関東大学リーグ戦(リーグ戦)が開幕した。昨季優勝の早大は、不祥事による活動自粛明けの東洋大と対戦し、4-2で勝利。宿敵との開幕戦を制し、2連覇へ弾みをつけるスタートとなった。
覇者の開幕戦は浮き足立った。第1ピリオド(P)5分、ゴール前の混戦から押し込まれ、先制点を献上。追い付きたいワセダは直後、相手のペナルティーにより、4分間のパワープレーの好機を得るも得点できず、第1Pを無得点で終える。続く第2Pも開始から再三パワープレーとなるが、ゴールにはつながらない。緊迫したゲームが動いたのは17分。池田一騎(スポ3=北海道・駒大苫小牧)からのパスを受けた山田虎太朗(社4=北海道・駒大苫小牧)が放ったパックは東洋大ゴールに吸い込まれる。第2P終盤で1-1と試合を振り出しに戻す。
迎えた第3P。優勝に向けて是が非でも手にしたい1勝をかけて、両者の意地と誇りがぶつかり合う。互いに一歩も引かない中、均衡を破ったのはワセダだった。この試合9回目となるパワープレーを勝田貴之(国教4=米国・ライ高)が決めて勝ち越し。「ラッキーだった」と謙遜したが、この日のヒーローは応援に駆け付けた友人たちの声援にガッツポーズで応えてみせた。その後も松浦晃(人4=北海道・釧路工)の追加点で勝利を手繰り寄せるが、東洋大も底力を見せて3-2。後がない東洋大は残り1分で6人攻撃を仕掛けるが、池田がパスカットから一人で運び、無人のゴールに叩き込む。4-2で大事な初戦を逆転勝利で飾った。
開幕戦で白星をつかんだワセダだが、手放しで勝利は喜べない。試合後「パワープレーを決められなかった」と草島武彦監督(昭62教卒=東京・早実)は厳しい表情を見せた。9回のパワープレーで1得点に終わったのは反省材料だろう。高い決定率を誇ったパワープレーが昨季の優勝の一因となっただけに、改善が期待される。次戦は先日のサマーカップで敗れた慶大との一戦。「やられたらやり返します。倍返しで」(山田)。リベンジへ向けての意気込みは十分だ。
(記事 阿部有起、写真 北田ゆず)
結果
○早大4-2東洋大
コメント
草島武彦監督(昭62教卒=東京・早実)
――きょうの試合を振り返って
東洋大は新チームになってからどう来るか分かりませんでしたが、我々は夏合宿、サマーカップと調整して来ました。最後で慶大に負けて不本意な形となりましたが、東京に戻って来てから練習を立て直し、きょうの試合を勝利できたのはよかったと思います。ペナルティーも少なく、終始優位に試合を進められたのも良かったです。ただ、あれだけパワープレーがあったのに決められなかったのは課題ですので、長いリーグ戦の中で精度を上げていきたいです。
――夏からセットを変えて臨みましたが、今後もこのセットで戦っていきますか
夏合宿、サマーカップからセットは変えましたが、今後もリーグ戦を通して、ベンチに入れなかった選手も含めて調子のいい選手を起用したいと思います。
――次戦はサマーカップで敗れた慶大戦ですが
先日の試合もリードしていてパワープレーもあり、倍以上のシュートを放ちながら負けてしまいました。「絶対に勝ちたい」という慶大の気持ちの前に弱さが出てしまいました。きょうの試合はその気持ちを持って勝てたので、次戦もこの気持ちを大事に勝利したいです。
山田虎太朗(社4=北海道・駒大苫小牧)
――試合を振り返って感想をお願いします
サマーカップの結果が悪い中できょうは先制されましたが、みんなで気持ちを一つにして粘り強いホッケーができたかなと思います。
――シュート数が多いにも関わらず決めきれない場面が多く見られましたが
精度はあまりいい方とは言えなかったのですが、これから試合を重ねていくにつれてどんどん洗練されていけばいいなと思います。今日はとりあえず4点取れたので良かったと思います。
――代表合宿での収穫はどのようなものがありましたか
今回は主将の羽しゅう(銘、スポ4=北海道・駒大苫小牧)と東洋大の秋本(デニス)も一緒に行ったのですが、同期のディフェンスが三人いるということで、すごいいい刺激にもなりましたし、そういった中で競争することで自分も一つ成長できたかなと思ったのでいい収穫になったのではないかと思います。
――9月上旬のサマーカップで慶大に敗れましたが、あさっての慶大戦はどのような気持ちで臨みますか
そうですね。やられたらやり返します!倍返しで。
――リーグ戦全体の意気込みをお願いします
初戦の東洋大に勝ったということはすごく大きいと思うのでこの流れを維持できるようにみんなで強いメンタルを持って、あと13試合、1試合1試合勝っていけるように頑張りたいと思います。
松浦晃(人4=北海道・釧路工)
――初戦、東洋大に勝利しました
夏、慶應に負けて、最悪の夏で終わったのですが、そこから3日間一から練習して。チャレンジャーという気持ちを持って良い緊張感の中で試合に臨めた結果が、きょうの勝利だと思います。
――立ち上がりは攻められている感じもありました
相手のフォアチェッキングがすごく早くて、それにギリギリで対応できていたという印象でした。なので、攻めるよりもしっかり守ってからスタートしていこうという気持ちで我慢して守りました。
――2ピリの途中からワセダペースになりましたが、その守りからというスタイルがうまくいったのでしょうか
守りで最少失点に抑えたことで、自分たちに流れが来たと思います。守りの意識を持ってプレーできたのが良かったです。
――夏から様々なセットを試されていますが、きょうの第2セットは4年生と1年生のみで構成されていました
韓国合宿と夏の初戦は、一騎(池田、スポ3=北海道・駒大苫小牧)とタカ(勝田貴之、国教4=米・ライ)と虎太(山田虎太朗、スポ4=北海道・駒大苫小牧)と銘(羽しゅう、北海道・駒大苫小牧)で固まった(第1)セットだったのですが、そこのセットで毎試合何得点もできるわけではないですし、2つ目3つ目で失点してしまうときつくなってきます。いろいろ話し合って、どのセットでもしっかり守って点を入れられることと、3、4年生が固まらずにある程度1年生とかと組んで引っ張っていけるようにということでああいうセットになりました。
――ほぼ決まりに近い形ですか
1、2セット目はある程度固まってしまうと思います。ですが、3つ目に関してはまだ誰かがずば抜けてうまいというわけではないので、流動していくと思います。まだ秋リーグが始まったばかりなので、4つ目5つ目は出たいという気持ちを持って、下からの突き上げをしてほしいです。
――ゴールシーンを振り返って
逆転して、セーフティーリードではなくまだ点数がほしい場面でした。きわどいプレーではありましたが、運よく2対1になって、トシ(寺井敏博、国教1=米・)にパスを出して、そのリターンを待っているだけでした。良いパスをくれてさわるだけでした。良い形ができたと思います。
――夏が悪かった理由
ビデオなどを見た後に、ターンオーバーやディフェンディングゾーンでの前の弱さだったり、1対1のバトルという面で、勝てていないことが見えました。気持ちの問題の部分もあるので、昨年優勝したことは関係なしに、しっかりやらなければ弱いということを再確認しました。リスクを減らして失点を減らし、少ないチャンスで入れることを目標にできたことが良かったです。
――あさっては慶大戦です
慶應に負けた理由も、自分たちが受け身で向こうが挑戦者という気持ちでやっていて、たぶん相手の勝ちたいという気持ちに負けたと思います。同じ相手に2回負けることはできません。早慶戦ということは関係なしに、秋リーグの1戦として、負けた相手にしっかり勝って、2勝目を手にできたらと思います。
勝田貴之(国教4=米国・ライ高)
――半期ぶりの東洋大戦でしたが、どのような意気込みでしたか
サマーカップで慶大に負けてしまったりしてあまり良い結果が出せなくて、チーム内でももう少し切り替えなければいけないという気持ちがありました。きょねんの優勝を守りたいという気持ちもあって、東洋大に勝ちたいと思っていました。
――シュート数は上回る反面、得点につながらなかった第1ピリオドについて
第1ピリオドは小さなミスから早めに1点入れられてしまいましたが、そんなに悪いという感じではなかったと思います。
――第3ピリオドでのゴールを決めたときのお気持ちは
6番の山田(虎太郎、社4=北海道・駒大苫小牧)の1点でチームの元気が出て、全体的にアタックも多くなったと思いますし、流れがぼくたちの方に来ていたので、結構ラッキーだったんですけど、1点決められました。
――きょうの反省点などあれば
全体的に良かったと思いますが、ディフェンシブゾーンでのミスで相手に1点、2点を与えてしまったので、ディフェンシブゾーンのケアを練習でもっとやっていきたいと思います。
――慶大戦に向けて
サマーカップで慶大に負けてすごく悔しかったので、その気持ちを忘れないで思い切りやりたいです。
――リーグ戦の目標を教えてください
優勝ですね。2年連続優勝を絶対にします。