり、失点をしないようにしているセットなど役割があるのですが、そこで失点してしまったということもありました。
――今季を振り返ってみていかがですか
4年生としてタイトルだったりあまり後輩に良いものを残せてやれなかったという部分で悔しい思いはあるのですが、それ以外の部分、生活や練習に対する態度だったり、試合に対する熱意だったりというのを僕ら4年生でしっかり持って、アイスホッケーという競技に対して取り組んでいたので、少しでもそういった部分をいまの後輩たちが感じ取って来季以降のシーズンに生かしてくれたらなと思います。
――4年生が少ない代ということで苦労した部分も多かったと思いますが
後輩の人数がとても多いので、4年生4人で意思疎通しても上からの指示がうまく全員に届かなかったり、下が我が強いメンバーが多かったので、そういった意味では僕ら4年生が思い描くようなチームになれたのかなとはいまでも思いますね。でも最後のきょうの試合を振り返って、負けている状況でも声を出したりという点では一つになれていたと思うので、その部分に関しては良かったなと思います。
――今回の大会で学生としての最後の大会になりましたが、4年間を振り返っていかがですか
今後たぶん何らかのかたちでスポーツに携わることはあると思うのですが、こうやって朝早くから起きてみんなで練習して、一つの目標に向かって何かに取り組むというのはもうないと思うので、この4年間は大変なこともたくさんあったのですが、非常に有意義だったと思います。最後にここでタイトルを取れなかったことが本当に悔しいです。
――来シーズンは後輩たちが戦っていくと思いますが、メッセージはありますか
僕自身きょうの試合で非常に悔しい思いもしましたし、ただその悔しさというのは次やればもっとできるというような悔しさというのもあって、ただそれを僕たち4年生はもう引退してしまって果たせないので。そういった悔しさを次の試合、次のチームに向けて発揮できるのはいまの後輩たちだけで、悔しい思いをして引退してほしくないので、ぜひ後輩たちにはタイトルを取れるように頑張ってほしいです。
――最後に4年間を共にした同期に伝えたいことはありますか
僕はきょねんおととしと結構ケガが多くて、あまり試合に出ることができなくて。その中で他の3人は試合に出ていて、ホッケーの面でも生活面でもチームを良い方向に引っ張っていってくれていたので、僕がプレーでも生活でも多々足を引っ張ることがあったと思うのですが、4年生の他の3人は試合に出ていないような僕に対しても温かく真摯(しんし)に向き合ってくれて。それで僕もケガが多い中で腐らずに4年間アイスホッケーを続けることができたので、本当に感謝しています。
DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)
――この試合を振り返って、いかがでしたか
第1P開始早々僕たちのセットで失点をしてしまって、流れをすごく悪くしてしまったと感じています。そのまま気持ちとプレーの部分で切り替えることができずに、ずるずると失点を重ねてしまって、追い付かないような状況になってしまったのがきょうの試合だと思います。それでも、選手一人一人は最後の1秒まで諦めることなく戦っていたと思いますし、スタッフもそのように言っていたので、やはり最後の1秒まで諦めないでプレーできたことは、一年間を通したチームの心の成長なのではないかなと思います。
――青学大戦後、チームではどのようなことが課題だと話しましたか
東洋大は、リーグ戦から大学日本一くらいにプレッシャーが速いチームで、どんどん体にも当たってきますし、パックを自分たちの後ろに流してプレッシャーをかけてきます。だから、まずDFがダンプされたパックを早く取りに行って、パスを前のFWにつないでいこうというところが一番のキーになってくるところで、それを実行していこうということでした。しかし、それを全員が実行することができず、ディフェンディングゾーンにいる時間が長くなってしまったということが、失点につながってしまったと思います。
――現在の自身の調子や、チーム状況を教えてください
短かったのですが、日光合宿で新しいリンクサイズでも練習を重ねて、釧路にも調子が良い中で入ってきました。チームの状態は良かったのですが、自分たちの強みが出し切れなかったのが残念です。チーム状況は本当に良かったのですが、結果を出せなかったということが悔しい部分です。
――パスがつながらない場面もありましたが、DFから攻撃を見ていかがでしたか
やはりファーストパスが良い状態でFWに渡らないということが、攻撃のテンポが悪い原因になっていたと思います。だから、FWのセカンドパスなどその後のプレーにうまくつながりませんでした。まずDFのパスが悪かったことが、FWに良い攻撃をさせるチャンスをあげられなかったのだと思います。良いパスが確実に通っているときには、FWもドライブできたり、数的有利の局面をつくれていたので、DFのパス出しがFWの攻撃チャンスを失わせてしまいました。
――この一年間を振り返っていかがでしたか
ワセダというチームは、地方に行ったときには多くのOBなどがサポートしてくれて、各地方で素晴らしい練習試合ができる環境が整っているチームだと感じています。まずそういう部分で、OBの方々や保護者の方々には感謝した一年になりました。僕は、きょねんの4年生に副将に指名されて、副将としてことしの4年生にタイトルを取らせてあげることができなかったということは、本当に一番悔しいところで、僕の力が及ばなかったのかなと感じています。僕は4年生の一番近くにいたので、4年生が4人と少ない中で、チームを引っ張っていくという気持ちは見えたのですが、それを後輩たちで後押しし切れなかったということが、きょうの結果になってしまったのかなと思います。
――来季はどのようなチームにしていきたいですか
2年生はインカレ優勝を経験しているのですが、インカレ優勝とリーグ戦優勝を経験しているのは僕たちの代しか残っていなくて、経験していない代がらいねんはチームの半分以上になるので、その人たちに優勝経験をさせること、また自分たちが最後の年に優勝をもぎ取るために、まず優勝するという強い気持ちを持つこと、選手一人一人をそういう気持ちにさせることがまず個人的な目標です。らいねんは僕たちの代で話し合って決めることが多くなると思うので、みんなで決めた上で、目標に向かって全員がしっかりと前を向いて進めるようなチームにしたいと思います。
――最後に、4年生への感謝の気持ちなどをお願いします
一つもタイトルを取らせてあげられなかったことが悔しいの一言に限ります。この一年間チームを引っ張ってくれたことに感謝しています。らいねんは、恩返しではないですが、このタイトルを取りましたとちゃんと報告できるようなチームにしたいと思うので、4年生に会ったときに笑顔で話せるようにしていきたいです。
GK遠藤秀至(社2=東京・早実)
――きょうの試合をチームとして振り返って
きょうの試合はスタートから失点してしまい、なかなか自分たちのペースをつかめず、かなり内容的に悪い試合だったと思います。
――東洋大に対する印象は
リーグ戦では確かに攻め込まれていましたが、その中でもみんなでしっかり守って良い試合ができていたので、あまり悪いイメージはありませんでしたね。ですが、きょうは最初から向こうは気合も入っており、足も動いていました。なので、いつもとは違うチームのように感じました。
――ご自身のプレーに関してはいかがでしたか
第1Pはまず序盤で失点してしまい、流れが悪くなってしまいました。第2Pは第1P以上に無失点で切り抜けなければならなかったのですが、重ねて失点してしまい、第3Pも集中力が切れてしまって、ミスから失点してしまったので、全体的に良くない内容だったと思います。
――リーグ戦が終わってから、インカレに向けてどのような部分を意識して練習を行っていましたか
チーム的にはワセダのスタイルであるパワープレーの精度を上げることを意識しましたね。個人的には、リーグ戦で失点したパターンを繰り返さないために、同じことを意識して練習を重ねていました。
――チームのまとまりに関してはいかがですか
リーグ戦が終わった後、チームのまとわりがないというか、不満もおのおのあり、あまり雰囲気が良くはなかったのですが、インカレに向けてしっかりとチーム全員が練習していたので、最後はチームとしてまとまりを持ってプレーできていたと思います。
――今季を振り返っていかがですか
今季はタイトルを1つも取れず、結果としてもあまり良い順位で終わることができませんでした。チーム全体でももっとできたことがあったし、これ以上にやれるチームだったのですが、本番ではそれを発揮できなかったシーズンでした。とても悔しいシーズンです。
FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)
――きょうの試合への意気込みは
秋リーグが終わって1カ月前に集まってから、ずっとこの東洋大戦に勝つということだけを考えて練習や陸トレをやってきたので、きょう勝つということだけを考えて試合に臨みました。
――いまの率直なお気持ちは
全員この結果には満足していないですし、もっと上に行って連覇するというのを考えていた中でベスト8というのは、ふがいない結果になってしまったなというのが感想です。
――きょうプレーで特に意識した部分は
最初から自分たちから仕掛けるというか、相手に押されないように第1Pからしっかりやるということを心がけていた中で、先制点を取られてその後もズルズル追加点を取られてしまったので、そこでリズムが崩れてしまったので、自分たちのやるべきことができなかったと思います。
――東洋大の印象はリーグ戦から変わりましたか
相手も優勝というのが目標なので、気持ちの部分でリーグ戦とは全然違いました。それでも自分たちが勝つんだという気持ちを出していけなかったことが、この結果につながったので、東洋大の方が勝つという気持ちが強かったのかなという印象です。
――きょうの敗因は
第1Pに流れを持ってこられなくて、PP(パワープレー)もあった中で点数を取れなかったところが、リーグ戦を通してPPで得点するということを目標に掲げてきて、きょうそのチャンスがあったのに点数を取れなかったので、流れを呼び込めず負けてしまいました。
――朝の青学大戦やリンクサイズの影響は
リンクのサイズは東伏見でもラインを変えてやっていましたし何度か練習試合もやっているので、言い訳にはできませんし、青学大に関しても第1Pで試合を決められず、相手を勝てるんじゃないかという気持ちにさせてしまったのが、東洋大戦にも響いてしまったのかなと思います。
――ことしのチームのまとまりは
2年生であまりチームのこととかを考えずに自分のことばかりやっていたり、自分勝手だったなというのがあります。4年生のためにもっといろいろなことができたのではないかなと思います。チーム全体でも4年生についていけない下級生がいたのかもしれないですし、そういうところが一つもタイトルを取れないという結果になったと思います。
――ことし一年で印象的だったことは
インカレが終わってしまったということが一番悔しいですし、一年間通してタイトルが取れないというこの悔しさが一番心に残ったことです。
――来季へ向けて
来季はことしの4年生も抜けて、FWも新4年生が一人しかいないですし、3年生としてもっと自分がチームを引っ張っていけるようになっていかないとダメだなと思いましたし、それをことしからできればもっと良かったのかなと思います。来季はチームを引っ張る存在になれるようにやっていきたいと思います。