6、7級部門の選手が登場 華やかな演技で大会を締めくくる/関東学生有志大会2日目

フィギュアスケート

 6月4日・5日に開催された関東学生有志大会。2日目には、6級女子部門と7級女子部門に計5名が出場。出場選手が多かったこともあり、関係者が集まる会場は盛り上がりを見せた。

 最初に登場したのは6級女子部門の千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)。今大会で初めて披露した新しいプログラムは『オペラ座の怪人』。薄いピンク色の煌びやかな衣装を身につけ、リンクに立った。

前の選手の演技が終わってから名前がコールされるまでの時間が長かった。その影響か冒頭の二つのジャンプは僅かに乱れが見られるも、落ち着いて演技を続ける。その後の2回転フリップや、直前の練習で入念に確認していた2回転ループは着氷。女性ボーカルと男性ボーカルが混ざり合う曲を華やかに、かつ力強く演じる千葉。上半身を大きく使い、指先まで意識した表現で曲の世界観を存分に表現した。コンビネーションジャンプが入らないなどのミスがあった初戦の演技。結果は52・42点で16位となった。演技後、「(プログラムを)全然完全なものとして見せることができなかった」と反省点を挙げた。まだシーズンは始まったばかり。課題を見つめ、今後の試合に向けてプログラムを磨いていく。

『オペラ座の怪人』を披露する千葉

 第2グループには新入生の妻鹿愛(政経1=大阪桐蔭)が登場。「WASEDA」と書かれたジャージを羽織り、早大スケート部の一員としてのデビュー戦を迎えた。リンクサイドの先輩部員に見守られながらスタートポジションに立つ。

  「すごく緊張してしまった」と語ったように、少し表情が硬かった。冒頭、2回転の単独ジャンプを両腕を上げて跳ぶと、綺麗に着氷。良いスタートを切ったかと思われたが、続く2回転アクセルでは転倒。その後も果敢にジャンプに挑戦していくものの、ミスを連発してしまう。それでも、曲調が変化する後半ではスピードを生かした滑りを見せる。『Beethoven's 5 Secrets』の壮大な雰囲気を全身で表現し、大学デビュー戦を終えた。ジャンプのミスが響き、得点は39・12点、順位は31位。本来の力を出すことはできなかったものの、「次につなげるため、何を頑張ればいいのかが明確になった」という、収穫が多い大会となった。早大スケート部の新入生の今後に期待が高まる。

大学デビュー戦を飾った妻鹿

 続いて行われた7級女子部門の試合には煌びやかな赤いドレスを身にまとった馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)が登場。厳かに光る黒い模様も選手の魅力を存分に引き出すものとなっている。直前練習では胸に手を当て、緊張している様子も見られたが、笑顔でハイタッチを交わして演技に臨んだ。

 演技が始まると女性のボーカルに合わせてキレのある振り付けを披露。曲調が力強くなるにつれて動きも大きくなる。連続ジャンプを着氷するなど落ち着いてジャンプをこなしていくと、続くスピンもきれいにまとめる。最後の3連続ジャンプでは少し乱れるも、転倒することなくこらえる。ラストは片膝をつき、美しいポーズを決めた。結果は80・24点で9位。早大選手の中ではトップの得点だ。今回の演技については、あちこちミスが出たものの、いつもよりも集中することができたと振り返った馬場。迎えた今シーズンについては「公式の試合でいい演技ができるように頑張りたい」と話した。

力強い演技を見せる馬場

 5月はじめのサイニチホールティング杯以来の演技となった主将の小室笑凜(スポ4=東京・開智日本橋学園)は、金の装飾が付いた白い衣装を身にまとってリンクに登場。試合直前には入念にジャンプを確認する様子が見られた。

 ラストシーズンのプログラムは『オペラ座の怪人』。繊細な曲の出だしとともに優美に演技を始める。ダイナミックで力強い曲調には精強で大きな振りを見せる。一転、優しい音色にはひらひらと舞い踊るような軽やかなステップを披露。美しい所作で会場を『オペラ座の怪人』の世界観に引き込む。ジャンプでは乱れが見られるも、転倒することなく着氷。連続ジャンプも成功させ、落ち着いた様子でエレメンツをこなしていく。終盤は片膝をつくなど、体を大きく使って自らを表現。最後のスピンをきれいに回り切り、演技を終えた。結果は77・24点で12位となった小室。ジャンプには満足していないと語ったものの、ステップなどの流れに関しては成長を見せることができたという。主将として迎えたラストシーズンについては、「心動かせるプログラムを作っていきたい」と目標を掲げた。

指先まで意識した舞を披露する小室

 早大スケート部から10人が出場した今大会。早大選手の中で最後に演技をしたのは木南沙良(人通2=東京・日大一)。以前から着物の衣装に合う「和」のプログラムを滑りたかったという木南の新プログラムは『SAYURI』。氷上によく映える薄いピンクとパープルのグラデーションの衣装で登場した。

 演技前の笑顔とは一転、引き締まった表情で滑り始めた木南。序盤、調整が上手くいっていなかったというジャンプで転倒してしまう。しかし、落ち着いて気持ちを切り替え、後半のジャンプは次々と着氷。後半は必ず跳ぶと決めていた2回転アクセルを着氷。曲調の変化に合わせたメリハリのあるステップやなめらかなスケーティングも披露した。細部までこだわり抜かれた振り付けで『SAYURI』の壮大な世界観を表現し、今シーズン最初の演技を終えた木南。結果は73・80点で15位。「今できることはできた」と初戦の演技を振り返りながらも、目標としている東日本選手権に向けて「夏の試合からいい結果が出せるように頑張ろうと思う」と強く意気込んだ。

華やかな衣装に身を包み演技する木南

 2日間にわたって行われた関東学生有志大会。おのおのが課題を発見し、次戦に向けての足がかりをつかむ大会となった。早大選手たちは今後、磨き上げられたプログラムで、夏の大会や、東日本学生選手権大会、ブロック大会などに出場。さらなる高みを目指していく。

(記事 大日結貴、吉本朱里 写真 大日結貴、及川知世、吉本朱里)

結果

▽6級女子


千葉紫織

 

16位 52・42点




妻鹿愛

 

31位 39・12点


▽7級女子


馬場はるあ

 

9位 80・24点




小室笑凜

 

12位 77・24点




木南沙良

 

15位 73・80点


コメント

▽6級女子

千葉紫織(文構2=東京・筑波大付)

――今回披露した新しいプログラムについて教えてください

『オペラ座の怪人』です。選んだ理由は、昨年の夏に劇団四季のオペラ座の怪人の舞台を観に行って、あまり詳しい内容とかは知らないのですが、そのときに音楽も含め、すごく良い作品だなと思って、使いたいと思ったからです。

――今大会の目標を教えてください

今シーズンの最初の試合だったので、新しいプログラムにして初めての試合で、完成度はここから上げていくとしても、初戦として新しいプログラムを、今できる最大の良いかたちとして見せられるようにすることが目標でした。

――今回の演技を振り返ってみていかがですか

最近結構調子を試合に向けて上げていたのですが、なかなかコンビネーションジャンプが入っていないとか、全然完全なものとして見せることができなかったのが反省点としてあります。練習でもっと120%をやっていないと本番で100%が出せないという話があるように、もっと練習のときのピークを持っていくタイミングとかが早かったらよかったのかなと思います。あとは、自分が呼ばれるまでの時間が結構長くて、その間にやることをあまりちゃんと考えていなくて、体があまり動かなかったかなという反省点はあります。

――今後への意気込みをお願いします

今回初戦だったので、これから東日本学生選手権大会(東インカレ)とか、日本学生氷上競技選手権大会(インカレ)に出場することを目指して、頑張っていきたいと思います。

妻鹿愛(政経1=大阪桐蔭)

――今回は早大スケート部の一員として臨む初めての大会でしたが、いかがでしたか

大学のデビュー戦ということで、やっぱり早稲田という名前を背負っているわけで、緊張してしまったのですが、それでもリンクサイドに先輩方がいらっしゃったので、楽しんで滑ることができました。

――今回披露したプログラムについて教えてください

曲は『Beethoven's 5 Secrets』です。曲調が変わるところがあって、そこで結構盛り上がるのですが、そこから後半が始まっていきます。私のスケートは結構スピードとかを大事にしているので、そこの後半を見ていただきたいなと思います。

――今大会の目標を教えてください

大学生になって、練習とかも確保できなくて、今回の目標は最後まで滑り切ることだったので、それは達成できたのではないかなと思います。

今回の演技を振り返ってみていかがでしたか

初めての試合で結構緊張してしまって、ミスが本当に多かったのですが、この大会に出て得られたことが結構あったので、それを次につなげるため、何を頑張ればいいのかを明確に分かることができたので、出て良かったなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

今回の試合は本当にミスが多くて、私の100%の力を出すことができなかったので、次の試合までにもっと練習を積んで、ベストの演技ができるように頑張ります。


▽7級女子

小室笑凜主将(スポ4=東京・開智日本橋学園)

――サイニチホールディングス杯以来の試合でしたが、今大会の目標を教えてください

前回はプログラムに慣れていなかったので、今回はなじんだプログラムにして滑りたいなというのは目標としてありました。

――今回披露したプログラムを選んだ理由を教えてください

選んだ理由は二つあって、一つ目は、使ってみたかった曲だったからです。二つ目は鈴木明子さんが(この曲を)引退で使っていて、昨年とか一昨年のシーズンのショートプログラムとかで鈴木明子さんの曲を使わせていただいていたのですが、あのような滑りをして、あのような引退を迎えたいなと思って選びました。

――今回の演技を振り返ってみていかがですか

ジャンプは正直そんなに良くなかったかなと思うのですが、ステップとかの流れは前回よりも良くなったのかなと思うので、そこは引き続きさらにブラッシュアップしていけたらなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

滑りの部分とか表現の部分は磨いていきたいのと、ジャンプも安定させて入れていきたいなと思っているので、その両方をしっかりかねそなえて、心動かせるプログラムを作っていきたいなと思います。

馬場はるあ(社3=東京・駒場学園)

――今大会の目標を教えてください

私はすごく緊張するので、練習通りにまとめることが今日の目標でした。

――今回の演技をふりかえっていかがですか

すごく緊張していて、あちこちミスは出たのですが、集中はいつもよりはできたかなと思うので、色んな収穫があったかなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

今回集中が結構できたので、このまま良い練習を積んでいって、公式の試合でいい演技ができるように頑張りたいです。

木南沙良(人通2=東京・日大一)

――今回披露した新しいプログラムについて教えてください

前から着物の衣装のプログラムをやりたくて、先生にお勧めされたのがこの『SAYURI』という曲だったので、これにしました。

――今大会の目標を教えてください

今日の目標は2回転アクセルは必ず飛ぶことと、ジャンプの調整が上手くいっていなかったので、その中で出来る限りのことをやり尽くすというのがありました。

――今日の演技を振り返ってみていかがですか

今できることはできたかなと思うのが一番あります。これからシーズンが始まるので、ジャンプを自分のものにできるように練習する必要があるなと思います。

――今後への意気込みをお願いします

今シーズンは、東日本選手権に出場して、自分の満足する結果を東日本で取るというのが目標なので、それに向けて、夏の試合からいい結果を出せるように頑張ろうと思います。