4年生3人が最後の大会に臨む 土屋が3級女子で優勝!

フィギュアスケート

 2月11、12日に行われた関東学生フィギュアスケート選手権。有観客開催にはならなかったものの多くの選手関係者が集まり、にぎやかな雰囲気の中演技が行われた。早大フィギュア部門からは1年生から4年生までの選手が出場。ラストシーズンの4年生にとっては最後の大会となり、たくさんの笑顔や涙が見られる温かい大会となった。

★6級女子

 6級女子部門には早大から今3人が出場した。早大勢トップバッターで登場したのは一年生の妻鹿愛(政経1=大阪桐蔭)。大学デビュー戦となった6月の学生有志大会では、緊張からミスが多く出てしまっていたが、今回はほとんどのジャンプを綺麗に着氷。「絶対に一本降りる」ことを目標にしていたという2回転アクセルもダイナミックに決まった。終始スピードを失わないスケーティングで最後まで滑り切り、演技後のインタビューでは笑顔も見られた。

伸びやかな滑りを見せる妻鹿

 一方で、続いて登場した千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)にとって今回は悔しい大会に。インカレで出てしまったミスを改善すべく臨んだ演技だったが、冒頭からジャンプが思ったように決まらない。こらえるようなジャンプが続き、終盤のスピンも、いつもの千葉と比べるとやや不安定な回転になってしまった。転倒は無かったものの、思い描いた演技をすることはできず、「練習でできていることが本番でできなかったのがすごく悔しい」と声を詰まらせた。

『オペラ座の怪人』を披露する千葉

 先月、今季限りでの現役引退を発表した高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)は37人が出場した6級女子部門の第5グループでの滑走。1月のインカレからプログラムを変え、高浪の母がずっと滑って欲しいと言っていた、という曲に乗せて最後の競技会に挑んだ。中盤に1つジャンプで転倒があったが、管弦楽の調べに乗せたしなやかな動きで会場を魅了。今まで積み重ねてきた長いスケートの年月と日々の練習の成果が感じられる演技を披露し、12位で大会を終えた。引退まで残る演技は、エキシビションが3回。「一瞬一瞬を大切にして、フィギュアスケートができる時間を最後まで楽しんで笑顔で引退を迎えたい」と語った。

新プログラム『Fantasy for violin and orchestra』を滑る高浪

★5、6級男子

 初日夕方に行われた5、6級男子部門の競技時にはリンクに意外な人物の姿が。岡島右京(商3=東京・早大学院)のコーチをするために西山真瑚(人通3=東京・目黒日大)がリンクサイドに立った。その西山からジャンプのアドバイスを受けた岡島。序盤の3連続ジャンプをはじめ、多くのジャンプを綺麗に着氷。特に、2本目の2回転アクセルを着氷するとリンクサイドが大いに盛り上がった。最後のジャンプで回転がパンクしてしまうなど、ミスはあったが、大きく崩れることなく演技をまとめた岡島はシーズンベストをマーク。得点が発表されるとガッツポーズも飛び出し、集まったチームメイトから祝福の拍手を受けた。

力強い表情で演技をする岡島

★7、8級女子

 7、8級女子の競技には馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)が出場。ショートプログラムの『Within/Nero』を披露した。1月に行われた日本学生氷上競技選手権(インカレ)ではケガもあり、万全な状態で演技をすることができなかった馬場。今大会でも大会直前に靴が壊れるというアクシデントがあった。本人も「調整が間に合わなかった」と語ったように、ジャンプでは回転の抜けや転倒といったミスが相次いだ。ただ、スピンは2つレベル4を獲得するなど、終始丁寧に演技を行った。やや精彩を欠く演技となった今大会だったが、いよいよ幕を開けるラストシーズンに向け、「悔いなく毎日無駄にしないように頑張っていきたい」と意気込む。

ピアノ曲に合わせて滑る馬場

★7、8級男子

 久々の試合出場となった廣田聖幸(スポ2=千葉・東邦大東邦)は、初日最後の7、8級男子の競技に登場。今大会では氷の状態にやや苦戦し、冒頭の3回転サルコウや最後のスピンでミスが出てしまった。しかし、披露するのは最後と決めた今季のショートプログラム『Overtake』を力強く演じ切り、ミスはありながらも「楽しかった」と演技を振り返った。WASEDA ON ICEでは大会直前に振り付けが終わったという新ショートプログラムを披露する予定の廣田。どんなプログラムが見られるのか楽しみだ。

体を大きく使った演技を見せる廣田

★3級女子

 大会2日目に行われた3級女子の競技には副主将の土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)と中村華(人3=群馬・高崎女)が出場。まずは10番滑走で中村が登場した。冒頭のアクセルジャンプでわずかに乱れると、降りたいと語っていた2回転サルコウで転倒。軽快なリズムに合わせ、チャーミングな振り付けを披露しながら演技を進めていくが、最後のスピンでは途中で転倒してしまう。スピンをノーバリューにしないことを目標にしていただけに、演技後は肩を落とした。インタビューでは悔しさをにじませるも、コンディションを整え、「自分ができることを精一杯やりたい」と前向きに語った中村。この後控えるWASEDA ON ICEでの演技に期待だ。

笑顔で演技をする中村

 先月のインカレで優勝という好成績を残した土屋が、競技人生最後の試合に臨んだ。緊張からか、2本目の2回転サルコウで転倒してしまうなどのミスはあったものの、後半は大きな過失なくエレメンツを丁寧にこなしていった。体を大きく使って『ハレルヤ』を演じ切った土屋の表情からは笑顔が見られた。結果は出場した14人中1位。インカレに引き続き優勝という華々しい成績で最後の大会を終えた。残る演技の場はエキシビション。「今までやってきたことを全部発揮したい」と強く語る土屋のスケート人生最後の演技を見届けたい。

柔らかな表情で演技をする土屋

★5級女子

 今大会最後に登場したのは5級女子の正村瞭子(文構4=東京・早実)。清々しい引退を迎えていく仲間たちを見届けながらの演技となった。やや硬い表情で演技を始めるも、『Speechless』に合わせて演技を進めていくにつれ、感情の乗った伸びやかな滑りを見せる。インカレでは転倒してしまい、心残りだったという最後のフリップジャンプを決めるなど上々の演技を披露。最後のポーズを取ると涙があふれた。結果は6位となり、スケート人生最後の大会で目標としていた8位入賞を果たした。「とにかく楽しみたい」と語るWASEDA ON ICEまであと少し。最後にはどんな滑り、どんな表情を見せてくれるのだろうか。

演技冒頭、ポーズを取る正村

(記事 及川知世、吉本朱里、写真 及川知世、吉本朱里)

結果

▽6級女子


妻鹿愛

 

11位 61・28点


高浪歩未

 

12位 60・66点


千葉紫織

 

15位 60・33点


▽5、6級男子


岡島右京

 

4位 65・83点


▽7、8級女子


馬場はるあ

 

SP 15位 32・57点


▽7、8級男子


廣田聖幸

 

SP 6位 42・18点


▽3級女子


土屋凜菜

 

1位 43・16点


中村華

 

12位 28・43点


▽5級女子


正村瞭子

 

6位 49・98点


コメント

▽6級女子


高浪歩未(国教4=ケイ・インターナショナルスクール東京)

――今回の演じられたプログラムを選んだ理由をお聞かせください

 今回のプログラムは『Fantasy for violin and orchestra』という曲で、母が私にずっと滑って欲しいと思っていた曲でした。もう引退なので、今まで一番近くで応援してくれた母に少しでも恩返しをしたいと思い、この曲を選びました。

――今大会の目標を教えてください

 今大会は最後の試合だったので、今までのスケート人生を振り返りながら滑りたいと思っていました。また、両親も来ていたので、少しでも今までの感謝を届けられるように心を込めて滑ることを目標にしていました。

――演技を振り返っていかがですか

 最後のプログラムも服部先生に素敵な振付をして頂いたので、一つ一つの振付でスケートができる時間を噛み締めながら演技ができました。ジャンプを一つ転倒してしまったことは悔しいですが、最後まで幸せな気持ちで滑りきれたと思っています。残りは、バレンタインカップ、WASEDA ON ICE、私大戦と全てエキシビションで滑りますが、そこでは転倒なしで、今までの感謝の気持ちを観客の皆様に伝えられる演技ができるよう頑張りたいと思います。

――引退まで残り少なくなった競技生活への意気込みをお願いします

 残り1カ月もありませんが、今まで通り練習とエキシビション、一瞬一瞬を大切にして、フィギュアスケートができる時間を最後まで楽しんで笑顔で引退を迎えたいと思います。

千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)

――インカレぶりの試合だったと思うのですが、今大会の目標を教えてください

 インカレで少しミスがあったので、そこを改善するというのと、今回の試合は特に先がかかっているわけではなかったので、思い切ってミスを恐れずにトライするというのを目標にしていました。

――今日の演技内容を振り返っていかがですか

 大学生になってからの試合で一番悔しくて、こんなに泣いているのも久しぶりで、練習でできていたことが本番で出せなかったというのがすごく悔しいです。練習の成果を試合に結びつけるというのが甘かったかな、その甘さが出たかなと思っています。

――今後に向けての意気込みをお願いします

 今日十分悔しい思いはしたので、今後今回の試合が糧になるように、練習と試合をどう結びつけていくかにフォーカスして練習していきたいなと思っています。

妻鹿愛(政経1=大阪桐蔭)

――久しぶりの大会だったと思いますが、今大会の目標を教えてください

 前回が本当にボロボロだったので、今回は2回転アクセルを絶対に一本降りるというのを目標にしていました。

――そのアクセルも綺麗に決まっていたと思うのですが、今日の演技内容は振り返っていかがですか

 前半は結構まとめてできたと思うのですが、後半は疲れてきて、体力がもたないところがあって、崩れてしまったなという印象です。

――今後への意気込みをお願いします

 WASEDA ON ICE は初めてなのですごくワクワクしていて、試合とはまた違った自分のスケートを見せる、というところでいつもと違うかなと思うので、楽しくやりたいなと思っています。3月の私大戦は、2回転アクセルを2本入れるというのと、3回転ジャンプを1本降りるという、高い目標でやりたいなと思っています。

▽5、6級男子


岡島右京(商3=東京・早大学院)

――今大会の目標を教えてください

 インカレで2本ジャンプが1回転になってしまい、とにかくパンクしないように回転を締めるということを意識して練習をやっていました。最後のジャンプがパンクしてしまったので何とも言えないのですが、インカレより楽しく滑れましたし、要所要所で落ち着きながら演技ができました。練習はもう少しできていたのでもう少し出したかったな、という思いはあるのですが、まあ及第点かなという感じです。

――アクセルのところでリンクサイドが盛り上がっていましたが

 びっくりしました(笑)。俺なんかしたかなってくらい盛り上がっていて(笑)。

――西山コーチ(西山真瑚、人通3=東京・目黒日大)はいかがでしたか

 本当に西山コーチが良くて。試合になると自分が思っているより焦ってしまうから、落ち着いて待つのがいいと言われて、早くなってしまうからアクセルの時とかにためる時間を長くして、というすごく的確なアドバイスをくれました。そのおかげで演技直前にループがハマるようになったりとか、アクセルもなんとか形になったりで、西山コーチ様様です(笑)。これからもお願いしたいくらいです(笑)。

――今後に向けての意気込みをお願いします

 バレンタインカップと私大戦どちらも出るのですが、どちらも3回転を入れる予定でいるので、もちろん3回転を少しでもいい形にするというのも目標ですし、インカレの2つのパンクが自分の中ですごく頭に残っていて、今後そういったミスを絶対にしたくないなと思っているので、場数を踏んで、少しでも試合で練習と同じものが出せるように意識しながらやっていきたいと思っています。

▽7、8級女子


馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)

――前戦のインカレではケガもあり万全の状態ではなかったかと思いますが、今大会では調子はいかがでしたか

 結構色々あって。ケガはだいぶよくなってきたのですが、他のところをまた痛めてしまって。また、この試合の3日前くらいに靴が壊れてしまって新しい靴で試合に挑みました。ちょっと今回は調整不足だったかなと思っています。

――今大会の演技内容を振り返っていかがですか

 もうちょっと試合に向けて調整するべきだったのですが調整が間に合わなかったなと感じます。また頑張らなきゃいけないと思います。

――この後のWASEDA ON ICEなどに向けての意気込みをお願いします。

 最後の1年になるので、悔いなく毎日無駄にしないように頑張っていきたいと思います。

▽7、8級男子


廣田聖幸(スポ2=千葉・東邦大東邦)

――久しぶりの試合でしたが、今大会の目標を教えてください

 今回、今のショートを滑るのが最後だったのでやれることをやって、楽しく滑ることと、最後に練習したものを出し切れるようにと臨みました。

――演技内容を振り返っていかがですか

 ちょっと氷の感じに慣れることができなくて苦戦していました。ジャンプの細かいミスだったり転倒だったり、スピンもちゃんと練習してきたのですが回れなくて点数にはなっていないのかなと思うので、悔しいは悔しいです。ただ、楽しくできたのでよかったかなと思います。

――WASEDA ON ICEへの意気込みをお願いします

 ちょうど昨日くらいに新しいショートを作り終わったので、これから滑り込んでショーまでにちゃんと間に合うようにして、よいものを見せられるように頑張りたいと思います。

▽3級女子


土屋凜菜(国教4=東京・頌栄女学院)

――今大会の目標を教えてください

 最後の試合なのでとりあえず、全部のジャンプとスピンを丁寧にやって、自分の納得のいく演技をすることを目標としていました。

――優勝という結果となりましたが、今日の演技内容や点数を振り返っていかがですか

 いつも以上に緊張していて、ちょっとジャンプにミスがあったのですが、そのミスがあったからこそ後半のジャンプなどは丁寧に跳べたのかなと思うので、自分が一番納得のいく演技ではなかったのですが、最後の試合で優勝することができてよかったなと思います。

――WASEDA ON ICEに向けて意気込みをお願いします

 本当に最後の演技の舞台となるので、今までやってきたことを全部発揮できるようにしたいのと、グループナンバーなどもあるので部員のみんなといい舞台を作り上げられたらなと思います。

中村華(人3=群馬・高崎女)

――久しぶりの試合でしたが、今大会の目標を教えてください

 3級になってからノーミスができていなくて、できるだけミスをしないこと、2回転ジャンプ1本は降りたいなと思っていました。あと今までの試合でスピンがどれか一つノーバリューがあったので、それをしないことが目標だったのですが…。ちょっと最後のスピンは0点かなと思います。

――今日の演技を全体的に振り返っていかがですか

 やばくて(笑)。最初のアクセルは全然失敗する予定はなかったし、普段からあまり失敗することなかったのでちょっとぐらついてしまって。その後サルコウも転んでしまったし、全体的に全然、練習の時に単発でできることができなかったなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

 今週はかなり練習したのですが逆に疲れなどがでてしまったかなと思うので、WASEDA ON ICEではちゃんとスピンだったり、2回転ジャンプも2種類入れたいです。試合とは違うので挑戦できるとは思うのですが、お客さんが「あ、これミスだ」って思わないような演技にしたいし、コンディションを整えて自分ができることを精一杯やりたいと思っています。

▽5級女子


正村瞭子(文構4=東京・早実)

――最後の試合でしたが、今大会の目標を教えてください

 今回の目標は8位入賞することと、一番最後のフリップが試合ではあまり決まったことがなかったですし、インカレで転んでしまったことが心残りだったので、それをしっかりと跳ぶことでした。

――演技後の涙が印象的でした。今日はどのような思いで演技されましたか

 前日に一緒にリンクで頑張っていた仲間が演技を終えていて、みんな入賞だったり、いい成績を収めていて、清々しく引退しているなという印象を受けたので、自分も気持ちよく引退できるのかなという不安が緊張につながっていました。いい緊張感を持って試合に挑めたかなとは思っていて、それが達成できたという思いと、緊張がほぐれたことで演技後に泣いてしまいました。

――WASEDA ON ICEへの意気込みをお願いします

 WASEDA ON ICEはやっぱり競技から一旦離れて、スケートをただ純粋に楽しむということになると思うので、自分が楽しんで、お客さんにも楽しんでもらえるようにとにかく楽しみたいと思います。