明大に及ばず…自力優勝消える

アイスホッケー

 関東大学リーグ戦(リーグ戦)優勝の可能性は、上位4校に限られた。残すは3試合、一つも落とせない早大は、勝ち点1差で追う首位の明大と対戦。強力なオフェンス力を誇る相手にロースコアゲームに持ち込むことを狙ったが、要所で踏ん張り切れず失点を重ね、手痛い敗戦。優勝争いから大きく後退した。

 リーグ戦前半戦では明大をチーム力で跳ね返したが、この日の早大は「全力を全員が出せなかった」(FW三浦亮、教4=青森・八戸商)。ここ数試合の立ち上がりの悪さを引きずるように先制点を許すとキルプレーから更に失点、第1ピリオド(P)を0-2で終える。

池田主将率いる早大の前に、またしても黄色いカベが立ちはだかった

 巻き返しを図る早大は、第2P開始早々に相手がペナルティーを重ね数的優位の絶好機を得ると、FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)が確実に決め1点差に迫る。しかし、失点のタイミングが悪かった。追い上げムードの中5対3で2分間攻めるがチャンスを潰してしまうと、ゴール前の競り合いを守り切れず。FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)が隙をついて前線でパックを奪取、そのままゴールネットを揺らし再度活気づくが、直後にカウンターを受けまたも2点ビハインドとされた。「良い流れになったらそれに乗っていかないと駄目なので、(4点目の)あの失点はかなり痛かった」(寺井)。最終第3P、逆転勝利のため必死にゴールを狙ったが、明大に5点目を許すと足が止まり、自陣に攻め込まれる時間が長くなった。残り2分、早大にアドバンテージが与えられGKを下げる6人攻撃に出るも得点には結びつかず、終了間際にパワープレーから1点を返すのがやっと。3-5で敗れ、自力優勝が消滅した。

ゴール前に攻め込む寺井

 優勝に向けてかなり厳しい状況に追い込まれた。わずかな可能性に賭けるためには残り2試合の勝利が最低条件、その上で上位他校の動向をうかがう。「残りの試合も大事に一週間しっかり練習してより良いチームをつくっていきたい」(池田)。これまで同様に来る東洋大、中大戦に向けて全力で挑む。

(記事 森健悟、写真 松田萌花、落合修平)

関東大学リーグ戦
早大 ピリオド 明大
0(8) 1st 2(16)
2(19) 2nd 2(6)
1(10) 3rd 1(11)
3(37) 5(33)
得点経過
チーム 時間 ゴール アシスト1 アシスト2 PK/PP
明大 09:06 川村 大津 大場
明大 15:01 高橋 梶原 永井 PK
早大 24:17 池田 三浦 PP
明大 30:55 大椋 大津
早大 33:44 寺井
明大 35:42 工藤 大澤 上野
明大 45:22 大椋 川村 松金
早大 59:34 金子立 青木 池田 PP
※PKはキルプレー、PPはパワープレー、PSはペナルティショットを指す
 なお、PK/PPの表記は早大にとってPKに当たるかPPに当たるかを表記するものとする
早大メンバー
セット FW FW FW DF DF
池田 金子立 青木 石川 新井
寺井 三浦 森田 堰合
田中 横町 佐藤 松本 斜森
坂本 加賀美 瀬戸 村上 志村
GK遠藤
関東大学リーグ戦ディビジョンIグループA順位表(11月10日現在)
順位 校名 勝点 試合数
明大 30 12 10
中大 28 12
早大 26 12
東洋大 25 12
法大 16 12
慶大 12
日体大 12 10
日大 12 11
コメント

工藤哲也監督(昭63卒=青森・八戸)

――試合を終えて率直な感想をお願いします

優勝が懸かった大事な試合ということは当然、選手、スタッフで共有して勝ちに行ったんですけれど、このような結果に終わったので非常に残念です。

――勝敗を分けたポイントはどこだと思いますか

こちらのミスで点を入れられたり点を取るべきところで取れなかったりしていました。明大の方が勝ちに対する執着心が強かった結果だと思います。

――明大の持ち味であるオフェンスに対して、どのような対策を立てていましたか

複雑に何かやるというよりも、シンプルに(相手ゾーンの)奥でやろうということを言っていました。後半はできましたが最初のうちはそれがうまくできませんでした。第1ピリオド(P)での2失点が最後まで響いたので、立ち上がりが改善できていないのがここで出てしまったと思います。

――メンバーオーバーのペナルティーがありましたが

ベンチでの指示がうまく伝わっていなかったり、選手も少し焦りがあった結果だったと思います。2回のメンバーオーバーは反省点です。

――やはり試合を見ていて焦りは感じられましたか

そうですね。勝ちに行っている試合でなかなか思うように点数が入らなかったり、追い付き切れなかったりということで、焦りはあったように思います。

――東洋大戦に向けて

他の試合の結果次第でまだ優勝がなくなったわけではないですし、モチベーションを保ってあと2試合を2つとも勝てるように準備をしたいと思います。

FW池田一騎主将(スポ4=北海道・駒大苫小牧)

――試合を振り返って

第1クールから積み上げてきたものが、一瞬でパーになってしまいました。ここ3試合くらいの課題だった試合の入り方がきょうも良くなかったので、何回試合を重ねても成長できていないのはそういうところかなと。相手はスタートから良かったので、そういうところに差が出たのかなと思います。

――早大のペナルティーや1対1で押されてしまうといった部分で苦しんだという感じでしょうか

そうですね。相手にペースを与えてしまいました。そういうところをしっかり修正していければと思います。

――勝敗を分けた一番のポイントは

パワープレーでしっかり決められなかったところと相手にパワープレーを与えすぎたというところが一番の反省点ではないかと思います。

――試合前のチームの雰囲気はいかがでしたか

普段通りしっかり準備していましたけど、氷の上に乗った瞬間に人が変わるくらい試合に集中して、勝つことに執着心を持ってもう少しやっていかないと駄目かなと思います。

――1点差に迫っては引き離されるという苦しい展開でしたが、精神的な消耗もありましたか

そうですね。うちはそういう戦い方をやっていくつもりはないので。しっかりロースコアで抑えて1点1点積み重ねて勝つというやり方をしていきたいので、そういうところは修正すべき点だと思います。

――次戦も負けられない試合ですが意気込みをお願いします

優勝の可能性が、自力ではないですけどゼロではないので、残りの試合も大事に一週間しっかり練習してより良いチームをつくっていきたいと思います。

FW森田哲朗副将(教4=東京・早実)

――明大戦にはどのような意気込みで臨みましたか

負けたら優勝はないという試合だったので、必ず勝つという気持ちで挑みました。第1Pがうまくいかなくて立て直そうとしたのですが、ずるずると続けてしまいました。

――明大と戦うための戦略はどのようなものでしたか

シンプルに難しいことをしないで、前へ前へとつないで相手のゾーンでプレーをすれば流れができてシュートも打ててくる、という話をチームでしました。

――第1Pではうまくいかなかったと仰っていましたが、具体的には

最初に反則をしてしまい、その後はミスを切り替えられなくて失点してしまったという感じです。

――きょうはパワープレーが随所にありましたが

うまくパワープレーを生かせなかったです。(明大との)第1戦目はキルプレーを守ってパワープレーで決めるということができたのでしっかり勝てたのですが、きょうはやっぱりパワープレーでしっかり決め切れなかったというのも一つの敗因だと思います。

――ワセダらしさをうまく出せなかったということですか

そうですね。ワセダのやりたいホッケーができなかったです。

――反対にきょうの試合で良かった点は

2点を先制されて、そのままずるずる行かずに1点を返せたところまでは良かったと思います。だけど、やっぱりディフェンスは改善しないといけないですね。あと、遠藤選手(GK遠藤秀至、社2=東京・早実)が頑張ってくれました。

――ご自身のプレーを振り返って

自分自身、シュートをあまり打てていなかったのですが、相手ゾーンのコーナーでしっかりセットのみんなと一緒にキープしてそこからチャンスを生もうということを話し合っていて、それを少し実践できたのでまた練習でこの連携を確認してしっかりやっていきたいと思います。

――きょうの試合を受けて、今後どのように取り組んでいきたいですか

一人一人がやらなければいけないことは違ってくると思うんですけれど、自力優勝の可能性が消えてしまったのでモチベーションを維持するのが難しいのですが、全日本選手権の出場権もありますし、次は東洋大戦でまだ終わったわけではないので、しっかりオフで休んで練習をしていきたいと思います。

――次戦への意気込みをお願いします

自力優勝はなくなってしまったのですが、あと2戦しっかりと勝ちたいと思います。

FW三浦亮(教4=青森・八戸商)

――きょうの試合の感想は

最初から自分たちの全力を出せないというのは、駄目だったかなと思います。実力が上の相手に対して全力を全員が出せなかったら、こういう結果になるのかなと思います。

――きょうの試合にかける意気込みはどのようなものでしたか

当然勝つつもりで準備をしてきましたし、練習もチームとして一生懸命やってきたつもりではあるのですが、やっぱり結果が全てなので、きょうは力が及ばなかったと思います。

――以前から立ち上がりを課題に挙げていましたが

きょうは立ち上がりも良くなかったですし、必要のないペナルティーからすぐ失点をしてしまい、先制して試合を進めたかったところを失点で悪い流れにしてしまって、きょうも克服できなかったと思います。

――2点目のアシストについて

5人対3人のチャンスの状態で、相手の選手はほとんど空いていたので、セオリー通りに一気にパスを返して、一騎(池田)が良いシュートで決めてくれたので、そんなに良いパスではなかったのですがありがたかったです。

――明大の印象は

個人のスキルは高いですし、一度波に乗らせると、ずっと攻め続けてくる力のあるチームです。そこをいかにして攻めさせないかというのと、守りをもっとしっかりやって早く相手の攻めの流れを切ってプレーできないと、こういうチームとやるときは勝てないなと思いました。

――きょうの試合のポイントは

3失点目と4失点目だと思います。3失点目は自分が戻って守らないといけない位置だったのですが、パックのたたき合いのようなかたちになってそれに負けて失点してしまいましたし、4失点目も取られてはいけないセットで失点をしてしまって流れを悪くしてしまいました。その2点が最後に響いて負けてしまったので、しっかり自分で反省したいと思います。

――次戦の東洋大戦に向けて

優勝は他の結果次第になってしまったのですが、全日本も懸かってきますし、何より自分たちがワセダとしてプライドを持って最後まで戦わないといけないと思うので、全力を尽くして勝ちたいと思います。

DF石川貴大副将(スポ3=埼玉栄)

――きょうの試合を振り返っていかがですか

きょうの試合は自力優勝に大きく関わる試合で、僕らは引き分けが多いので、勝たなければならない試合だったのですが、結果的に負けてしまい、厳しい状況になってしまったので、悔しい試合でした。

――勝敗を分けたポイントは

自分たちに良い流れが来ている時間帯でスコアリングチャンスがあったのですが、そこで決め切れなかったところや、相手の勢いがあるときに失点してしまったりというところが大きく勝敗を分けたと思います。5失点しているようでは、うちのチームは正直勝てないかなと思います。

――チームのディフェンス面はいかがでしたか

きょうはゴール前からの失点やリバウンドの失点というのが多くて、1本目、2本目を打たれた後の対応が疎かになってしまったのではないかと思います。

――課題であった第1Pでの立ち上がりはいかがでしたか

先に点数を入れられてしまったのですが、いままでよりは良いかたちで試合に入れたと思います。

――ご自身のプレーを振り返っていかがですか

ディフェンスを引っ張っていく上で、自分がプレーしているときに失点してしまうというのは、どんな状況であれ、してはいけないというのが僕にとっての最大の責任なので、自分のプレー中は失点しないというのを徹底していきたいです。攻撃に絡んでいくというところもいままで以上に増やしていきたいと思います。

――次の東洋大戦に向けての意気込みをお願いします

僕らは勝つしかないので、内容も本当に大切ですが、結果を出さないと意味がないです。内容よりも結果というところにこだわっていきたいです。今まで12試合終わって、積み重ねてきたものを自分たちがただ無駄にしてしまわないように、しっかり勝って、優勝につなげるというのと、全日本選手権のことをしっかり頭に入れて、残り2試合大切に戦っていきたいと思います。

GK遠藤秀至(社2=東京・早実)

――きょうの試合を振り返っていかがでしたか

きょうはあまり自分たちのペースを作ることができませんでした。チャンスもあったのですが、決め切ることができずに、流れを悪くしてしまいましたね。苦しい戦いだったと思います。

――前回の明大戦と比べ、今回は何か変化はありましたか

前回は序盤の早い段階で失点しましたが、すぐに立て直すことができましたし、その後も我慢して失点を抑えていましたが、きょうはずるずると失点してしまいました。反則も多く、またこちらが数的に有利な場面で得点することができなかったことが敗因だったと思います。

――次の東洋大戦に向けての意気込みをお願いします

優勝するには他のチーム次第という状況になりましたが、まずは次戦で勝たないことには始まらないので、しっかりと勝利し優勝の可能性を残したいと思います。

FW金子立樹(スポ2=北海道・駒大苫小牧)

――きょうの試合を振り返って

第1Pに2点取られて、チャンスもあった中で0-2で第1Pを折り返したことが、きょうの負けにつながったかと思います。

――関東大学リーグ戦も終盤、きょうの明大戦はどのような意気込みで臨まれましたか

きょう明大に負けたら自力優勝はなくなるという試合だったので、気持ちを一つにして臨むというのはこの一週間意識してきたことですが、やはり第1Pに1点取られて、みんな焦ってしまってそれが駄目だったと思います。

――第1Pを0-2で終え、チームで何か話し合われたことは

第1P終わっただけだからここから焦らずに点数を返していけばいいという話はしていました。ただ、やはり第2Pがいざ始まると、焦ってしまって、勝ちにつながるプレーがチーム全員できていなかったと思います。

――チームの雰囲気はいかがでしたか

チームの雰囲気はそんなに悪くはなかったと思いますが、ワセダの流れが来ているときに決め切れなかったというのがその後の第2Pと第3Pの雰囲気の悪さにつながったと思います。

――大事な場面での失点が多くなってしまったかのように思われましたが

そうですね。自分たちの流れのときに決め切れないというのは、相手に流れを渡すことになってしまって、そこで点数を取られて点数を取っても返されるということが第2Pは続いたので、やはり勝ち切るということができなかったと思います。

――まだ残り2試合あります。きょうの試合を通しての課題は、次に向けて何かありますか

きょうの課題としては、第1Pからチーム一丸となってやるということができなかったので、次の東洋大と中大との試合は第1Pからそれができるように、一週間しっかり準備して頑張りたいと思います。

――ご自身はどんなプレーを見せたいですか

チームが苦しいときに点数を取って、勝ちにつながるプレーをもっとできるようにしたいと思います。

FW寺井敏博(国教2=米国・チョートローズマリーホール高)

――優勝に向けて負けられない試合でした。チームとしてどのように臨みましたか

この試合を落としたら優勝はないという気持ちでやっていたので、絶対に何があっても勝つ、チームで足を動かして必ず勝つという気持ちでいたんですけど、これを落としたのは非常に痛いです。

――明大はオフェンス力のあるチーム。ゲームプランはどのようなものでしたか

明大は攻撃力があるチームなので、ロースコアに持ち込んで点の取り合いにならないようなゲームプランにしていたんですけど、失点してシーソーゲームになってしまって、そういう試合をするとああいうチームには厳しいので、そこを反省しています。

――第1Pの2失点が最後まで響きました。あの場面を振り返っていかがでしょうか

ゴール前のリバウンドの処理とかが甘くなって入れられてしまいました。あの2点をどう返すかというところで、1点返して1点入れられて、また入れて返されて、という展開だったので、失点をもっと防いで、パワープレーでもうちょっと確立を高めていきたいです。

――寺井選手が得点を挙げたすぐ後に返されるなど、勝負所で踏ん張れませんでした。ポイントでのチームの集中力などを振り返っていかがでしょうか

あの4失点目は、入れて良い流れだったのにすぐ入ってしまったので、悪い失点でした。良い流れになったらそれに乗っていかないと駄目なので、あの失点はかなり痛かったですね。

――大事な一戦で敗れて、チームの雰囲気はいかがですか

優勝が懸かっているんだという試合で負けたので、個人個人が落ち込んでいると思いますが、まだどうなるか分かりません。最後の2試合で恥ずかしい試合をしないで、勝って、優勝もあるかもしれませんし、良いかたちで終わりたいと思います。